国会質問

質問日:2007年 4月 4日 第166国会 厚生労働委員会

パート労働法改定案

 日本共産党の高橋千鶴子議員はパート労働法改定法案を審議した4日の厚生労働委員会で、政府案について「実効性がほとんどない。逆に差別や格差を固定化しないか不安の声が出ている」とただしました。
 高橋氏は、どんな働き方を選んでも安心して働くためには、同一労働同一賃金の原則と、選択できる仕事があることが前提だと指摘。柳沢伯夫厚労相は「認識は共有している」と述べました。
 高橋氏は、通常の労働者と同視できるパートだけを差別禁止対象とする点について「男性社員の四人に一人が過労死ラインを超える働き方だ。こうした長時間労働をしなければ対象にならないのか」tただしました。
 大谷泰夫雇用均等・児童家庭局長は「ワークライフバランス(仕事と家庭の調和)は正社員、パートを問わず大事な考え方」と述べました。
 賃金についても高橋氏は、女性パートは男性社員の46%の賃金しかなく、男女同一賃金の原則を明記すべきと要求。職務は同じなのに雇用期間だけで「通常の労働者と同視すべきパート」かどうかを区別し、処遇に格差を付ける理由はあるのかと迫りました。大谷局長は「(正社員と)同じかどうか判断する期間がいる」と答えたため、高橋氏は「正社員と同視できるパートが留保される危険性がある」と指摘しました。
 さらに高橋氏は、有期契約のパートが反復更新されていれば「期間の定めがない雇用」と同視するという規定の曖昧さを指摘するとともに、パートの多数を占める有期雇用を改善していく考えをただしました。
 大谷局長は、正社員と同視できるパートが「相当いる」と答弁。柳沢厚労相は「有期反復することで“パートがずっとパート”というのを直そうと考えている」と述べました。

(2007年4月5日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 パート労働法の大幅な見直しは、九三年の法制定以来初めてであり、パート労働者の急増、差別是正と待遇の抜本的改善を求める声が高まる中、均衡待遇という大変微妙な表現であるとはいえ、差別是正のための義務が法律に盛り込まれたことは、こうした声の反映であったと考えております。

 問題は、先ほど来議論にあるように、実効性がほとんどないのではないか、逆に差別や格差を固定化しないかなどの不安が非常に大きくなってくると指摘せざるを得ません。

 まず、大臣に伺います。

 四月三日の衆議院本会議において大臣は、どのような働き方を選択しても、安心、納得して働くことができる雇用環境の整備を進めることも重要であると考えております、そういう事態が進めば、正規、非正規という区別も、自然と重要性が薄くなっていくのではないかと答弁をされました。

 私は、この言葉は大変共感できるものがあります。しかし、その前提に、同一労働同一賃金の原則が確立していること、二つに、選択できるだけの仕事があること、このことがあってこそ個人の選択も保障される、私はこのように考えますが、大臣はこの点は同じ立場だと考えてよろしいでしょうか。

○柳澤国務大臣 四月三日の本会議におきましてそういう御質問がありまして、非正規という呼称をもうやめたらどうかということでございました。しかし、私どもは、やはり正規雇用というものがまだまだ日本で大事な労働形態である、そして、正規雇用を望みながらそれがかなわない方々もいらっしゃるということで、労働政策の基本として、そういう希望がかなえられるような、そういう方向の施策をやっていきたい、こういう考え方でございます。したがいまして、それの反対というか、そうでない労働者の皆さんを指す言葉としては、どうしても非正規ということを使うことが多くなっている。

 しかしながら、これから、このパート労働法等によって均衡処遇ということを実現して、今委員は同一労働あるいは同一価値労働同一賃金というような言葉を使われたわけでございますが、基本的にそういう考え方は私どもも共有いたしておりまして、ただ、同一価値ということの価値のはかり方というのが難しい、物差しでどうかというような御議論もあったわけでございますけれども、私どもとしては、これについて具体的な物差しを得るのは極めて難しいということの中で、そういう物差しによって賃金を決めていけるということはちょっと難しいので別の道をたどろうということで、均衡処遇について、いろいろな措置によってこれを実現しようということでございます。

