国会質問

質問日:2005年 10月 19日 第163国会 農林水産委員会

燃油高騰問題

 19日の農水委員会で高橋千鶴子議員は、原油高騰で苦しむ漁民に対する本格的な支援策を求めました。高橋氏は「燃料価格が1.5倍の値上げになっている。サンマの漁獲量は昨年の1.2倍なのに魚価は0.5倍。二重の苦しみだ」という三陸漁民の実態をあげて要求。小林芳雄水産庁長官は「燃油高騰にも耐えられる経営に転換して」と構造改革が必要と答弁。高橋議員は現状の対策では「一般の漁民ははじきとばされることになる」と批判しました。

(2005年10月21日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来、原油の価格高騰問題が話題になっておりますが、私も、東北の選出でございますので、水産、農業、あるいは運送業界、本格的な冬場に向かう上で、灯油の心配など、深刻な訴えを受けております。政府としても力強い答弁を先ほど来されておりますが、こうした不安にこたえる取り組みを強くお願いしたいと思っております。

 そこで、水産に絞ってお話をさせていただきます。

 漁業者は、既に、低速運航や、集魚灯を節約して昼間の運航に変えるなど、努力をしております。しかし、サンマのように夜でなければだめな魚種もあるし、できる努力は既に限界ではないかという思いがいたします。

 例えば、岩手県では、サンマに依存している地域も多いのですが、漁獲量は前年比の一・二三倍にふえております。それなのに、金額では〇・六七倍、単価は〇・五五倍、半分になっているわけですから、とてもやっていけるわけがありません。もともと魚価が低迷しており、価格の上昇分はとても吸収できない、まさに二重の苦しみであります。A重油の末端価格は、昨年夏までリッター四十円台で推移していたものが、現在は五十円台後半から六十円台まで上昇、一・五倍であります。発泡スチロール、漁網、ロープ等、石油系漁業資材の価格も一、二割値上がりしています。主力品である塩蔵ワカメ、乾燥昆布など、生産から加工、流通の全体に影響を出している、船を出すほど赤字だ、休漁した方がまだまし、そういう声が各地から聞こえております。

 そこで、水産庁が打ち出した対策の目玉である、いわゆる省エネですね。新たな整備への融資では、やはり、体力が落ちている漁業者にはその力がないと思います。また、燃油施設の統合、在庫の一元化、流通の合理化に対する漁連への補助、二割補助にとどまっておりますが、北海道などでは検討が始まっており、地域によっては大いにそれを活用したい、そういうところがあるのは当然ですし、ふさわしいところもあるかと思うんです。ただ、それは、地域によっては地理条件がございますので非常に困難だと、今余りにも整備がされていない中で、時間もかかるし間に合わない、そういうことが実際ある。

 ですから、急がれるわけですよね、やはり漁業者を直接励ます支援策、まさに、先ほど来価格補てんができるできないなどという話もありましたけれども、例えば休漁補償に匹敵するような、そういう直接の支援策を考えるべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。

○小林政府参考人 今先生御指摘のように、さまざまな影響が水産関係に出ておりまして、私どもが今講じております対策でありますが、その基本をまず御説明申し上げますと、やはりコスト構造ですね。燃油の高騰、これも一つの構造問題としてとらえまして、それに対応できる漁業経営に転換していただく、これを道筋をつけなくちゃいけないというのが基本でございまして、それは今お話しになった省エネ対策等で、十八年度概算要求等が中心になっておるわけでございます。あわせまして、新しい経営に転換する際に、やはり、それまでの間どうやって経営をつないでもらうか、それは今の利子補給方式によりますいわゆる運転資金の融通等、こういったことが基本であるわけであります。

 その中で、御指摘がありましたように、漁業の種類やあるいは地域によってさまざまに事情が違いますので、どうやってそれを効率的に取り組んでもらったらいいのか、これは非常に大きな課題でございます。私ども、一応いろいろな形の大枠の対策の枠組みは示しておりますが、これからむしろ、これを各地域、漁業実態に合わせまして、どういった対策が本当に効果があるのかということをよく漁業者の皆さんにも考えていただき、我々もそれをサポートしていくというふうに考えております。

 それで、例えていいますと、省エネ対策一つとっても、ハード面で発光ダイオードがよく出ますけれども、ああいったものがありますし、それからソフト面では、例えば操業方式、共同で運搬するとか、それから単数、複数とか、いろいろなやり方がありますので、それを我々は、これから各漁業実態、地域に応じた形でよく相談をしながら、効果的な対策は何かということで取り組んでいきたいと思っているところでございます。

