国会質問

質問日:2007年 4月 20日 第166国会 厚生労働委員会

雇用対策法・地域雇用開発促進法一部改定案(外国人労働者問題)

 雇用対策法などの改定法案を審議中の厚生労働委員会で20日、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は、劣悪な労働条件で働かされている外国人研修・実習生の問題を取り上げました。

 高橋氏が取り上げたのは、16人のベトナム人女性らを時給わずか300円で月164時間も働かせていた福島県の縫製会社のケース。会社が倒産し、労働者は本国に送り返され、天引きされていた一人あたり90万円の貯金は返りませんでした。研修生は仲介手続き料や保証金として120万円以上を田畑などを担保に借金していました。

 稲見敏夫入国管理局長は「明らかに不正行為」と答弁。高橋氏は、研修という名で安上がりの労働力の提供先になっていることが問題だと指摘し、「大きな夢を抱いて日本に来て、まじめに働いてきた外国人が人権も踏みにじられ、不当に働かされている。管理ばかりが強まり、職安や労基署から足が遠のくのでは本末転倒」とただしました。

 柳沢伯夫厚労相は不適正な研修や賃金の未払いがあると認め、「入管局とも連携し、制度の適正な運営に努めたい」と答えました。

 また高橋氏は、政府案では不法就労対策として、外国人の雇用状況を永住者まで含めて法務大臣に提供することについて、職業安定所は「適正な就労であれば情報提供を拒否するのか」とただしました。

 柳沢厚労相は「法律は守られるべき」と拒否したため、高橋氏もともと職業安定所は、外国人登録証の提示を求めるなど強い権限があり、疑わしい事例は法務大臣に提供するという現行法で十分だと指摘。「必要以上の情報を集め、外国人の雇用情報を共有し、一体的に管理することになる」と述べ、情報提供条項を削除するよう求めました。

(2007年4月21日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、私も、外国人労働者問題について質問させていただきます。

 先ほど来質疑があったとおり、外国人の雇用状況について入管への情報提供が明記されたことが大変な焦点となっております。外国人労働者は、在留資格によって細かく分かれておりますが、年々ふえ続け、専門的、技術的分野や特定活動、日系人など、合法的外国人労働者が約六十万人、永住外国人が約十万人、不法外国人労働者が約二十万人という数字を伺っております。

 そこで、入管局に端的に伺います。

 今回の情報提供については不法就労対策だと伺っておりますが、永住外国人まで対象とするのはなぜでしょうか。

○稲見政府参考人 お答えいたします。

 御質問の永住者の方でございますが、これは、入管法上二十七ある在留資格の中で、最も優遇されている在留資格と言って過言ではございません。すなわち、本邦での在留活動に制限がない、加えまして、在留期間の定めがないということでございます。

 こういうことでございますので、この優遇された在留資格に着目いたしまして、これを悪用し、これに成りかわるという者の存在が少なくないというふうに考えておりまして、永住者につきましても、私どもに情報提供がいただければ、相当有効、有益に活用ができると考えておる次第でございます。

○高橋委員 今お話がありましたように、永住者については大臣の許可が必要なわけですね。それが実は成り済まして不法就労をやっているのではないかという疑いを持っているということで、そこをキャッチするというのがねらいだというお話だったと思うんです。

 そうすると、相当広く網をかけるんだ、正規な手続をしてまじめに働いている人の個人情報まで集める、そのことによって初めて入管の目的は、そこに対象を絞られていくということになるんですね。

 ですから、先ほど来指摘がされているように、やはり厚労省と情報を共有しマッチングしていくということが入管局の目的であって、そうでなければ出した意味がないんだろうと率直に伺いますが、いかがでしょうか。

○稲見政府参考人 法務省といたしましては、外国人の不法就労防止の観点から、厚生労働省さんから提供される情報と私どもが保有しております情報を有効に活用いたしまして不法就労の削減を図っていく、これが私どもの目的でございます。

