国会質問

質問日:2005年 4月 13日 第162国会 農林水産委員会

農業経営基盤強化法 ―参考人質疑

農林水産委員会は13日、農業経営基盤強化促進法「改正」案などについての参考人質疑を行い、3氏が意見陳述。高橋千鶴子議員が質問しました。法案は一般株式会社の農業参入を促進するもので、中小の家族経営農家に困難をもたらしかねません。秋田県北秋田市農業委員会会長の後藤久美氏は「農業経営は家族経営が基本になるべきだ」と強調。改造改革特区で有機農業を展開する居酒屋チェーン・ワタミファーム社長の竹内智氏は「全国展開に向けもっと自由に参入できるようにしてもらいたい」とのべました。

(2005年4月14日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうの三人の参考人の方々には、お忙しい中、本委員会にお運びいただいて、本当にありがとうございました。また、それぞれに大変興味深く参考になるお話でございました。ありがとうございました。

 最初に、後藤さんにお伺いをしたいと思うんですが、私もお近くの小坂町の出身でございます。現在、農業委員の役割の大きな一つといいましょうか、目的が、お話にあった担い手への土地の集積だというふうに位置づけられているかと思います。先ほどのお話を聞きますと、昼夜を分かたず、出し手と受け手の調整ということで努力をされたというお話をされておったと思いますけれども、農業委員の数が非常に減らされたりとか、御自身が農作業をされる、そういう中で、非常に困難な仕事ではあるかと思うんですね。

 そういう点で、まず、担い手への土地の集積というのをどのように取り組まれたのかということをもう少し詳しく伺いたいのと、新規就農においてこれがどのように生かされたのかというのを伺いたいと思います。

○後藤参考人 お答えをいたします。

 集積に対しましては、農業委員の中に認定農業者が圧倒的に多いということであります。ですから、地域も小さいということもありますけれども、それぞれ全体に目が届いているということであります。それとあわせて基本台帳を電算化いたしましたし、それから、農地を一筆ごとに全部コンピューターに入れていますので、これから農地がどういう動きをするのかというのがそれで見える形をとっています。ですから、そういう意味で、認定農業者に対する集積というのはやりやすい。

 それにあわせて、農協の農地保有合理化事業と合わせていますので。先ほども申し上げましたように、出し手と受け手との間を直接つないでしまうとなかなか面集積ができなくなる。ですから、出し手と受け手の間に農協を入れるということであります。そうすると出し手と受け手の間での交渉がなくなりますので。ですから、農協に来た段階で、担い手の方々、認定農業者の方々に面集積をしながら集積をさせております。

 それから、新規就農に関しましては、今現在三名ほどおります。出身地は、遠くは岐阜市の方、それから福島市の方、それと地元なんですけれども秋田市の方、三名がおります。すべて三十代、若い人は三十代の前半に来ていますけれども、これを地域の法人の研修に入れています。これは県の事業であります新規就農支援という形でやっていますけれども、県の農業会議所が窓口となりまして一年間研修をさせる。そして、その二年目、大体二年ぐらい研修しないと一人前に――一人前にはならないんですけれども、できないものですから、二年目はその法人で働いて少し給料をいただいて、それから新規就農をする。そして、町としては住宅に対する補助をしております。年間上限で三十万ですけれども、住宅補助をしております。

 以上です。

    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

○高橋委員 農業委員が地域のことをよく周知しているということと、JAの役割ということが非常に教訓的にお話しされたかと思います。

 それで、先ほど、規模拡大の農家だけではなく小さな農家も、全部あって全体として農業が成り立っているんだという、非常に示唆に富んだお話があったと思いますが、新基本計画の方向というのは、担い手に土地を集約すると同時に、そういう零細なところは土地を出して、集落営農という形も担い手になり得るんだ、ただしそれは法人化という形での検討をされているわけなんですけれども、この集落営農の法人化ということが今後うまく進んでいくのか、あるいは今の取り組みの中でもう既にそれは見えているんだよということなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○後藤参考人 この集落法人化というのはやはりこれから大事になってくる、こう思います。

 実は、先ほどお話ししなかったんですけれども、地域において特定農業法人を立ち上げた経験がございます。

 これは小さな集落なんですけれども、十八戸ぐらいの集落で、水田面積が十一ヘクタールぐらいにないところでございます。もちろん認定農業者も担い手もいないところでありますけれども、その集落の方々が、農地がなくなれば集落の崩壊につながるんだということを言っていました。我々は一生懸命管理をしているけれども、やはりこれで生活できるということではない。ですから、何とかならないのかと。この集落の農地を我々だけで管理していきたいということで、それじゃ特定農業法人を立ち上げればどうかということで、農業委員会が月に何回もその集落に足を運びまして、納得するまで二年ぐらいかかりましたけれども、立ち上げております。

 そこで、先ほど申し上げました、私がやっている比内地鶏の切りたんぽセットに欠かせないセリが必要ですので、そこにセリをやらせようとして今盛んに勧めているところであります。

 以上です。

○高橋委員 ありがとうございます。

 もっと聞きたいんですが、時間がないので、済みません、武内さんに今度お伺いをしたいと思います。私も有機議連に入ってございます。

 ワタミファームはリース特区と農業生産法人の二本立てで経営をされてきて、そういう中で、いろいろな困難をクリアしてこれまで発展されてきたと思うんですけれども、今後さらに全国的にワタミファームとしての展開を展望されているということで、まずその一番の目的が何かということと、その際に、今回は特区を全国展開というふうな形でやるわけですが、その手法によって参入しようとしているのか、まずそこを伺いたい。

