国会質問

質問日:2004年 5月 27日 第159国会 農林水産委員会

卸売市場法改正案質疑・採決

高橋ちづ子議員は5月27日の衆議院農林水産委員会で、卸売市場法改正案の質疑に立ち、大手スーパーが卸売市場で優越的地位を乱用し、中卸業者が低価格納入を押し付けられている問題を取り上げ、公正取引委員会に調査、是正を求めました。

公正取引委員会の山木康孝取引部長は、「大規模小売業者の優越的地位の乱用は独占禁止法で禁止されている。今年に入って岡山や北海道でスーパーによる違反行為を排除してきたが、今後も厳正に対処していきたい」と答弁。亀井善之農水相も「量販店によって市場内の価格価格形成機能がゆがめられているのではないかと実態調査をしている。市場取引110番を設置して、公正取引委員会と連携して対処したい」と答えました。

高橋氏は、卸売市場内における差別的取り扱いを起こさせないために、卸売市場に取引委員会の設置を義務付けるべきだと指摘。

農水省の須賀田菊二総合食料局長は「差別的取り扱いの監視機能として取引委員会は重要であり、すべての卸売市場に設置をしていきたい」と述べ、事実上、設置を義務付けることを明らかにしました。

また、4月からの消費税総額表示の導入によって、中卸業者が外税だったときと同じ値段で納入させられ、実質値引き状態という事態について、農林水産省にたいし、公正な取引をするよう指導を求めました。農林水産省は、納入業者のサンプル調査のうち、価格の引き下げ要請をうけた納入業者が17.5%いたことを認めました。亀井農水相は、「優越的地位の乱用について、公正取引委員会の指針に従い食品流通関係団体に対し、適正な取引推進を指導している」「独占禁止法違反事例については、直ちに公正取引委員会に通報・連携して対処する」とのべました。

(2004年6月2日(水)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに大臣にお伺いをします。

 「卸売市場は、多様で鮮度の高い生鮮産品を志向する食文化・生活様式に適合した流通システムとして、生鮮産品の流通において基幹的役割を果たしている。」この言葉は、昨年九月二十五日に農林水産省総合食料局が発表した「「卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)」について」、この冒頭にある改正の趣旨であります。この間のさまざまな研究会報告書も出される中で、繰り返しこの「基幹的役割」という言葉は位置づけられておりました。

 今回の本改正案の大臣説明には、この改正の趣旨について、「流通の円滑化を図る上で重要な役割」という表現にとどまっておりますが、基幹的な役割という言葉がなくなった。中身が変わったのかどうか、ちょっと認識を伺いたいと思います。

○亀井国務大臣 私は、基幹的役割でよろしい、こう思っております。

○高橋委員 確認できたので、次に進みます。

 昨日は、高木委員長の御案内で大田市場を視察させていただきまして、クイズ番組かと思うような丸い電光掲示板で競りを瞬時にやっている、大変先進的な市場だなということを改めて思いました。

 また、先月は地元で中央市場を見てきたんですけれども、そのときはおなじみのスタイルで青果の競りをやっているところを見ることができたんですけれども、そのとき案内してくれた仲卸さんが言うには、競りの大事な役割というのは取引の結果がオープンであること、そのために、一部の業者間の不公平な取引を防止したり、あるいは中小の生産者も公平に安心して参加をできるというところなんだと話されておりまして、なるほどなと思いました。

 今、確かに競り取引の割合は、花卉を除けば三、四割台にも減少しておりますが、しかし、これ以上の規制緩和が進めば、結局壊されるのはこの大事な役割なのではないかと考えております。

 そこで伺いますけれども、きのうの大田市場でも卸の方がおっしゃっておりましたけれども、手数料は幾らでも引き下げられるという声がありました。仮に力のある市場が引き下げで先陣を切った場合、市場間の引き下げ競争が起こる、大型産地に引き下げを迫られる、こうした上での卸の業者の競争が激化をして淘汰が進むのではないかという危惧の声がありますが、これについてどうお考えになりますか。

○須賀田政府参考人 今般の委託手数料の弾力化の問題でございます。

 先ほど来申し上げているとおり、卸売業者のサービスとか機能に応じて弾力的に手数料を取るようにする、委託手数料は生産者のコストでございますので、生産者からも卸売業者を選択できるようにする、こういうことによりまして、卸売業者にとってはビジネスチャンス、チャレンジということで、みずからのサービス業の向上に応じて売り上げを伸ばすことができる、同時に、市場外に流れているようなものも市場に取り込める余地も出てくるということをねらいにしたものでございます。

