国会質問

質問日:2007年 4月 25日 第166国会 厚生労働委員会

一般質疑(リバースモーゲージについて)

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は25日、厚生労働委員会で質問に立ち、自宅を担保に生活保護での要保世帯向け長期生活支援資金(リバースモーゲージ)の一律適用は保護利用者から住居を奪う危険性があり、「個々の事情をふまえて判断できるよう運用すべきだ」とただしました。

 高橋氏は、リバースモーゲージについての記事をみて、「家をとられてしまう」と泣きながら電話してきた生活保護受給者の声を紹介。「拒否した場合はどうなるのか」と質問。中村秀一社会援護局長は「生活保護受給者が拒否すれば保護は打ち切り、申請者は却下される」と答えました。

 高橋氏は、この制度は「借りられるのは評価額の七割、さらに年3%程度の利子が付く。500万円の融資では350万円。月10万を借りたとすると年120万円。借りたお金が評価額を超えると生活保護に戻されるわ家はとられるわでは踏んだりけったりだ」と強調。「これでは憲法25条の精神どころか、福祉事務所は恐ろしい取り立て屋になる。このようなリバースモーゲージの一律適用は撤回すべきだ」と述べました。

 柳沢伯夫厚労相は「重度の障害者の子どもが同居している場合は、住み続けられる従来通りの扱いができるよう配慮する」と答弁しました。

(2007年4月26日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、要保護世帯向け長期生活支援資金、いわゆるリバースモーゲージについて伺います。

 四月の頭に、地元の議員さんを通して市民から訴えがありました。今年度予算の説明記事を見て、家をとられるのかと泣きながら電話をしてきたというのであります。この訴えは、私は当たらずとも遠からずと思っております。多くの訴えが既に寄せられております。法律の改正ではなく、予算措置や要綱の書きかえによってこのような重大な内容が決められたことに、まず強く抗議したいと思います。

 制度の概要について資料を配っております。一枚目をごらんになっていただきたいと思います。

 簡単に言いますと、要保護世帯あるいは保護を受けようとする世帯が評価額五百万円以上の居住用不動産を所有している場合、これを担保に七割までの範囲で、ですから三百五十万円までとなると思うんですけれども、貸し付けを行い、死後、不動産の処分によって返済をするといいます。簡単に言えばそういう制度と理解しております。

 私は、一般的にはリバースモーゲージがあってもいいかと思っております。亡くなった後のことは行政が処分してくれればいいから、当座のお金を用立てたい、そう思う人があっても、それはその人自身が決めることであれば構わないかと思うんです。

 問題は、生活保護にこれを活用するとなると、生活保護制度よりこの制度が優先されるということであります。そういう意味であるということを確認させてください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のございました、長期生活支援資金制度を生活保護を受けておられる世帯にも適用する、こういうことでございまして、そういうことを十九年度から開始したのはそのとおりでございます。

 また、生活保護とこの制度との関係でございますが、生活保護法の第四条に、保護は、生活保護を利用される方が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その生活の維持のために活用することを要件とし、また、民法に定める扶養義務者の扶養及びその他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行わなければならない。これは保護の補足性と言われておりますが、そういったことでございまして、例えば改正前の生活保護の運用でも、大きなお宅を持っておられる方について保護の御相談があった場合は、まずそのお宅について活用していただくということをお願いしている。

 そういった意味では、今回の長期生活支援資金の利用も生活保護法第四条に基づく保護の補足性の原理の適用でございますので、お答え申し上げますと、まず、この貸付制度を御活用いただくということを基本といたしております。

○高橋委員 そうすると、現在、保護を受けている方に該当する資産があれば、当然、この制度を利用し、生活保護をやめるようにという指導が入るわけです。

 拒否すればどうなりますか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 現在も、今御説明申し上げましたけれども、住んでおられるお宅の評価額が一定以上は、全国平均二千三百万円でございますが、処分して活用することを求めております。

