国会質問

質問日:2020年 2月 17日 第201国会 予算委員会

新型コロナ検査・治療体制整備急げ/公立・公的病院再編統合問題

衆院予算委/新型肺炎で高橋氏迫る

 日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院予算委員会で、感染が拡大している新型コロナウイルスの検査・治療態勢を早急に整備するよう強く求めました。

 高橋氏は、政府がウイルス検査の対象を武漢市など一部地域への渡航歴のある人などに限っていることを挙げ、「この対応が結果として国内感染を広げたのではないか。率直に認め、国内態勢の確立を急ぐべきだ」と主張しました。そのうえで、「国内に約1800床ある指定感染症病床のうち、すぐに提供できる状態にあるのは何床か」と質問。加藤勝信厚労相は「調査している。感染症でない方も入っており、そういう方を他病床に移すよう依頼している」と答えました。

 高橋氏は「6日の同委員会でも同じ質問をしたのに、やっと今『調査している』というのは遅い」と批判し、受け入れ可能な病床数の把握を急ぐよう重ねて要求。「医師・看護職員の感染を防がなければならない。本来、わが国は医療保健において世界に誇れる知見・態勢をもっているはずだ。第2次補正予算の編成もちゅうちょなく行い、思い切った支援体制をとるべきだ」と力を込めました。

 高橋氏は、集団感染が拡大しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」内の環境についても追及。「SARS(新型肺炎)封じ込めの重要な教訓は『換気』だ。窓のない(部屋もある)クルーズ船に長期間滞在させたことは感染リスクを高めた。私には、乗客から『湿度が20%台から上がらない』という声が寄せられている」と強調し、「一日も早い乗客・乗員全員の検査と下船を決断するべきだ」と訴えました。また同船の乗客らでつくる「船内隔離生活者支援緊急ネットワーク」が日本語で相談できる窓口設置を求めているとして対応を求めました。

論戦ハイライト

公立・公的病院再編統合問題 高橋議員の質問

地域無視のリスト撤回を/ 医師不足の解消こそ

 17日の衆院予算委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、厚生労働省が再編統合の議論を求める全国424の公立・公的病院名を昨年9月に公表した問題で、地域の実情や努力を無視した機械的な病院名リストは撤回すべきだと追及。地域医療を深刻化させている医師不足の解消こそが必要だと迫りました。

 病院名の公表をめぐっては、厚労省が、統廃合や病床削減を行う病院に全額国庫負担の新たな補助金を1年限りで出すことを20年度予算案に盛り込んでいます。高橋氏は、医療現場や地域に対して統廃合や病床削減の決断を迫る厚労省の手法は「露骨だ」と厳しく批判しました。

財界主導の削減

 加藤勝信厚労相は、病床削減を進める地域医療構想の「当初の姿にならないとの指摘があった」と答弁。「だれの指摘だ」とただした高橋氏に、経済財政諮問会議での指摘だと認め、病院名公表や財政支援で財界主導の医療費削減を進める姿勢をあらわにしました。

 公表された病院の分析基準には全国から批判が集中しています。基準は「脳卒中や救急などの診療実績が特に少ない」「似ている診療科が近くにある」の2点ですが、厚労省の分析データが古いうえ、雪道や山道などの地域の特性を無視しているからです。

 高橋氏は、リストで名指しされた岩手県奥州市の国民健康保険まごころ病院を紹介。48床の小規模病院ですが、月約130件の訪問診療に取り組み、がんを早期発見した患者を近隣の医療機関につなげるなどの役割を発揮しています。

 高橋氏は、救急など高度医療だけで分析するのではなく、行政や法人と病院が連携しているのは、厚労省が提唱してきた「地域包括ケアシステム」そのものであり、ここを大いに評価すべきだと強調しました。

 そもそも厚労省は2014年当時、病床削減や再編を迫る強制力としての「医療機関名の公表」について「懐に武器を忍ばせている」「実際に使うことを想定しているわけではない」と高橋氏の質問(4月23日)に答えていました。高橋氏は「まさにいま刀を抜いた」と声を強めました。

