国会質問

質問日:2018年 11月 21日 第197国会 文部科学委員会

被害者の実態をみた賠償をー原子力損害賠償改正案

原発賠償和解案貫け/法案への明記要求/衆院委で高橋議員

 日本共産党の高橋千鶴子議員は21日の衆院文部科学委員会で、原発事故の賠償制度を定めた原子力損害賠償法の改定案をめぐり、東京電力が被害者との和解案を拒否する実態を批判し、和解仲介手続きの実効性の確保を求めました。
 東電・福島原発事故の賠償は、原子力損害賠償紛争審査会の指針が損害の範囲を示し、それを超えるものは「相当程度因果関係のある場合」は賠償できるとしています。しかし、東電が因果関係の立証を被害者に求め和解案を拒否する事例が多発しています。
 高橋氏は、福島・浪江町の町民7割が求めた賠償増額の和解案拒否や、風評被害が続く業者に対して「被害の回避や減少の努力」を求め和解案を拒否した実態を挙げ、「加害者である東電が『因果関係の証拠を示せ』と被害者に迫るのはおかしい」と指摘。和解案の尊重を法案に明記するよう求めました。
 経済産業省の石川昭政大臣政務官は「震災以降旅館組合等から相談を受け続けてきた。そういう気持ちに寄り添う立場で指導したい」と述べました。
( しんぶん赤旗 2018年11月22日付より) 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、柴山大臣に初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
 原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会報告「原子力損害賠償制度の見直しについて」によれば、今回の法案の見直しは、三・一一の原発事故が出発点だったということでありますが、三・一一の原発事故の教訓が法案のどこに生かされたのか、大臣の認識を伺いたいと思います。

○柴山国務大臣 今回の法改正は、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会における検討を踏まえ、御指摘の東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なものについて所要の措置を講じるものです。
 具体的には三点ございまして、一点目としては、東電福島原発事故において、東京電力は短期間に多数の請求に対応するために、賠償請求の手続や受付窓口の整備などを早急に進める必要がありました。これを踏まえて、今般の改正において、原子力事業者に対し、それらを含んだ損害賠償実施方針の作成、公表を義務づけすることとしております。
 二点目としては、東電福島原発事故において行われた賠償の仮払いが迅速な被害者救済という観点から非常に意義ある取組であったと考えておりまして、これを踏まえて、今般の改正において、国が仮払いに必要な資金を貸し付ける制度を創設することとしております。
 三点目といたしましては、和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例措置を、東電福島原発事故に係るものに限らず、今後、原子力事故が発生した場合においても適用可能とすることとしております。
 これらの改正によりまして、将来、原子力事故が発生した場合において、被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるために、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 本当は、事故の教訓ということで、大臣の言葉でお話をしていただきたかったんですね、報告書に書いてあることではなくて。やはり賠償を早くという、そこに集約したまとめになっておりますので、そうではなくて、そもそもあの事故がどうだったのかということでお話ししていただければありがたかったかなと思います。この後の質問の中でまた議論していきたいと思います。
