国会質問

質問日:2006年 5月 24日 第164国会 厚生労働委員会

社保庁長官発言が圧力 社会保険庁年金不正免除問題

 日本共産党の高橋千鶴子議員は二十四日の衆院厚生労働委員会で、大阪府などの社会保険事務所が国民年金保険料の未納者への納付免除を、本人の申請がないのに不正に行っていた問題をとりあげました。

 高橋氏は、問題の背景に、保険料の収納率アップを求める社会保険庁長官の一連の発言が「現場へのプレッシャー」になったのではないかと、ただしました。

 社会保険事務所による不正な免除や猶予は、大阪が三万七千四百六人分、長崎が五千二百十九人分、東京が七十九人分などとなっています。

 高橋氏は、「所得が低く、自力で(保険料を)払うことができない方に免除や納付猶予を認めて、年金受給権を保障することが重要だが、今度の不正免除問題は、国民の年金に対する不信感を拡大させ、年金制度そのものが立ち行かなくなる」と強調。真相究明と再発防止策を求めました。

 そのうえで高橋氏は、昨年六月の事務局長会議で、村瀬清司社保庁長官が、国民年金の収納率で結果を出すことを説明し、「改革に後ろ向きな人、邪魔をする人には去っていただきたい」と述べていることを紹介。

 同長官は昨年十一月に出した「国民年金の収納率」緊急メッセージで「当面の目標は、『免除対策、納付督励、強制徴収の実施』により、全国の12月末における改善幅を、+2・0%とする」と強烈なハッパをかけています。

 村瀬長官は「免除対策だけをやれ、といったつもりはない」と答えたものの、「法律に基づいた公正な業務」をおこなっていくと答えました。

(2006年5月25日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、質問に先立ちまして、原爆症認定判決に対して厚労省が不当な控訴をしたことについて、抗議を一言したいと思います。

 五月十二日に、大阪地裁において原爆症認定訴訟の判決が出ました。原告の請求を全面的に認め、全員を原爆症と認めました。この判決では、従来の機械的な認定を改めて、被爆の実態に即して遠距離被爆などを認めるように制度を改めるなど、従来の原爆症認定行政の抜本的な転換を求める画期的な判決だと言えるものであります。判決を受けて、「血の通った審査方法に改めよ」「早急に基準の見直しを」など、マスコミ各紙の声も広がったことは当然でありました。にもかかわらず、厚生労働省は五月二十二日に控訴をいたしました。この控訴は、被爆者の切実な声を踏みにじるばかりか、被爆の苦しみをさらに増大させるものであり、断じて認めることはできません。まず、質問に先立ってこのことを強く抗議したいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 本日午前から議論をされております年金保険料の不正免除問題についてでありますが、ともかく残念でなりません。社会保険庁の解体的出直し論がまさに今国会で大きな争点となっておりますが、私は、いわゆる民間にできることは民間への小泉改革には本来最もなじまないのが社会保障の根幹である年金行政であろうと思っております。しかし、だからといって、こうした問題をそのままにしておくことはできません。

 一月三日の東京新聞の世論調査で、公的年金について「安心できない」「あまり安心できない」と答えた方が合わせて八四%に上るということが報じられました。一昨年の年金法改正直後の世論調査よりも上がっており、依然として国民の不安感は解消されていないと受けとめるべきです。そして、その理由としては、「受け取る年金が少なく、生活が苦しくなる」四七%、「今の年金制度は立ちゆかなくなる」三六%。百年安心どころか、スタートして既に不安感を大きく国民に与え、さらに今回の問題が年金行政に対する不信感を一層拡大させたということは想像にかたくないのではないでしょうか。

 本来、所得が低く自力で払うことができない方に免除や納付猶予を認めて年金受給権を保障してやることは大変重要なことであり、私はぜひやってほしいと思います。しかし、今度のことは、よかれと思ってやったなどという言いわけでは済みません。年金制度そのものが立ち行かなくなる、そういう問題であるととらえ、真相の究明と本当の意味での再発防止策に取り組んでいくべきだと考えております。

