国会質問

質問日:2019年 4月 24日 第198国会 厚生労働委員会

ハラスメント禁止へ修正案

共産党提出/可決の政府案批判/衆院厚労委

 女性活躍推進法等改定案が24日の衆院厚生労働委員会で採決され、自民、公明、立民、国民、維新、社保の各党・会派の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。同改定案は、パワハラについて企業に防止措置を義務付けたもののハラスメントの禁止規定は盛り込まれていません。日本共産党は、ハラスメント行為を禁止し、独自の救済機関の創設を盛り込んだ修正案を提出しましたが、否決されました。(解説2面)
 日本共産党の高橋千鶴子議員は、同党が提出した修正案の趣旨説明で、職場におけるハラスメント規制が国際的な大きな流れになっていることをあげ、「このままでは日本は、ハラスメントの禁止規定を持たない後進国になってしまう」と指摘。「世界の流れという観点から、また、女性の願いという観点から、ハラスメントによる被害者の救済とハラスメントの防止について、実効ある法整備が今、求められている」と強調しました。
 また、採決に先立つ反対討論で、高橋氏は、政府提出の改定案がハラスメントの禁止規定を設けず、被害者の救済が現状の措置にとどまっている点を厳しく批判。今年6月に採択されようとしている国際労働機関(ILO)の条約では、ハラスメントについて就活生や顧客、患者など対象を幅広く定義しているとして、「明確に禁止規定の法整備を求めている条約の批准ができるとは到底いえない」と指摘しました。
( 2019年04月25日  日刊1面 掲載 01頁 著作権=赤旗) 

―議事録ー

○高橋(千)委員 ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 ハラスメントは、働く人の尊厳、人格を大きく傷つけます。多くの被害者が、声を上げることができず、勇気を振り絞って相談しても、事業主から適切な対応がとられないばかりか、加害者から謝罪さえ受けることなく、心身に不調を来したり、休職、退職に追い込まれたりしているのが現状です。職場でのハラスメントが、一人の人生を狂わせ、一人の働き手を経済社会から失わせるという深刻な結果をもたらしています。しかし、ハラスメントに対して労働行政は全く無力と言わざるを得ません。
 二〇一七年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は約七千件にも上っていますが、このうち、男女雇用機会均等法に基づく行政救済制度が利用されたのは、紛争解決の援助の申立てが百一件、調停申請が三十四件とわずかです。男女雇用機会均等法には、勧告に従わない場合の企業名公表制度が設けられていますが、セクハラで企業名が公表された事例は過去に一件もありません。
 また、都道府県労働局に対するいじめ、嫌がらせの相談件数とともに、いじめ等を受けたことによる精神障害の労災請求件数が増加していることに加え、いじめ等が原因となって自殺に至る事案が発生するなど、職場におけるパワハラの問題も深刻になっています。
 今回、政府から提出された法律案の内容は、極めて不十分な内容であります。最大の問題は、ハラスメント行為を法的に禁止していないことです。世界では、ILO総会での仕事の世界における暴力及びハラスメントに関する条約の採択に向け、国際的な議論が進められるなど、職場におけるハラスメント規制が大きな流れとなっており、このままでは、日本は職場におけるハラスメントの禁止規定を持たない後進国になってしまいます。
 世界の流れという観点から、また女性の願いという観点から、ハラスメントによる被害者の救済とハラスメントの防止について実効ある法整備が今求められており、本修正案を提出することとしました。
 以下、修正案の主な内容を御説明します。
 第一に、何人も、労働者に対し、職場における労働者の就業環境を害する言動又はこれに対する労働者の対応により当該労働者にその労働条件につき不利益を与える行為をしてはならないものとすること。
 第二に、当該言動等に係る事件の審査を行うため、厚生労働大臣の所轄のもとに中央就業環境加害言動救済委員会を、都道府県知事の所轄のもとに都道府県就業環境加害言動救済委員会をそれぞれ置くこと。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○冨岡委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    —————————————

○冨岡委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申出がありますので、順次これを許します。池田真紀君。

