国会質問

質問日:2019年 5月 15日 第198国会 厚生労働委員会

旧優生保護法一時金支給について

強制不妊被害者への一時金/高橋衆院議員「届ける体制を」

 日本共産党の高橋千鶴子議員は15日の衆院厚生労働委員会で、旧優生保護法下の強制不妊手術被害者を対象とする「一時金支給法」について、一人でも多くの被害者に一時金を届けるための体制についてただしました。
 高橋氏は各都道府県での専門の相談窓口の設置状況や相談マニュアルについて質問。厚労省の浜谷浩樹子ども家庭局長は、窓口は45、専用電話回線は31の都道府県で設置されているとし、請求書の添付書類の不足があっても原則その場では受け付けることや、被害者が口頭で述べた内容にもとづき職員が作成するなど、申請しやすくするよう求めた通知を出したと答弁しました。
 高橋氏は、広報や相談が大事だと、議員連盟で話し合ってきたとして、高齢や障害で請求が困難な人のために、弁護士会への協力を求めるべきと指摘。根本匠厚労相は「弁護士会への協力依頼も含め周知・広報に取り組む」と答えました。
 旧優生保護法の被害者にはハンセン病元患者も含まれます。高橋氏は、なぜハンセン病は遺伝ではないのに優生手術や堕胎(だたい)をさせられたのかと質問。浜谷氏は「伝染のおそれのある者」とあつかったと説明を読み上げました。
 高橋氏は、厚労省が中学生の副読本の中で本人も家族も差別、偏見を受けたと教えており、ハンセン病家族訴訟で家族の被害を否定するのは許されないと強調しました。
( しんぶん赤旗 2019年05月16日付より)

―議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 五月十日、旧優生保護法一時金支給法に基づく一時金の請求、相談件数の状況が公表されました。
 資料の一枚目が、その申請を呼びかけたお知らせ、そして、二枚目をめくっていただきますと、都道府県の内訳となります。第一回目の集計としては、請求受け付け件数が十二件、相談件数が百八十四件ということです。一人でも多くの方に届いてほしいという思いであります。
 まず伺いますが、各都道府県は専門の相談窓口が望ましいと思いますが、どのようになったのかということ。また、当然それに見合う事務費をつけるということだと思いますが、確認をしたいと思います。相談を受ける上でのマニュアルなどはどのように準備をするのか、伺います。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。
 まず、専門の相談窓口の状況でございますけれども、各都道府県におきましては、旧優生保護法一時金支給法の施行に合わせまして、一時金に関する相談あるいは請求の受け付け体制を整備していただき、一時金について相談した場合にどこに連絡すればよいか、あるいはどこに行けばよいかが明確となっている状況でございます。また、多くの都道府県におきまして、一時金の相談などに関する専用の電話回線を設置していただいております。
 具体的に申しますと、まず窓口でございますけれども、例えば旧優生保護法一時金受付・相談窓口など、そういった専用の名称を用いて窓口を設置しているのは四十五都道府県でございます。また、電話回線でございますけれども、専用の電話回線を設置しているのは現時点では三十一都道府県、専用回線を準備中の県が五県ございます。
 事務費につきましても、所要の額を予算上措置している状況でございます。
 また、相談マニュアルでございますけれども、一時金に関する相談支援等に関しましては、実際に相談あるいは請求を受け付ける窓口となる都道府県に対しまして事務の取扱いに関する通知等をお示ししておりまして、そこでいわばマニュアル的なことを記載し、周知をしております。
 具体的に申しますと、例えばプライバシーに配慮した受け付け体制を整備すること。それから、障害がある方でも請求が円滑に行えるような配慮、筆談の準備、手話通訳者の配置、ホームページの読み上げ機能の活用等でございます。それから、一時金支給の請求の意思が明確な場合には、請求書の記載事項の不備や添付書類の不足がある場合であっても、原則その場で受け付けることとし、受け付け後に補正する対応をとること。それから、請求者本人が請求書を作成することができない特別な事情がある場合には、請求者が口頭で述べた内容に基づいて、窓口の職員が請求書を作成すること。こういった内容を盛り込んだ通知等をお示ししているということでございます。

