国会質問

質問日:2005年 3月 17日 第162国会 農林水産委員会

農業近代化資金助成法質疑-農協融資不良債権問題について

高橋千鶴子議員は17日の農林水産委員会で、金融検査マニュアルに基づく農協への指導問題を取り上げ、毎年農家の資産評価をすることで、農家の担保評価が地価下落とリンクして下落し、融資額が下げられることになることを明らかにしました。

「都会と農村部で当然土地の評価は違い、農村部では不良債権化が進むことになる。地域の実情を知らない監査官が一律のマニュアルで評価の見直しをしたら、ひとたまりもない」と歯止めを求めました。

(2005年3月20日(日)「しんぶん赤旗」より転載)

 

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、三位一体の補助金改革の中で、近代化資金の都道府県に対する補助金が廃止、税源移譲となりました。私は、本来、自治体の裁量を生かすべく税源移譲するというこの改革の趣旨からいって、この制度はなじまないと思っております。

 大臣は、農業における国の責任を重視し、補助金廃止に当たっても明確な意見を述べておられますが、農業における国の責任と地方の裁量を生かす分野について、どのようにあるべきと考えているか、伺いたいと思います。

○島村国務大臣 予算委員会に出ておりまして、おくれました点をおわび申し上げます。

 ただいまの御質問についてでございますが、農業近代化資金等が目的とする担い手育成あるいは確保といった政策は、自然的社会的諸条件に大きな差異のある地域ごとに、その自主性と創意工夫を生かしながら実施することが望ましい政策であります。

 その意味で、農業近代化資金については、税源移譲することによって、まず第一に、補助金関係の事務手続がなくなること、第二に、地域の実情に合わせ、より弾力的な指導が可能になることなどにより、地方の自主性、裁量性を生かすことが期待できる、こう考えたところであります。

 一方、国といたしましては、引き続き本事業が確実に実施されるよう、都道府県に対して貸し付け状況などの報告を求め、必要に応じて助言を行うこととしております。

 今後とも、国と地方の適切な役割分担のもとで農林水産行政の円滑な推進を図ってまいりたい、こう考えております。

○高橋委員 今、後段は地方の裁量を生かす分野についてお話しされたと思うんですけれども、農業における国の責任について、大臣が持っている所感を伺いたいと思ったんです。

○島村国務大臣 農業は御承知のように、農産物を生産し供給するということとあわせまして、やはり国土の保全、自然環境の保護等々、あらゆる役割を担っている重要な産業でございます。そして同時に、我が国は御承知のように約七割が急峻な山で占められて、自然環境は極めて厳しいわけですし、また、気象条件においてもいろんな意味でハンディキャップを背負っている。

 そういうことごとに照らして、私たちは全国的な見地で、全国がそれぞれの立場で農家経営を維持し、発展していくために、農林水産行政に対する我々の取り組みというのは極めて重要な責務を負っている、そう認識しております。

 そういう意味では、これからもその姿勢を貫き、いわば全国規模で、どの地域もいわゆる同じ日本国民として、それぞれに希望と意欲を持って新しい時代を切り開くための活動ができるように努力をしていきたい、そう考えております。

○高橋委員 ありがとうございます。やはり全国的な見地で農業を守る、国の責任を果たすということがあって、そして地方の裁量ということを言ってほしかったのであります。

 我が党としては、この近代化資金が担い手に限定されており、構造改革の推進などの政策誘導策として使われていることに対しては、必ずしも賛成ではありません。しかし、この近代化資金を活用して経営革新を目指す、そういう方に対して、大いに活用されるべきである、その役割は重要だというふうに思っております。

 その点では、国と地方の協議の場で大臣自身が懸念を表明しているとおり、税源移譲といっても、住民税のフラット化による税源移譲では、農村地域ではあるけれども人口が少なく所得が低い地域が逆に不利となること、それをどこまで地方交付税がカバーできるのかということでは、懸念が残るところであります。国民の食料と国土に対する国の責任はしっかり堅持していただきたい、そのことを求めて、まずこれは指摘にとどめたいと思います。

