国会質問

質問日:2007年 12月 7日 第168国会 厚生労働委員会

薬害肝炎問題

 日本共産党の高橋千鶴子議員は七日の衆院厚生労働委員会で、薬害C型肝炎問題に対する政府の姿勢と、与党が提出している肝炎対策基本法案について質問しました。

 肝炎ウイルスに汚染された血液製剤を投与された患者が国と製薬会社などを相手に賠償を求めた薬害C型肝炎訴訟は、大詰めを迎え、四日には舛添要一厚生労働相が、原告の患者に初めて謝罪しました。高橋氏は、質問の冒頭、原告側が「全員の救済」を訴えていることを正面から受け止めるべきだと強調しました。

 そのうえで、厚労省が四百十八人の感染者リストを放置していた問題について、リスト作成時の2002年は、「弁護団が意見書を提出し、被害者の会も結成されるなど裁判が準備されていた時期。裁判で不利になる、原告が増えると恐れたのではないか」と指摘。高橋直人医薬食品局長が「患者への告知は医師がするものだと思った」などと答弁したのにたいし、高橋氏は「(国の責任をあいまいにした)幕引きは許されない」と厳しく批判しました。

 また、与党提出の基本法案について、肝炎ウイルスの感染を「不幸な出来事」 としていることをあげ、「国や製薬会社の責任をあいまいにしているのではないか」と迫りました。

 提案者である自民党の大村秀章議員は「総合的な対策を講じていくということで理解してもらいたい」と答弁したのに対し、高橋氏は「約350万人のウイルス性肝炎患者の多くが輸血や血液製剤など、自ら防ぎようのないものだったといわれている。国の責任をふまえたものにすべきだ」と強く求めました。

(2007年12月8日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうまでの期限だった大阪高裁の和解骨子案が十三日まで延期をされました。既にその骨子の内容はけさの新聞報道でも示されているところです。

 舛添大臣が原告団と二度目の面会を行い、謝罪を初めて口にされたのは四日のことでした。私も同席させていただきましたが、しかし、その席上で、原告団の皆さんは、自分たちだけが救済されるのでは解決にならないとおっしゃっておりました。その言葉を正面から受けとめるべきだと思います。

 まず大臣に、先日のテレビのニュースで、ちょっとお見かけをしましたが、記者団の取材に対して、新しく提訴した方がいるがという質問に対し、提訴するのは個人の自由ですからと述べておられました。この言葉を聞いて本当に、謝罪も吹っ飛んでしまった、そういう思いがいたします。原告になりたくてもなれなかった方たちがいること、その意味をわかっていらっしゃるでしょうか。本当にわかるのであれば、このような言葉は言うべきではなかった、あるいは撤回すべきだと思いますが、いかがですか。

○舛添国務大臣 私はそういう趣旨で申し上げたのではなくて、表現の仕方がそういうふうだったかどうか記憶しておりませんけれども、私の趣旨は、自分の命を守るために訴訟を起こすというのは、個人の権利であり、自由である、表現の自由がある、それから集会、結社の自由がある、そういうものの一つとして、自分の命を守るためにきちんと裁判をする自由があるんだ、権利があるんだ、そういう意味で申し上げました。

 そして、その後こういうことを、これはきちんと、それがどの番組であったかというのをまたお知らせいただきたいんですけれども、NHKのインターネットをとりますと、私が申し上げたその後、「自分の命を守るために訴訟を起こされているので、どんどんやっていただいて構わない。リストに載っている人でほかにも提訴された方がおり、きちんと対応したい」ということを述べておりまして、私の表現が悪かったかもしれませんが、私が申し上げたのはそういう趣旨でございますから、どうか御理解賜りたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

○高橋委員 きちんと対応したいと述べたところまでテレビで見ました。見た上で、やはりこの言葉はいかがなものか。つまり、非常に突き放した感じがする。大臣が当事者であるのに、先ほど来ずっと言われていたように、大臣自身が裁判を、政治決着をする判断ができる立場にいらっしゃるんです。そのときに、どうぞ個人の自由だと。でも、一方では線引きされるということがもう言われているわけですよ。そういう瞬間にその言葉を述べられるというのは非常に不誠実だった、私はそのように指摘をしたいと思います。そういう趣旨ではないと述べられましたけれども、それは今後、本当にそうだったのかどうかということが試されるのではないかと思っております。

 仮に、報道されている和解案の中身ですと、百七十名には解決金を払う、しかし、新たな提訴には線引きをする、東京地裁のが参考になるということが言われていると思います。このことの中身については、先ほど来大臣は言ってはならないということで、それ以上聞いてもおっしゃらないと思います。ですから、私は、これはそういう意味で聞きませんので。

 つまり、百七十名が一括して補償されるとすれば、逆に言うと、ここから先は線引きがあるよ、百七十名はいろいろあるけれども一括よ、あとは皆さんにお任せよということは、原告お一人お一人に対する謝罪の意味や責任が無になってしまうのではないかということを非常に恐れるんです。つまり、お一人お一人に対する謝罪の意味、責任をきちんと込めるつもりがあるのかどうか、そのことだけ伺います。