 そこで、村瀬長官に伺います。先ほど来何度か答弁がございましたけれども、改めて伺います。長官自身がこの問題を把握したのはいつで、またそれはどのようにして知らされたのか、このことについてお願いいたします。

○村瀬政府参考人 以前から答弁しておりますように、五月十七日の日に国年事業室長から話を聞いたのが発端でございます。

○高橋委員 先ほど、京都の問題は二月十日と答えたと思いますが、いかがですか。

○村瀬政府参考人 失礼しました。今回の問題というのは大阪の問題ということでお答え申し上げましたので、京都の問題は、先ほど申し上げましたように二月でございます。

○高橋委員 だれによってもたらされましたか。

○村瀬政府参考人 二月十日につきましては、国年事業室長から、先ほどのデータに基づきまして、京都で免除で、ちょっと細かい数字は申しわけないんですが、約八千名程度のマイナス計上が出ているということでおかしいということで話をしたのが発端だというふうに記憶しております。

○高橋委員 私は、今回の問題をいつと伺ったときに、はなから大阪の話だ、二月の話が念頭から消えている、そのこと自体に大きな問題があると思うんです。それは、京都の問題がどうして起こったのか、なぜそれが再発防止ができなかったのか、そこを真摯に受けとめる姿勢がないからこそこうした問題が繰り返されたのではないか、このことをまず指摘しておきたいと思うんですね。

 まず、この間幾つか指摘をされたことに、昨年十一月八日の長官による緊急メッセージ、国民年金の収納率について、これが大きなプレッシャーになったのではないかということが随分指摘をされてきました。これを聞くとまた、いや、そうではないとお答えになるでしょうから続けます。それが十一月八日です。

 その後、長官は、いろいろブロックにも出かけて、会議に行ったり事務所にも直接出かけてお話をしているということを繰り返し述べているわけですけれども、その直後の十一月の中旬のあるブロックの内部的な会議でこのように述べております。日程をいろいろ調整してもらったと言った後で、国民年金の収納率の問題はその後で発生した。その後で発生した、収納率の問題は。これは去年の十一月ですね。

 ということは、十一月というのは、もらった資料によりますと、ちょうど大阪と長崎などで申請のないまま免除処理開始が行われた時期であります。ただ、それは発覚していないことになっております。偶然なのかどうか、一体、国民年金の収納率の問題とは何か、伺います。

○村瀬政府参考人 今お話しいただいた某所のお話というのはちょっとよくわからないんですが、私、月に大体十日から十五日ぐらい出張しておりまして、各事務局、事務所を回っておりまして、いろいろなところでいろいろな話をしております。国民年金の収納率という観点からいきますと、緊急メッセージ以降、国民対策本部の会議を各県ごとに行っておりまして、そこでさまざまな話をしてございます。そのときに、今おっしゃった部分というのはどこでどうなのか、ちょっと申しわけないんですが、もう少し詳しくおっしゃっていただかないと明確な答えはできないのでございますが。

○高橋委員 収納率の問題がなかったら、別にそれはそれでよろしいんです。お心当たりがないということですね。

○村瀬政府参考人 今のお話の文面だけでは、ちょっと申しわけないんですが、心当たりはございません。

○高橋委員 では、運営部長にも同じことを、お心当たりありますか。

○青柳政府参考人 私は、役目上、どちらかというと長官の留守番の方が長いものですから、ブロック会議その他で、これは年に一回か二回出られるかどうかぐらいでありますけれども、昨年の場合は、たしか東北に行った記憶はありますが、そこで何か納付率の問題が起きたというようなことを話題にした記憶は、残念ながらございません。

○高橋委員 私がこのような聞き方をしているのは、しゃべったかどうかではなくて、十一月の時点で、収納率の問題を、あったと自覚をしていれば、どこでもしゃべるだろうと、だから聞いているんです、お心当たりがあったかどうかということを。もう一度、長官。

○村瀬政府参考人 ちょっとごめんなさい、収納率の問題ということですけれども、私は収納率を目標に掲げて、先ほど申し上げました、十一月八日には、プラス〇・六を十二月末にプラス二・〇にしてほしいということをすべてに語りかけておりますから、その部分は話しておりますが、それ以外のことは話していないと思いますが。

