国会質問

質問日:2019年 3月 19日 第193国会 厚生労働委員会

統計不正問題/第三者の検証必要

 日本共産党の高橋千鶴子議員は19日の衆院厚生労働委員会で、毎月勤労統計の不正・賃金偽装問題で、内外からの批判が集中している特別監察委員会の追加報告を追認している根本匠厚労相の姿勢を厳しくただしました。
 厚労省の特別監察委員会の追加報告書をめぐっては、西村清彦統計委員長が、3月6日の5人の統計委員の意見書をうけて厚労省に情報提供を求めています。高橋氏は、「学術の世界で、このようなデータの不正やねつ造、盗作などがあれば、間違いなく学会から追放される」との意見書の指摘を紹介。「重要な基幹統計を担う行政機関の長としての責任が問われる」と述べ、厚労省から独立した第三者の検証を行うべきだと主張しました。
 高橋氏は、統計委員会が「景気指標」として重視するとした「共通事業所」ベースでの実質賃金の公表を迫りました。根本厚労相は「統計指標が合理的なものかわれわれには説明責任がある。専門家に(公表の是非の)検討をお願いしている」などと述べました。
 高橋氏は、参考値として「共通事業所」の名目値を来年度以降も公表することは昨年3月の閣議決定であり、2016年以前から必要性は議論されてきたと指摘。姉崎猛元統計情報部長が15年9月の毎勤統計改善検討会の結論部分は(中江元哉元首相秘書官や麻生太郎財務相が求めていた)「標本入れ替えの際、過去の数字に遡及(そきゅう)しない」ことを認めたことをうけ、「遡及しないからこそ、参考値が必要なのだと議論してきたはずだ」と強調しました。
( しんぶん赤旗 2019年03月20日付より)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 早速ですが、資料の一枚目を見てください。三月六日の統計委員会で示された、毎月勤労統計調査の特別監察委員会追加報告書に対する意見書であります。
 先ほど大串委員が紹介されたものと同じものでありますけれども、毎月勤労統計にかかわってきた五名の委員が抱いた共通の疑問という趣旨で出されておりますが、この意見書は統計委員会としてどのような位置づけになっているのか、総務省にお伺いします。

○横田政府参考人 お答えいたします。
 この意見書につきましては、三月六日の統計委員会におきまして、この五人の委員の方々、これは統計委員会に対して意見を出したという形になってございます。通常、委員会におきましては、それぞれの委員から意見を承るという形で議論が進められるわけですけれども、この回のときには五名の連名で出てきたという形になっております。
 これを統計委員会の方では議論いたしまして、三点、そこに書いてありますような議論を行ったということでございます。その場では意見の一致を見たということで、これにつきまして、統計委員会としては、委員長が預かった形にいたしまして、その後に、統計委員会事務局の方から、委員長の指示に基づいて、厚生労働省の方に情報の提供の要請をしたということでございます。
 情報の提供を要請したと申しますのも、統計委員会につきましては、統計技術的観点から意見を言うという形になっております。これは、厚労省の特別監察委員会の方の報告書を見た限りでは統計技術的観点からはなお不足している情報がある、そういう認識があったということでございまして、その点について議論をした、そういう形になっておるものでございます。

○高橋(千)委員 統計委員会に出されたものを全体の認識として共有して、西村統計委員長の名前でその情報提供を求めたということだと思います。
 ですので、確認したかったのは、連名で書かれているけれども、その五人の統計委員の方たちが個人的な意見を述べたということに終わっていないということ、そのことを統計委員会として認められたものであるということを確認したかったわけであります。よろしいです、それで。何が言いたいかというと、それだけの重みのある意見書であると。
 (3)を見ていただきたいんですけれども、「再発防止策は適切か」というふうに指摘がございます。それで、三行目から読みますけれども、「学術の世界で、このようなデータの不正やねつ造、盗作などがあれば、間違いなく学界から追放されることは、研究不正に対する最近の事案からも明らかである。それほどに、重大な事案であり、」というふうに指摘をしている。大変厳しい指摘だと思っております。
 本日は荒井委員長代理にお越しをいただいておりますから、率直に、この指摘をどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。