○池田(真)委員 私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、内閣提出法律案に対して意見を付して賛成、議員提出の三法律案について賛成の立場で討論を行います。
 我が国の労働力人口が減少に向かう中で、女性の職業生活における活躍の推進及びハラスメントの対策の強化は重要な課題です。
 職場におけるいじめ、嫌がらせを理由とする都道府県労働局への相談件数とともに、精神障害者に係る労災認定件数が増加の一途をたどっており、また、ハラスメントを苦にした自殺まで発生していることから、ハラスメント対策は喫緊の課題と言えます。
 内閣提出法律案では、パワーハラスメントの防止のため、相談体制の整備等の雇用管理上必要な措置を事業主に義務づけること、労働者がハラスメントに関して事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止を規定したことは、昨今、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントが日々報道され、社会問題となっている中で、一歩前進と評価することはできます。
 しかし、内閣提出法律案には不十分な点があることを指摘しなければなりません。
 その第一は、セクシュアルハラスメントの禁止が規定されていないことです。
 イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパの先進国では、法律にセクシュアルハラスメントを禁止する規定が設けられています。国連も我が国に対して、セクシュアルハラスメントの禁止規定と適切な制裁措置を盛り込んだ法整備を行うことを要請しています。
 セクシュアルハラスメントの被害に悩んでいる労働者等をこれ以上ふやさないためにも、セクシュアルハラスメントの禁止を法制化すべきです。
 私たち野党四党が提出した業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案、いわゆるセクハラ禁止法案は、明確にセクシュアルハラスメントを禁止することとしております。
 また、内閣提出法律案では、就活中の学生等が対象とされておらず、この点も不十分と言わざるを得ません。
 第二は、内閣提出法律案には、消費者等対応業務に係るハラスメント、いわゆるカスタマーハラスメントの防止対策が盛り込まれておりません。顧客、ユーザーからの行き過ぎた言動によって、労働者が精神的な被害を受ける事案が指摘されています。政府は、内閣提出法律案にカスタマーハラスメントの防止対策を規定しない理由について、通常のクレームと迷惑行為との判断が難しいことを挙げ、カスタマーハラスメント対策は法律成立後の指針で対応すると答弁しています。
 しかし、今日もどこかでカスタマーハラスメントが発生しており、その被害を防止するためには、指針に明記することでは不十分です。私たち野党四党が提出した労働安全衛生法改正案では、カスタマーハラスメントの防止対策を事業主に義務づけております。
 このほか、セクシュアルハラスメント等に対し、事業主の措置義務が十分に履行されていない、行政救済機関が十分に活用されていないなど、運用面でも多くの課題が指摘されております。
 野党四党提出の法律案は、ハラスメント対策の充実、運用の改善に資するものであり、委員各位の御賛同をお願い申し上げ、私の討論といたします。
 よろしくお願いいたします。(拍手)

○冨岡委員長 次に、稲富修二君。

○稲富委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました、政府提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案、日本共産党提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案、野党四会派提出三法案について討論を行います。
 ミー・トゥー運動が世界じゅうに広がりを見せ、世界共通の課題としてハラスメントの根絶が求められています。日本国内においても、職場でのいじめ、嫌がらせの相談件数が増加したり、パワハラが原因で自殺する人が相次ぐなど、ハラスメントは働く人にとって深刻な問題となっています。
 国民民主党・無所属クラブなど野党四会派が提出したセクハラ規制強化法案、セクハラ禁止法案、パワハラ規制法案は、セクハラ、マタハラ、パワハラ、悪質クレームから働く人をしっかり守る法案となっています。
 セクハラ規制強化法案は、会社間のセクハラ、マタハラ対策を抜本的に強化するものとなっています。また、セクハラ禁止法案は、就職活動中の学生やフリーランスで働く人に対するセクハラも含め、セクハラ行為を禁止するものです。この二法案は、セクハラ根絶のために必要不可欠な法案です。
 さらに、パワハラ規制法案には、会社内でのパワハラだけでなく、取引先などの他の会社からのパワハラや悪質クレームについて労働者を保護するための必要な措置を講ずることを事業者に義務づけることが盛り込まれています。
 野党四会派提出の三法案は、全ての人が安心して働き、自分の能力を最大限発揮できる社会を実現するために必要不可欠な法案であり、賛成です。
 一方で、政府提出法案には、会社間のパワハラ、セクハラへの対応が不十分であったり、就職活動中の学生やフリーランスで働く人に対するセクハラ問題を放置しているといった問題があります。しかし、ハラスメントが深刻な問題となっている現状に鑑みると、働く人のためには、一歩でも二歩でも対策を進めることが必要であると考え、政府提出法案にも賛成することとします。
 なお、日本共産党提出の政府提出法案に対する修正案については、禁止する行為の定義や救済委員会の独立性が担保されているかどうかという点について更に精査が必要であることなどから、反対することとします。
 最後に、国民民主党は、引き続き、働く人の立場に立ち、ハラスメントのない社会の実現に全力を挙げて取り組む所存であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

○冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました女性活躍推進法等改正案について、反対の立場から討論を行います。
 反対する主な理由は、ハラスメントの禁止規定を設けず、被害者の救済が現状の措置にとどまっているなど、余りにも不十分な内容であるからです。
 セクハラ被害を告発するミー・トゥー運動の広がりや、世界で職場におけるハラスメント規制が大きな流れとなっていますが、本法案には求められていた禁止規定が設けられていません。顧客や取引先といった第三者からのハラスメントを含めず、対象者の範囲を限定的にしています。また、パワハラについては新たに事業主の防止措置義務や行政ADRの対象とする規定としましたが、既にセクハラについては男女雇用機会均等法で同様の規定があり、その範囲にとどまっています。
 労働者がセクハラ等の相談をしたことなどを理由とする事業主による不利益取扱いを禁止したことは当然ですが、現行法で防止措置義務を規定しているにもかかわらずセクハラがいまだになくならないことや、都道府県労働局に寄せられたセクハラ相談のうち行政救済に進んだものが余りにも少ない現状が大きく変わるとは思えません。独立した救済機関が必要です。
 また、過労死や精神障害とも密接にかかわりがあるパワハラの定義が極めて限定的です。質疑の中で、厚労省は、業務上適正な範囲の指導かパワハラかの判断が難しいとして要件を厳格にしているのは、許せるパワハラがあると言っているようなものであります。
 ことし六月に採択されようとしているILOの条約案では、ハラスメントについて就活生や顧客、患者など対象を幅広く定義しており、明確に禁止規定の法整備を求めている条約の批准ができるとは到底言えません。
 次に、女性活躍推進法について、一般事業主行動計画の策定義務の対象を百一人以上に拡大したことは当然ですが、情報公表項目を現行の一項目以上から最低二項目以上としただけで、項目が任意であることには変わりありません。国連の女性差別撤廃条約は結果の平等を求めており、その重要な指標が男女の賃金格差だということは厚労省も認めています。行動計画策定に当たっての状況把握、課題分析項目は公表を進めるべきであり、男女の賃金格差を始め、少なくとも基礎項目は全て公表するべきです。
 最後に、野党四会派が提出しているセクハラ禁止法案等三法案は、政府案より対象者を広く定義していること、ハラスメントの禁止規定を設けていることは前進であり、賛成とします。
 以上、反対討論といたします。(拍手)

○冨岡委員長 以上で討論は終局いたしました。
    —————————————

○冨岡委員長 これより採決に入ります。
 まず、西村智奈美君外五名提出、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○冨岡委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、岡本充功君外五名提出、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○冨岡委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、西村智奈美君外五名提出、労働安全衛生法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 時間が短いので、早速質問に入ります。
 資料の一枚目を見てください。「厚生労働省の「物価偽装」による生活保護基準引下げの撤回等を求める研究者共同声明」とあります。本文は一ページの半分で、残り三ページは賛同者の学者の名前でございます。百六十四名もの各分野の教授らが賛同している。これだけの方たちが物価偽装というただならぬ表現をしているということであります。
 中身については順次指摘をしていきますので、大臣に伺います。
 この文書については、参議院で我が党の倉林議員が紹介をしているので、大臣は見たことがあると思うんですね。この内容をまず承知しているかを確認。その上で、なぜ偽装と言われていると思うのか、大臣自身の認識を伺います。