○高橋(千)委員 専用窓口が四十五県なのに、専用回線といいましょうか、電話がまだ三十一県だということだったので、それが整っていくことが望ましいなと思って聞きました。ただ、その場で口頭であってもしっかりと対応することとか、そういうところがきめ細かにやられていくことが大事かなと思って今聞いておりました。
 それで、資料の三枚目に、その際の請求書をつけておきました。これは縮小しているので、実際には二枚ということで、とりあえずこれを出せば、添付資料などはその後の相談でというふうに理解をしております。
 とはいえ、やはり高齢で障害もある方にとって書類を書くことは非常に困難だと思いますし、例えばこの右下に、「個人情報の取扱い」というところで、同意するかどうかというのをチェックするところがあります。同意しなくても請求する権利は一緒なんだけれども、やはりチェックしなかったらまずいのかなとか、どぎまぎしてしまいますよね。そういうこともあるので、相談というのはとても大事だと思っております。
 議連の議論のときには、そのことを非常に重視しまして、本人の申請を単に待つというだけではなくて、障害者手帳の更新の際とかに広く周知を図ることや、例えば、弁護団などとも話し合ったときに先方から提案されたことなんですけれども、法テラスとか個人版私的債務整理ガイドラインなどにかかわっている弁護士さんなどの協力を得て、スムーズに相談できるような体制を整えるということが効果的だと思いますが、大臣、一言お願いします。

○根本国務大臣 旧優生保護法一時金支給法の施行に当たっては、一時金の支給対象者の方に確実に請求していただけるようにすることが重要だと考えています。
 厚生労働省としては、地方公共団体や障害者支援団体などの関係者の協力を得て、一時金の支給手続等について周知広報に取り組んでおります。具体的には、都道府県や市町村に対して、障害者手帳の交付又は更新などの機会を含む各種行政サービスの手続の機会を利用した制度の案内、医療、障害、介護分野など関係団体に対して、会員関係機関などでのリーフレットの配布や所在する都道府県の担当窓口の案内などによって制度の周知を依頼しております。
 ただいまの委員の御指摘も踏まえて、弁護士会などへの協力依頼も含め、さらなる周知広報に取り組んでいきたいと思います。

○高橋(千)委員 もう一度、最初の紙に戻っていただきたいんですが、「旧優生保護法による優生手術などを受けた方へ」ということで、三つの丸がついております。まず、四月二十四日に成立し、公布、施行されたということ。それから、前文のことが紹介をされまして、「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする旨が述べられています。」そして三つ目に、「法に基づき、優生手術などを受けた方に一時金を支給いたします。」と。
 正直言って、これを読んだときに、まだ人ごとだなという気がいたしました。ここの、今読み上げた「我々は、」のところは、本委員会で提案者である冨岡委員長から、主に政府と国会であるということを明確に言ってくださったわけであります。また、前文の最後には、「ここに、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、この法律を制定する。」というふうに書かれておりまして、この主語は国であることにすごく意味があるんですね。
 だから、やはり国会が法律をつくって、おわびすると言ったから、それに基づいて国も支給するんだというただそれだけではなくて、国自身も我々なんだ、そういう気持ちで取り組んでいくんだという誠意が必要だなと思うんですが、大臣、その点は一致できるでしょうか。

○根本国務大臣 委員のおっしゃるとおりであります。
 いずれにしても、やはり一時金の支給対象者の方に着実に請求していただけるようにすることが重要と考えておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