○高橋委員 では、これについては詳細な調査を今後お願いしたいと思います。発生したとお話をしておりますので、それをこれ以上、それがどこでだったかということは明らかにすることができませんので。

 ただ、長官自身は、それはもう雑誌にもなっている、週刊社会保障の中で、二月三日の社会保険事務局長会議で発言されていることは、ほとんど要旨が載っております。その中でも、例えば昨年の六月十四日に、収納率で結果を出すことを説明し、改革に後ろ向きな人、邪魔をする人には去っていただきたい、こう述べたということを長官みずからがお話をしております。だから、後ろ向きな人は、ちゃんとやろうとすれば、これはもうそういう意味なんだよということでの、かなりの圧力がかかったのではないかということが想像にかたくないわけです。

 その後の会議で、収納率を何としても二%まで上げたい、所得情報をちょうだいして、四月まで遡及できる免除、免除はまだ全国的に前年比一・五%しか上がっていない、去年と違う情報を持っているのになぜやり切れないのかとまで会議で強調されています。

 つまり、先ほど来お話があるように、アクションプログラムの中にも、免除ということが最大になっているんじゃないかと言われましたけれども、このような形で、長官は、まず免除をやれとお話をしてきたのではなかったでしょうか。

○村瀬政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、収納対策ということからいえば、分母対策の免除、強制徴収、それから効率的な納付督励ということで、すべてをやるということでずっと申し上げております。したがって、ことし、先ほどのアクションプログラムの中身を見ていただければわかると思うんですが、十六年度の年金法改正によりまして所得情報が的確にもらえるようになったということで、免除勧奨対象者の総数が、所得情報をいただく県におきましては、総数どれくらいかというのが読めるようになったわけでございまして、それが行動計画の中に入っておる。したがって、それを達成するために各県事務局、事務所は動いているということでございまして、決してそれだけを私はやれと言ったつもりはございません。

 それから、先ほどもう一点お話ありました、邪魔をする人云々という部分でございますが、これは局長会議で言っております。それは何かといいますと、職員一人一人が危機感を持って、みずから変わってもらいたいということでお話をしております。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 それで、四月三日の、長官が出された「職員の皆さんへ 平成十八年度のスタートにあたって」というところで、三月十日の閣議決定を経て、ねんきん事業機構法案が提出されましたということが言われて、これまで取り組んできた社会保険庁改革を、目に見える形で国民にお示しすることが必要ですと。そしてその中で、我々の仕事は法律に基づいた公平公正な業務を遂行することですということを言われております。当然のことではありますが、四月の三日でありますので、これは当然、京都のこともあり、その後のことを意識してお話をされたと確認してよろしいでしょうか。

○村瀬政府参考人 京都はもちろんですけれども、やはり我々は行政機関でございまして、公平公正に行政をやる、これは当たり前のことだということでそれを入れさせていただいている部分でございます。

○高橋委員 そうすると、やはりこの間の、長官自身が把握をもっと早い時期にされていたのではないかということを思うわけですけれども、その点についても今後もう少し整理をしていきたいなと思っております。

 そこで、少し具体的な話をさせていただきたいと思うんですが、きのういただいた資料の中に京都の内訳がございます。民主党さんが統一資料で出されたものの中にもございますけれども、これを整理しますと、昨年の十二月十九日に五つの社会保険事務所が、一万六千百五十九件、免除承認通知書を送っております。その後、十二月二十六日から翌年一月二十日までの間に納付意思の確認ができた方について手続の取り消しを行ったとされています。これが五千五百九十九件です。つまり、免除承認通知書を送ったら、五千五百九十九人も払う意思があると言ってきた。ここは確認してよろしいでしょうか。

○青柳政府参考人 京都におきます事例として承知しておりますのは、平成十七年の十二月二十六日から十八年一月二十日までの間で免除承認の手続の取り消し件数が五千五百九十九件あったということを承知しております。

○高橋委員 そうすると、午前の古川委員の質問の中で、勝手に免除して勝手に取り消したということかというのに対して、部長はそうだと答えました。先ほどの答弁を訂正されますか。

