国会質問

質問日:2019年 4月 12日 第198国会 厚生労働委員会

毎月勤労統計不正ー年金施策に影響

年金改定ルールやめよ/不正調査の影響検証せよ/高橋氏

国民の要求くみ上げ論戦
 高橋千鶴子議員は12日の衆院厚生労働委員会で、毎月勤労統計での不正調査による年金施策への影響を改めて検証し、年金額を確実に減らす年金改定ルールの実施はやめるよう求めました。
 高橋氏は、年金財政の検証に取り組んできた専門委員会の報告の文言が、毎月勤労統計の不正発覚を受けて一部削除されていたことを指摘。「毎月勤労統計のデータは、これまでも『実質賃金上昇率』を見るうえで活用されていたのか」とただしました。
 厚労省の木下賢志年金局長は「毎月勤労統計のデータを用いていたが、本年1月に毎月勤労統計調査の不適切な事案が発生したため(毎月勤労統計のデータに代わるものとして)国税庁の民間給与実態統計調査を用いて、結果は変わらないことを確認した」と答弁しました。
 高橋氏は、毎月勤労統計と民間給与実態統計では、直近20年では結果は同じでも年ごとの比較では数値が大きく違っていると指摘。2021年に開始される年金改定ルールは、賃金の短期的な落ち込みであっても年金額を確実に減らすことを理由にしていることを示し、「少なくとも賃金スライドはやめるべきだ」と述べました。
( しんぶん赤旗 2019年04月26日付より)

―議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まず初めに、通告にありませんが、根本大臣のお考えを伺いたいと思います。本当に簡単な質問ですので、お願いします。
 櫻田オリパラ担当大臣が、自民党議員のパーティー席上で復興より議員という発言をして、辞任に追い込まれました。更迭という記事もあるようです。私も、東北の人間として、やはり、八年たった今もなお、大切な人やふるさとを失った悲しみが癒えることはなく、建物、道路、鉄路など復興が進む一方で孤独死などもふえている、そういう中でまたも被災地を傷つけたと、許せない思いであります。
 根本大臣も福島の御出身で、二〇一二年に国会に返り咲きされてすぐに復興大臣を務めました。今も、全ての大臣が復興大臣であると、安倍内閣は位置づけているはずです。この発言について、大臣の思いをお聞かせください。

○根本国務大臣 私は、安倍内閣の初代復興大臣として、復興大臣が一番必要なのは被災者の皆様に寄り添うということであります、被災者の皆様に寄り添って、魂を込めて復興に取り組んでまいりました。
 被災地の皆様のお気持ちを傷つける発言、私は極めて残念であります。安倍内閣は、全ての大臣が復興大臣。被災地の復興に私も全力を尽くしたいと思います。そして、より一層緊張感を持って政策を進めていきたいと思います。

○高橋(千)委員 極めて残念というお言葉をいただきました。後任の鈴木オリパラ担当大臣も岩手の出身でありまして、不適切だという発言をされていると思います。やはり、内閣の一員であるからということではなくて、本当にこういうときは率直な意見を発してほしいなと思っておりましたので、まずこの言葉をいただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 五年ごとの財政検証のために、年金財政における経済前提について、専門委員会が取り組まれてきました。三月十三日に検討結果の報告が出されたわけですが、その中で、財政検証に用いる経済前提の基本的な考え方において、毎月勤労統計調査のデータはどのように使われてきたのでしょうか。

○木下政府参考人 お答えいたします。
 財政検証の経済前提につきましては、社会保障審議会年金部会のもとに設置いたしました、専門的、技術的な検討を行うために経済、金融の専門家で構成する、年金財政における経済前提に関する専門委員会で平成二十九年七月より議論を行いまして、本年三月に取りまとめたところでございます。
 専門委員会におきましては、平成二十九年十月に経済成長率と賃金上昇率との関係について分析を行っておりまして、その中で毎月勤労統計のデータを用いておりました。しかしながら、本年一月に毎月勤労統計調査の不適切な事案が発生したことから、専門委員会の委員長と相談の上、国税庁が行っている民間給与実態統計調査を用いて改めて分析を行いまして、結果として、別の統計を用いても結果は変わらないということを確認いたしました。
 いずれにしても、三月に取りまとめました専門委員会報告書におきましては、民間給与実態統計を用いた分析に基づいておりまして、毎月勤労統計調査のデータは使用しておりません。