○高橋(千)委員 もう少し踏み込んでいただきたかったんですが、まずは受けとめたいと思います。
 それで、優生保護法の第三条第三号には「本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの」と明記されていることから、ハンセン病元患者も一時金支給の対象となると思います。このことを確認したいのと、ハンセン病を理由とする優生手術並びに中絶手術がそれぞれ何件あったのか、お答えください。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。
 まず、ハンセン病患者が一時金の対象となるかどうかでございますけれども、旧優生保護法第三条第一項第三号に基づき優生手術を受けられた元ハンセン病患者の方につきましては、先般成立した支給法に基づく一時金の支給対象となります。
 それから、件数でございますけれども、ハンセン病を理由とする旧優生保護法に基づく手術の件数につきましては、昭和二十四年から平成八年までの間、優生手術の件数は千五百五十一件でございます。

○高橋(千)委員 中絶についてはどうですか。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。
 人工妊娠中絶の件数は七千六百九十六件でございます。

○高橋(千)委員 二つ聞いたのに、なぜ聞き返さないと答えてくれないのか、ちょっと驚きました。
 今回、中絶が対象にならないのでということだと思うんですが、やはり優生思想に基づく堕胎手術がされたということから見ると、これは既に四月から、全療協など、要するに自治会の皆さんや弁護団、原告の皆さんなどとも話合いを進めていると聞いています。だとすれば、当然このことが議論に上ると思うんですね。よく検討して、私たち、法律にも見直し規定をつけましたので、もう少し善処していきたい、改善に向けていきたいなと思っております。
 一言でお答えください。ハンセン病は感染症であって遺伝性ではないのに、なぜ優生手術の対象とされたのでしょうか。

○浜谷政府参考人 お答えいたします。
 旧優生保護法につきましては、議員立法でございます。そういう意味では、議員立法ということでございますけれども、その提案者が昭和二十七年に執筆した著書によりますと、委員の御指摘の点につきまして次のように記載されております。
 なお、ハンセン病を「癩」と記載するなど、現在では不適切な表現も用いられておりますけれども、原文のまま読み上げさせていただきます。
  癩は遺伝性の疾患と云われていたが、現在では伝染病の部類に属している。これは慢性伝染病であつて、その潜伏期が長く、幼時に伝染したものが少年期特に思春期に至つて、或は身体的に大きな障害に会つた場合に発病するのが普通であり、また先天的に同病に対する抵抗力が弱いということも考えられるのであるが、現在では未だ癩を完全に治療し得る方法がないので、癩患者に対しては本人と配偶者の同意を得て本手術を行うのが適当である。
とされております。