○根本国務大臣 御指摘の研究者の共同声明、これは本年二月二十七日に公表されたものであり、平成二十五年の生活扶助基準の見直しにおいて、厚生労働省が独自の計算方法で生活扶助相当CPIを算出したものとして、これを批判する内容であったと承知をしております。
 そういう指摘がありましたが、厚生労働省としては、この生活扶助相当CPIの算出に当たっては、消費者物価指数の品目や品目ごとの消費支出の割合、このウエートについて、当時、最新の平成二十二年の品目などを基準にして、平成二十年と平成二十三年のそれぞれの生活扶助相当物価指数を算出することによって、この期間の物価変動分をマイナス四・七八%と算出したものであって、御批判は当たらないものと考えております。

○高橋(千)委員 四・七八%マイナスという急激なマイナスが反映をされて、トータルで六百七十億円、今言ったデフレ調整という形の部分は五百八十億円、過去最大規模の生活保護の削減につながった問題でございます。
 それで、今おっしゃったのは、平成と西暦がまじるのでなるべく西暦で、二〇一三年なんですけれども、お笑い芸人の母親が生活保護を受けていることが報道されて、自民党の現在大臣を務めている議員らが激しい生保バッシングをやり、扶養義務強化が取り沙汰された国会でありました。思い出していただけたと思います。
 買物かごの中をのぞかれているようでつらい、そんな声を私もこの場で紹介しました。それでなくても肩身の狭い思いをしているのに、もう申請を諦める、別れた夫にまで扶養の連絡をとるというのなら保護の申請を諦める、そんな声が各地から寄せられました。
 当時は、まずその改悪に歯どめをかけたいという思いで必死でありまして、いわゆる生活扶助相当CPIについて私自身が大きく取り上げることができなかったということを非常に残念に思っております。
 当時の田村厚生労働大臣も、ひたすらゆがみを強調して、ゆがみによる是正であると。このゆがみというのは、九十億円の、いわゆる第一・十分位という所得の最も低い方たちと比較した場合のいろいろな、家族構成や地域によってちょっと保護の方が高かったりとか、そういうものを調整したということが説明の中心であったわけなんです。
 ところが、基準部会で検証したゆがみ是正なるものが九十億円、それしか出ていなかったんですけれども、今言った、後のデフレ調整五百八十億円は、基準部会の報告書が出たのは二〇一三年の一月十八日、そのわずか九日後の一月二十七日に発表されたものなんです。ですから、基準部会では一切議論をしておりません。五百八十億円を三年かけて削減するという大幅なものになるわけです。
 二枚めくっていただいて、資料の2を見ていただきたいんですが、私が今言った削減というのがどういうものであったかという、大臣がおっしゃいましたけれども、生活扶助相当CPI算出の考え方ということで、基準年が二〇〇五年なわけですけれども、五年ごとの見直しをしているのが総務省の消費者物価指数、これはCPI、というのは消費者物価指数のことをいうんですけれども、総務省に沿って、参考にしてやるんだけれども、大臣も先ほどおっしゃいました、厚労省独自の生活扶助相当CPIは、二〇一〇年当時の品目やウエートを参照にして二〇〇八年にさかのぼる形、そして二〇一一年にこういう比較をした、こういう形になるわけです。詳しくは後で言います。
 そして、もう一枚めくっていただいて、「平成二十五年の基準見直しに用いた生活扶助相当CPIの考え方について」。品目が左についております。食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品などという品目のうち、生活扶助にかかわるものを削除している。例えば、家賃でいうと住宅扶助があるからこれは別ですね、診療代でいうと医療扶助があるから別ですね、NHKの受信料は保護世帯は対象外なので別ですねということで、生活保護を受けている方も一般の方も共通して使うものですよねというのを比較したものですと。これはわかりやすい説明なんです。
 ただし、右下にこう書いてあって、二十年の平均の一〇四・五の生活扶助相当CPIと二十三年の平均九九・五を比較すると、マイナス四・七八%だという結論が出ています。
 そこで、二点確認です。
 この生活扶助相当CPIなる考え方を使ったのは、このときの見直しだけである。二つ目、総務省のCPIはラスパイレス式を使っておりますけれども、厚労省の生活扶助相当CPIは、二〇〇八年から二〇一〇年までの計算方法、つまり、さっきの表でいうと一〇四・五、これはパーシェ式である、二〇一〇年から二〇一一年まではラスパイレス式を用いている。この二点を確認します。