○青柳政府参考人 勝手にというところ、ちょっと正確にどう申し上げたかあれですが、いずれにいたしましても、今回の事例は、京都の事例につきましても大阪その他の事例につきましてもそうでございますが、御本人が免除申請をするという手続をされない上に、さらにその御意思の確認も全くされないで免除処理をしてしまった。免除処理をした後に問題になりまして、これは公表とあわせておわびをしたわけでありますが、おわびをする際には、御本人の方々に、こういう形で取り消しをさせていただきますという御通知をさせていただいております。

○高橋委員 ですから、さっきの古川委員の質問は、要するに、機械処理を事務所が勝手にやって、それを勝手に取り消したということに対して、お認めになったんですよ。私はきのう職員の方に何度もそのことを聞いたんです、機械操作だけでやったんですかと。それで、そうではなくて、五千五百九十九件、納付意思があったから、ちゃんと書類が、本人から届け出があったから、その分は引きましたよと言ったんです。ここは大事なところなんですよ。そうでしょう。

 だって、これまで何度も説明されました。つまり、幾ら連絡をしても連絡とれないんだ、そういう方がこのままだと未納になってしまうんだ、だから免除をしたんだなどとおっしゃっていたじゃありませんか。ところが、通知書一通送ったら、五千五百人も納付しますと言ってきたんですよ。何でそのことをしっかり受けとめないんでしょうか。そうですね。間違いないですね。続けますよ、いいですか。

 それで、払うという人を除いた一万五百六十件には免除承認通知書を作成しました。一万五百六十件です。ところが、発送されたのは、そのうち八千二百二十七件です。つまり、二千三百三十三件は、京都西社会保険事務所は通知書をつくったけれども発送していないんです。これは、要するに、これを今つくったけれども、出せばやはり法律違反だな、そういう気持ちが働いたということだと思うんですよ。そうですよね。確認したいと思いますが。

○青柳政府参考人 おおむね今先生がおっしゃったような経緯で、最終的に発送しなかったというふうに承知しております。

○高橋委員 その後、本人から、では私は免除申請をいたしますよと言った方が、全部で千七百九十六件上がっているわけです。そうすると、初めにピックアップした一万六千百五十九件のうち四五%以上の方が、払う、あるいは申請をする、そういう意思を示したということなんですね。ここをしっかり見るべきではないか。

 さっき言ったように、全然連絡がとれないなんということではないというんですよ。だけれども、大阪の資料にはこの内訳は全然ありません。社会保険事務所ごとの、申請しましたよとか、払うと言いましたよとか。なぜですか。もっときちんと実情をつかんで、提出していただけますか。

○青柳政府参考人 大変申しわけございませんが、現時点では、京都と同じようなベースでは数字が整理されておりません。数字が整理され次第、何らかの形でお示しをしたいと思っております。

○高橋委員 そこはよろしくお願いしたいと思います。

 全体の数しかわかりませんけれども、最初に案内を出したのは六万三千二百七十七人ということになっております。かなり大きな数字でありますね。問題はその後のことなんですけれども、これが今度はどうなるか。

 三月十三日に、京都南社会保険事務所長の名前で、「国民年金保険料の免除承認についてのお詫びとお願い」ということで、要するに、この問題が発覚して以降どういう措置をとったかということなんですけれども、おわびの言葉の前に、お送りいたしました国民年金保険料免除申請承認通知書は、御本人から免除申請書の御提出がなかったにもかかわらず事務処理を行い、決定通知書をお送りしておりますので、法律的に保険料免除の決定の効力がございません。したがいまして、あなた様が、国民年金保険料免除申請書の御提出をされていないか、保険料を納めていらっしゃらない場合には、保険料が納付されていないという状態になっておりますので、納めていただくか、あるいは申請書の提出をいただきますようお願い申し上げますと。

 これは非常に大きな意味を持っていますね。つまり、免除申請書が送られてきたときは、ああ、申請していないけれども免除になるんだったらいいかなと思った方もいらっしゃるかもしれません。そうしたら今度は、効力がございませんと。勝手に免除して、今度は勝手に未納扱いされる、こういうことが許されていいのか。