 そういうことと同時に、選択できる雇用というもの、需要というものがあるということが大事だということについても、私ども、基本的には同じ考え方をしているということであります。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

○高橋委員 今の大臣の、基本的に共有できるというところだけ採用したいと思います。別の道をという点では、当然納得がいくものではございませんで、それは今後の、この後の議論で深めていきたいと思っております。

 そこでまず、第八条に、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取り扱いの禁止が盛り込まれたわけですが、ここで言う「通常の労働者」とは、どういう労働者をいうのでしょうか。

○大谷政府参考人 ここで申し上げます「通常の労働者」は、いわゆる正規型の労働者をいいまして、具体的には、社会通念に従い、フルタイム勤務の者について、当該労働者の雇用形態、例えば期間の定めのない契約であるかどうか、あるいは待遇、それは長期雇用を前提とした待遇がなされているかどうか、こういったものを総合的に勘案して判断することとしております。

○高橋委員 今、過労死ラインと言われる年間三千時間を超える労働者、男性正社員の四人に一人とも言われています。こうした働き方を通常の労働者ともし言うのであれば、パート労働者が長時間労働をしなければ、差別禁止の対象にはならないのかという問題であります。

 平成十五年三月十八日、パートタイム労働指針策定に当たっての労政審雇用均等分科会の報告の中には、「「働きに応じた公正な処遇」を実現するためには、パートタイム労働者の処遇改善だけを切り離して考えるのではなく、通常の労働者も含めた総合的な働き方や処遇のあり方も含めた見直しが課題である。」とされております。この指摘が改正に当たってどう考慮されているのでしょうか。目的にワークライフバランスが据えられているべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○大谷政府参考人 今お話がありましたように、この法案の審議のプロセスの中でも、パート労働者だけでなくて、全体の労働者の働き方という観点も、議論、御指摘があったところでございます。正社員の働き方につきましては、長時間労働であること、あるいは、仕事と家庭の調和という観点から望ましくないケースがあるということも指摘があります。これは事実でございます。

 少子化が進む我が国におきまして、だれもが仕事と生活の調和がとれた働き方ができる社会を実現するということは重要な課題であるというふうに認識しております。

 厚生労働省の現在の取り組みといたしましても、労働時間等の設定改善法に基づきまして、労使の自主的な取り組みを通じた所定外労働の削減あるいは年次有給休暇の取得促進を進めますとともに、今国会におきましても、長時間労働の抑制を図りますために、法定割り増し賃金率について、中小企業にも配慮しつつ引き上げを行う、こういった労働基準法の改正法案を提出しているところであります。こういった流れの中で、正社員の働き方、それからこの法律におけるパートタイム労働者の働き方、あわせて見直しを進めているところでございます。

○高橋委員 今、重要な課題であるとの答弁がございました。

 そうであるならば、やはり、さまざまな施策はありますけれども、パートタイム労働法の中に、ワークライフバランスが前提とされるべきであるということが何らかの形で担保される、明記される、あるいは指針に置かれる、何らかの形でやられるべきだと思いますが、いかがですか。

○大谷政府参考人 ワークライフバランスという考え方は、パートタイマー、正社員を問わず重要な考え方でございます。

 これまでパートタイム労働につきましては、むしろ長時間労働が議論になっていたわけではありませんので、目立ったそうした記述なり取り組みが強調されたことは余りありませんけれども、その考え方というものは、この制度の施行、普及において取り入れていく価値のあるものであろうと考えております。

○高橋委員 考え方だけではどこにも生かされていきませんので、それを具体的に盛り込むことを検討していただきたいと思います。

 八一年のILO百五十六号、家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約なども日本は批准をしているわけですから、この点でも、パート労働法の中に貫かれるべきだということを指摘しておきたいと思います。