 厚労相 この答弁は勧告に従わないときの制裁という意味だ。

 高橋 制裁としてやる予定だった名前を今回出した。

 厚労相 (リストで)個々の地域の事情すべてを反映はできないので、地域でよく議論してほしい。

 高橋 それならリストは撤回すべきだ。

抜本増員求める

 続けて高橋氏は、「地域医療が深刻化している最大の要因は医師不足だ」と追及しました。北海道の場合、21の圏域のうち人口10万人対医師数の全国平均を超えているのは札幌と旭川の2カ所だけで、絶対数が足りないのは一目瞭然です。医師が足りないから患者は都市部に集まり、過疎化につながる―。高橋氏は「地域医療は地域経済や、地域の未来にとっても重要だ」と認識をただしました。

 しかし、安倍首相は過疎化にはならないと居直り、医師が都市部に集中する「偏在是正が重要だ」と述べるにとどまりました。

 「偏在是正だけでは問題は解決しない」と強調した高橋氏。統廃合しても統合病院への患者の集中で多忙化し、医師が集まらない事例を示し、さらなる統廃合や病床削減へと悪循環になる懸念を表明。新型肺炎対策を考えても公立・公的病院を守る必要性を訴えました。

 さらに、医師の4割が過労死ラインを超えた長時間過密労働を強いられていると告発。「なぜ命を守る医師が、自らの命をけずってまで働くことを認めるのか」と述べ、医師の需給について検討しているいま、抜本的増員をすべきだと求めました。

(「しんぶん赤旗」 2020年2月18日 付より)

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まず冒頭、新型コロナウイルス肺炎について、六日の本委員会でも質問しましたが、改めて、事態の進展を受けて質問いたします。
 国内感染者が拡大し、残念ながら、国内での死亡者も出ました。心からお悔やみを申し上げます。
 武漢で最初の発症は昨年十二月と言われており、事実上、武漢を閉鎖したのは一月二十三日、一月以上、自由に出入国はされていました。国内感染は既に広がっていたと見るべきです。今、相次いで感染が拡大しているかのように見えますが、むしろそれは、ようやく検査体制が整ってきたからと言うべきではないでしょうか。
 加藤大臣、ウイルス検査も、対策も、武漢縛りにこだわっていたことが、結果として国内感染を広げたとは言えないでしょうか。このことを率直に認め、国内体制の確立を急ぐべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣 当初は、やはり武漢からの入国をされた方を中心に発症してきたわけでありますから、そういった意味では、当初は武漢市、それから湖北省、今は浙江省に広げさせていただいておりまして、やはりそういう可能性の高い方に、的確に把握をして、必要な治療を受けていただくということでやってまいりましたが、やはり最近の状況を見れば、国内の発生が出てきておりますので、きょう、PCR検査の体制、これまでも逐次弾力化をしてきたのでありますけれども、なかなかわかりにくいということもありましたので、もう一回精査をさせていただいて、発熱あるいは呼吸器障害に加えて肺炎の疑いがある、こういったものについては、武漢とかあるいは湖北省とか、そういった地域関係なく、医師の判断の中でPCR検査をやっていただく、こういうことを改めて通知をさせていただいたところであります。

○高橋(千)委員 そもそも今話題になっているダイヤモンド・プリンセス号だって、武漢に寄港したわけではないわけですよね。それで集団感染という事態が起こっているんですから、やはりそれは、これだけの交流人口があって、武漢縛りをしていた時期が長過ぎたとこれは率直に認めるべきだと思います。
 総理に伺いますけれども、外務省のホームページにもあるように、広東省の公共の場におけるSARS防止対策に関するガイドライン、これは、第一は自然換気、第二は機械による換気、つまりは換気がまず大事なんだと、これが封じ込めの重要な要素であるわけですね。そうすると、窓のないクルーズ船に長期間滞在させたことは、感染リスクを高めたと言わなければなりません。
 私に、湿度が二〇%台から上がらない、もう限界だと連絡をくれた高齢の方は、その後、下船をされて、現在入院中です。本人の言葉をかりれば、隔離病棟に入ったという表現をしております。乗客と乗員三千七百十一名中千二百十九名の検査結果がわかり、陽性がそのうち三百五十五名、三割であります。そういうリスクの高い環境であったと言わざるを得ません。
 一つの町とも言える規模の大型客船、かつ多国籍の町であります。情報が錯綜し、今後が見えないことが不安です。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客らでつくる船内隔離者緊急ネットワークからは、日本語で相談できる窓口が欲しいと強く訴えられています。
 そこで、けさ、米国からのチャーター機で米国人が退避とありました。三百八十人と言われていますが、うち、陽性反応のあった方は更に日本にとどまって治療が必要になること、米国に帰っても検疫があり、更に十四日間の待機があると聞いております。決断が早ければよかったなと思うんです。
 まず、十九日、あさってが期限となりますが、その後の対応、どうなるんでしょうか。