○谷内政府参考人 お答えいたします。
 平成二十五年、西暦二〇一三年の生活扶助基準の見直しに当たりましては、平成二十三年から二年近く開かれた審議会において、年齢、世帯人員、地域別に見た一般低所得世帯の消費実態とのバランスに関する分析に主眼が置かれまして、給付水準自体の検証は行われなかったところでございます。
 他方、当時はデフレ傾向が続いていたにもかかわらず、平成二十年以降、生活扶助基準が据え置かれてきたことに鑑みまして、政府の判断で、平成二十年から二十三年までの生活扶助品目のみを勘案した物価指数、議員が御指摘になりました生活扶助相当CPIの変動分、マイナス四・七八%を給付水準に反映したところでございます。
 この平成二十五年の基準見直しに用いた生活扶助相当CPIにつきましては、当時、最新の平成二十二年の品目等を基準にしたため、平成二十年から平成二十二年分につきましては、後の年度を基準といたします、いわゆるパーシェ方式と同様に算出、また、平成二十二年から平成二十三年につきましては、前の年度を基準とする、いわゆるラスパイレス方式と同様に算出したものとなったものでございまして、議員が御確認になりました二点でございますけれども、生活扶助相当CPIを使ったのは、この二十五年のときだけでございますし、平成二十年から二十二年にかけてはパーシェ方式、また、平成二十二年から二十三年につきましては、いわゆるラスパイレス方式を用いて算出しているというのも事実でございます。

○高橋(千)委員 確認しました。この年だけであったということと、二〇一〇年を基点として、パーシェ式とラスパイレス式の二つを使っているということをお認めいただいたと思います。
 そこで、それは何だという話を少ししていくんですけれども、資料の4を見ていただきたいと思います。これは総務省の資料です。
 CPIのイメージということで、かごに旅行と白菜が入っているという非常にわかりやすい絵になっておりますけれども、基準時、三十万円の総費用で、これは二〇〇五年でこの当時は言っていると思いますが、買物かごの中身を買いました。それを、二〇〇五年が一〇〇となりますので、物価が、その後、五年後に上がった場合は三十一万五千円を出さないと同じものを買えない。なので、消費者物価指数は一〇五になります。逆に、物価が下がった場合、同じものを買って二十八万五千円で済んだので、指数は九五ですと。
 これをラスパイレス式というと思いますが、間違っていないでしょうかということと、その上で、同じ絵を使ってパーシェ式で計算するとどのような指数になるのか、伺います。

○佐伯政府参考人 お答えいたします。
 ラスパイレス式の消費者物価指数は、基準時の物価水準を一〇〇として、基準時の購入数量を固定的にウエート算定に用いて作成するものです。他方、パーシェ式は、比較の直近時の購入数量を、これはその時々で変化するものですが、これをウエート算定に用いて作成するものです。
 先ほど御説明のあった三十万円のかごの関係でございますけれども、そういうことで、ラスパイレス式については、今先生から御説明があったとおりなんですが、パーシェ式というのは、その時点、その時点で購入数量のウエートが変わるということですので、その変化に応じて変わってくるということになります。その数字をここで確定的に申し上げることはできないので御理解いただければと思います。

○高橋(千)委員 ですから、やはり例えて計算を説明するときには、そもそもこの買物かご自体が例えているわけですから、同じ例えでやっていただきたいなと思っているんです。
 私自身が総務省から説明を受けたパーシェの計算方法を使いますと、二〇一〇年に買物をすればあと一万五千円使えますよね。今のウエートをそのまま二〇一〇年の安いときのウエート、つまり、Tシャツがもう一枚買えたりとか、野菜が二個ずつ買えたりとか、そういう意味になるわけですよね。そこでウエートが変わってくる。それをさかのぼっていくと、二十八万五千円割る三十万五千円掛ける百、九三・四、こういうふうな数字になるのかなと思います。
 つまり、同じ個数、割合で二〇〇五年の物価を当てはめるともう少しかかる、そういうふうなイメージではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○佐伯政府参考人 今委員からお話のあったとおりだと思いますが、ちょっと具体的な事例、計算とかをしているものがないものですから今すぐお答えできないんですけれども、ラスパイレス式の場合とはちょっと変わってくるというのは間違いないということでございます。