○高橋委員 有効活用とおっしゃいましたが、結局は、情報を共有し、一体化の管理だということが避けられないのではないかと思います。

 そこで、厚労大臣は先般の質疑の中で、管理の強化は否定できない、そういう答弁があったと思います。では仮に、入管に対し、これは適正な就労であるから情報を提供する必要はない、例えばこのような形で拒否権を発動するといいますか、伺うといいますか、そういうことはできますか。伺います。

○柳澤国務大臣 今委員がお尋ねの件にかかわる条項は第二十九条でございますが、この条項によりますと、法務大臣から、入管その他の法に定める事務の処理に関して、外国人の在留に関する事項の確認のためということで求めをいただくのだろう、このように思うわけでございます。

 そういうことであれば、これは、それをさらに具体的にお話しいただくのではないか、このように思いますけれども、私どもがこの条項に照らして、適合しているということであれば情報を提供するものとする、こう書いてありますので、しなければならないということと、することができるというものの間ですけれども、法律は守られるべきだろう、このように考えます。

○高橋委員 要するに、拒否はしないとおっしゃったと思うのですね。

 そうすると、何のための情報なのかということなどを大臣から入管局に照会するということはありますか。

○柳澤国務大臣 それは、求められる場合の理由を見て、私ども、必要な対応は当然とられることだと思います。

○高橋委員 非常にあいまいな答弁でありました。

 要するに、我々が危惧しているとおり、入管局の求めに応じて拒否もしないし、出すのだというお話だったと思うんですね。説明は受けるかもしれないけれどもという程度だったと思うんです。私は、それではやはり必要以上の個人情報が流れるだろう、一体的な管理がされるだろうということはもう否定できないと思うんですね。しかも、対等な関係ではない、入管が必要かどうかを判断する、そういう関係になっているということが明らかになったかなと思っています。断じて認められないと思います。

 職安は、外国人登録証の提示を求めるなど、大変強い権限を持っております。また、本来そうしたことで疑われるような事例があれば、情報を提供するということは現行法の仕組みで対応できるものであります。

 必要以上の個人情報を流し人権を損ねることはあってはならない、この条文は削除するべきだ、このことを重ねて指摘しておきたいと思います。

 さて、今回の改正は、情報の提供ばかりがクローズアップされますけれども、雇用状況の届け出義務ということで、雇用管理の改善についても強化することが盛り込まれたと思っております。

 それで、さっき言った合法的な就労、この仕分けの中でも、外国人労働者の置かれている状況は大変深刻であります。外国人研修・技能実習制度というのがございますが、開発途上国から一定期間実施を行うことで、海外へ技術移転を行うというのが目的だと聞いております。資料をお配りしておりますが、資料の一にあるように、外国人研修、実習生は〇五年で八万三千三百十九人、十年間で倍になっている、非常にふえております。しかし実質は、研修という名で安上がりの労働力の供給元になっているんではないか、このことが今非常に大きな問題になっていると思うんですね。

 具体の話をさせていただきます。福島県の田村市にある縫製会社ファッション緑という会社、県南繊維協同組合が一時受け入れ機関となって、十六名の研修生がベトナムから入りました。時給は三百円であります。もちろん最賃違反であります。

 研修期間である最初の月から残業が始まり、月百六十四時間も働かせました。三年の期限直前の昨年十二月末に会社が倒産しました。翌月には宿舎の電気、ガス、水道までとめられ、彼女たちは冬の山で木を切って、たき火をしながら暖をとりしのいだ、こういう状況が生まれたんです。

 協同組合は、早く帰らないと警察に逮捕される、そう言って彼女たちを本国へ送り返し、厚労省の立てかえ払い制度で未払い賃金は返してもらったものの、会社が勝手に天引きしていた貯金、一人大体九十万以上、戻りませんでした。

 彼女たちは、ベトナムでは四百人以上の応募者の中から選ばれた大変優秀な研修生であります。しかも、出発する前に本国で、仲介料や保証金として約九十三万円、田畑を担保に借金をしてまで払って日本に来たのであります。なぜこういうことがまかり通るのでしょうか。二重、三重に違反行為だと思いますが、いかがでしょうか。

