国会質問

質問日:2019年 3月 1日 第198国会 本会議

根本厚労相の不信任案への賛成討論

自公、予算案採決強行/6野党・会派、厚労相不信任決議案を提出/衆本会議

 毎月勤労統計の調査手法変更への官邸の関与の疑いが審議を通じて強まり、2019年度予算案の根幹である消費税増税の根拠も総崩れとなるなか、自民・公明の与党は1日、衆院予算委員会で同予算案について質疑を打ち切り、採決を強行しました。同日深夜にも衆院本会議で採決に持ち込む構えです。
 これに先立ち、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、自由党、社民党の野党6党・会派は、根本匠厚生労働相の不信任決議案を共同提出。与党の強行に厳しく抗議し、予算案に反対しました。野党が共同提出した根本厚労相の不信任決議案は、与党によって否決されました。
 藤野保史議員は予算委員会での19年度予算案への反対討論で、消費税10%増税の根拠は総崩れだと指摘。5年連続で過去最高を更新した軍拡予算を批判し、国民の大切な税金は福祉と暮らしに優先して使うよう強調しました。
 日本共産党の高橋千鶴子議員は本会議での根本厚労相の不信任決議案への賛成討論で、毎月勤労統計の不正・賃金偽装問題の真相解明は予算の大前提だと指摘。「誤った統計の上に、実質賃金のマイナスを隠したまま、来年度予算を編成したことは断じて許されない」と強調しました。
 根本厚労相が毎月勤労統計の不正を身内調査で済ませ、国民と国際社会から公的統計の信頼を失う重要な問題に正面から向き合っていないとして「本来の役割を忘れ、取り繕いに終始してきた根本厚労相に、国民のいのちと健康を守り、労働者の権利を擁護すべき厚労行政をこれ以上任せるわけにはいかない」と述べました。
( しんぶん赤旗 2019年03月02日付より) 

ー議事録ー                                    ○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、根本匠厚生労働大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。
 安倍内閣のもとで、国会と国民に対するうそと隠蔽の実態が次々に明らかになりました。首相を守るために公文書の改ざんまで行われた森友問題を始め、加計疑惑、防衛省の日報問題、外国人技能実習生の失踪調査、とりわけ厚労省においては、裁量労働制データ捏造問題、障害者雇用水増し問題など、枚挙にいとまがありません。
 安倍政権は、国民の疑問には一切答えず、数の力で押し切ってきました。こうした中、発覚したのが、毎月勤労統計調査の不正、偽装問題であり、根元は同じであります。
 毎勤統計は、雇用保険、労災保険等給付の基準であり、いわばセーフティーネットです。さらに、最低賃金や人勧、建設労務単価の参考値、あるいは内閣府の月例経済報告、日銀や民間エコノミストの景気指標、OECDなど国際機関への報告、時々の景気判断と政策決定につながる極めて重要な基幹統計です。
 誤った統計の上に、実質賃金のマイナスを隠したまま来年度予算を編成したことは、断じて許されません。来年度予算は、土台そのものが崩れているのであります。
 賃金にかつてない注目が集まり、アベノミクスの成果が問われているとして、二〇一五年に毎月勤労統計の改善に関する検討会を開始したこと、その検討会が政治的圧力によって中断し、大きく調査手法が変わってしまったことは事実です。一部の官僚のみに責任を押しつけて幕引きを図ることは、断じて許されません。
 働き方改革一括法や年金カット法など、誤ったデータをもとにした政策判断は見直さなければなりません。秋に強行しようとする消費税増税などはもってのほかです。
 野党が求めている実質賃金を直ちに公表すべきです。真相解明は予算の大前提であり、職権による本日の予算案採決は断じて認められません。
 相次ぐ厚生労働省の不祥事に対し、根本厚労大臣の役割が鋭く問われました。今回明るみになった不正の調査、検証について、大臣が第三者による調査として設置したはずの特別監察委員会がわずか一週間で出した報告書は、その七割が身内の厚労省職員によるヒアリングと、原案さえ厚労省自身が作成したものでした。昨年の裁量労働制データ問題の検証でも、ほぼ身内調査で、外部構成員によるヒアリングは、わずか五名しか行われていませんでした。この手法は全く同じであり、厚労省の姿勢は真実の解明に逆行するものだと言わなければなりません。
 根本大臣は、厳しい批判を受け、特別監察の追加調査を指示しましたが、二月二十七日に発表された追加報告書は、結局、虚偽を認定しながら、組織的隠蔽はないとするもので、当初の報告の上書きにすぎません。これを追認した大臣の責任は極めて重大であります。
 不正な調査とデータの紛失のために正確な再集計もできず、長年にわたって積み上げてきた毎勤統計のデータが失われたことの重大さを知るべきです。
 大臣は十二月二十日に不正の報告を受けながら、翌日には来年度予算案の閣議決定に加わり、結局、その予算案は出し直さざるを得なくなりました。さらには、間違っていることがわかりながら、毎勤統計十月分確報を公表したことも許されるものではありません。根本大臣は、公的統計が国民と国際社会からも信頼を失うという、この重要な問題に正面から向き合っていないのです。
 厚労大臣が真っ先に考えるべきは、今回明るみになった統計不正が国民生活にどういう影響を及ぼすのかということです。本来の自身の役割を忘れ、取り繕いに終始してきた根本厚労大臣に、国民の命と健康を守り、労働者の権利を擁護すべき厚生労働行政をこれ以上任せるわけにはいきません。
 以上、根本厚労大臣不信任案に賛成する理由を述べて、討論を終わります。

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