○高橋(千)委員 資料の5を見ていただけると、買物かごではなくて、数字の表が出ております。
 ラスパイレス式というのは、基準時の数量、つまり、ここで言うと、二〇〇五年を分子も分母も掛けている。パーシェの場合は、比較時の数量、つまり、直近の二〇一〇年の数量で分子も分母も掛けているということで計算をしていくので、三つ目の囲みにありますけれども、あくまでも一般にですけれども、「一般に比較時点の数量で比較するパーシェ算式は指数が低く、基準時点の数量で比較するラスパイレス算式は指数が高くなる傾向がある。」
 これは、一般に、統計をする方なら大概の方がわかっていることである、こういうことでよろしいですね。

○佐伯政府参考人 お答えいたします。
 一般に、消費者が合理的な行動をとれば、価格の上昇した品目の購入数量は相対的に小さくなることから、ラスパイレス式消費者物価指数はパーシェ式よりも高目に推移する傾向があるとされております。

○高橋(千)委員 まず確認をしました。
 そこで、もう一度済みませんが先ほどの資料の2に戻っていただきたいんですけれども、厚労省の計算は、二〇一〇年を基準として、二〇〇八年から二〇一〇年の物価を見るときには二〇一〇年の数量を二〇〇八年に調整をしたいわゆるパーシェ式をやっている。二〇一〇年から二〇一一年の比較はラスパイレスである。これを、二〇〇八年から二〇一一年の比較ということでマイナス四・七八%ということは、違う式で計算したものを一緒くたにして出した。
 こういうやり方が許されるんでしょうか。これは厚労省に聞きます。

○谷内政府参考人 お答えいたします。
 総務省が公表しています消費者物価指数につきましては、今議員御指摘いただきましたように、定期的に品目や品目ごとの消費支出の割合、ウエートの見直しが行われておりまして、平成二十五年の見直しを決定した時点では、平成二十二年、二〇一〇年の品目等が当時の最新データであったということでございます。
 したがいまして、厚生労働省が算出した生活扶助相当CPIは、できる限り直近の消費実態を踏まえつつ、極力物価の変動の影響のみを反映させる観点から、当時の最新データであった平成二十二年、西暦二〇一〇年の品目等を用いて指数を算定したものでございまして、これについては正当なものであるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 私は、パーシェが正しいかラスパイレスが正しいかなんてことは一言も言っていません。違う計算式を比較したらだめでしょうと言っているんです。それだけです。

○谷内政府参考人 お答えいたします。
 若干繰り返しになりますけれども、厚生労働省、当時の考え方といたしましては、できるだけ直近の消費実態を踏まえつつ、極力物価の変動のみを反映させる観点から、当時の最新データであった平成二十二年、二〇一〇年の品目等を用いて指数を算定したものでございまして、それ自身は当時のきちっとした考え方にのっとって算出されたものであるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 話をすりかえているんですよ。私はパーシェが間違っているとは一言も言っていません。違う計算式で比較したらだめでしょうと。今の毎勤統計の不正でも、それが問われているんじゃないですか。それをなぜ素直に認めないんですか。低く出ることがわかっているから、偽装したと言われるんですよ。
 私がこの問題をあれっと思ったのは、先週質問した年金財政の問題、あのときに、経済前提の検討委員会をやっていましたね。その中にこういうことが書いてありました。GDPデフレーターとCPIの差について、つまり、実質経済成長率と実質賃金上昇率が随分差があるねということで、いろいろな理由を分析していくんですね。その分析の中に、CPI、消費者物価指数はラスパイレスで算式している、GDPデフレーターはパーシェなんだ、だから算式の違いの影響を受けている。これをこの中に、専門家が集まっている経済前提の委員会でこういうまとめを書いているんです。
 ですから、単純な質問です。年金局は呼んでいませんので、総務省にもう一度伺います。算式が違うものを比較して、正確なデータになるんでしょうか。