○荒井参考人 御指摘の件につきましては、三月六日の統計委員会におかれまして五人の委員の方々からの意見書が出されました。最終的には、三月十一日に統計委員会から厚生労働省に対して、この意見書を受けた厚生労働省への情報提供の要望という形で届けられたものと承知しております。
 この要望書では、統計委員会から厚生労働省に対して、私どもの報告書で提言した再発防止策を可及的速やかに具体化、実行していくことを求めるとともに、統計技術的、学術的観点からの再発防止策の必要性やその内容を聞くものとなっているというふうに認識しております。
 いずれにしましても、この要望書は厚生労働省において対応されるものと考えておりまして、この委員会の立場としては、特段のコメントをする立場にはないと考えております。

○高橋(千)委員 厚労省に対して情報提供を求めた、それはそのとおりでございます。
 でも、きょうはせっかく荒井先生においでをいただきましたので、先生はもともとの監察チームのメンバーでございまして、その後、特別監察委員会になってからも参加をされて、委員長代理という形でずっとこの監察委員会のやり方を、当事者としてかかわってきたわけであります。そういう意味で、いろいろな思いがあるんじゃないかと。そのことに対しての意見書なわけですから、それに対して当事者としての率直な思いを伺いたいということであります。

○荒井参考人 委員会のメンバーとしての私の意見を申し上げるべきではないと思いますが、報告書の中では、今御指摘のように、八項目にわたる提言をしておりまして、厚生労働省職員の、公的統計の意義やその重要性に対する意識の低さ、幹部職員の公的統計に対する無関心さ、厚生労働省の組織としてのマネジメント機能の不全、ガバナンスの欠如、これらが統計に対する不適切な取扱いを生み出し、国民の信頼を失わせたものだと、厚生労働省に対して厳しく非難をしているのが報告書でございます。
 これらを含めて、その実現を厚労省に対して求めた御意見だと受けとめております。

○高橋(千)委員 大変残念に思います。この場では、委員個人としてのお言葉がいただけないと。先生の最初の一回目の記者会見のときの映像もテレビで見ておりましたので、非常に悔しさがにじんでおられたなと思っておりますから、率直な意見、これほど内外から指摘をされているからこそ御意見をいただきたかったなと思っております。
 本当に、経済統計学会、あるいは弁護士らによる任意団体、第三者委員会報告書格付け委員会、これは評価に値しない、Fランクということで評価、指摘をされた、こういうことが続いているわけなんですね。
 ここまで来ると、樋口委員長ですとか委員会そのものよりも、この調査を追認している大臣の姿勢がやはり問われると私は思うんです。重要な基幹統計を行う行政機関の長としての責任が全く感じられない。
 先ほど、尾辻委員の質問に対する答弁もちょっと驚いたんですけれども、指摘されたのは、毎勤改善検討会にずっと出ていた廣松教授が特別監察に入るのはおかしいという指摘に対して、兼業規定にさわるから協力者となったと。その兼業規定にさわるような人を更に特別監察委員のメンバーにして監察させるって、わけがわからないんですね。そこを問題だと思わないところに非常に深刻な問題が横たわっていると思います。これは大臣に答弁は求めません。
 委員長に求めますけれども、厚労省とは独立した第三者委員会の設置について国会として求めていくことを議論したいと思いますが、お願いいたします。

○冨岡委員長 はい。理事会で諮りたいと思います。

○高橋(千)委員 では、よろしくお願いします。
 次に、姉崎元統計情報部長に伺います。
 二〇一五年九月十六日の毎勤統計改善検討会の中間報告にある基本的考え方で、増減率は、その時点における政策判断や評価をする際に用いられた正しいと判断された情報という表現が使われておりますけれども、これがいわゆる遡及しないという意味でよろしいかという確認と、姉崎元部長は何度か、このことを質問されているときに、別に中江元首相秘書官に言われたからとか会ってから考えを変えたのではなく、自分自身が決めていったというふうなお答えをされておりますので、この点についても、御自分で官邸関係なしに決めたことよという確認、それでよろしいのか。

