国会質問

質問日:2007年 11月 2日 第168国会 厚生労働委員会

社会福祉士・介護福祉士法等一部改定案

 高橋千鶴子議員は2日、厚生労働委員会で、社会福祉士・介護福祉士法について質問し、介護職員の賃金が安いことから離職率が高いことを指摘。賃金形態を国家公務員の福祉職俸給表を参考にすることなどを盛り込んだ、厚労省の福祉人材確保指針(8月に改定)を実効性あるものにするよう迫りました。

 舛添要一厚労相は「(職員に対し)できるだけ良い待遇、社会的な地位も上げたい」と答弁しました。

(2007年11月4日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 介護や福祉の現場で深刻な人手不足が問題になる中、注目の福祉人材確保指針が十四年ぶりに改定されました。まず、その理由を簡潔にお答えください。

○中村政府参考人 介護・福祉分野における人材確保指針につきましては、十四年前に一度作成されたことがございます。これは、いわゆるバブル期において、福祉人材、介護人材が非常に不足いたしまして、人材確保が困難になりました。その際、社会福祉事業法の改正を行いまして、国が社会福祉事業に従事する者の人材確保指針をつくる、こういう措置がとられまして、人材確保指針が策定されたところでございます。

 その後、経過といたしましては、景気の低迷もありまして、この間、介護保険制度が施行され、多くの介護人材が必要になりましたけれども、人材の需給は、いわば採用する側に割合有利に展開してきたということがございます。しかしながら、近年、景気の回復もございまして、介護・福祉分野における人材確保が相当困難になってきているということが第一点。

 第二点には、この十四年間におきまして、介護保険制度ができたり、障害者の制度が変わったり、制度見直しもあり、人材確保のあり方についても相当変わってきているのではないか、そういったことを踏まえまして、今回、資格制度の見直し法案も提出させていただいておりますが、それとあわせまして、車の両輪として、介護・福祉分野における人材確保をさらに強力に進めるため、人材確保指針の見直しを行ったところでございます。

○高橋委員 本当はこれは通告は大臣にしておりました。

 量的な話しか一切されなかったんですね。指針における、人の中身の問題、介護や福祉の現場で働く人たちのあり方の問題、どういう役割が本当に求められるのかというところに踏み込んだお答えがいただきたかった。非常に残念であります。

 そのことを踏まえて、今後の答えの中で大臣に考えをお聞きしたいと思います。

 九三年の基本指針では、公務員あるいは地域の労働者の平均的な賃金の保障、週四十時間労働の遵守と完全週休二日制を目指すなどの目標を定めておりました。今回の指針においては、賃金、労働時間等についてどのように示されたでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 賃金、労働時間等につきましては、新しい人材確保指針では、労働環境の整備、こういう中でうたわれておりまして、従事者に対する事業収入の適切な配分、そういったこと、国といたしましては、給与水準、事業収入の分配状況の実態を踏まえた適切な介護報酬の設定等がうたわれております。また、勤務時間につきましては、週四十時間労働制の導入、完全週休二日制の普及等による労働時間の短縮等、そういったことをうたっております。

 なお、前提といたしましては、他の産業分野とも比較して適切な給与水準の確保等、労働環境の整備が図られるということをこの人材確保指針では中心としておりまして、その根底にある考え方は、就職期の若年層を中心とした国民各層から選択される職業となるように、こういうことから、他の産業分野とも比較して適切な給与水準の確保等の労働環境の整備の推進、こういうことをうたっているところでございます。

○高橋委員 今紹介された中に含まれておりませんが、「国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすること。」ということや、あるいは「週四十時間労働制の導入」の前に「週四十時間労働制の適用されていない小規模の事業所における週四十時間労働制の導入」などという言葉が盛り込まれたということは、我々が求めてきた内容でもあり、歓迎すべきことかと思っております。