 次に、関連してJAバンクシステムと信用事業について伺いたいと思います。

 農協貯金は近年増加傾向にあり、平成十四年三月末で七十三兆五千三百七十四億円、我が国貯金全体の七・一%を占めております。一方、貸出金残高は二十一兆九十一億円、貯金残高における貸出残高の割合は約三割で、他の金融機関の割合よりもかなり低い現状にあります。

 こうした中、平成十四年、JAバンクシステムが確立され、農協系統においては問題農協の処理を推進、自己資本比率四%未満の農協は解消されたと言われております。大銀行並みの自己資本比率を要請され、不良債権処理を進めてきたという現場で何が起きているか、このことをきょうは考えたいと思います。

 まずは、農協における不良債権処理やペイオフ対策としての破綻未然防止策がどのように進められてきたのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。

○須賀田政府参考人 破綻防止システムでございます。

 今先生がまさにおっしゃいましたように、平成十四年から農林中金を中核といたしましてJAバンクシステムが確立をいたしまして、問題のある農協を早期に発見するということでございまして、自己資本比率という客観的基準に基づきまして不良債権の処理を進めるという体制を整えております。

 この結果、農協系統全体の不良債権、平成十三事業年度末ではリスク管理債権が二兆六千二百三十三億。これが十五事業年度末には二兆五千六百六十億ということで、五百七十三億減少した。結果、総資産に対する不良債権の比率が〇・一ポイント減少しているということでございます。

 また、先生おっしゃいましたけれども、自己資本比率四%未満の農協は解消されたということでございます。貯金残高も対前年同月比で二%程度の伸びを示すという、総じて健全な状態にあるというふうに認識をしております。

○高橋委員 昨年の末、東北の中山間地域を中心とした農協を幾つか訪問した際、深刻な訴えがありました。

 いわゆる金融検査マニュアルによる農協への指導が大変厳しくなっているということです。具体的には、農家が持っている資産でおのずと融資額が決まってしまうということ、しかも、毎年評価の見直しがされているということです。農家の資産といえば田んぼであり、御承知のように、年々評価は下がる一方であります。これをまともに固定資産税並みの評価ということになれば、融資額がぐんと縮小される、不良債権扱いされて解消しなければならないという事態が起きます。

 まず、これをどう見るのか、伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 農協も金融機関でございますので、担保をとって貸すということは、ほかの金融機関と同様、行っているわけでございます。その際、農家の場合は農地等を担保にするということがよく行われるわけでございます。私どもは、最近地価が下がっている、そういう状況にかんがみまして、できる限り、その経営内容を審査いたしまして、その経営内容に即して貸し付けを実施するということによりまして、担保の価値が減少するといったような問題を解決できるのではないかというふうに考えておりまして、農林中金の方もそのような指導をしておりますけれども、末端に行きますと、そういう、担保があってその価値が下がっているという問題が現実にはまだまだあるようでございます。

 金融機関の不良債権の処理の問題と、農家の農業経営としての安定性の問題と、ジレンマがあるところでございますけれども、そこはやはり現場で解決をしていただきたいというふうに思っているところでございます。

○高橋委員 農協も金融機関とおっしゃいました。もちろんそうでありますけれども、同時に、リスクの高い、あるいは長期に返済が必要だとか、そういう農業の特性に応じて役割を果たす、そういう立場が言われてきたと思うんですね。ですから、農地の特性を生かした評価というものが当然あるべきだと。これが、現実にはあるとおっしゃいましたけれども、何か人ごとのような言い方ではなくて、国の金融検査マニュアルによって現実には動いているんだ、そこをどう見るのかということをやはりしっかり受けとめて答えていただきたいと思うんですね。

 それとあわせて伺いますけれども、農地の評価が下がり、不良債権とされれば、農協は貸倒引当金の積み増しが求められます。ある農協では、その引当金に五千万円もの納税が求められたと言われています。そうなると、農家も農協も倒れる、どっちも倒れる、そういう構図になります。これをどう見ますか。

