国会質問

質問日:2005年 4月 14日 第162国会 農林水産委員会

農業経営基盤強化法質疑

高橋千鶴子議員は14日の農水委員会で、株式会社にもリース方式で農地を貸し付けて農業参入を認める農業経営基盤強化法改正案について質問。リース特区で一年しかやっていないのに全国展開しても問題ないと評価を下すのは早すぎるとただしたのにたいし、農水省の須賀田菊仁経営局長は「農業経営としてうまく軌道に乗るかどうかを今少し見る必要がある」と参入企業の農業経営が安定する保障がないことを明らかにしました。島村宜伸農水相は「農地を農業のために供しうるものが取得すべきであるとの耕作者主義は踏襲する」と答弁しました。

(2005年4月16日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 リース特区の全国展開について中心的に伺いたいと思います。

 平成十六年十月一日の調査で、営農を開始した法人が六十八あるということでございます。食育ですとか、環境ですとか、地産地消ですとか、さまざまな目的、計画を自治体が持って始めたわけでありますけれども、まず最初に、この特区において自治体独自の支援策をやったのがどのくらいあって、その支援策にはどのようなものがあったのか、伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 リース特区、昨年の十月で三十五特区、六十八法人の企業が参入をしております。私どもが調べたところによりますと、この参入法人に対しまして、十三の特区で、施策数にいたしまして二十一施策の都道府県単独あるいは市町村単独の支援策が活用をされております。

 その内訳、いろいろでございますけれども、機械施設の整備に対する助成というのが最も多うございます。それから、遊休農地の復旧に要する経費の助成、あるいは鳥獣害防止施設、種子とか苗代の助成、こういうものが行われておるわけでございます。

 これは、内容は、特区の参入法人に限定したという支援ではなくて、既存の農業振興のための支援策を活用したものになっているようでございます。

○高橋委員 限定したというものではないという今の説明でございましたけれども、それはさまざまあるかと思うんですね。自治体の振興策、例えば雇用対策とか、そういうものの中で位置づけたとか、あるかと思うんですけれども、そういうものもきちんとまず見る必要があるだろう、どのようになっているのか。

 なぜそう言うのかといいますと、この自治体の支援策については、私が資料を求めた時点では一切農水省として把握をしておりませんでしたので、それから今こうした数字が出てきましたので、そのことをまず指摘をしておきたいと思います、次につながる問題でありますので。

 それで、骨太の方針のこともありまして、評価のための委員会で特段の問題が生じていないと判断されたものについては速やかに全国規模の展開をするんだということで、一年でリース特区の全国展開ということが今方針として出されたわけであります。

 ただ、昨日の参考人の質疑の中でも、土地の開墾から始めて、実際にそれを収支が出るようなところまで持っていくのには五年でも厳しいということがあったり、また、一年で評価をするというのは非常に難しいのではないかという率直な指摘があったと思うんですね。

 やはり、そうしたことを踏まえれば、わずか一年で評価するには早計過ぎるのではないかということが一つと、実際、評価に足る結果が出ているのか、このことを伺いたいと思います。

○須賀田政府参考人 私どもの調査によりますと、六十八法人が参入していると申し上げましたけれども、このうち農作物の収穫を行いましたのは四十二法人でございます。その四十二法人も、経営的にちゃんと成り立っているのかといいますと、なかなかそこは難しいところでございます。ただ、このリース特区の参入法人、弊害があったかといいますと、そういう現場での混乱等はありませんでした。

 それから、地元の市町村の評価としてどうかといいますと、先ほど先生言われましたけれども、雇用の機会がふえたとか、あるいは耕作放棄地の解消とか発生防止が行われたとか、あるいはNPO法人が来ていただいて都市農村交流を図られたとか、いわゆるプラスの評価がございました。

 ただ、そういうことで、今般、我々の法律、経営基盤強化促進法の中に取り込んだ、これを全国展開というふうに称していますけれども、現行の仕組みと同じようなものを取り込みまして、そして、いま少しその状況を見たいというふうなことで今回法案にお出しをしているわけでございます。

 やはり、私ども気になりますのは、この制度が、耕作放棄地の解消策のための緊急措置である、それから、市町村と協定を締結して適正な耕作の担保がなされているんだということ、そこが適正に働くかどうか、すなわち、農業経営としてうまく軌道に乗るかどうかをいま少し見る必要があるというふうに、正直思っているところでございます。

○高橋委員 弊害がありませんでしたと断定なさったのも、なさるほどではないかなとは思いますけれども。

 まず、雇用や遊休農地、雇用が一定ふえたとか遊休農地が解消されたというのは当然なわけですよね、初動なわけですから。始まって全く雇用がなかったなどということがあってはならないわけですから、それは、初動では当然そういう評価が出てくるだろうと。

 ただ、それは逆に言うと、五年間で遊休農地を幾ら幾ら解消しますというふうな計画がございます。それは五年見ないとやはりわかりませんよね。あるいは、規制がきちっと働くだろうか、協定を結んだけれどもちゃんと成るだろうかとか。産廃をまさか一年目でいきなりつくるところはないでしょうし、そうした意味では、弊害というのはなかなかそれは今一年で見ることはできないだろうと。

 ですから、局長も今、一定見る必要があるとおっしゃったと思いますけれども、しかし、全国展開はもう進めるということですよね。その点、いかがですか。

○須賀田政府参考人 このリース特区制度の農地制度の中における位置づけをちょっと考えていただきたいわけでございます。

 私ども、農地制度の基本は、やはり、きちんと農業経営をするんだということをチェックいたしまして、それなりの人に入っていただく、そして農地の転用は原則として禁止するんだ、こういうことで農地制度の根幹ができているわけでございます。