 関連しますけれども、パート労働者は、平成十八年で千二百五万人と、雇用者総数の二二・五%、その七割が女性であるということであります。一時間当たりの一般労働者との所定内給与の比較で見ると、男性が五二・五%、女性は六九%という表がございます。そこだけ見ると、何か、あれ、女性の方が高いのかなと思いますと、男性は男性と、女性は女性と比較をしているわけです。

 ですから、もともと、一般正社員の中で男女の賃金格差が六七%という格差がございます。ですから、もしこれを一般男性社員と比べると、パート女性社員は四六・二八%にすぎない、非常に格差があると思うんですね。そのことをやはり無視できないのではないか。

 労基法第三条の均等待遇、あるいは労基法四条の男女同一賃金の原則が、パート労働法において何らかの形で明記されるのか。あるいは、これがパート労働法における均等待遇の根拠となるように労基法を見直すとか、そういう整合性をとるべきと思いますが、いかがでしょうか。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

○大谷政府参考人 御指摘いただきましたように、均衡のとれた待遇の確保を図るに当たりましては、今回も、パート労働者の働きや貢献を正社員と比較して、その違いによって待遇の相違を認めることとすると、転勤や異動に比較的柔軟に応じることができ正社員的に働けるパート労働者には男性が多くなり、育児等の事情でそういった働き方ができないパート労働者には女性が多くなる、こういったことも想定できないわけではございません。

 しかしながら、現状の日本の雇用システムでは、ある程度中期的な雇用を想定して労働者の待遇がなされているというのが一般的でありまして、ある一時点では、職務内容が同一であるにもかかわらず待遇が異なるといった場合において、法による介入が正当化されるほどの合理性はないといった考えもございます。

 しかしながら、今回、このパート労働法において均衡待遇あるいは差別禁止というものの徹底が図られれば、その中で正社員とのバランスが改善し、今御指摘ありましたように、大宗を占める女性の労働の条件というものも改善されるということで、こういったことに、今回のパート労働法で実現に向かって取り組んでいるということを御理解賜りたいと思います。

○高橋委員 今、バランスが改善されていくだろうというお話がございましたが、先ほど来の議論で、通常の労働者と同視すべきパート労働者というのがほとんどいないのではないか、どこにいるのだという議論がさんざんされてきたにもかかわらず、この法律によってバランスが改善されていくだろうという認識は、一体どこからそれが出てくるのかなと、疑問を指摘せざるを得ません。

 ここに関連して続けますけれども、八条の同視すべき短時間労働者、まあ短時間正社員と言い切っていいのかと思うんですが、九条以降の職務内容同一労働者の違いというのは、処遇においては義務と努力規定というふうに大きく差が開くわけですけれども、その対象要件をよくよく見ますと、「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間」、この言葉以外に違いがないと思います。

 それで間違いないのかということと、先ほど来の説明を聞いていても、全期間とはいうけれども、最初は同じはずがない、違う働き方をしていて、途中から同じ働き方になって、それから以降全期間を同視なんだという説明であって、非常に意味不明。将来にわたっては予測不能ということであるんですから、一定期間の部分と全期間というのを区別する意味がないと私は思いますが、いかがですか。

○大谷政府参考人 期間の考え方でありますけれども、職務の内容あるいは人材の活用の仕方が同じであっても、それがごく一期間にすぎなかった、こういうことであれば、それは同一とはなかなかみなせないということで、今回、その期間という考え方が強調されるわけでありますが、それにつきましても、例えば、採用時点で補助的な仕事でスタートされた方が、その経験を積んで、これはもう正社員と同視すべき職務内容あるいは人材の活用レベルになったということであれば、その時点からやはりカウントしていくということになりますので、その全期間という意味は、やはりそういうことで、同視すべき社員については今の考え方が今回の法案で盛り込まれたというところでございます。

 それから、この法案の効果について、差別禁止の対象が少なければ、男女のバランスといいますか、パート労働者の処遇が改善されないという御指摘をいただいたわけでありますが、この法案は、均衡処遇をベースに全部のパートタイム労働者を対象に考えているわけでありまして、それぞれの態様に応じて、処遇の改善、あるいは、さっき申しました福利厚生とか研修あるいは正社員転換等を図っているわけでありまして、差別禁止以外のいわゆる均衡待遇の全体によってこの改善を図ってまいりたいと、全体で考えているところでございます。