 問題は、現場とはかなり乖離しているだろう、これをうたった以上、この指針が実効あるものとなるのかどうか、そのことが問われていると思います。

 資料の1に、介護職員の入職率、離職率を示しておきました。二割を超えております。毎年三十一万六千人が入職しても、二十二万六千人が離職をしている。きついけれども賃金が安い。非常勤の割合が四割を超えています。しかし、介護の仕事や勤務先を選んだ理由は、働きがいのある仕事だと思ったから、これが六四・六%で断トツのトップなんですね。そういう、働きがいを求めて現場に入ったのに、この乖離がどこから来るのかと思うんです。

 三月のNHKスペシャルで「介護の人材が逃げていく」と題して、グループホームで働く青年の密着取材がございました。年収百万円足らずで、夕食の弁当さえ買うのをためらう様子を映し出しておりました。天職だと思っていたのに、生活のために退職する決断をし、お年寄りに告げなければならない。そのシーンに大変胸を痛めました。これが特別な事例ではなくて、私の国会の部屋を訪ねてくれた大阪の青年は、お年寄りの命を守る大切な仕事だと思う、そう言いながらも、五十人の施設で一人夜勤である、夜通し働いて翌日も一日働く、お年寄りよりも早く若い職員がやめていくのが実態だと訴えておりました。

 大臣、希望に燃えて介護、福祉の現場に入った青年たちが早くやめていくのはなぜでしょうか。どう改善を図っていきますか。

○舛添国務大臣 非常に過酷な労働条件であって、それに見合った十分な待遇が行われていない。そして今、離職率の高さということも委員が御指摘になりました。

 私は、こういう問題を一つ一つやはり改善していって、本当に生きがい、働きがいを求めてそこに入ってこられているわけです。ですから、これはもうできるだけいい待遇、そして先ほどの、社会的な威信、プレスティージも高める、そういうことを上げたいと思います。

 そしてもう一つ、介護保険料それから利用者の負担ということとのバランスということを先ほど私申し上げましたけれども、日本人というのは、物を買うこと、それに対して代価を払うというのは非常に当たり前のように思っているんですけれども、サービスを買うということに対して必要な対価を払うというのが、経済学でグッズ・アンド・サービス、物とサービスというけれども、物はすぐ目の前に見えてわかるんですけれども、自分の体をこういうふうに介護してくださる、本当にありがたい、それは必要な対価はこうですよという、そのサービスに対する対価、これももう少し国民がしっかりやっていただかないといけない、こういう認識も広めていただきたいと思います。

 そういうことも相まって、今委員が御指摘しました問題意識は私は全く共通していますので、ぜひ若い人がこの職場に来られて、定着されて、生き生きと仕事をする、そして社会的にもみんなが尊敬する、そういう社会ができるように、厚生労働大臣として全力を挙げてまいりたいと思います。

○高橋委員 今の必要な対価の問題で、やはり介護報酬を充実させるとか労働条件を改善させるために、結局負担が必要なんだよと、そこに落とし込んでしまうと、また別の議論を必要としなければならないので、私はきょうはそこには触れるつもりはございません。また次の機会にいたしましょう。

 それで、指針の中には、「従事者の労働の負担を考慮し、また、一定の質のサービスを確保する観点から、職員配置の在り方に係る基準等について検討を行う」、このことも新たに入りましたね。こういうことについて、局長でよろしいですので、考えを伺います。

○中村政府参考人 先ほど申し上げましたように、労働環境の改善、これは非常に大きな柱でございまして、賃金だけではございません。その中では、委員から御指摘のありました労働時間の問題もございますし、当然労働関係法規は守っていただかなければなりません。また、腰痛の問題などもございますので、健康管理対策もうたっております。また、職員配置も、委員から御指摘ありましたように、従事者の労働負担を考慮し、一定のサービスを確保する観点から、職員配置のあり方に係る基準等について検討を行う。

 こういう規定は、それぞれだれが中心になってやるべきかということが指針では示されておりまして、職員配置の基準は国の仕事でございますので、我々として、今申し上げました観点から、現行の職員配置の基準について点検をし、必要があれば見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