○棚橋委員長 厚生労働大臣加藤勝信君。

○高橋(千)委員 まだ途中です。しかも、総理に聞いています。

○棚橋委員長 大変失礼しました。

○高橋(千)委員 一日も早い全員の検査と下船が必要です。条件があれば各国のお迎えを受け入れるべきです。この瞬間、船内の人員を減らすことが、乗員や検疫官にとっても負担を軽くすることになります。ぜひお答えください。

○安倍内閣総理大臣 乗客の下船方針については厚労大臣から答弁させます。また、他国による乗客の帰国のオペレーションについては外務大臣から答弁をさせたい、こう考えております。
 外国の方、米国も含めて、いわばチャーター機で帰っていかれるということについては、我々の負担も軽減するという意味において、これは、日米において、米国が直ちにそういう判断をしたということは我々も評価もしているところでございますが、厚労大臣と外務大臣から答弁させたいと思います。

○加藤国務大臣 もう既に下船の考え方は委員も御承知のところだと思いますけれども、これは、武漢からのチャーター便のPCR検査、五百四十人の結果を踏まえて、十四日間の健康観察中に発熱その他の呼吸器症状がなく、また、当該期間中にPCR検査を受け、陰性であれば、十四日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないというような見解、これは国立感染研究所の見解であります。
 そして、ダイヤモンド・プリンセスの乗客に対しては、感染学の専門家から、こうした行動をとることによって感染リスクが少ないという行動基準というんでしょうか、それを示していただいておりまして、それにのっとって対応していただいております。
 そういう中で、それがちょうど十四日間経過をする、そしてこの間にPCR検査を今実施をしております。そしてさらに、最終的にも健康確認をもう一回する中で、最終的に十九日以降ということになると思いますけれども、下船をしていただく、そういうことを考えております。
 なお、下船された方には、念のため、健康カードということで、仮に今後何かあれば連絡をいただけるような、そうした紙もお渡しをすることにしております。

○棚橋委員長 外務大臣茂木敏充君、恐縮ですが、簡潔にお願いいたします。

○茂木国務大臣 下船、出国の要望、各国の要望についてはできる限り応えたい。もちろん、御案内のとおり、空港までの移動であったりとか出国前のプロセスについて自立的、完結的に対応できる、これが前提でありますが、しっかり調整して、アメリカも既にやりましたし、幾つかの国から要望がありますから、しっかり応えていきたいと思っております。

○高橋(千)委員 十四日に通告した時点では、まだ下船の、米国の受入れの問題も明らかになっておりませんでしたので、その後の対応だと確認をしたいと思います。
 それで、今、加藤大臣が、十九日以降は十四日を過ぎているんですからお帰ししますということだったんですけれども、まだ、これから陽性になる方もいるわけですよね。その陽性になる方の対応についてはまだ決まっていないはずです。
 要するに、受入れについて、前回も、六日のときに、私、質問しました。国内の一千八百床と言われている指定感染症病床のうち、すぐに提供できるのはどのくらいか、これを把握してほしいということを何度も聞いております。そのこと等を踏まえて答えてください。