○姉崎参考人 お答えをいたします。
 今委員がおっしゃった報告書のところですけれども、過去の増減率はその時点では正しい数字だったということで、これは過去にさかのぼって遡及改定をしないということでございます。
 それから、前から説明させていただいておりますけれども、私自身も、統計ユーザーの一人としていろいろ分析していたときに、サンプルの入れかえに伴って過去にさかのぼって数字が変わってしまうというのは、統計を分析する者にとっては大変わかりにくいということで、これは少し改善をした方がいいのではないかという問題意識をかねてから持っていた、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 遡及改定をしないということが結論であったということを確認されました。
 これは、もともと検討会の開催要綱の中に検討事項というものがありまして、サンプル入れかえ時のデータの信頼性及び遡及改定の問題点ということで、このこと自体を議論する検討会である、一つではないけれども、そういうふうに位置づけられているということだと思うんですね。私、これは重要なことではないかなと思っておりますので、確認をさせていただきました。
 その上で伺うんですけれども、これは大臣に伺います。
 野党は、先ほどの山井委員も質問されていましたけれども、繰り返し、共通事業所の実質賃金を示すように求めてまいりました。それは、昨年九月二十八日の統計委員会において、労働者全体の賃金の水準は本系列、景気指標としての賃金変化は共通事業所を重視していくとされたわけで、どっちが正しいかという議論をしているわけではないわけですよ。そうですよね。
 大臣も、傾向としては同じになると野党の試算を認めているにもかかわらず、これを公表するか否かについて、わざわざ有識者による検討会を立ち上げ、二月二十二日第一回から、既に一月で五回というハイペースで議論をしています。
 わざわざ検討会を開く必要があるのか、野党が求めているのは一定の条件のもとにという説明をつけさえすれば公表できるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○根本国務大臣 私は、この議論をずっと聞いていて、どこが違うのかなと考えておりました。
 要は、ユーザーは、示された統計でユーザーの皆様がいろいろな加工を施す、これはユーザーとして当然だと思うんですね。ただ、我々は統計をつくる側ですから、統計をつくる側とすれば、この統計の指標が果たして、きちんと合理的なものかどうか、我々は説明責任もあるわけですから、実は私は、共通事業所系列の問題というのはそこだろうと思っております。
 共通事業所については何が問題か、課題として指摘されているか。
 景気指標の賃金変化率、これは重視すべきだとなっているから、私はそれぞれ重視していいと思うんですよ。それから、全体の労働者平均の賃金水準は、名目も実質も出して、時系列を見るようにしている。その上で、共通事業所の問題。
 これは、前年同月の共通事業所群と翌年同月との共通事業所群が異なる事業所群になりますから、各月において二つの実数が併存することになるんです。そして同時に、前年同月との共通事業所群を見ますから、月々で、前月と同月、この横の比較が、異なる事業所群なものだから、こういう基本的性格があるので、実質賃金というのは、価格の変動を除いて指数化して経年変化を見るというのが実質化の意味ですから、ここは経年変化を見る指数化にはなじまないという課題が存在いたします。それで、専門家に検討をお願いしている、こういうことであります。いろいろ課題がありますけれども、そういうことであります。

○高橋(千)委員 どうしてこのときだけ統計メーカーとしての説明責任、そういうことを言うんですか。十五年間もデータに穴をあけておいて、それがなぜなのかは一切明らかになっていないんですよ、今だって。それで、このときだけ、しかも条件をつけてと、わかった上でやっている話に対して、出せるか出せないかわからないと延々と議論しているんですか。全くおかしいです。(発言する者あり)そうです。時間稼ぎとしか言いようがありません。
 今大臣が説明したのは、資料の3につけてありますけれども、月によって共通事業所が少しずつ減っていくんだという説明を、わざわざこれは厚労省が説明しているんです。でも、共通事業所というのは、縦の比較ではなくて横の比較なんですよ。前年の同月と比べて共通事業所がどうなったかというのを見るために参考値をとることを議論してきたんじゃないですか。それを、何でそういう、話をごっちゃにするんですか。そう言わなきゃいけない。
 これは、もう一回資料の2に戻ってください、平成三十年三月六日、閣議決定ですよ、継続標本による参考指標を三十年度以降も継続して公表するとわざわざ閣議決定して、この参考値のやり方を大事にしてきたんです。
 それで、ここの資料では、振出しは二〇一六年、平成二十八年の三月二十四日の第四回経済財政諮問会議で統計委員長の発言であると整理をされているんだけれども、実際はもっと前から、二〇一四年度統計法施行状況に関する審議結果報告書、未諮問基幹統計確認関連分に繰り返し出てくる。つまり、それまでの長い議論があって、共通事業所については参考系列として提供していくことが検討事項とされていたということなんです。
 この点を総務省に確認します。