○高橋委員 今の答弁を聞きますと、要するに構造改革が絶対必要だ、それまでのつなぎのために今緊急の対策をやっているんだということですよね。そうすると、さっきから、原油が高い、いろいろ苦労しているというお話がありましたけれども、結局は、はなからもう担い手、構造改革にふさわしい人以外は対象外だという意味なんですよね、今の話を総合すると。もうはなから一般の漁業者ははじき飛ばされているということになるじゃないですか。

 では、先ほど来大臣が一生懸命答えている、背中に感じるなどというその漁業者の苦労は、それはあくまでも構造改革ありきの人たちという、選別されているのかということを問わなければならないですね。大臣、このことを答えてくださいね。二つ聞きますから。もう一つ聞きますので。

 一方、石油元売業界は上半期、原油高騰による大幅増益を記録しています。けさの日経でも、コスモ石油が二・八倍、五百六十億を記録したということが書かれておりますが、業界紙などでは、原油価格がこのまま高どまりし、石油製品が現在の路線を変え、踏襲していけば、修正後も予想とそう変わらない業績、つまり上向くのは変わらないだろうというふうに指摘をして、元売ひとり勝ちだ、そういうことに批判が強まっている、そういう指摘がございます。

 農水省はことしの四月に、元売業界に対して、A重油が漁業用以外でも使われているということがありましたものですから、漁業用のA重油の安定供給を求める、そういう要請もされております。

 ですから、私は、やはりこの問題は各省庁とも連携して、元売業界に対しても、利益を還元するべきだ、直接これが値段に貢献するわけですから、そういう強い要望をするべきだと思いますが、二点聞きました。お願いします。

○岩永国務大臣 先ほど仲野委員に御答弁申し上げましたように、結局これは高どまりするわけですよね。だから、これは本当は油代を直接補てんできるような制度ができればいいわけでございますが、このことについてはいろいろと私も模索したんですが、これはやはり到底不可能でございます。それで、結局、コストを下げて経営が成り立つようにすることのためにどうしていくか、それをどう早くするか、そして、その支援策は何か、このことで構造改革をきちっとやはりやっていく、このことを早くやるためにその間経営のつなぎをやるという一連の考え方に立たざるを得ないのではないか、このように思っておるわけでございます。

 だから、今水産庁長官もお話し申し上げていたのはそこらなんですね。だから、今私どもも、そこらあたりが、漁業者にどれだけ緊急避難的な対策をできるか、そして将来的にコスト削減しながら経営が成り立っていくか、ここらを一連的な対策として組んで、そしてきちっと漁業者に安心いただけるような対応というものを今目下模索しているところでございます。

 それから、次に御質問のありました件でございますが、総理からの指示を受けて、先般九月二十七日でございましたが、私、厳しく閣僚懇談会でお話を申し上げて、そして局長級の原油問題関係府省連絡会議を設置していただいたわけでございます。

 それから、十月四日に関係閣僚が全部寄りまして、要するにその中で、エネルギー削減の努力に対する支援、それから石油以外のエネルギーへの転換努力に対する支援、それから原油高の影響を受けている中小企業等への対応等について具体的な対応策を早急に検討するということでございまして、目下、各府省庁でその部分についての御検討をいただいているところでございます。

 これは単に漁業にかかわらず、私どもの場合は野菜を初めとする分野にも大変重要でございまして、これから秋から冬口にかけて農業生産関係者からもそれらの声が高まってき、私のところへそういう部分での要請があるわけでございますので、あわせて今検討を急いでいる、こういうところでございます。

○高橋委員 その検討の中身については、今要望したことを十分踏まえていただいて、もちろん元売との関係では、農水省だけではありませんから、連携をしていただきたいと思います。

 ただ、さっきの確認ですけれども、構造改革が必要だという点については、今それで意見を交わすつもりはないんです。ただ、今それが必要だからといって、今現に原油高で困っている漁業者を見捨てることはしないよと一言だけ言ってください。

○岩永国務大臣 原油価格の高騰の影響というのは、広く産業界、一般国民にも及ぶ中で、それぞれ各業界におきまして、関係者の経営努力でこの問題に対応しております。漁業者に対してのみ燃油コストの価格補てんを行うということは、国民の理解を得ることは難しいわけでございますので、先ほど私自身が申しました漁業全体のコスト削減に、水産庁、私どもがどう対応していくかということを中心において対応してまいりたい、このように思っています。

○高橋委員 価格だけを言っているんじゃないですから。価格補てんだけではなくて、それに匹敵するような補償をということを言っているのであって、いろいろな業界があって、いろいろな困っている面があるんです、中小企業は。それぞれの分野で頑張る、だけれども、農水省が自分たちの分野で頑張らないでだれが頑張るのかということですので、そのことを言いたかったということであります。

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