○加藤国務大臣 PCR検査の結果、陽性の方は、今、逐次病院に搬送させていただいて、治療に当たっているところであります。
 基本的には、感染症指定医療機関に搬送させていただいておりますけれども、これは厚労省からも既に、この指定感染症医療機関において、指定感染症病床に感染症でない方も入っておられます、したがって、そういった方を他の病床に移す、そういったことについて依頼をし、具体的な、今どのぐらいの病床数が可能かということを全国的にこれは調査をさせていただいております。
 加えて、さらに、指定病床以外の病床へ、あるいは指定病院以外の病院ということも可能だ、個室があって一定の管理ができるということでありますけれども、これも可能であるということを示し、現在、そういった中でどこまで確保できるのか、これをそれぞれの都道府県を通じて調査をして把握をしているところでありますが、並行して、このクルーズ船のオペレーションのときには、事前に近県から確認しながら、一定の確保をしながら、これは毎日確保の数をふやしていきながら対応させていただいているところであります。

○高橋(千)委員 六日に質問して、やっと今調査しているという答弁でありました。
 六日には具体的なことは一切なかったんですよ。だから、それが把握できて初めて、重症化した人、あるいは陽性が出た方、どこに受け入れますかというのがスムーズに決まるわけじゃないですか。それは遅いとはっきり指摘をしておきたい、このように思っております。
 やはり、医療関係者の感染というのが大変心配されるわけですよね。今も既に出ています。やはり、インフルエンザと違って、ワクチンが今ないわけですよね。そういう中で、本当に献身的に御苦労されているんです。だからこそ、きちっと体制を把握してくれと繰り返し言っています。これは重ねて指摘をしたいと思います。
 本来なら、医療保健においては世界で誇れる知見、体制を持っているはずの我が国が本来のことが発揮できていない。ずっと人を減らしてきたということもあるんですが、そういう中で、二次補正もちゅうちょなく行って、行政の思い切った支援体制をとっていただきたい。これは要望にします。お願いします。
 続けて、関係もありますから、公的病院の再編統合、いわゆる四二四リスト問題について質問します。
 資料を皆さんにお配りをしています。リストの数が、どこの県にどれだけあるかということです。
 昨年九月二十六日、厚労省は、全国四百二十四、今四百四十とも言われておりますが、公立・公的病院名を公表し、三月末までに再編統合、病床削減などの対応策を求めるよう迫りました。地域医療圏ごとに、遅くともことし九月までに対応を決めると言われています。
 対応策とは何か。リストアップされた病院に厚労省は何を求めているんでしょうか。わかりやすいのは、厚労省が来年度予算案でやろうとしている中身です。パネルを見てください。
 ベッドを減らす、これは一つ二つじゃないですよ。これは例えで言っているのは二百床が百五十床、このくらいの規模でベッドを減らしてくださいと言っています。
 右側にあるように、ある二つ以上の病院を統廃合してください、ベッドが減ったら一床当たり幾らと交付金を出すと言います。しかも、これは全額国費、十分の十の補助率です。露骨じゃないでしょうか。これまで十分の十というのはなかったと思います。
 リストアップされた病院に求めているのは、要するに病床を減らせということですよね。しかも、この予算は一年限りです、十分の十は。今やらないと乗りおくれると言わんばかりに決断を迫っているんじゃないですか。

○加藤国務大臣 まず一つは、それぞれの地域ごとに、これからの医療ニーズを踏まえて、限られた医療資源の中でどういうサービスをしていくのか、特にどういう病床数を確保していくのか、これを既に決めていただきました。そして、それに向けてそれぞれが御努力をいただいている中で公的・公立病院の見直しの具体案も出てきたんですけれども、それでは十分に、本来の、当初考えていた地域医療構想の姿にならないのではないか、こういう御指摘もありまして、我々、分析結果を出させていただきました。
 出し方等についてはいろいろ御批判をいただいたところでありますので、その後、丁寧に地方公共団体ともお話をし、既に知事会等からは、これから議論できる土壌ができた、こういう評価もいただいておりますので、これからしっかり進めていきたいと思います。
 また、今指摘をしたところは既に機械的にそれを縮減しろとか廃止しろとかいうことを言っているわけではなくて、今回の、確認した、我々が分析した以外の機能も当然あります。その辺も含めてそれぞれの地域でお考えをいただきたいと思います。
 その中で、既にそうした病床の縮減等を決められているところに対して、やはり積極的な支援をしていく必要がある。特に、負債を抱えている、いろいろな指摘がありましたので、それに対応するために、今回、これまで総合確保基金で対応しておりましたのに加えて、そうした新たな対応策に対して、十分の十の仕組みを二年度限りで入れさせていただきました。
 三年度以降については、消費税財源を入れるために、法律を変えて、いわば制度化することによって消費税財源を入れるようにしていきたい、そして、その際の具体的な内容については、今後、財務当局等としっかり議論をしていきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 まず、今さりげなくおっしゃったんですけれども、令和二年度、一年間は十分の十なんですね、それ以降は法律を変えて消費税財源でやろうとしている、そこまで言っている。これはもう、何かタコの足食いじゃないですけれども、抜き差しならない事態に追い込まれていく、そういうことじゃないでしょうか。
 今、ちょっと順番を変えて伺いますが、十分じゃないと、各自治体で地域医療構想でベッドはどうあるべきかと決めた、それを決めたんです、だけれども十分じゃないと御指摘もありましてと言いました。御指摘したのは誰ですか。