 ただ、これは急激にやりますと、今できている秩序を壊すということになりますので、五カ年間の準備期間をとった、その間に、どういうサービスを提供するかということをよく議論をしていただきたいと。さらに、実際に弾力化をする場合にも、開設者がみずからの裁量によりまして手数料の幅等を業務規程で定める、自主ルールを定めるということも可能というふうにすることによりまして、卸売業者の経営の安定との調和をとることにしているわけでございます。

○高橋委員 そのビジネスチャンスに乗れる業者とそうじゃない業者の差が大きく開いてくる、ここが非常に問題にされているわけですよね。

 逆に、卸が産地を選び、集荷する産地によって手数料に差をつけるということも可能になるかと思われますが、局長はこれまで、参議院の農水委員会などでも、差別的取り扱いの禁止、受託拒否の禁止は今後とも継続していくと述べておりますけれども、それをどう担保するのかという問題であります。

 市場取引委員会についても、強化するというお答えが先ほどの質疑の中でありました。そこまで言うのであれば、市場取引委員会の設置を義務づけるべきと思いますが、伺います。

○須賀田政府参考人 差別的取り扱いの禁止とか受託拒否の禁止規定は今後とも続ける、それをどうやって担保するかというお尋ねでございました。

 規定上は、こういう行為が確認された場合には、農林水産大臣または開設者が、その卸売業者に対しまして改善措置命令を発出するということになっているわけでございます。その間で、監視という面では市場取引委員会が役割を発揮するべきでございます。

 これをなぜ必置にしないのかということでございますけれども、近年の政府全体の方針といたしまして、必置機関をつくるのは相ならぬということになっておりますので、「置くことができる。」という規定にしておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、全市場でこういう委員会ができるようにしたいというふうに思っております。

○高橋委員 必置にしないのかの理由がちょっと今お話ありましたけれども、しかし、当然予想されるこうした差別的取り扱いについて、きちんとした対応ができるように、それはこの五年間の準備期間でしっかりと歯どめ策を検討し、また国としても責任を持って対応していただきたい、これは指摘にとどめます。

 時間がないので答弁は簡潔にお願いします。

 次に、仲卸の経営悪化が大変深刻になっております。赤字業者の割合が、青果で四一・八%、水産で四六・七%などという状態になっておりますけれども、その背景には、やはり指摘されているように、量販店への納入拡大や、遅い代金支払いサイトの問題、あるいはバイイングパワーによる不公正な取引の押しつけなど、いろいろあると思うんですが、そうした問題の抜本的な改善ができないままに早期改善措置などが進んでいく。こうなると、やはり仲卸業者の首が絞められる状態になっていくのではないかということを大変危惧するわけであります。

 いろいろな問題があるんですが、そのうち一つだけ聞きますが、仲卸を通さない第三者販売への規制緩和、これは一層の仲卸の淘汰を進めるものとなると思いますが、いかがでしょうか。

○須賀田政府参考人 この規定、先ほど来申し上げております、新製品を開発するときに、仲卸さんの方がそんなのを扱うのはちょっととちゅうちょする、そういう段階のときに、試験的に仲卸さんを飛ばして販売をして、新製品の開拓につなげていく。過去、新製品と言われて、今普通の産品になっているもの、例えばカニかまとかフライドポテトだとかナゲットだとか、これはかつては新製品だったんです。こういうものを今は普通の商品にする。普通の商品になれば、卸売市場で普通の取引になる、こういうことをねらいとしたものでございますので、何とぞ御理解を賜りたいというふうに思っています。

 なお、こういうことが、先生が御懸念するようなことのないように、品目だとか数量だとか実施期間、こういうものはちゃんと限定をしてこれを行うこととしているところでございます。

○高橋委員 限定してということでありましたので、既に御承知だと思いますが、法改正がされる前に第三者販売の先取りのような事態が実質起こっていて、農水省も指導に入ったということは御存じかと思います。ただ、この規制からいっても、それははみ出した事例であるということは聞いています。だから、こうしたことがやはり起きないようにきちんとした対応が求められるということなんですね。

 ちょっと時間がないので、具体的な話で、きょうちょっと公正取引委員会にせっかくおいでを願っていますので、ぜひ伺いたいと思うんですね。

 私は、今回の大規模小売業者による優越的地位の乱用行為、これを是正しない限り市場の問題解決にはつながらない、このことを考えているわけです。この点でもっと厳しい指導が求められている。

 まず、公正取引委員会では、平成十四年に大規模小売業者と納入業者との取引に関する調査を行ったと聞いておりますが、低価格納入の要請など問題のある事例がどのような状況になっているのか伺います。

○山木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、大規模小売業者を含む事業者の優越的地位の乱用行為につきましては、これは不公正な取引方法、不公正な競争手段ということで独占禁止法で禁止されているわけでございます。