○稲見政府参考人 今委員御指摘のケースにつきましては、私ども入管法の観点からいいましても、明らかに不正行為に当たる研修・技能実習ということになります。

○高橋委員 一言で終わってしまって非常に悲しいんですが、もう一度重ねて伺いたいと思います。

 今なぜ、本当は職安にちゃんと答えていただきたかったんですが、最初に入管が立ったのは、一年目、研修生の時点では労働者扱いをされていない、そこに問題があるわけですね。ただ、では、入管がその役割を果たしているかということを言いたいと思います。

 二枚目を見ていただきたいと思うんですが、二枚目の資料に不正行為認定というものがございます。これは入管の所管でございます。これが認定されると、向こう三年間の受け入れ禁止という大変厳しい措置ができる。また、不正行為認定に準ずる、そういう規定もございます。

 今回の福島の事例は、本国での契約は月十五万円なんです。サインをしました。日本に来てから渡された契約書は四万五千円、労働者扱いとなる二年目になって五万四百円プラス食費九千円、六万足らずです。約束が違うと言ったら、サインしなければベトナムに戻るしかない、そうおどされたというんです。明らかに、ここにあります二重契約であります。

 不正行為認定は〇五年で百七十五件と非常に少ないです。私は、これはもっときちっととるべきだと思うんです。その後のトラブルを未然に防ぐためにも、もっと厳しい対処をする必要があると思いますが、いかがですか。

○稲見政府参考人 不正行為につきましては、最新の、昨年一年間の数を申し上げますと、これは二百二十九件ということになっておりまして、残念ながら史上最悪の数でございます。このような状況を受けまして、私どもといたしましては、これから、受け入れ機関に対します実態調査等を徹底的に強化いたしまして、不正な研修・技能実習の排除、これを徹底してまいりたいと考えている次第でございます。

○高橋委員 もう一度資料の一枚目のグラフに戻っていただきたいと思うんですが、研修で入国した方たちと技能実習に移行した人たちの数、これは、本当であれば三年間の期限で二年目から実習生に移るんですけれども、単純に計算しても四万人くらいの差があるんですね。本当であれば、かなりこれは数字が近いのが望ましいと思うんです。私は、これは全部が不法就労だとは決して言いません。皆さんの出した数字は四%と書いてあります。

 ただ、これは、余りに劣悪な研修制度よりも不法就労の方がまだましだ、そういう選択をするところまで追いやられているんですね。ここに、今、史上最悪になったとおっしゃいましたけれども、不正行為認定をきちっとやって、入管の厳しい決意が不正をする事業者に伝わっていく、許さないんだということが伝わっていくということが肝心だと思いますので、この点は重ねて指摘をしておきたいと思います。

 一方ですけれども、外国人労働者の労働相談も年々ふえております。〇五年は九千九百三十四件に上っています。実習生受け入れ事業場への監督指導における違反、これは二枚目につけてありますけれども、七百三十一件、八割で違反が見つかっている。大変重大だと思うんですね。

 青森県の三沢市でも、今、縫製会社で実習生として働いていた中国人女性三名が未払い残業代などをめぐって争っている事件がございます。この事件で彼女たちが十和田労基署に申し立てをしたときに、事情聴取の際、会社が所属をする協同組合の通訳を依頼したというんですね。そうすると、顔見知りなわけです。訴える相手の通訳が出てきた。通訳は彼女たちに、なぜこんなことをするのかとなじったり、回答を翻せと迫ったというんです。本当に驚く事案であります。

 基準局長に伺います。

 本来、労働者の駆け込み寺であるべき労基署が、使用者側の人間を通訳として依頼するというのはあり得ないのではないでしょうか。中立性が損なわれるばかりか、ただでさえ言葉の壁がある外国人を萎縮させてしまう。労基署の非を認めますか。

○青木政府参考人 今、委員、個別の事案について御指摘をなさって、労基署の非を認めるかという御質問でございましたけれども、個別の事案につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

 一般的に申し上げれば、労働基準監督機関におきましては、中立公平な捜査を行うために、日本語に通じていない外国人労働者の取り調べに当たりましては通訳を介して行っております。この通訳の選定に当たりましては、例えば、刑事事件の通訳でございますので、警察機関に問い合わせるなどにより適切な選定ということに努めているところでございます。

