国会質問

質問日:2005年 2月 23日 第162国会 厚生労働委員会

国保問題

○高橋委員 きょうは、国民健康保険の問題で質問をしたいと思っております。

 三枚組の資料を配付させていただきました。国保加入世帯が全国二千四百四十三万余のうち、昨年六月の調べで滞納世帯数は四百六十万を超え、二割に迫っております。私は、国保加入世帯そのものが全体として所得が低いこと、また、昨今の失業や雇用の不安定化に伴って健康保険から国保へのシフトがふえていることなど、国民の命と暮らしにかかわる深刻な状況がこの国保問題の中に集中してあらわれていると思っております。

 そこで、まず大臣と認識を一致させておきたいと思いますが、国保加入世帯の増加や滞納世帯の増加など、その実態や要因をどう見ているのか、大臣の認識を伺います。

○尾辻国務大臣 おっしゃいますように、国保の加入者、被保険者、この皆さんが極めて多様化しておる、そういうことはそのとおりでございます。

 したがいまして、私どもは、そうした皆さんの収納率、これがまた落ちていることも事実でございますから、いろいろな方法で、例えば多段階免除方式というものをつくったりしながら、国保の収納率を上げるということで私どもは努力をいたしておるところでございます。

○高橋委員 何といいましょうか、収納率を上げることに努力をされていると。

 その前段として、それだけ、私ちょっと紹介しますけれども、社会保険からの離脱が一年間で五百八万二千人もいる。年々増加をして、被保険者数の一〇%を超えている状態なんですよね。それだけ失業だとかあるいは雇用の不安定化がふえている。深刻な層が国保に集中しているということをどう見るかということを伺ったんです。その一つのあらわれとして、収納率という問題があると思うんです。

 その上で、そういう実態を反映して、やはり大変な実態を、命と暮らしをしっかり守る上で、いわゆる皆保険制度、これが維持されていなければならない、これが前提になければならないというふうに私は思っているんですけれども、大臣、その点で認識が一致できるかどうか伺いたいと思います。

○尾辻国務大臣 被保険者全体の相互扶助で成り立つ国民健康保険におきましては、保険料の収納確保は重要な課題でありまして、被保険者間の公平を確保するために、平成十三年四月より、保険料を納期限から一年以上滞納している場合には、災害等の特別な事情があると認められる場合を除き、国保の保険者である市町村は、世帯主に対し、被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することとしたところでございます。

 その際に、市町村におきましては、十分な納付相談、納付指導等に努めるとともに、被保険者が保険料を完納したとき、または滞納額の著しい減少、災害等の特別な事情があると認められる場合には被保険者証を交付するといった配慮を行っておるところでございます。

○高橋委員 済みません、全然かみ合っていなくて。

 聞いたことは、この深刻な情勢を受けて、皆保険制度がやはりしっかり維持されることが必要だと思いますが、それでよろしいですかと伺ったんです。

○尾辻国務大臣 先生がおっしゃりたいと思うことをいろいろ考えながらお答えしたつもりでありまして、少しそういう意味では先走った答えをしたのかもしれませんが。

 まず、事態が極めて、今の状況、このまま放置できない状況である、我々も何かを考えなきゃいけないということの認識であれば、私どももそのように考えております。

○高橋委員 そうなんです、大臣、先を多分いろいろお考えになっていらっしゃるんだと思うんですけれども。

 それでちょっと具体的に伺いますけれども、十三年度から、今おっしゃいましたように国保法の改正で、一年以上の滞納者には資格証明書の義務づけになったわけですよね。私は、このことによって安心して病院にかかることができない状況が広がっている、このように思っております。

 きょうつけた資料の中に、二枚目、資格証明書の交付世帯数並びに短期被保険者証の交付世帯数という一覧を、厚生労働省からいただいた資料をつけておきましたけれども、資格証明書が六・四七%。これは、医療費十割負担、窓口で一たん払わなければならないわけですので、そもそもお金がなくて払えない人が医者代十割を払えるわけがない、したがって医者にかかれないという状態がふえているわけなんですね。

 短期保険証は、期限を区切ってやっている。その期限が、三カ月が大体標準かなと思うんですけれども、一カ月とかそういう世帯もふえているんですね。それが、滞納世帯のうち二二%も、ふえている、なっている。

 このことを厚労省は、当時、資格証や短期保険証の発行は滞納対策として効果あるものだと述べていたわけですけれども、効果を上げたと考えているのかどうか、伺います。

○水田政府参考人 先ほど大臣申し上げましたように、国民健康保険制度は相互扶助で成り立っておりますので、被保険者間の公平を確保するために収納率の対策を強化するということが必要でございます。その意味で、さまざま、今御指摘のありました資格証明書でありますとか短期被保険者証を交付することによって、保険料の納付というものを強く求めているわけでございます。

 一方で、収納率の向上ということは、やはり調整交付金の交付にもかかわってくることでございますので、市町村としても懸命に取り組んでいただける、このように考えております。