○高橋委員 お願いします。

 そこで、資料の3に各県の有効求人倍率をつけておいたんですけれども、介護の現場が人材不足だということは、この全職業と介護関連職種の比較を見ていただいてもわかるかと思います。全国最下位クラスの我が青森県でも、全職業〇・四四倍に比べて、〇・七五倍と高くなっています。しかし、その内訳を見ると、常用は〇・五九倍にすぎず、パートタイムが一・三倍という形で、これは全部、各県を見ていただいても同じ傾向になっているんですね。

 やはり、現場では圧倒的にパートを求めている。介護報酬という、さっきちょっとお話をした、決められたパイの中で人材にコストをかけられない、そのことで労働者にしわ寄せが来るということが現実に起きているのではないかと思っております。

 こうした中で、今回のEPAによる外国人の受け入れは、私は、介護福祉士を国家資格にすると位置づけを高めて、キャリアアップを応援するという一方で、試験に合格しなくても准介護福祉士という道を開くことになる、しかも、これはフィリピン人だけではなくて、日本の労働者にも適用される。これは当初の目的とは逆行するのではないかと考えます。国内の労働者の条件の引き下げにつながるのではないか。国内の条件を引き上げできないままに安易に受け入れをするべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 二点お話があったかと思います。

 一つは、経済連携協定に伴うフィリピン人の介護福祉士の導入の問題でございますが、これは、委員御案内のとおり、経済連携協定に基づきまして導入するもので、日本の労働力の不足があるから補う、こういうものではございません。また、働いていただく場合にも、日本語の勉強をしていただく、また、介護福祉士の資格を取っていただくということが条件になっておりますし、また、処遇においても、日本人と同一賃金、こういうルールで入れられるということでございますので、まず、フィリピンの方が経済連携協定のもとで入国されるということ等、介護の現場の労働条件がそれによって左右されるという問題ではない、こういうふうに考えております。

 次に、准介護福祉士の問題でございますが、これは、現行法律に基づいてフィリピンとの経済連携協定が結ばれているため、養成校を卒業された方については介護福祉士の資格が取れる、こういう前提で今の連携協定が結ばれておる、その協定と法律との整合性をとるために御提案申し上げているところであり、またこれが、内外、日本人、フィリピン人、差別しない、こういうことで、当然日本の介護福祉士を目指す方にも適用されているというものでございます。

 この准介護福祉士については……(高橋委員「説明が長い」と呼ぶ)

○茂木委員長 簡潔にお願いします。

○中村政府参考人 はい。千八百時間の養成課程を経ておりますので、現在の養成施設を出ている卒業生の方に比べてより教育を受けている方になると思いますので、現行より後退するということはないと考えております。

○高橋委員 局長、説明は要りませんよ。私、考え方だけを聞いているんですから。人材不足のためではないということはこれまでも何度も答弁をされてきました。しかし、それは、最初はそうであっても、今後どうなのかということを言っているんです。

 今回の福祉士法改正が、日本とフィリピンの協定に基づく人材の受け入れであり、決して人材不足の解消のためではないと言っている。しかし、例えば資料の4にありますように、次はインドネシアとのEPAの枠組みが用意されています。最初は二年間ですが、合わせると二千人になるんです。これは、順次こうしたことが当然拡大していくのは予想されるのです。

 ことし九月二十一日に発表された経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会第二次報告書でも、「看護・介護等の高齢化関連産業では、労働力の需要と供給との量的なミスマッチが拡大する傾向にあり、長期的に見て、専門的な能力や経験を有する外国人労働者を受け入れなければ、国民生活に不可欠なサービスの供給に支障が生じかねない」として、外国人労働者の受け入れの拡大を期待している、このような発言もされているわけですね。背景には、当然こうしたことがあるわけですよ。

 今はいろいろ理屈を言っても、いずれそうなるのではないか、そしてそれを担保するものは今のところないんだということを強く指摘して、残念ながら時間が来ましたので、また次の機会に譲ります。

 終わります。

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