○加藤国務大臣 地域医療構想が十分ではないということではなくて、地域医療構想を実現するに当たって示された公立・公的病院の具体的な見直し案ではそうした地域医療構想で描かれた姿が実現できないではないかということが、最終的には経済諮問会議でも御指摘をいただいて、必要な分析ということで、先ほど申し上げた分析結果を出させていただいた、こういう経緯であります。

○高橋(千)委員 順番を変えざるを得なくなった大臣の答弁がありました。
 このように、経済財政諮問会議は、見える化を行え、歳出改革の推進力である、そして、見える化をするのは公立病院であるとおっしゃった。そして、その次に、その進捗は十分ではない、官民合わせて過剰となる約十三万床の病床削減をやれ、こういうふうな圧力がかかったからこそ急にリストを発表したとなったのかなと言わざるを得ないということなんです。
 そこで、一体そのリストはどうやってつくられたのかということで、次のパネルを見ていただきたいんです。
 基準は二つであります。A、診療実績が特に少ない。診療実績というのは、がんとか脳卒中とか救急とかについて急性期の実績データをもとにチェックして、この黒点がついているところがまさに少ないと言われたところ。Bは、似ている診療科が近くにあるかチェック。この近くというのは車で二十分、距離で十キロと言われています。データが二〇一七年のデータであること、距離といっても、雪道、山道、地域の実情を無視したものだと全国から批判が集中しているのはもう承知のことだと思います。
 具体の話で伺いますが、先日、岩手県奥州市の国保まごころ病院を訪問しました。実は、車で十分のところに県立病院と市立病院があります。診療実績の少なさ、近いところに医療機関がある、全部チェックがつきました。でも、四十八床の小さな病院が月百二十件から百三十件の訪問診療を行っています。新幹線の隣駅までも含む市町に出向いているんです。慢性疾患の患者をしっかり診ていることで、がんの早期発見につながって、そのときは近隣の医療機関にちゃんとつないでいます。保健師さん、病院、社会福祉法人が年一回の勉強会と健康祭りに取り組み、連携もしっかりとれています。私は、思わず、それって厚労省が推奨している地域包括ケアじゃないの、こう言いました。そうしたら、及川病院長がいわく、後からそういう名前があると知りました。つまり、前からやっていたんですね。
 急性期の高度な医療に着目した基準で見れば、実績に乏しいと言われます。でも、それぞれにすみ分けをしながら厚労省が推奨していることをやっているんですから、むしろ大いに評価すべきじゃありませんか。今のままでよいじゃありませんか。

○加藤国務大臣 今委員御指摘の、それぞれの公立病院の機能と、それから地域近接、この二つで評価をしたわけでありますけれども、これで全て評価し切っているというわけではありません。これは全国的な評価を一つ出させていただきました。
 今の委員御指摘のケースでいえば、訪問診療は今回の項目にも入っておりません。したがって、そういったものの機能を有しているところは、それは地域の中でそこはしっかり評価をしていただいて残していただく、あるいは、それを踏まえて、どうあるべきか、しっかり議論していただければいいんだろうというふうに思っておりまして、我々、機械的に今回出したところを、縮減しろとか廃止しろとか、そういうことを申し上げているものでは全くありません。