○高橋委員 今のは、要するに、調整交付金を生かして効果があったという意味ですか。

○水田政府参考人 さようでございます。

○高橋委員 今のはちょっとゆゆしき答弁だと思うんですね。収納率を向上させるためにやってきたと言っておきながら、今、私が出している資料を見てもわかるように、全体としては改善はされていないわけですよね。だけれども効果が上がったということは、何を意味しているのかということなんですよね。

 つまり、資格証明書をやって、言ってみれば国保証の取り上げですよ。そういうことが起きて、医者になかなかかかれなくなって医療費が少なくなったということを言っているのか。これをもって効果が上がったと言うことは非常に問題だ。

 私は、続けて言いたいと思いますが、今、窓口段階でひどい人権侵害が起こっております。今までは、確かに、例えば資格証明書を出すことによって納付相談をやるんだという話をされてきましたけれども、実際には、一方的に資格証明書や短期保険証が送られてくる、そういう状態になっているわけですね。

 私は、地元の青森県の生活と健康を守る会というところが作成した実態実例集があるんですけれども、その中の一つを紹介したいと思うんです。一昨年から資格証明書になったという女性です。夫は自営業、子供が四人います。一番下の子は小三で風邪を引いているのですが、病院に行くのを我慢させています。市役所の窓口に相談に行きましたが、毎月一万や五千円とか払ってもだめで、二十万、三十万といった大きいお金を納めないと普通の保険証は無理だよと言われました。

 これは、この人は納付相談に行っているわけです。そして、納付相談によって決めた額を少しずつ納めているわけです。だけれども、二年間滞納していて、納めているけれどもまだ一年分は残っている。機械的に分けて、保険証は資格証明書でしかだめだと言われている。

 こういう機械的な対応、頑張って納めている人に対してまで機械的に国保証の取り上げはしないということを確認したいんですけれども、いかがですか。

○水田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生お示しになりました実態というものを、ちょっと私ども、今、数時間前に大臣の方に御提示になりましたもので、中身についてはよく承知してございませんし、また、個別事例でございますので、やはりよく事情を知ってからでないとお答えは難しいかと思います。

○高橋委員 個別の事例をよく考えて、機械的ではないということを私は言っていただきたいんです。

 法改正された当初、この取り扱いについて「ミニQ&A」が出ましたね。その中にこういう文章があります。「特別の事情の有無について、各保険者が直ちに判断がつかず、更に調査を要するような場合において、機械的に被保険者証の返還を求め、資格証明書の交付を行うことは適切ではないことは言うまでもない。」機械的に取り上げてはならないということを言っていると思うんですね。この見解で間違いありませんか。

○尾辻国務大臣 今お触れになっておる件でございますけれども、保険料を納期限から一年間経過するまでの間に納付しない場合には、世帯主に対し被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することとされておる、これはこのとおりでございます。

 ただし、納期限から一年間滞納していることをもって機械的に資格証明書を交付するのではなく、保険者が事前に十分な納付相談、納付指導を行うとともに、個々の事例に応じ、事業の休廃止等政令で定める特別な事情があるかどうかについて判断する仕組みとなっており、保険者において適切な運用が行われるように指導しておるところでございます。

 申し上げておりますのは、機械的に資格証明書を交付するものではない、このことを申し上げたところであります。

○高橋委員 ありがとうございます。

 機械的に資格証明書を交付するものではない、大臣がこうおっしゃいましたので、今、私、たくさん本当は紹介したいんですけれども、この点が現場では起こっているということをよく見ていただいて、そうではないことを徹底していただきたいと思っております。

 その上で、例えばこういう話があります。納付相談に応じて、約束の額をきちんと払っているのに、あと七万五千円払わなければ資格証明書だと言われた男性。二十五万円全額払え、あなたの言うことは信用できないと言われた女性が、サラ金から借りても払えということですかと聞いたら、あなたに任せると言われました。納付相談どころか、人権無視の取り立て、こうしたことがやられています。

 少なくとも人権無視の取り立てはしない、この点についてもきちんと言っていただけますか。

○水田政府参考人 先ほど大臣がお答えいたしましたように、事前に十分な納付相談、納付指導を行うということを求めておりますので、そのような指導をいたしたいと思います。

○高橋委員 よろしくお願いしたいと思います。

 これまで述べてきたように、払いたくても払えない人たちがたくさんいます。ただ、その中でも、精いっぱい払おうと努力している人たちもたくさんいます。滞納者がみんな悪質な滞納者であるかのような対応はきっぱりやめて、むしろ、実情に合わせて、必要な医療が受けられるように、資格証や短期保険証のような発行はやめるべきだ、このことは、私、申し述べておきたいと思います。