 当時、東電を債務超過にさせてはならないと声高に叫ばれて、被害者の保護を口実にするんですけれども、資料の一枚目にありますように、原賠法十六条に基づいて原子力損害賠償支援機構がつくられました。その後、廃炉等というのがくっつくわけですけれども、この二枚目を見れば、政府が交付国債、政府保証、これは融資を金融機関から受けるときの政府保証ですよね、という形で、機構を通し東電を支えているのがわかると思います。
 言ってみれば、今度の法案は、この東電救済スキームを一般化し、全国の原発再稼働を準備するものである、私はそう言いたいと思うんですね。きのうから議論があったとおり、第一条、目的、原子力事業者の健全な発達、ここに象徴されているのではないか。この連鎖を断ち切り、原発ゼロをやはり決断するべきだと思っております。
 具体の質問に入ります。
 専門部会の報告書には、東電が二〇一一年十月の緊急特別事業計画において、被害者の方々の立場に立って、紛争処理の迅速化に積極的に貢献するために、紛争審査会において提示される和解案については、東電としてこれを尊重すると表明をしているということで、この和解仲介手続を被害者が積極的に活用できるよう、実効性を確保するための措置が必要と指摘をされております。
 ただ、このことが条文には一切ないわけなんですね。これがなぜなのか。明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 和解仲介手続につきましては、御指摘のとおり、原子力損害賠償制度専門部会報告書において、高い割合での合意実績を上げるなど重要な役割を果たしていると評価できるとされておりまして、規定については、現行の規定を維持することが妥当であるとされています。
 一方、東京電力が特別事業計画におきまして和解仲介案を尊重する旨を表明していることが和解仲介手続の実効性の確保に資しているとの観点から、和解仲介手続を被害者が積極的に活用できるよう、賠償実施方針の整備の中で適切に対応することが妥当であるとの指摘もなされているところでございます。
 これを踏まえまして、今回の改正案におきましては、原子力事業者は損害賠償実施方針におきまして原子力損害の賠償に関する紛争の解決を図るための方策、これを定めなければならないこととし、この中で、ADRセンターによる和解仲介への対応の方針についても記載をさせることで和解仲介手続の実効性の確保を図ってまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 条文にないのはなぜかと伺いました。つまり、これは、結果としては省令に落とされるということだと思うんですね。
 八月六日の専門部会のときには、和解仲介手続への対応方針を含め、損害への対応方針をあらかじめ整備しておくということが報告書の中にあったと思うんですね。それが消されているじゃないかという指摘がされております。
 そういう点で、やはり東電が尊重すると言ったんだから、必要だと言っているけれども、では、具体的に方針の中にそれを書けよというところまで盛り込まなかったというのは非常に残念に思います。もしこれがそうじゃないんだというのであれば、反論は後で答弁の中でしていただきたいと思うんですね。
 問題は、東電の方針がどうなのかということ、言ったとおりになっているのかということなんですよ。ADRの和解案の受諾義務については、昨日の参考人からも意見が多数ありました。
 資料の三枚目を見ていただきたいと思うんです。
 東京新聞の四月七日付ですが、浪江町の町民七割に当たる一万五千人が申し立てた慰謝料の増額について、ADRの和解案を東電が拒否したために仲介手続を打ち切ったという記事であります。
 私は、これは予算委員会でも取り上げたことがあるんですが、本来なら十分満足いく勧告ではないんだ、だけれども、町が町民の合意を得て集団申立てをするというのは、実は、長く続く賠償問題に、町がまとめて一律でいいよと言ってくれるのはむしろ東電にとってはプラスになるんだと思っていたんですね。そういうふうに質問してきました。非常に残念に思います。
 中間指針の第四次追補では、相当程度因果関係のある場合は個別具体に指針の範囲を超えて賠償ができるとあります。しかし、現実は、東電がその因果関係があるかないかの基準を決めているんです。大臣はそのことを承知していますか。やむを得ないと思っていますか。伺います。