○高橋(千)委員 今、不適切であるところをそのまま読みますというお話であったので、不適切だという認識だと思って聞いておりました。
 資料の4は、「わたしたちにできること」という、厚労省がつくった中学生向けの副読本です。とてもいい表現で書いているなと思ったので、あえてつけさせていただきました。
 このQの二のところに、「治る病気なのになぜ差別は続いたのですか?」というところがあって、「隔離政策などにより、人々の間に「怖い病気」として定着してしまったからです。 こうした政府の対応に対し、ハンセン病研究者の小笠原医師は、ハンセン病は不治の病ではないという考えから、強制隔離や入所者が結婚する条件として行われていた優生手術などに反対をしましたが、当時の学会などでは彼の主張は認められませんでした。」云々ということが書いてあって、実際は、子供を未感染児童という形で隔離する必要は、今の答弁からいっても、またここの説明からいってもなかったことであったわけですね。そのことが今問われているということを指摘したいと思います。
 資料をめくっていただいて、5のところに、これも同じ厚労省がつくった資料ですけれども、「もう母に一生会えない…」と元患者の声を紹介して、「私たち一家は村八分にあいました。親しかった隣人たちも寄りつかなくなりました。幼い妹はほかの子に遊んでもらえず、弟もいじめにあい、婚約していた姉は破談になり家を飛び出しました。私は家族への迫害を断ち切るために療養所へ行くことを決心したのです。」そして、まさに強制的に療養所に行かなきゃいけなかったし、そのためにまた優生手術も受けざるを得なかったということが紹介をされているし、「わたしたちにできること」ということで、
 親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことができない—。
 実名を名乗ることができない—。
 結婚しても子供を生むことが許されない—。
 一生療養所から出て暮らすことができない—。
 死んでも故郷の墓に埋葬してもらえない—。
 こうした生活を
 ハンセン病患者さんは長い間
 強いられてきました。
 あなたは想像できますか?
これは厚労省がつくったテキストなわけです。大臣に聞いていただきたかった。
 これは今、家族訴訟が闘われています。きょうはそのことを質問しません。指摘にとどめますけれども、家族訴訟で、いやいや、家族の人までは、無理やり隔離をしたわけでもないし、ずっと前から差別は続いていて、国の責任ではないのだといって、広島高裁松江支部では原告が敗訴している。
 だけれども、厚労省が言っていることから見たら、家族がみんな差別や偏見に遭って、隔離に遭ってこういう苦しみをしたということを言っているじゃないか。それを繰り返さないために子供たちに教えているのに、どうして大人の世界で裁判で争われると、違いますと言うのかということを指摘したいんです。
 そのことを本当に踏まえて、今も訴訟は続いておりますので、厚労省の態度をきちっと認めた方向で臨んでいただきたいと、きょうはここは要望にします。また次の機会に質問したいと思います。
 というのは、もう一問、別なことを質問したかったからであります。
 今、香害という言葉が大きな問題となっています。
 日本消費者連盟が二〇一七年に実施した香害一一〇番に、二百十三件もの苦情が寄せられました。悲鳴が寄せられました。あるいは、シャボン玉石けんが昨年五月に二十代から五十代の女性を対象にネットで行った調査では、人工的な香りで頭痛や目まい、吐き気などの体調不良を起こしたことがある人は六四%に上りました。
 また、ことし三月には、京丹後市丹後中学校の卒業式で、化学物質過敏症のためほとんど学校に通うことができなかった馬場さんという生徒さん、ずっとテレビ電話で授業を受けていた方が、ガスマスクをつけて最後のホームルームに出て、卒業したんです。体育館にも入れなかった。体育館に入るとたくさんのにおいが集中しているので、残念ながら入れないけれども、名前を呼ばれて一緒に歌を歌うというのを体育館の入り口で経験することができたと喜んでいる。
 それでも、まだこの子たちは、学校が理解をしてくれてそこまでたどり着いたんだけれども、実際には通えないという子供たちがたくさんいるんだということ。この香害について、大臣は承知しているのか、どんな認識をお持ちか、伺いたいと思います。

○根本国務大臣 お尋ねの香害については、家庭で使用する柔軟仕上げ剤や消臭剤等に含まれる香料によって頭痛、吐き気などの種々の症状が生じているという主張があることは知っております。
 一方で、いわゆる香害については、現時点では原因や病態、発症機序等が不明であり、疾患概念が確立しておらず、傷病名として認められていないと認識をしております。具体的には、そもそも原因として香りが関与しているか、あるいはどのような症状を来すのか、どのような体内の変化が症状を引き起こすのかなどが明らかでなくて、科学的知見に基づく実態解明が進んでいないというのが現状だと理解をしております。

○高橋(千)委員 資料の最後に、日本医師会のニュース「健康ぷらざ」をつけておきました。見ていただきたいと思います。
 「香料による新しい健康被害も」ということで、体調不良の原因は香りかということで、香料つきの柔軟剤や石けんや消臭除菌スプレーなどが出回っていて、世の中には、そうした香りを不快に感じ、頭痛や目まい、吐き気、せき込み、皮膚のかゆみ、ひりひり感、全身倦怠感などが生じている、これが化学物質過敏症の一種であると指摘をしているんです。医師会がこうして指摘をしているんですから、まずこのことはお認めいただきたい。
 そして、きょうは本当は、研究事業なども、遺伝子研究、ゲノム研究なども国立病院機構で始まっておりますし、進んでいくのを期待しているんですが、そうはいっても専門外来が、国が認めていないがためにその後継者が進んでいないということを質問したかったんですが、残念ながら時間が来ましたので、それは、私自身もそうだし、大臣にも宿題としまして、次の機会にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

―資料ー

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