○須賀田政府参考人 農協も金融機関として債権の自己査定に基づいて多くの引当金を積まざるを得ない状況、これをどう見るかということでございます。

 やはり、金融機関として農協も他業態の金融機関と競争をしておる、全般的に金融情勢は厳しいということで、金融機関としての十全の債権管理が求められております以上、自分で債権の種類を査定いたしまして、破綻の懸念がある、あるいはもう既にロスが生じている、そういったものに対してはちゃんと処理し、あるいはあらかじめ引当金を積む、こういう処理は、ほかの金融機関との競争上やむを得ない処置ではないかというふうに思っております。

 もしそれを怠りまして、金融機関として一人前じゃないんじゃないかというような悪評が立ちますと、いわゆる取りつけ騒ぎでございますとか農協の預金がほかに流れるとか、こういう事態が生じまして、それこそ大変な問題が生ずるのではないかというふうに思っております。

○高橋委員 そうすると、農協と農家を守る歯どめがどこにあるのかということを伺いたいと思うんです。

 大臣に伺います。農地の持つ特性、あるいは、生産物を生み出し、多面的な機能を持っている特性を大臣も強調してきたはずだと思うんです。

 都会と農村部で、当然土地の評価が違います。そのために、農村部では不良債権化が進むことになります。地域の農協は、個々の農家がどのように頑張って営農しているのかを一番よく知っているはずです。だけれども、今のシステムは、上から来た、そういう地域の事情を全く知らない監査官が一律なマニュアルで評価の見直しをするんです。そうしたら、もうひとたまりもありません。農協本来の役割であるはずの営農指導も阻害されます。こういう状態でいいのか。少なくとも、一律ではない、地域の実情をよく知っている農協が、それに従って営農指導をやる、その保証があるはずだ、歯どめがあるはずだと思いますが、大臣、見解を伺います。

○須賀田政府参考人 金融機関として、健全な経営を確保するために、ちゃんと債権を管理をして、しかるべき引当金を積まざるを得ない、これはもう避けて通れないというふうに思っているわけでございます。

 ただ、農協は農業専門の金融機関でございますので、ほかの金融機関は農地を担保とするようなことがなかなか難しい。しかし、農協はちゃんとできる。それから、農業経営にも熟知しておりますので、農家の経営の中身を見て、ちゃんと将来収支が改善できるという心証を得たら、ほかの金融機関ではできない貸し付けができるという特徴があるわけでございますので、そういう審査能力といったものを高めて、ちゃんと温かい融資ができるように、そういう面で努力をしてほしいというふうに思っているところでございます。

○高橋委員 大臣から答弁いただけなくて、本当に残念でありました。

 今の局長の答弁は、結局今の経済財政諮問会議による「政策金融改革について」あるいは規制改革会議などの方向、民にできることは民にということで、まあ、郵政と同じなんですよね。農協系統の政策金融は民間金融の補完的役割なんだと。そうなっていくと、身近な農協金融が不良債権処理を迫られ立ち行かなくなる、担い手が金融の分野からもどんどん絞り込まれ、結局は農業者の追い出しになるものだということを厳しく指摘して、それではだめだということを指摘して、終わりたいと思います。

 

【反対討論】

○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論をいたします。

 農業近代化資金及び漁業近代化資金は、ともに施設資金として農業者と漁業者の経営を直接支援する融資制度の柱であり、国が農業保護に責任を果たす上での重要な制度資金の一つであります。この施設資金は、国が利子補給を行う低利資金と位置づけられ、機能してきたものであります。こうした制度資金を地方任せにすることは、国の農業に対する責任の後退につながるものと言わざるを得ません。現に、農業関係者や漁業関係者からは、新規融資抑制にならなければいいがなどと懸念が表明されているところであります。

 制度資金の中核的機能である利子補給事業を廃止することは認められないことを表明して、反対討論といたします。

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