○柴山国務大臣 紛争審査会の示す中間指針においては、一律に賠償すべき損害の範囲を示すとともに、個別具体的な事情に応じて事故との相当因果関係が認められれば賠償の対象であるということが明記をされております。
 それを受けて、東京電力においては、中間指針を踏まえて、賠償実務の円滑化の観点から御指摘のような基準を定めていると承知をしておりますけれども、その基準の運用に当たっては、個別の御事情を丁寧に把握し、公平かつ適切な賠償の実施に努めていると私どもは伺っております。
 私ども文部科学省といたしましては、東京電力に対して、「三つの誓い」を遵守して被害者の方々に寄り添った賠償を一層進めていただくよう、累次にわたって要請を行っております。
 いずれにいたしましても、東京電力は、中間指針等に示された考え方を十分に踏まえて、中間指針等に示された一律の賠償を行うことのみではなくて、被害に遭われた方々の個々の事情に応じて被害者に寄り添った適切な賠償を行っていただくことが重要であると考えております。

○高橋(千)委員 そうなんです。東電は、この浪江の問題は一律だから対象にならないんだということを言っているんですね。だったら、個別に見るのかということなんですよ。そうじゃないでしょう。一律に、本当はそれぞれ言いたいことはありますよ、これじゃ足りないよというのを町がまとめてくれた、これは本当にありがたい、道筋をつけてくれたことなんですよ。それに対して、それを、個別じゃないからということを理由にして退けている、これがいいのかということを言っています。
 例えば、商工業者に対する損害賠償についても、事実上打切りになりました。
 九月にいわき市で、県といわき市の旅館ホテル組合の方々からもお話を聞きました。汚染水をALPSで処理してもなお残るトリチウム水、これが、放出すべきかどうか、非常に大きな議論をされているときです。実は、トリチウム以外の放射性物質が、基準値を超えているものが八割もあったという事実が発覚したころなんですよね。海で商売しているわけですから、海水浴客がいて、そして海の恵みを使った料理を使っている、その旅館や民宿の方たちがずっと風評被害で苦しんでいるんですね。
 それに対して、風評被害があるかどうかをあなたたちが証明しなさいと言っている。旅館は全国的にもう下火だから、ホテルに比べてはお客が少なくなっているんだから、別に福島だけの問題じゃないでしょうみたいな、そういうことを東電が言っているんです。
 二〇一五年八月以降の賠償について、東電は、将来分として二倍一括を支払うとしました。二倍払ったらそれで終わりなんです。しかし、現実に被害が続いている人には超過分を払うと言いました。だけれども、今言ったように、風評被害を証明せよと言って実際には認められていないんですよ。
 このような、賠償方法が変更されたのを承知しているかということと、合理的かどうかの基準をやはり東電が決めている、資料をあなたが出せと被害者に言っている、これをおかしいと思わないのか、経産省に伺います。

○高橋(千)委員 今の答弁、もともと準備をされていたと思うんですが、実態を話しているのに、ちゃんとやっていると承知していますと。それでいいんですかということなんです。七件でしょう。でも、七千件のうちの七件ですよ。冗談じゃありませんよ。実際に実態を示しているのに対してこういうことなんですよ。
 私の手元に、ある業者に対する却下の理由を東電が書いた書面がございます。ことしの三月二十日の日付です。
 中間指針においては、賠償の対象となるべき期間には一定の限度があるとされていること、弊社としましては、上記の賠償をすることにより、基本的には、本件事故と相当因果関係のある損害は全て賠償がなされるものと考えております。こういうときだけ指針を使うんですね。また、中間指針においては、被害者の方におかれても、損害の発生を可能な限り回避し又は減少させる措置をとることが期待されている、こう言っている。
 わかりますか、言っている意味。被害者が回避をしろ、そして被害を減少する努力をせよと言っている。避難指示区域にいた業者が避難先に避難したんだからそこで開業すればいいじゃないかと言っているんですよ。開業していない、あなた努力していない、だから、賠償、追加はできませんと言っているんです。
 開業した人もいますよ。ところが、商売をかえた、そうすると、比較ができないから対象にならない。同じ商売を避難先でもやる。だけれども、全部開拓をしなくちゃいけないわけでしょう。そういうことをあなたたちが努力しなさいと言って、基準を東電が決めている。おかしくないですか。もう一回。

○石川大臣政務官 高橋議員の御指摘に関しましてお答えいたします。
 あくまで東電と個別の被害者の関係で、個別の賠償につきましては、官民チームを挙げまして丁寧に対応してまいりましたけれども、今後とも引き続き対応してまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 一言でも少しは御自身の言葉でお答えできないでしょうか。
 丁寧に対応していくというのはもうずっと言ってきたことなんですよ。だけれども、実態がそうであれば、もう少し自分で聞いてみるとか指示してみるとか、もう少しお答えできないですか。

○石川大臣政務官 私も被災地に近い茨城県北部の人間でございますので、地元の商工業者、いわきから北の浜通りの業者さんとは、いろいろつき合いがある業者さんが地元に大変多く所在をしております。
 個別の案件に対しまして、私も、旅館組合等の皆様から、なかなかお客さんが戻ってこないという個別の相談を、それは震災以降ずっと受け続けてまいりました。
 そういう気持ちに寄り添って、私もこういう立場で対応を指導してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 茨城であれば、まさにお隣ですからね、同じ被害を受けていると思います。今、寄り添ってというお言葉をいただきました。ぜひそういう立場で対応していただきたいなと思うんです。
 今後も、法案は、三・一一の事故を受けての指針が、今取り上げている指針がベースとなっていくと思うんですね。新しい指針をつくるにしても、やはり仮払いとかそういうときに、今の指針がベースとなっていくわけなんですよ。
 だけれども、専門部会報告にも記述があるように、原子力損害賠償紛争審査会の組織、運営については、「現行の規定を維持することが妥当である。」としつつも、「事故直後から被災地の声をきめ細かく聞き取る対応を求める意見があることに留意が必要である。」とされました。
 少なくとも、指針を逆手にとって、加害者である東電が、終期があるんだ、つまり終わりの期ですよ、終期があるんだとか因果関係の証拠を示せと迫るような事態は避けるように強く要望して、時間が来てしまいましたので終わります。

―資料ー

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