○武内参考人 お答えします。

 全国展開については、やはり私個人の考えでもありますし、夢でもありますし、全国に有機農業を広げたいと。ただ、今現在〇・一七しかないという、遅々として進まないのは、やはり生産規模が小さい、生産規模が小さいから、物がないから売れない、この悪循環に入っていると思いますので、とりあえず生産量をふやして市場に少し出せるような形をとっていきたい。そのためには、有機の方たちとは、現在、地域の農業生産者、全国の生産者五十軒ぐらいと連携をしておりますが、これでは非常に時間がかかるものですから、私どもの若い社員を育てて各地に農場展開をしていきたいな、これが一番早い、そしてその中で、地元の有機の方々とまた連携をするというふうな広がりを持たせたいなというふうに思っております。

 展開につきましては、リース特区だろうが農業生産法人だろうが、やりやすい方向で行きたいと思っています。この形は特にこだわりません。例えば個人であってもいいのかもしれませんし、この形は全く今のところこだわっておりません。

 以上でございます。

○高橋委員 居食屋という名前で外食チェーンを展開されていて、その中で有機を出すということは非常に魅力の一つとなっていると思うんですが、今後、リース特区の全国展開に当たって、国の基本計画でも外食産業、食品産業との連携ということが非常に強く打ち出されているわけですけれども、この分野で外食産業の競合が強まるというふうにお考えでしょうか。

○武内参考人 食材は本来安全であるべきだと思っております。ただ、今まで安さを追求したり、あるいは海外の物だけでやっているところも多々あります。そして、名前だけ有機で使うというふうな差別化も既に出ておりますが、そうではなくて、ベースとして当たり前のように有機農産物を私どもが使っていくためには、今の市場から買い入れるのでは非常に無理があります。ですから、これを各社が追随するかといいますと、やはり農業の参入についてかなり壁がありますので、なかなかこれを越えられないだろうな、だから、これをもう少し敷居を低くしない限り、これは本気になった、あるいは本当の意味での競争は出てこないような気がします。

○高橋委員 そういう意味で、先ほど最初にお話しされたさまざまなメリット、デメリットというのを、ワタミさんの立場での考え方、非常によくわかります。

 それで、特区にはさまざまな規制緩和があると同時に、財政面ではメリットがないということで、今後の展開においては、やはりもっと自治体の支援なり、そういうのがあってしかるべきだというふうなお考えかと思うんでありますね。そうすると、参入しようとする企業、ワタミさんに限らず、やはり特区の全国展開ということが本意ではないのではないかと、それだけじゃ済まないよという話が本来あるんだろうと思いますけれども、率直に伺います。どうぞ。

○武内参考人 リース特区については、私自身は余り意味がないというふうに思っております。

 なぜ農地をこれだけがんじがらめにしなきゃいけないのか。片方では、先ほどから話が出たように、相続等、農地法を厳格に適用していない等、ざるがたくさんあります。ただし、入り口のところを非常に難しくしております。でも、一たん入ってしまえば、これほどざるはない。大学と似ているのかなというふうに思いますが、なぜこういうふうにしなきゃいけないんだろうと。そのために、そこにお金も含め、農水の予算三兆円ですか、何がどういうふうに使われているかよく存じませんが、なぜ新規の参入に、先ほど後藤さんがお話しされたように、新規就農者と同じような扱いを特区の方、企業にもしないんだろうかと。これは非常に不思議です。

 普通に考えて当たり前のことが当たり前じゃないのが、今のリース特区のような気がします。

○高橋委員 余り意味がないとはっきりおっしゃいましたので、今後については政府と我々の議会の中でまた意見を述べていきたいと思います。大変参考になりました。

 次に、遠藤さんにお伺いしたいと思うんですけれども、やはり自治体においては雇用対策、地域振興として特区を位置づけているというのが、喜多方の場合もそうだと思うんですね、特区構想の中身がそうであって。それで、私、今は青森県の出身でございますので、やはり同じように建設業の比率が非常に高く、また景気の低迷が続いている中で、建設業と農業の連携ということが実際検討もされておりますし、今後検討されていくんだろうというふうに思うわけです。

 ただ、さまざまな問題があるかなと思うんですけれども、今後の全国展開においてこの分野での発展というのが見込めると思うのか、率直に伺いたいと思います。

○遠藤参考人 お答えします。

 福島県喜多方市におきまして四社特区に参入しました会社のうちの一社がことしの三月に倒産することになりました。全国で特区で倒産したというのはこれが初めてかどうかわかりませんけれども、やはり厳しいものがあるんじゃないかなというふうに思っております。

 それで、今後の展開で、公共依存型の地域はなおさらのこと、体力のあるうちにこういった新分野に出ていくのは、今後必要かと思われます。といいますのは、今後五年間、合併特例債によりまして公共事業がある程度ふえることは予想されますけれども、それは土木建築業界においては単なるカンフル剤であって、その五年後にまた急激な落ち込みが間違いなく来ると予想されるので、新たなる取り組みとして農業に取り組むということは、これから非常に有意義なことと考えております。

○高橋委員 時間が参りましたので、ありがとうございました。


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