○高橋(千)委員 今おっしゃったように、その評価に入っていない、それが問題なんですよ。それが評価に入っていなくて、一律に出してリストアップされたから問題なんじゃないですか。地域で頑張っていることをなぜ認めないのかと指摘をしています。
 これは、私、もともとの議論になった二〇一四年の地域医療介護総合確保法のときに質問していますが、これは強制力がありますよねということで厚労委員会で質問しています。
 従わない場合、つまり病床削減や機能転換を迫る強制力、要請するんだけれども従わない場合、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外、地域医療支援病院などの不承認といった措置を決めているわけですね、その意図を簡潔に説明してくださいと言いました。そうしたら、原医政局長は、ある意味では、一応、懐に武器を忍ばせている、こう答えたわけです。
 まさに今、リストアップされたということは、このときの答弁、武器を使った、私は刀を抜いたと言っていますが、そういうことじゃないでしょうか。
 本当は、この後を読んでいただければわかるんですが、実際に使うということを想定しているわけではないと答えているんですよ。なのに、どうして刀を抜いたんでしょうか。

○加藤国務大臣 その答弁、当時、委員と医政局長との間のやりとりだったというふうに承知をしておりますけれども、これはまさに、そうした、従わなかった場合に公表するという、いわば制裁措置としての公表を使っているわけでありまして、今回はそれでは全くなくて、しかも、本件については、地域医療構想に関するワーキンググループという公開の形で議論を行い、その成果として、分析結果を参考資料として提出をさせていただいたということであります。
 先ほど申し上げました出し方については、もっと配慮があってしかるべきだったとお叱りもいただいております。これはしっかり我々も謙虚に受けとめ、その後の出し方については、地方公共団体の皆さんともよく相談をしながら進めさせていただいているところでありますが、ただ、いずれにしても、それぞれの地域が、これからの時代の中において、地域を支えていく基盤であるこうした医療の提供、これがしっかりなされるために構想された地域医療構想、その実現に向けて取り組んでいただけるよう、我々としても全力で支援をし、また、一緒になって取り組んでいきたいと思っております。

○高橋(千)委員 大臣、今の意味、どうでしょうか。従わなかった場合の、今のこれは制裁措置として取り上げたんだとおっしゃいました。そのとおりなんですよ。だけれども、制裁措置に当たるような名前の公表を今やったじゃないですか。

○加藤国務大臣 ですから、出し方において批判があったこと、これは重々承知をしているところでありますけれども、我々はその際にも申し上げていたわけでありますが、これをもって縮減をしてくれ、廃止をしてくれということではなくて、さらに、先ほどあった訪問診療を始め、ここでは十分にそれぞれの個々の地域の事情は全部把握というか反映できませんから、そういった地域の事情も含めて、よく地域で御議論いただいて、そして、先ほど申し上げた、地域でお決めになった地域医療構想を実現を進めていただきたい。そして、そのことはまさに地域を支えていくということにもつながるのではないかというふうに思います。

○高橋(千)委員 だったら、リストを撤回すればよろしいじゃないですか。

○加藤国務大臣 これについては、当初、出し方についていろいろ御批判をいただいた知事会からも、これまで丁寧に重ねてきて、議論できるベースができた、こういった評価もいただいているところでありますから、これからも、この出し方における反省、これはしっかり踏まえながらも、先ほども申し上げた、やはり限られた医療資源の中で、そして、これから更に高齢化が、医療従事者の高齢化も進んでいくんですけれども、そうした中でしっかり地域を守っていく、そのためにも、やはりそれに合った構想を、体制をつくっていかなければならない、これが地域医療構想の実現ということにつながるわけであります。