 これまでは約二千三百万円のお宅ということでございましたけれども、今回、今委員から御指摘ございましたように、五百万円の家については、この長期生活支援資金をまず活用していただくということでございますので、そういうお宅をお持ちでこの制度を利用されないという者については、先ほど申し上げましたように、現在、その方の持っておられるあらゆる手段をまず利用していただくという規定に該当いたしますので、その場合は、生活保護の適用についても、まずはこの制度を利用していただきたいということで、生活保護の適用をお断りするということでございます。

○高橋委員 その一言を言うために長々と説明する必要はないんです。私は、その一言だけを聞いているんです。制度の説明はもうさっき終わりましたでしょう。

 資料につけておきましたけれども、「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について、三月三十一日付で発せられたものですけれども、今るる説明されたことがいろいろ書いてあります。三枚目、一番最後にこう書いてありますね。「それでも、当該貸付資金の利用を拒む場合については、資産活用を恣意的に忌避し、法第四条に定める保護の受給要件を満たさないものと解し、一 生活保護受給中の者については、所要の手続を経て、保護を廃止する。二 新規の保護申請者については、保護申請を却下することとされたい。」

 つまり、申請もだめだし、今保護を受けている人は打ち切りになる、そのことだと思うんですね。これは大変な内容ではないか。これはまさに問答無用で、法違反だ。完全な悪者扱いになっているではないか。保護を受けられる要件を持っている方であっても、いや、家をとられるのではないか、このことを恐れて、行政に相談に行くことさえもうできなくなってしまう。昨年の北九州あるいは秋田など、生活保護をめぐってさまざま悲劇が起きました。それ以上のことが起きるということも予想されると言わなければなりません。

 保護世帯といっても、ほとんどの高齢者は、長い間働いて、その間ずっと税金を納めてきました。七十過ぎても働けるうちは働いてきた、そういう方が多いです。そして、とうとう病気になったり、事業に失敗するなどして、どうしても生活が立ち行かなくなった。それで、もらえる年金が余りにもわずかなので、それをカバーするために、全部ではありません、少しだけ保護を受給しています。特別な豪邸に住んでいるわけではありません。ささやかな家は、そういう苦労をしてやっと建てた家であり、生活を支える基本であります。

 大臣に伺います。この制度は、一律に運用することなく、個々の事情を踏まえ判断できるようにすべきではないでしょうか。

○柳澤国務大臣 今年度から、生活保護というものがセーフティーネットである、いろいろなものを全部、資産、所得等の状況を勘案しても本当に生活費に事欠くという方々に絞って支給されるべきものだという考え方から、先ほど委員が御指摘になったような、自宅、土地を保有する場合には、それを活用してやっていただくことを考えて、そして、生活保護費の支給にかえて貸付金という形でお貸しして、そして償還する制度を導入したということでございます。

 御指摘があったように、例えば、重度の障害を持つ子供が同居しているような世帯については、この制度を適用することは避けまして、親の死後も重度の障害を持つ子供が同じ家に住み続けられるよう、従来どおりの扱いとすることができるようにということを考えております。ぜひ御理解を賜りたいと思います。

○高橋委員 セーフティーネットとおっしゃいましたが、もはやそんなものと呼べる状態ではないと私は言いたいと思います。先ほど指摘をしたように、すべてが保護費ではありません。年金をもらっているけれども、足りない部分を数万円補っているにすぎないのだ。

 しかし、本来の生活保護の制度というのは、その年金では足りないから、保護で補って、それで最低生活費、憲法二十五条に規定されている最低生活費を賄っているはずなんですね。その世帯すらも対象になる。医療扶助のみの世帯すら対象になると聞いています。これは、最低生活費という考え方がもう崩壊してしまった、割り込んでしまったということになりませんか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、生活保護につきましては、持っておられる資産とか働ける能力とかそういったこと、活用できることについては活用した上で適用するというのが基本でございます。

 居住用不動産に関しましても、評価額が一定額以上のものは、従来についても、そういうことで売却するなりそういうお願いをしてきたわけでございますが、ストックをフロー化するという手段としてリバースモーゲージという方法があり、リバースモーゲージ制度を使えば、不動産を担保にして資金が借りられる。

 今、一月数万円の保護費というお話がございましたけれども、そういうことであれば、そういう融資を受けることによって、かなり長期間、生活保護ではなくてお暮らしいただける、そういうことに着目して行ったものでございます。