 これに対しまして、私ども、どう対応しているかということでございますけれども、御指摘のように、広く実態調査をいたしまして、問題があれば指摘をする、改善の指導をするということで、平成十四年の二月に六千五百社程度の納入業者を対象にいたしまして調査を実施いたしました。その中で、問題のあるものについては改善の指導をしたということでございますし、最近では、消費税の総額化に伴いまして不当な値引き要請等がないかということで、これについても四千社程度のスケールの調査をいたしまして、問題のある社、五十社程度について改善の指導をしたところでございます。

 こういう広く一般的な調査をするということ以外に、独占禁止法に違反するということで、個別の違反事件として処理をする手法もございまして、今年の三月に岡山地区でありますとか北海道のスーパーにつきまして違反行為の排除を求めたところでございます。

 大きくこのような二つの手法で対応しているところでございますので、今後ともこのような手法を使いまして優越的な地位の乱用行為について対応をしていきたい、このように考えております。

○高橋委員 二問目についても少し触れていただいたんですけれども、四月からの消費税の総額表示の導入によって仲卸業者の皆さんが、結局、外税だったときと同じ値段で納入することを求められている、実質値引き状態だ、もう大変な状態だということを訴えられたわけです。そのことをやはり公取としても問題意識を持って調査をしたんだということだと思うんですね。

 今、五十社に指導を行ったというお話がありましたけれども、もう少し具体的に、引き下げを求めてきた業者があったということを、数字が出ていると思いますので、それを紹介していただきたいのと、これに対する認識、当然あってはならないと思うんですけれども、そこを明確にお伺いします。

○山木政府参考人 ことしの二月から三月にかけて行いました調査でございますけれども、納入業者約三千七百社を対象にいたしまして調査をしたわけでございますけれども、その中で、総額表示の義務づけを契機にいたしまして価格の引き下げの要請を受けたという納入業者が一七・五%ございましたというのが調査結果でございます。

 ただ、すべての値下げ要請がいかぬというわけではございませんので、その中で問題が大きいと考えられました社、先ほど約五十社と申し上げましたけれども、正確には四十八社でございますけれども、その四十八社に対して改善を求めて、今その後のフォローをしているところでございます。

 それから、あわせて、小売業者の団体につきましても、このような行為がないようにということを要請したところでございます。

○高橋委員 一七・五%、これは非常に重要な数字だと思うんですね。ただ、サンプル数がまだまだ少ないですから、実態はもっと深くあるのではないのかなということを、私、非常に危惧しているわけです。

 大臣、このような認識、どのように持っていられるでしょうか。

○亀井国務大臣 私ども農水省におきましては、優越的地位の乱用、このことにつきましては、公正取引委員会の指針に従いまして、食品流通関係団体に対しましても、適正な取引、この推進を指導しておるところでもございます。

 そういう中で、近年、量販店との取引が拡大する中で、量販店等がそのバイイングパワーを利用して、市場における価格の形成がゆがめられている、こういうことを言われておるわけでありまして、実は、農水省といたしましては、五月、六月を公正取引看視月間、こう位置づけまして、仲卸業者に個々の量販店との取引における納入条件を中心とした実態調査を実施するとともに、個々の売買取引ごとに主要な品目について取引結果につきましての点検を行っておるわけであります。

 また、本省、地方農政局、あるいは都道府県に、不適切な取引の通報、相談の窓口といたしまして、市場取引一一〇番を設置することにしております。これとともに、独占禁止法違反事例につきましては、直ちに公正取引委員会に通報して、連携して対処することといたしております。

○高橋委員 大臣、今おっしゃりましたので、不公正な取引がないように厳しく農水省としても指導していただきたいと思うんですけれども、やはり、この間の規制緩和が進むことによって、こうした量販店との力関係というのでしょうか、これはますます重大なことになるのじゃないかな、そのことを非常に問題意識として持っているわけです。

 例えば、さっき、仲卸も直荷引きができるからいいんだよなどというお話がありましたけれども、例えば青果で見ると、仲卸の業者は今二千二百六十二業者があって、平均取扱高十一兆四千五百万円、そのうち、全国中央卸売市場協会の調査によりますと、業者数では全体の八・三%に満たない、売り上げが三十億円を超える大手の業者が、取り扱いシェアでは三八・五%を占めている。逆に、約半数の業者は七億未満の売り上げなのに、シェアは一五・六%にすぎない。この差が一層拡大するのではないか、こういうことを感じるわけですね。そうすると、結局は、力のあるところが生き残っていくということになるわけですよね。