 また、適正な通訳が行われたことを担保するため、供述調書の末尾に通訳自身も署名押印をさせるというようなこともしておりますし、このようなことを通じまして適正な捜査が担保されているというふうに考えております。

○高橋委員 今、個別の事案については答えられないとおっしゃいました。それはいつも決まり文句ですのでわかっておりますが、ただ、今の局長の説明を聞いていますと、中立公平な捜査が求められて、通訳も署名をするのだということで、どう考えてもこの事案は不適切だろうと思うんですね。

 それを、調査をするとおっしゃるのならいいんですけれども、適正に行われているとお答えになりました。それを確認していないのに、なぜそこで言い切るのかということなんですね。

 改めて、きちんと調査をし、適切でなければその旨処理をするとおっしゃっていただけますか。

○青木政府参考人 重ねてでありますけれども、個別事案についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 一般的なお話として申し上げれば、通訳を介した取り調べにつきましても、先ほど申し上げたような担保に加えまして、取り調べる前に通訳に当たっての注意事項を通訳に対して示したり、あるいは、取り調べにつきましては、そもそも司法警察職員たる労働基準監督官が行うというものでございます。監督官が中立かつ公平な立場において行うものでございます。供述調書のみならず、他の証拠物の収集も図り、犯罪事実を明らかにしていくというのが捜査でございますので、これらにより適切な捜査が行われているというふうに考えております。

○高橋委員 その点に立って、今回の事案がどうであるのか、私、今紹介をしましたので、きちっと対応していただきたい。

 この問題は、やはり今全国でいろいろな形で起こっているわけですね。別に青森だけではないし福島だけではない。ですから、常に言葉の壁ということ、そして日本の法律をよく知らないということ、そういういろいろな条件の中でやっとたどり着いた労基署なんだ、そこでそういうことがあってはならないということ、厳正な調査を徹底していただきたい、これは重ねて指摘をしておきたいと思います。

 その上で、最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、今までの話を聞いていただいたと思います。大きな夢を抱いて日本にやってきてまじめに働いてきた外国人が、人権も踏みにじられ、不当に働かされるということはあってはならないと思います。管理ばかりが強まって、職安や労基署から足が遠のくのでは本末転倒であります。私は、厚労省に対しても、入管局に対しても、この点は厳しくお願いをしたいと思うんです。

 外国人労働者については原則認められない単純労働の分野、専門的、高度な分野、それぞれに人材をもっと確保せよという声がございます。この外国人研修・技能実習制度についても、日本商工会議所などは、在留期間の延長、受け入れ人数枠や職種の拡大などを迫っております。

 しかし、現行制度の中でもこれだけトラブルがある、問題がある、外国人労働者の人権や生活が守られて、これらの問題がきちんと改善されなければ、枠の拡大や見直しなどは論外であると私は思います。大臣の決意を伺います。

○柳澤国務大臣 外国人研修・技能実習制度につきましては、労働力の確保が目的ではございません。技能移転を通じた開発途上国への国際協力というものが目的でございます。

 しかしながら、一部の受け入れ企業におきましては、今委員からるる御指摘がありましたように、不適正な研修であるとか、あるいは賃金の未払い等の事案が発生しているところでございまして、制度の趣旨に照らして、こうしたことは問題だ、このように認識をいたしております。

 厚生労働省としては、JITCOを通じて自主点検をしたり、あるいは巡回指導を強化したりしておりますし、また、労働基準監督機関における労働条件の履行確保上のもろもろの監督指導、これを実施しているところでございます。

 そういうことで、また入管当局とも連携をしながら、制度の適正な運営に努めていきたい、このように考えておるところでございます。

 今、この研修・技能実習制度につきましては、実務研修中の法的保護のあり方等について答申もいただいておりますので、遅くとも平成二十一年通常国会に関係法案を提出等いたしまして、必要な措置を講ずることとされておりますので、その方向に向けて早期に、我々の方でも研究会を設置して結論を出して対応していきたい、このように考えております。

○高橋委員 終わります。しっかりお願いします。

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