 これにつきましては、審議会の専門委員会や知事会、市長会より、生活保護を受けている方に対して、扶養義務者も義務を果たしていただくということをお願いしていますけれども、生前何の援助もしなかった扶養義務者が、被保護者の死亡時に家屋、土地を相続するような現状は、社会的公平の観点から国民の理解が得られない、資産の活用を徹底すべきである、こういう御指摘があり、そういう公平性の確保の観点から、資産として活用できるものについては活用するということで、この制度を導入させていただいたわけでございます。

○高橋委員 今いろいろなことをおっしゃいました。

 まず、数万円の保護費であれば長期間暮らせるじゃないか、二、三万だとすれば、年三十六万とかそのくらいだから、最低でも三百五十万の評価額の中では長期間暮らせるじゃないかと。まさかそういう考え方をされるとは思いませんでした。わずかな部分が保護であって、そのほとんどは年金で暮らしている方にまで、そこまで言うのかなということがまず一つありますね。

 それと、亡くなってから突然名乗り出てきて、相続人だとおっしゃる人がいる、何も扶養義務を果たさないのに不公平じゃないかという議論があったというのは承知をしています。しかし、それは、そういうケースについて対応することと一般的なケースを一緒にしちゃだめなんだと思うんです。

 そもそも、しょせん借金なんだ、さっきから私言っていますけれども、評価の七割です、それに年三%程度の利子がつきますね。そうすると、利子も合わせて評価額を食べてしまえばというか、要するに長生きすればというか、生活保護に戻るわけですね。そうすると、保護に戻るわ、家はとられるわ、踏んだりけったりではないか、そういうことになるわけですよ。少なければ長生きするじゃないか、そういう話ではない。ですから、苦労してやっと建てた家がやはりとられるのかという思いになられるのは当然のことだと思うんです。

 さっき大臣が、聞く前に答えたことなんですけれども、保護世帯の多くの方が心配されているのは、子供さんと二人暮らしの場合、自分が死んだらこの子はどうなるのか、死んでも死に切れないと訴えておられます。障害だけではなく、難病などハンディキャップを持ち、自立が困難なお子さんを抱えて、親が亡くなればほうり出されてしまうのかということなんですね。この点はどうなんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣からもお答え申し上げましたように、御指摘のあったようなケースにつきましては、従来、親御さんが亡くなられた後も障害を持つ方が同じ家に住み続けられるように従来どおりの扱いをすることができる、こういうことを示しておりますので、画一的に、機械的に運用するわけではないということでありますが、しかし、基本は、法律の四条にありますように、活用できるものは活用していただくということでございますし、先ほどのリバースモーゲージは、自分の資産をフロー化して、できるだけその分自活する、その部分は生活保護という形を使わないで過ごしていただくということでありますので、そういった意味では社会にも貢献するわけでございますし、それで資産が切れた場合にはリスクがあるわけでございますが、それはその手段が切れれば生活保護を適用するという形になりますので、そういった意味で、委員からお話のあったようなことにはならないと思います。

○高橋委員 最後に、大臣に意見を聞いていただきたいと思います。

 自活ではなく借金をしょい込むわけですからね。本当に六十五歳を超えて高齢の方に、最後にそこまで迫るということは、私は行政が一線を超えたと思うんです。もはや、二十五条の精神どころか、福祉の窓口が恐ろしい取り立て屋にかわる、そう言わなければなりません。現場の混乱、行政のストレスも相当大きいと思います。もし、先ほど言っているように、優先させるということですので、どれだけリバースモーゲージに切りかえられたかということが評価の対象になり、それで競い合いになれば、本当にどうなるのだろうか。昨年の悲劇の繰り返しにならないか、結果を急ぐばかりに、処分できない資産を行政が抱え込むことにもなると指摘せざるを得ません。

 重ねて、こんなひどい仕打ちは絶対に撤回するべきですし、少なくとも一律適用とせずに事情を勘案すること、あるいは今お話をした、残された家族に配慮することを重ねて要望して、終わります。

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