 これが本当に一人の落ち度もなく、大阪も含めて、こうしたことがないように措置されたでしょうか、確認されたでしょうか。いかがですか。

○青柳政府参考人 免除の仕事の基本は、お一人お一人ときちんと対面をして意思を確認し、申請をしていただくということが基本でございます。

 したがいまして、今先生が御懸念になったように、確かに一度、何か、申請もしていないけれども免除ということにしてくれるのかなということで、いわばぬか喜びをされた方が、ああ、何だ、これはやはり申請しなきゃいかぬのかということで、二重の意味で御不快な思いを抱かせたかもしれないということについては真摯に反省をしなければならないと思いますが、いずれにしろ、御本人の意思をきちんと対面して確認し、申請をしていただくという本来の姿に戻すということで、御理解を得てまいりたいと考えております。

○高橋委員 ぬか喜びして、二重の意味で不快な思いをした、これはもう大変な発言でございますよね。

 いずれにしても、では、そのことによって損害があった、要するに、本当はもっと後になって、追納したりだとか免除したりだとかいろいろなことをしたかもしれないけれども、免除だと思っていたら、いつの間にか未納だったよ、そういういわゆる穴があくということはなかったと断言していただけますか。

○青柳政府参考人 現在、私ども、毎年、国民年金の被保険者の方に対しましては、保険料の納付状況を一年ごとに、一年間の様子をお伝えするということを社会保険料控除証明書とあわせて行わせていただいております。

 したがいまして、そこに例えば未納というような印あるいは免除というような印が必ずございますので、御本人の方は、最終的には一年間の保険料の通知を確認していただければ、自分の思っていたことと扱いが違うということで、後々になっていろいろな御迷惑をおかけすることは極力防げるのではないかと考えております。

○高橋委員 何で一般論でお話しされるんですか。今回問題になった方たちに対して、一人一人に対してきちんとフォローされていますかということを聞いているんです。

○青柳政府参考人 先ほども申し上げましたように、まずは、議員もお手元にお持ちでございますように、そういうことのおわびとお知らせの通知を一つずつさせていただいております。その上で、申請をする御意思のある方については、お一人お一人から、きちんとその御意思を反映すべく申請を出し直させていただくということで取り組ませていただいております。

○高橋委員 この点が落ち度がなかったかどうかというのは、もうちょっとたって、もう一度証明をする必要があるのかなということを指摘しておきたいと思います。

 何か、百歩転んでも免除なんだから、本人に別に迷惑をかけていないじゃないかというふうな思いをされる方もあるかもしれません。しかし、一たんは免除かと思ったのに、いつの間にか未納になった、そういうことがあってはならないわけですから、その点は本当にくれぐれも徹底していただきたいということを言っておきたいと思います。

 そこで、次に、厚労省の責任はどうなんだろうかということを少し考えたいんですけれども、この間、納付率が一定下がってきた理由には、若年者の年金の適用の問題ですとか免除の基準を厳しくしてきたとか、そうした背景がやはりあったかと思います。

 平成十六年度の社会保険庁が達成すべき目標についての評価、これを拝見しますと、こんなふうに書いているんですね。「二十歳到達者のうち自主的な届出により適用した六十五万七千人の保険料納付率は七七・四%であったが、届出がないため職権により適用した六十三万一千人の納付率は二七・七%にとどまっている。」

 つまり、住基ネットなどの整備によって、職権によって二十歳到達者には年金の適用ができるようになった。ただし、そのことが、やはりさっきの話にも関係しますけれども、自覚がないものですから、納付率に著しく差が出ているわけですね。自主的に届け出した方は七七・四%、職権は二七・七%、こういうふうに差が出ている。

 このことに対して厚労省はどう評価をしているかといいますと、適用率が一〇〇%だ、このことで評価をしているわけです。「適用そのものについては、住基ネットの活用、職権適用の実施等により、社会保険庁にて把握した二十歳到達者に対して、順調な成果を上げている。」これが厚労省の評価でございます。