○高橋(千)委員 資料の一枚目を見ていただきたいと思います。
 これは、上の段は、昨年の十二月十五日の専門委員会における議論の経過報告の案であります。そして、その案が取れたものが三月十三日で、下の段にあるんですけれども、囲みのところをばっさり削除しております。
 見ればわかるように、毎月勤労統計調査のデータを用いて調べたところとあって、年平均で一・六%程度の差が見られた、経済成長率に比べて一人当たりの伸び率は低いということがあって、その下の方は、いろいろその理由はこうだこうだというふうにあるんですけれども、やはりこれは、統計不正が発覚して、積み上げてきた前提の議論にここでまた修正をかけなければならなくなったということ自体が非常に重大な問題ではなかったかなと思うんですね。
 それで、二つ続けて質問したいと思います。
 まず確認は、経済前提の議論というのは、要するに五年に一回、財政検証をやるときにやっているわけですから、そのときも、毎月勤労統計調査のデータというのは実質賃金の上昇率を見る上で活用していたと思いますが、それを確認したいと思います。
 もう一つは、今おっしゃったように、国税庁のデータを使ったんだけれども、結局違いはなかったと。要するに、毎勤統計は、十五年間以上数字が違っていたわけですよね。それで出ていって、それを使ってやったデータと国税庁のデータを比べてみたら違いがなかったというのはどういう意味なのか、お答えください。

○木下政府参考人 まず、財政検証におきまして毎月勤労統計調査についてはどのようにこれまで使われてきたのかということですが、今委員も御指摘がありましたように、過去の委員会におきましても、過去の物価とか賃金等の経済状況の動向を見る際の参考指標の一つとして用いておりまして、そういう中で議論をされているということでございます。
 それから、今回、一月の毎月勤労統計の不正事案が発生した以降に、民間給与実態調査を使いました結果についてほぼ同じだったということ、済みません、今委員がお配りされている資料の二ページ目でございますが、その中にございますけれども、先に言ってしまって申しわけございませんけれども、一九九六年から二〇一五年の平均で、一番下の欄でございますが、民間給与統計調査ではマイナス〇・六となっております。そして、毎月勤労統計もマイナス〇・六。この平均で、二十年間の平均が同じだったということで、結果に違いはなかったというふうに判断したものでございます。

○高橋(千)委員 まず、前段の質問については、実質賃金を見る上で参考資料としているということでありました。これは、経済前提のあり方についての報告の中でも、肝心なのは名目ではなくて実質賃金であるということが強調されておりますので、やはり今の議論というのは、山井委員も始めとする勤労統計の問題の議論というのは非常に大事ではないかと思います。
 それから、今お答えいただいた、何で違いがないのかということについてなんですけれども、国税庁の調査を使って、民間給与実態統計を、今、資料の2を開いていただいていると思うんですが、左側を見ていただくと、毎月勤労統計のこれは再集計前の数字でありますから、正しくはないわけですよね。結局、不正がまだ直されていない数字であります。
 ですから、一年ごとで見ていただくと、全く数字が違います。二〇〇六年だと、マイナス一・一に対して毎勤統計は〇・三、二〇〇七年だと、〇・一に対してマイナス一・〇ということで、大分違うんですね。これを二十年でならしてみたらマイナス〇・六でぴたっときた、これはすごいなと思ったんですけれども。
 しかし、これは結局どういうことなんでしょうか。これは再集計してもしなくてもいいんだという意味ではないんでしょう。それは二十年で見たからいいのであって、個々のデータが正しかったという意味にはなりませんよね。