○高橋(千)委員 全く説明になっていないと思います。もう既にデータは古い、実態に合わない、このことはもう明らかになっている。
 そこで、続けて聞きますけれども、地域医療が深刻化している最大の要因は医師不足、それはもうみんなわかっていると思うんですね。
 これは北海道の二次医療圏ごとの人口十万人当たりの医師数を示したグラフであります。全道合わせると、ようやく全国平均、この二百五十一・七人に近くなるんですけれども、圏域ごとに見ると、札幌の三百三・六人と、上川中部、これは旭川ですね、三百五十三・一、このところだけが突出していて、あとはもうがくんと下がっているわけなんです。そうすると、偏在対策とよく言われるけれども、それだけじゃ済まない、とてもならしただけでは解決できないというのが一目でわかると思うんです。
 二〇一四年、これは地方創生特でもこの問題を質問しました。人口が北海道で二十万人を割っているような、ぐっと減っている地域と、患者の流出、ほかの医療圏に行っているところが二割以上、ほぼリンクするんですね。つまり、人口減と患者の流出がほぼ一致している。そうすると、医師がいないからベッドが動かせない。そうすると、患者は仕方なく都市に行きます。このことをデータにしちゃうとどうなりますか、それが固定化されちゃって、稼働していないベッドは要らないねってなっちゃいますよね、こう指摘をしたときに、当時の塩崎大臣は、御指摘のように、札幌と旭川に集中しているという現状を前提にやるということであると、それは間違ったことになる可能性も十分ある、こう答えた。間違ったことになる、もう誰でもわかると思うんですよ。
 総理に伺います。
 医師不足と患者の流出が固定化されると過疎化が進まざるを得ない、この認識、共有しますか。

○安倍内閣総理大臣 過疎化は人口構成や産業構造といった社会経済環境の大きな変化の中で進行しているものでございますが、こうした社会経済環境の変化の中にあっても地域医療をしっかりと確保するため、政府としては、地域医療構想の実現に向けた取組や医師不足対策など、総合的な医療提供体制改革を推進しているところでございます。
 地域医療構想は、地域の医療のニーズに合わせて、それぞれの医療機関の機能や役割を明確化し、適正化し、そして効率的かつ質の高い医療提供体制の確保を目指す取組でありまして、いわば、既に病院が少ない、医師が、一人当たりの人口が少なくて、今進めていることによって更に過疎化するということではないと我々は考えているんです。これを進めることが更に過疎化を招くとは考えておりません。
 また、地域の医師不足に対しては、医師の偏在是正が重要であるということは認識をしております。このため、これまで、地域枠を中心として臨時的に医学部定員を増員するとともに、都道府県が必要な地域枠の設置等を大学に要請する権限を法定化するなどの対策を行ってきているところでございまして、引き続き、地方自治体と連携しつつ、地域の実情に沿った医療が確保されるように政府としても取組を推進していきたい、このように思うところでございまして、繰り返しになりますが、塩崎当時の大臣も答弁で述べているように、医師の偏在是正が重要である、このように考えております。

○高橋(千)委員 総理、ごめんなさい。繰り返しと、塩崎大臣も述べているようにということですが、医師の偏在じゃなくて、札幌と旭川に集中したら間違っちゃうよということを塩崎さんはおっしゃったんです。そこがポイントですから、外さないでいただきたい。これは医師の偏在だけでは解決しないということを指摘をしたいんですね。
 次に、公立病院改革を進めてきた総務大臣にも伺います。
 経営改善の決め手も、やはり医師の確保が重要だと思うんですね。
 二〇〇九年の予算委員会で私は宮城県登米市の市民病院のことを取り上げましたが、昨年末、その後の状況を見てまいりました。
 同市は、九つの町が合併して、五つあった病院が三つになって、二つの無床診療所が四つになったんですね。当時、合併協議会がありまして、そのときの議事録には、病院を集約すれば先生方が集まってくる、時間もできて、学会出席や休みもとれるよねとるる期待が述べられていたんです。
 ところが、その時点で集約しちゃったら患者も集約されちゃうので、要するに周辺のベッドがなくなりますから、患者も集約されて忙しい、宿直にも耐えられないといって、集約された先の病院に異動した医師はいなかったんです。
 それで、今、中核病院を一つにして、あとの二つは分院にして、四つの診療所を一つにするという計画ができています。ベッドも六十床更に減らします。宮城県一の医師不足です、残念ながら、本当に頑張っているんだけれども。
 だから、再編統合だけでは医師は充足されないということ、さらなる統合や病床削減へと悪循環になっても困るということ、その点で、さらなる悪循環を防ぐためにどうされますか。