 このように、若年者が年金未納になっている、無年金の状態になっているというのは、本当に今の社会がもたらす深刻な背景というのがございます。先ほど来も、幾つか職権適用のお話がありました。ここをどうしたら解決ができるのかということに真剣に向き合わずに、適用が一〇〇%だからいいなどと言っているだけでは、これは解決の見通しがつかないわけですね。そういう評価をされている。

 さっき大臣は、思い切った人事交流を今回の事案に関して考えているということをおっしゃいました。しかし、改めて原点に立ち返って、チェックをするべき厚労省の責任はどう考えていらっしゃるんでしょうか。大臣に伺います。

○川崎国務大臣 今の質問はちょっとよくわからなかったんですけれども、要は人事交流の話ですか、それとも、何の御質問だったか、ちょっと聞いていてよくわかりませんでした。

○岸田委員長 では、高橋千鶴子君、もう一回お願いします。

○高橋委員 大変失礼しました。

 前段にお話をしたのは、収納率が悪化している問題について根本から分析をしないで、職権適用されているからいいじゃないかという評価をしている、そういう見方だけでは社保庁の問題をなかなか分析はできないだろう、責任はとれないのではないかということをちょっと連想したわけでございます。

 ですから、これをそれぞれの保険事務局や事務所の責任だと言うだけに及ばず、毎年毎年、社保庁の行政のやり方について評価をしている監督官庁として、どういうふうに責任を感じていらっしゃるのかということを伺ったわけです。

○川崎国務大臣 一つは、二年前からのさまざまな議論の中で、社会保険庁をもう廃止してしまえという極端な意見もございます。しかし、いずれにせよ、業務をだれがやっていくのか、だれが担っていくのかということをしっかり考えなければならない。したがって、社会保険庁の解体的出直しということで私どもはこの案をまとめさせていただいた。したがって、この未納率の問題も含めて、あのときの不祥事問題も含めまして、社会保険庁体質全体に問題があるというのは一つの構図としてある。

 もう一つは、よく御質問いただくのが、市町村から国が引き受けることになったから、市町村にそのまま任せておいたらこれだけ下がらなかったんじゃないかという御質問がよく出てまいります。それに対して、先ほど高橋委員が御指摘いただきましたように、若年者に対する対象をきちっと広げたがゆえに未納がふえていったんだという御解明を、よく私どもが答弁の際に使っておるお話を今お話しいただいたんだろうと。

 したがって、そういうものに対しては、例えば全額免除、半額免除というものから、四分の三免除、四分の一の免除と一つはきめ細かくする。それから、三十歳以下のニートに対する対策を行う。さまざまな方策を講じながらやらせていただいている。

 したがって、支払い能力ということに問題がある方々には、免除対象にして、しかし年金権というものだけは発生をし、将来、所得がふえてくれば十年さかのぼって払うことができるというようなさまざまな措置をする中で御理解を賜りたい。また、クレジットカード等で払うということも、いずれにせよ、若年者に向けてしっかり年金の説明をし、理解をいただき、また納められる人には納めてもらう、少し難しい人たちにはしっかりとした免除適用を行う。

 こんなことを私どもは考えておりますので、確かに一つの一因であるという認識は一緒でございます。

○高橋委員 やはり二つのことが言えると思うんですね。

 大臣がお話しされたように、社会保険庁の体質の問題である。このことをやはり、この間も随分いろいろな問題が起こってきて、それで解体的出直しをするとおっしゃっておりますけれども、その節々に国はどのようにかかわってきたのだろうかと国自身の責任をしっかり受けとめていただきたい。

 それから、その背景にある年金行政そのものに関しては、免除を多段階にするだとか、そういうことはサービスの中で幾らか工夫でできますけれども、しかし、年金制度そのものがもう維持できないのじゃないかとか、その制度そのものに国民が非常に不安感を持っている。そのことに関してはやはり国自身の責任ではないかと思っているんです。

 年金法の一条には、憲法二十五条の二項に則してということで年金制度の目的が書かれております。それは、二項というのはまさに国自身の責任を明記しているわけでありますから、その点については、今後どのように向かおうとしてもやはり握って放すべきではない、年金行政を国民の本当に社会保障の根幹として維持して、発展させていくための国の責任を果たしていただきたい。そのことを指摘して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

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