○横田政府参考人 今御指摘がございましたように、統計に関しまして、統計委員会におきまして、未諮問基幹統計の審議ということで、平成二十七年から議論が進められてまいりました。
 その中で、毎月勤労統計調査に関する、平成二十八年三月二十二日、統計委員会報告書の中に御指摘がありますけれども、それに至る審議の過程で、ローテーションサンプリング導入に際して、共通事業所系列による前年同月比の公表が望ましく、検討すべきとの指摘が行われておりました。
 この統計委員会の指摘を踏まえまして、平成二十八年十一月の調査計画変更に係る諮問を受けた審議におきまして、厚労省から、平成三十年一月分調査結果から、賃金・労働時間指数について、継続指数を作成し、参考系列として公表したい旨の説明がなされました。平成二十九年一月二十七日の統計委員会答申もこれを適当としたものということになっておりまして、今後とも継続して公表されるというふうに理解しておるところでございます。

○高橋(千)委員 今答弁があったように、今後とも継続して公表するということが確認をされて、ずっと議論をしてきたわけですよね。
 ギャップが生じても遡及しないということを検討会で決めたと、さっき姉崎元部長がお話しいただきました。結局、それを補うために参考系列というのは必要なわけですよね。いろいろなやり方、ローテーションサンプリングにするかどうか、本当は細かく、一年に何回も変えていったら問題ないんだけれども、お金がかかるねとか、そういう議論もしていましたよね。そういう議論をずっとする中で、でも、遡及をしない以上はやはりギャップがあるよと。でも、そのギャップの意味をきちんと参考系列の指標を示すことによって補う、そういう議論がされてきたのではないか、ここを確認したいんです。
 だとすれば、この共通事業所の持つ意味をきちんとやはり公表する、つまり、実質賃金でも見ることに何のためらいがあるのかということが言いたいわけなんです。
 検討会が、検討会というのは今の共通事業所の是非の検討会ね、立ち上がった同じ日に、二月二十二日に平成三十年分の毎勤統計の確報が公表されています。どうしてここに、一年間を通してとり続けた共通事業所のまとめがなかったんでしょうか、先ほど山井さんが指摘したやつ。それは、名目賃金ですら発表しなかった。なぜですか。こういう議論があって出してきた数値、これからも出すと言っている数値、それを、なぜ一年たったら出せないんですか。

○根本国務大臣 共通事業所系列の意味そして経緯は、委員がお話しのとおりであります。
 そして、問題は、課題は、共通事業所系列というのは、景気指標として月々の振れ、これは確かに見ております。そして、これを実質化できるか、あるいは年平均という形で示せるか、これが実は検討会でも大きな課題になっていて、先ほどの繰り返しは避けますけれども、共通事業所の持つそもそもの特性がありますから、繰り返しは避けますが、前年同月、翌年同月、異なる共通事業所群になるので、これをどうやって年平均で出せるか、縦はいいんですよ、そこが統計的、専門的に大きな課題として指摘されておりますので、ここは、この一点だけ申し上げましたけれども、検討会で専門家に検討をしていただいているということであります。

○高橋(千)委員 検討会で大きな課題となりましたと今おっしゃいました。でも、検討会で課題が出てから皆さんが答えているわけじゃないんです。厚労省が野党合同ヒアリングで何度も答えてきたことを、検討会で同じことをまとめているだけなんです、五回もやって。先ほど山井さんが紹介した論点整理は、全部、野党合同ヒアリングで屋敷参事官が答えたことです。何のためにやっているんですか。厚労省が言いたいことを認めさせているだけじゃないですか。
 長年にわたる統計不正がなぜ起きたか。真実に迫る姿勢もなければ、不都合な数字は発表もしない、これこそがアベノミクス偽装であり、安倍政権の姿勢そのものです。大臣も潔くそのことを認め、しかるべき決断をするべきだと指摘をして、終わります。

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