○佐伯政府参考人 お答えいたします。
 一般論ということで言えば、算式が違うものを比較するというのは適切なことではないんだろうと思います。

○高橋(千)委員 語尾が聞き取りにくかったですが、そういう意味だと思います。
 そこで、消費者物価指数は、五年ごとといっても、中間年の見直しなどもやっておりますし、個々の品目の数値は、いわゆる参考系列という形で、時々のトレンドをちゃんと公表しているんですよ。だから、何かラスパイレスがだめだとか総務省のあれがだめだとかと、いろいろな言いわけを厚労省はしているわけなんですね、裁判の中で。こんなことをしなくたっていいのになと思っているんです。
 それで、そこはおいておいて、資料の6を見ていただきたいと思うんです。この五年ごとに基準年を変えるときに、新旧基準時点のパーシェ・チェックを行っています。その目的は何かということと、二〇一〇年の値がマイナス六・六%と特別に大きいのはどんな理由が考えられますか。

○佐伯政府参考人 お答えいたします。
 総務省では、五年ごとに行っている消費者物価指数の基準改定に際して、新旧の基準時点間における消費構造の変化が消費者物価指数に与える影響を検証するため、パーシェ・チェックを行っております。
 具体的には、ラスパイレス式である消費者物価指数が五年間でどれぐらいパーシェ式から乖離したか、その差分をラスパイレス式に対する百分比によって評価しております。
 近年のパーシェ・チェックの結果は、二〇〇〇年がマイナス一・一%、二〇〇五年がマイナス二・五%、二〇一〇年がマイナス六・六%、二〇一五年が〇・七%となっており、御指摘のように、二〇一〇年において両指数間の乖離が大きくなっている状況が見られます。
 これは、二〇〇五年を基準としまして、二〇一〇年までの五年間において、価格の下落が見られたテレビ、ルームエアコン、電気冷蔵庫などの消費支出の割合が、地上デジタル放送への完全移行前の駆け込み需要や家電エコポイント制度の導入などによって上昇したことなどによるものと考えております。

○高橋(千)委員 ということなんですね。
 さっき私が生活扶助相当CPIをやったときに、生活扶助に関係あるものを除きましたねと言ったんですけれども、除いていない中に、やはりテレビやエアコンのような急速にそのとき需要があった、しかも、地デジ化ですからね、エコポイントまでついてきたという中での変化が大きく出ているんですよね。
 これは、基準にしてしまうとすごく影響があるということを生保の基準に当てはめるというのはやはり乱暴だと思いますが、いかがでしょうか。

○谷内政府参考人 お答えいたします。
 生活扶助相当CPIの算出に当たりましては、先ほど議員がおっしゃいましたように、品目別の消費者物価指数のうち、家賃、教育、医療費など生活扶助以外の他扶助で賄われる品目と、自動車関係費などの原則生活保護受給世帯には生じない品目は除いている一方、生活扶助から支出することが想定される品目については全て含めて算出しております。
 仮に、生活扶助費で購入することが可能な品目につきまして、物価下落幅が大きいからといって恣意的に除外したり、生活扶助相当CPIの算出上の消費割合を減らしたりすることは、基準の合理性や、全額公費で賄われる生活保護制度そのものの信頼を失うことになりかねないため、適切ではないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 適切ではないとおっしゃいましたけれども、生活保護受給者は、当時、地デジ化でみんな嫌でも買いかえなきゃいけなかったときにテレビを買いかえることができないから、チューナーを無料配付したんですよ。買いかえていないんです。テレビは持っているけれども、だましだまし使っているんです。それを、同じ比較をしたらだめでしょうと。それは明らかです。
 裁判で開示をされた資料を見ていきますと、テレビは二〇〇八年は二〇五・八です。二〇一一年は六九・一と、三倍の差があるんですよ。ウエート九七で、これを比較してしまうと大きく差が出るのは当たり前なんです。
 それこそ、恣意的に数字が使われた、生活保護の実態をわかっていたらこれを除かなければ正しい比較にはならないことをわかっていながら使って、保護基準を引き下げるためにやったとしか思えません。
 そうでないとすれば、情報公開にも応じていませんから、きちんとした資料を出して説明していただきたい。そのことは検証が必要だということを要望して、また次の機会にしたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。

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