○高橋委員 今、要綱に書いてある一定期間という働き方のところを、ごく一期間という表現で答弁されました。

 そうすると、ごく一期間とは何ぞや。これは期間労働者のことを言っているわけですか。

○大谷政府参考人 ごくという部分は、言葉を誤りましたので訂正いたします。一期間というふうに申し上げます。

○高橋委員 そうすると、一定期間というのは、初めから期間の定めがある人を言っているんですか。

○大谷政府参考人 一定期間の考え方でありますけれども、この期間といいますのは、長期的な人材活用の仕組みあるいは運用等が同じであるかどうかを見るための期間であります。そういう意味で、通常の労働者とパート労働者について、人事異動などの態様を比較して、その有無や範囲が同じかどうか判断できる程度の期間がなければならないと考えているわけであります。

 したがいまして、一律にどうと言うわけにはなかなかいきませんが、その実態に応じて、それはさっき申しましたような判断ができる期間がそれぞれのケースで出てくるのではないかと思います。

○高橋委員 それは要するに、差別是正をするために、一定期間を見て、それから判断をするという意味ですか。

○大谷政府参考人 ある程度のそういう判断をする期間というものが必要であるというふうに考えます。

○高橋委員 非常にあいまいなことがわかったし、一定期間という中で、結局は、本来ならば同視できるはずの労働者がちょっと留保されるというか、そういう危険性があるなということを感じたし、企業の勝手な解釈を許すのではないかということを非常に懸念を今感じたということを指摘したいと思います。

 それで、今の期間の定めの問題なんですけれども、先ほど来、山井委員が、「反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含むもの」と。この社会通念上を大臣は何度も繰り返ししたわけです。

 同じことを聞くとまた同じ答弁になるので、角度を変えて伺います。

 期間の定めがあるけれども、実質反復雇用されて定めのない雇用と同視すべき労働者が相当程度いるという認識を持っていますか。また、それを改善したいという意図がおありですか。

○大谷政府参考人 そういう方が相当程度おられるというふうに考えております。

 そして、改善したいのは、そういう方が合理性のない差別がされているということであれば、それがそうならないように差別禁止の規定を置いたということで、そういった禁止に当たるようなものが解消されていくということが望まれるというふうに考えております。

○高橋委員 同じ質問を大臣に伺いたいと思うんです。

 パートタイム労働者の七割は有期契約労働者であります。ですから、このパートの問題を考えるときに、有期の問題を避けて通ることはできないと思うんですね。

 平成十七年のUFJ総研の実態調査でも、契約期間満了後、更新し、引き続き働きたいという方が五〇・一%、正社員として働きたいという方が一九・八%、七割を超えている中で、会社が契約を更新するつもり八七%、そういうふうになっているんですね。

 働きたい、雇いたい、だけれども、どうせ雇うんだったら安い方がいいという企業の論理が逆にあるのと、そのためによって、いつもいつ首を切られるかという不安を労働者は抱えている。この問題に今回きちんと取り組むおつもりがあるかどうか、最後に伺います。

○柳澤国務大臣 先ほど局長から答弁をいたしましたように、パートと有期ということは切っても切り離せない。有期を反復するということによって、パートはずっとパートだ、こういうようなことでいろいろな処遇において劣後的に扱われるということを今度は直そうと考えているわけであります。

 反復する、もちろん、何回反復するんだ、また何年なんだという話を持ち出されますと、私どもは一義的にここで数字を申し上げるわけにいかないということなんですが、社会通念上期間の定めのない、いわゆるそういう労働者と同視すべきだということで、我々は、パートの労働者の期間の反復をされる方については、これは通常の労働者と同視すべき方だということで差別禁止を進めてまいりたい、このように考えております。

○高橋委員 終わります。よろしくお願いします。

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