 ここで局長に確認をいたしますけれども、四月八日の参議院農水委員会で、「要は消費者と生産者の顔を近づけるために流通の段階を抜くという、そういう試みをすると、」「理解していいわけですね。」という質問がありました。これに対して局長は、「私どものねらいはおっしゃるとおりでございます。」と答えておりますね。大変重大な発言だと思います。これは、私、卸の方たちが、こういう論議が委員会でやられているけれどもどうなんだということを大変心配されてお話しされたんです。局長の真意と、これでいいのか、伺います。

○須賀田政府参考人 参議院での私の発言を、第三者販売の話でございましょうか。

○高橋委員 大変わかりやすくおっしゃっているんですよ。一つは第三者販売と申して、卸が仲卸を飛ばして小売と例外的に取引をする、それからもう一つ、逆に生産者と仲卸が卸を飛ばして直荷引きをする云々という話をしたときに、じゃ、要するに流通の段階を抜くんですねと聞かれて、「おっしゃるとおりでございます。」とお答えしている。

○須賀田政府参考人 第三者販売と申しますのは、仲卸を抜いて卸が直接小売と取引をする、それから、直荷引きといいますのは、仲卸が卸を抜いて生産と取引することでございます。

 これは、趣旨は先ほど申し上げました、新製品をとりあえず取引する、逆に直荷引きは、新品種、デコポンみたいなものを、だれかが売れそうだというのなら産地につくってもらう、こういう趣旨のものでございます。一般に流通し出したら卸売市場でちゃんと取引するということでございますので、これは市場機能の拡大のためのものでございますので、御理解を賜りたいと思っております。

○高橋委員 時間がなくなったので、大変残念でありますが、それは限定されたものだというような言い方をされている。また、最初は、大臣が基幹的な役割は同じだと言ったんですね。しかし、本当にそうなのかということがどうしてもこの答弁の中ではちょっと伝わってこないんですね。

 二〇〇〇年の六月十四日付の日本農業新聞で、手数料の弾力化の問題について、合併を進めてきたけれども思うように進まないから提案したという農水省の担当者の声も紹介されています。やはりこれが本音なんじゃないのか。今でも地方の市場は一〇%他の市場から仕入れています、拠点の市場から。だから、こういう中で、弾力化とかあるいは流通の中を抜くということが、いろいろな規制はあるけれどもどんどんやられていく、それがどんどん拡大していくとなったら、やはりそれはもっともっと再編が進まざるを得ない。でも、そのことによって、消費者の一番の要求である安全、安心ということが、身近な、生産者と近い、消費者と近い市場というのがだんだんだんだん淘汰されていくんだということにつながるということをやはりきちんと見なければいけないんじゃないのか、そのことを指摘して、私の発言を終わります。

 以上です。


卸売市場法の一部を改正する法律案に対する反対討論

○高橋委員 日本共産党を代表して、卸売市場法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。

 反対の第一の理由は、委託手数料を自由化することです。

 手数料が自由化されれば、卸売市場間、卸売業者間の手数料率の引き下げ競争を招くことは避けられず、収入の大半を委託手数料に依存する卸売業者には死活問題となるものです。また、中小卸は一層集荷競争で不利になり、経営を脅かされることになります。

 第二に、買い付け集荷を自由化する問題です。

 買い付け集荷が必要であることは否定できませんが、利益率が低く卸売業者がリスクを負う買い付け集荷が完全自由化されれば、少数の大手卸への集荷集中が一層強まり、中小卸売業者の弱体化を促進することになります。また、買い付け集荷が際限なく拡大すれば、市場の価格形成機能の弱体化、産地に対する差別的取り扱いの禁止が形骸化することなど、我が国の市場制度の根幹にかかわる問題が生じる可能性があり、買い付け集荷は限定的なものとすべきであります。

 これらの規制緩和により競争が激化すれば、ただでさえ経営悪化に苦しむ中小卸売会社の淘汰を進める危険性が否定できません。卸売業者の廃業は、地方では市場廃止につながりかねず、それは、専門小売店は仕入れ先を、中小産地は出荷先を失い、衰退を加速することにつながります。結果として地域商店街の衰退を招き、消費者への影響も免れません。

 第三に、中央卸売市場の再編問題促進は、国が中央卸売市場を選別し、大型流通に適合する広域市場をつくり機能強化を行う一方、その他の市場については、取扱量が減少し経営が厳しくなれば、その地域で果たす役割にかかわらず、民営化や再編統合の対象となりかねないものです。また、仲卸業者の財務基準を定め、早期是正措置を行うことは、多くの仲卸業者に統合や廃業を強力に迫るものであります。

 以上、反対理由を述べて討論といたします。

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