 そこで、こうした中、三位一体関連で国保制度に、都道府県調整交付金の導入や保険基盤安定制度の都道府県負担割合の変更などが提案されております。

 もう皆さんよく見た資料だと思いますが、一応、構図だけ、一致させる上でつけておきました。確認をいたしますけれども、資料三にあるように、来年度は過渡期ですけれども、十八年度から六千八百五十億円が税源移譲されることになります。この表にあるように、国保給付費における公費の総額、これは変化がないですね。確認させてください。

○水田政府参考人 都道府県によります財政調整交付金の七%、来年度は五%でございますけれども、これは、従来国が行っておりました定率国庫負担並びに国の財政調整交付金のところから出しているものでございますので、トータルは変化ございません。

○高橋委員 トータルは変化がないということがまず確認されました。

 そうすると、トータルは変化がないわけですから、改革を理由にして保険料が引き上げられるとか、そういうことは基本的にないということが言えると思いますが、その点、いかがでしょうか。

○水田政府参考人 国保給付費の五〇%について公費で見るということは変わらないわけでありますので、その点について言えば、保険料については中立の措置だと考えております。

○高橋委員 はい、中立だということで。

 それで、今回新たにつくられる七%の都道府県調整交付金によって、都道府県の発言力が強まることになるかと思います。つまりは、保険料や医療費、収納率で市町村の格差を解消するための調整として機能するのではないか。県が、医療費適正化を理由に、市町村の保険料減免、健康事業など、市町村が独自にやっている施策を制限するようなことはしないということが言えるだろうか。この点、いかがですか。

○水田政府参考人 基本的に、県の調整交付金は、どのように県が交付するかということにつきましては、これは条例でお決めになることでございます。したがいまして、基本的に、自主的、主体的にお決めになることということになるわけであります。

 ただ、中身として、やはり専門的、技術的なことがありますので、私どもとしては、関係省庁と地方団体の間で検討する場を設け、そこでの議論を踏まえて、いわば参考資料としてのガイドラインというものを作成したい、このように考えております。

○高橋委員 そのガイドラインの中身がまだ示されていないので、非常に危惧をしているわけなんです。都道府県でも、皆さん大変な財政の中であります。同時に、国からも医療費の適正化や収納率改善を迫られております。当然、調整が厳しくなるのは予想される事態であります。

 さっき、大臣も真っ先に収納率の改善のお話をされましたけれども、今、二月十五日付で、国保収納率確保緊急プランをつくりましょうという通知が出されております。その中身を見ると、収納嘱託員の採用または増員を図る、滞納処分の実施、一年以上の長期滞納者は財産調査を行うこと、低所得者の被保険者においても財産調査によって多額の預貯金が発見される場合もあるなどなど、夜討ち朝駆けの取り立てはもちろん、あの手この手の対策例が例示をされています。同時に、収納率がアップした自治体には調整交付金減額分の半分を交付するというあめまで用意されております。

 厚労省の資料によれば、減額されている自治体は九百九十九、全体の三割を超えます。総額は、十五年度で二百八十四億円。例えば、大阪市の収納率は八三・九%ですが、〇・〇五%アップできれば十一億円交付しますよ、札幌は八割なので、これが〇・一%アップすると六億円ですよと、こういうふうに具体的な調整交付金の額を示して収納率改善を迫るというふうなことが、今、国が号令をかけているような状態なわけです。

 そうすると、この通達で、逆にまた、機械的にはしないとは言うけれども、改善のために相当頑張らなくちゃいけないということが起きて、またそれが自治体の窓口対応に影響してくるということがないのかということを非常に心配するわけです。

 今回の改革でこれに一層拍車がかかるということは、断じて許されないと思います。そういう中で、国保税据え置き、老人医療費助成など、独自に頑張っている自治体に対して調整交付金を使っての制裁はするべきではないと思いますが、この点、いかがですか。

○尾辻国務大臣 調整交付金を使って制裁という表現を使われたでしょうか。私どもがそんなことを考えておるところではございません。まさに、いろいろな事情が市町村によってあるわけでありますから、そこのところを調整するための、まさに交付金でございますので、そのために使われるものでございます。

○高橋委員 時間が来たので、あとは要望にしますけれども、要するに、大臣は非常にいい意味でとっていらっしゃるんでしょうけれども、実際には、自治体が頑張っていることに対して、減額をするという形で、実質、制裁がやられてきたんです。だけれども、頑張っていることによって逆に医療費全体を安く上げて、みんなが健康という取り組みをしている自治体だってあるんだ、そこをしっかり見ていただいて、制裁に走るんじゃない、あるいは機械的な対応を迫るような収納対策に走るんじゃないということが言いたかったわけなんです。

 日本は健康寿命ランキングで世界のトップだと言われておりますけれども、その決め手はやはり、皆保険制度であり、現物給付であり、フリーアクセスだ、この三つだということを日本医師会が言っております。このことが今危うくなっているんです。このことをしっかり守っていただきたいということを強く要望して、終わりたいと思います。ありがとうございました。

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