 それがうまく機能しておれば、こういうリース特区制度とか、そういう話も出てこないわけでございますけれども、そういう基本的な考え方で進んだあげく、耕作放棄地というものが出てきましたので、この耕作放棄地というのを解消するためには余りきれいごとは言っておれないということで、緊急の措置として、協定による条件といういわば逆櫓をつけながら農業生産法人以外の企業の参入を認めていく、こういう位置づけなわけです。そうすると、弊害がなければその目的は達成しているのではないかと。ただ、プラスの面で見る、農業経営がうまくいっているかどうかというのはまだわかりせん、その評価は。

 そういうことで、一回そのままの仕組みを経営基盤強化の中に移して、農業団体の意見も聞くようにいたしますし、担い手へ集積するか企業へ集積するかもちゃんと市町村段階で調整するようにして、いま少し様子を見たい、こういうことでございます。

○高橋委員 今、きちんと、農業とかあるいは転用は禁止だとか、農地制度の根本をしっかり守るということをおっしゃったなと思ったら、それがうまくいっていないからリース特区を推す、全国展開とおっしゃったので、逆に言うと、この全国展開が失敗したときは戻るところがあるのかなと大変不安を感じました。それは指摘にしておきます。

 そこで、時間がないので一言で答えていただきたいんですけれども、耕作放棄地やあるいは耕作放棄地になりそうな農地等が相当程度存在する地域を市町村が参入区域として設定するわけですが、その範囲ですね。参入区域には限度がありませんね、いわゆる市町村丸ごととか県の大部分とか。今合併も進んでおりますが、そういうことになりますね。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

○須賀田政府参考人 区域のとり方は市町村にお任せをするということでございます。

 といいますのは、受け手がいるかどうかというのは地域によって違うわけです。その社会的条件でございます。耕作放棄地がどの程度あるかというのもまた地域によって違うわけでございますけれども、その市町村長さんが判断をして、受け手がいないなというときには耕作放棄地面積が少なくても結構広く参入区域をとってもいいと。一方で、そういう参入区域をとるときには農業団体の意見も聞くわけでございますので、その調整のシステムもできているということでございます。

 そういうことで、市町村長さんの裁量にお任せしてもいいだろうということでここの制度をつくったわけでございます。

○高橋委員 いろいろ言うけれども、範囲には限度がないということだと思うんですね。今の特区もかなり市町村をまたいでいたりしまして、半島全体が特区になっているじゃないかとか、そうなっているわけですけれども、突き詰めていくと、日本全国ほとんどのところが参入可能ということもこれあり、あくまでも市町村長が判断した場合ですよ、そういうことなんだろうなということが整理をされたと思います。

 その上で、確認をしたいと思うんですけれども、さっき、十三特区、二十一の施策に対して自治体が支援をしているというお話があったんですけれども、自治体には目的がございますので、雇用だとか地域振興だとか、それに結びつけているということで、例えば、ここではホウレンソウなんだとか、ここではシイタケなんだとか、そういう作物をつくるところにお金を出しているわけですよね、施設の補助金だとか。そうやって限定している、特区にテーマを決めている、そのことが特区の魅力でもあり、そこに参入した企業のPRにもなるだろうということは一つ言えると思うんですね。

 ただ、やはり企業の立場からいうと、その他の規制緩和はそのままだ、土地をリースできるというそのことだけで全国展開という点では、全国展開になっちゃったときには余り魅力はないのではないかと。つまり、その先を企業は望んでいるだろうということ。それをどう見るかということと、逆に言うと、自治体にとっては、今は範囲がないんだと。そうしたら、今全国にある売れ残りの工業団地のように、遊休農地をみずからがならし、そしてたくさんの特典をつけて企業誘致をせざるを得ないということに追い込まれざるを得ないこともこれありと。一言でお願いします。

○須賀田政府参考人 余り悪意の目で見てほしくないんですけれども、行って見ていただいたらわかると思いますけれども、ああ、これならほかの企業が参入してもしようがないなという地区でやはり行われております。農業のリース特区に限っては手続は簡素化するわけでございますので、その意味で参入企業のプラスにもなるというふうに思っております。

○高橋委員 大臣に最後に伺いたいと思うんです。

 まだ言い尽くせないことがあるんですけれども、これはやはり通過点だろうと。農地法の根本に触れるということではないのかなと思うんですね。やはり、戦後の農地改革の成果として農地を解放した、そのことを生かして、生産者を守ると同時に、耕作する者だけが土地を持てる、そしてそのことによって生産力をしっかりと維持するんだ、それが国民の食料を賄うことになるんだという耕作者主義、このことを変えるつもりはないということで大臣の決意を伺いたいと思うんですが。

○島村国務大臣 農業は、通常、土地から得られる利益が他産業に比べ小さいために、耕作に従事する者が農地に関する権利を取得して、そこから得られる利益を享受する形態が、農業を営むのに最もふさわしいものと私どもは考えております。

 具体的には、農地法第三条で、農地の権利取得に際しては、農地のすべてを耕作すること、必要な農作業に常時従事すること、農地を効率的に耕作することができることなどを条件としており、これを耕作者主義と呼んでおります。

 このように、農地は、これをきちんと農業の用に供し得る者が取得すべきであるとの考えは、これからも踏襲していく考えであります。

○高橋委員 終わります。ありがとうございました。

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