○木下政府参考人 今委員御指摘の2の資料でございますが、確かに毎年の違いはございます。
 これをなぜ用いたかといいますのは、実質経済成長率と実質賃金上昇率が過去は比較的連動していたということだったんですが、近年は実質賃金上昇率が経済成長率よりも低いというところの原因を分析するということでございましたので、あくまでも、一年ごとに何か違いがあるということを分析するわけではなくて、傾向値の分析でございましたので、そういう意味で、今申し上げたのは、トータルの二十年平均がほぼ違いがなかったということを申し上げたところでございます。

○高橋(千)委員 そうなんです。二十年のトータルで見たら違いがなかっただけの話であって、毎勤統計が正しくなかったということが影響がないという意味ではないということをやはり私は指摘したいと思うんですね。
 それと、今ちょっとおもしろいことをおっしゃいましたけれども、経済の伸び率と賃金の伸び率が、前はそんなに違いはなかったんだけれども今はすごく違うということで、これはおまけですけれども、資料の三枚目に「過去二十年間の平均伸び率の比較」というのをつけておきました。
 結局、労働者一人当たりで見ると、実質経済成長率の方は若干上回っているんだけれども、賃金で見ると一人当たりにする方が低いわけですね。結局、実質賃金上昇率はマイナス〇・七%、これが実態である。なので、総理はいつも、雇用者全体で見るとというふうな答弁をされるのであろうということの謎解きができたなと思うんです。
 質問は、今回、二〇一六年年金改革法、いわゆる年金カット法の附帯決議への対応として、二〇二一年からの賃金物価スライドの見直しを導入した際、まだ始まっていないけれども、もし実際にやったらどういう影響が出るかということを評価しなさいということが宿題となったんですが、今の作業で何がわかっているでしょうか。

○木下政府参考人 今委員御指摘のありました平成二十八年の年金改正法の中で、賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方が徹底されたわけですけれども、その法案審議の過程におきまして、「景気循環等の影響で新たな改定ルールが実際に適用される可能性も踏まえた上で、国民が将来の年金の姿を見通すことができるよう、現実的かつ多様な経済前提の下で将来推計を示すべく、その準備を進めること。」と附帯決議がされております。
 この課題に対応するために、先ほどの、経済、金融の外部専門家で構成します、年金財政における経済前提に関する専門委員会におきまして、賃金上昇率が一時的にマイナスとなるような経済変動を仮定する経済前提も設定をされました。
 その上で、三月の十三日の年金部会で、年金改定ルールの見直しの効果を測定するオプション試算をするようにというふうに取りまとめられまして、現在はそのオプション試算に基づいて実際の検証作業を進めているところでございますので、まだ今は現在進行形というところでございます。

○高橋(千)委員 これは、きのう説明を受けたときに、振り幅がとても大きいんだ、つまり、バブルとリーマン・ショックを比べたくらいの振り幅なのでなかなか難しいんだという説明を受けたわけなんですね。
 私が言いたいのは、さっきお話しされたように、二十年というスパンで見ると賃金上昇率は大体同じだし、百年でとんとんにすればいいんだよ、そういう議論を多分皆さんされるんですね。だけれども、年金受給者一人一人の実態から見れば、二十年なんて待っていられないわけなんです。毎年の、毎月の暮らしがかかっているわけです。
 資料の4に賃金スライドの図をつけておきましたけれども、真ん中のポンチ絵の上の「◎賃金・物価スライドの見直し」ということで、「賃金・物価動向など短期的な経済動向の変化に対応」と書いている。「短期的な」と。
 結局、GPIFの話ですとかいろいろな話をするときは、絶えず、長期的に見れば大丈夫なのよという話をします。実際には、なかなかそれは振り幅が大きい話なのよと言っているんですよね。だから、短期的にそういう経済がうんと落ち込んだときに、確実に年金を減らす、でも、それは必要ないでしょう、長期的に見てとんとんであるのであれば。
 一瞬であっても、年金受給者にとっては本当に大変なことなんです。だから、賃金スライドというのはやめるべきだということを指摘したい。
 時間が来てしまいましたので、私はきょうはここで、時間を守って終わります。

―資料ー

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