○高市国務大臣 今、各地方公共団体が公立病院改革プランというものを策定した上で改革に取り組んでおりますけれども、とにかく、これは持続可能な医療提供体制を構築するということが目的でございます。
 総務省としましては、最後のとりでとしての公立病院の役割を踏まえまして必要な地方交付税措置を講じておりますが、来年度からは、過疎地など経営条件の厳しい地域における中核的な公立病院に対する特別交付税措置を創設することといたしました。また、医師確保対策につきましては、従前よりさまざまな措置は講じておりますが、今年度から、地域の拠点病院からの医師派遣を促進するための特別交付税措置を講じるなどの対策の充実を図っております。
 どこも、公立病院、医師不足や、それから過疎化に伴う患者数の減少などで非常に厳しい経営状態にございますけれども、公立病院が地域の実情に応じた役割を果たせるように、地方公共団体の声をしっかりお聞きしながら、関係省庁と連携して適切に対応してまいります。

○高橋(千)委員 最後のとりでとおっしゃっていただきました。本当にそういう役割を果たしているんですね。今回のコロナの問題でも、実は指定感染症病床を持っているうちの八割くらいが公的病院なんですよ。だからこそ、この役割を守っていただきたいと重ねて指摘をしたいと思うんですね。
 しかし、残念に思うのは、本当に大変な努力をされている先生方が、公的病院の院長先生らが、働き方改革は絶対無理だとか、インターバルをとれなんてできるわけないとおっしゃるんです。今の体制がひどいからです。医師の四割が過労死ラインを既に超えた長時間労働です。ところが、医師の働き方をどうしようとしているのか。
 左が一般の労働者です。例外として残業してもよい上限は年七百二十時間、それでも多いです。ところが、医師を見てください。年九百六十時間。しかも、地域医療確保に必要な医師、まさに今言った公的病院の医師などに対しては千八百六十時間まで認めると。過労死ラインを超える二百時間だってあり得るんです。おかしくないですか。なぜ、命を守る医師がみずからの命を削ってまで働くことを認めるんですか。
 厚労省は、今、必要な医師数を決める検討会をやっています。大前提として、医師も過労死しないように、ラインぎりぎりでなくて、人間らしく働ける、そのために必要な医師数は幾らかと示すべきではないでしょうか。

○加藤国務大臣 先ほどからお話がありました地域の医療構想を実現していくこと、あるいは医師の、それはでこぼこは先ほどありましたけれども、ある意味では偏在を是正をしていくこと、そして今御指摘のあった医師の働き方改革を進めていくこと、これは並行して実施をしていかなければならないというふうに思っております。
 ただ、現実問題として、週の勤務時間が、これは二〇一六年の医師の勤務実態調査でありますが、六十時間、年間でいえば九百六十時間の方々が約四割存在している。そういう実態の中で、一方で医師の働き方改革を進めなければなりませんけれども、しかし、他方で国民に対する医療サービスというものも提供していかねばならない、そういうぎりぎりの中で今お示しをいただいた案が示されたところであります。
 もちろん、その間においても、九百六十時間、まずは下げていくまでの暫定的な水準でありますし、更にそれを下げるべく努力をしていかなきゃならない。また、さまざまな健康確保措置の制度の詳細についてもこれから議論いただくことになっています。
 加えて、今回、令和二年度の予算、あるいは診療報酬において、医師の労働時間短縮に必要な支援策を講じているところでありまして、上限規制が適用される二〇二四年四月を待たずに着実な労働時間の短縮を図っていきたいと思っております。
 それから、今、医師の定数のお話がありました。これについては、令和四年度からの医師の定数をどうするかについては今議論をさせていただいているところであります。

○高橋(千)委員 ですから、医師をちゃんとふやすと言ってください。
 文科大臣も呼んでいましたが、済みません、時間になりましたので。
 定員のところをしっかりとお願いいたします。
 終わります。

 

ー資料ー

2020年2月17日衆議院予算委員会配布資料

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