○舛添国務大臣 裁判の場における和解は、その前提として、五つの裁判所のそれぞれ異なった判決があります。その司法の判断を前提とした上で、今大阪高裁が何とか和解案を出そうとして努力をしているところであります。

 私は、常に申し上げておりますように、これは薬害である、そして、その責任がある、謝罪すべきは謝罪し償うべきは償うべきである、その上でできるだけ多くの方を救済する、この三点、これをまた繰り返しておきたいと思います。

○高橋委員 償うべきである、ですから謝罪の意味が込められているということで受けとめてよろしいんですね。これは、私、逆にあいまいになるのではないかということを非常に危惧をしているんです。ここは指摘にとどめたいと思います。

 そこで、与党の肝炎対策基本法案、これは名前のとおり基本法案なわけですね。今話題になっている薬害C型肝炎だけではない、肝炎全体、つまりウイルス性肝炎患者の救済と恒久的対策の根拠となるべき法案であると思うんです。そういう意味からいって、不幸な出来事としてしまうのは、やはり国や製薬会社の責任をあいまいにし、薬害原告らの闘いを無にしてしまうのではないか、国の責任を明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○大村議員 お答え申し上げます。

 先ほどの山井委員のときの御答弁でも申し上げました。今回の法案は、確かに今、高橋委員が言われましたように、この基本法案として御提案をさせていただいているものは、まさに肝炎の総合的な対策をもう関係者がすべて講じて、そしてこの肝炎という病気を日本から克服していこう、そういう意味で御提案をさせていただいているものでございます。

 その際、前文におきまして、この「不幸な出来事」云々というくだりでございますが、これは、肝炎につきましては、戦後の医療の進歩、医学的知見の積み重ねなどなど、先ほど申し上げましたが、B型肝炎のウイルスが見つかったのが一九六八年、そしてC型肝炎のウイルスが発見をされたのが一九八八年といったことで、肝炎のウイルスがそういった経過の中で発見をされた。そして、発見された後に、やはり検査の方法が確立をされ、治療が確立をされていく。

 そういう過程の中で、やはり今回の薬害肝炎の患者さんの方々はもちろんでありますけれども、輸血で感染された方、そしてまた母子感染、そして性交渉で感染された方、いろいろな感染経路で感染をされた方々をすべて含んで対策を講じていくんだということで、この基本法案を御提案させていただいているわけでございます。そういった趣旨で、この文章、この法案をつくらせていただいております。

 そういう意味でございますので、委員が言われました、国や企業の責任をあいまいにしてとか、そういうことではなくて、総合的な対策を講じていくんだ、こういう経過を踏まえてやっていくんだということで御理解をいただければというふうに思っております。

 そして、なお、先ほども申し上げましたが、国の責任なりそうしたことに触れた立法例というのは、他にもいろいろ探しましたけれども、原爆の法律でありますとか、またハンセン病、そういった例はあるわけでございますが、国の責任と完全に明記したのは原爆被爆者の救済法だけであるわけでございますが、そういったことも踏まえて、今回は総合的な対策をやるんだということで御提案をさせていただいております。

 なお、これから関係者の御意見もお聞きしながら与野党協議を進めていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。

○高橋委員 ウイルス性肝炎の患者、感染者は三百五十万人以上、その大半が、注射針にせよ、輸血あるいは血液製剤投与にせよ、みずから防ぎようのない原因で感染した医原性の疾患と言われております。このことを踏まえても、やはりふさわしくないだろう。総合的な対策だからその中に含むというのであれば、むしろ「不幸な出来事」という表現は使うべきではない。そこに今の国の責任もあるんだ、あるいは、みずから防ぎようのないものなんだということをきちんと踏まえたものにするべきだということを御提案させていただきたいと思います。

 次に、西川副大臣に伺います。

 フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチームの報告書が十一月三十日に出されました。ずっと先ほど来議論されている四百十八名のリストの扱いをめぐっての責任の所在と提言が記されております。

 この中で概要版には、「今回、存在しないとされた資料が後になって出てくるという事態が生じたことは大変問題であり、責任を問うて処分を行う。」「なお、今回の一連の問題により、厚生労働行政に対する国民の信頼を著しく損ねたことについて、我々政治家としても重く受けとめ姿勢を示すべきと考える。」と。

 この一文はどういう真意かということと、なぜ概要版にあって報告書本体にはないのか、このことを伺います。

○西川副大臣 今回のこの私をヘッドにいたしました調査チーム、これはそもそもの発端が、十月十六日の大臣の御答弁の中で、ないという御発言をしたマスキングされない資料が実はあったというその事態から、大臣が、この対応はどうなっているんだ、ちゃんときっちり、文書の管理システムその他、それと患者さんへの告知の問題、この二点を重点的に調査、検証しろという御命令で、一カ月後に結論を出すということで御下命をいただいたわけでございます。

 その中で、私たちも、まず、書類の管理あるいはきちんとした結論を次の責任者に受け渡していく、その問題に関しては大変ずさんであったという、その結論ははっきりしておりますので、きちんと処分をするということを明言いたしました。

 その中で、告知という問題、このことは私たちも、大勢の方、官僚あるいは原告団の方、当時治療に当たったお医者様の方々、そして二人の法曹関係者の方も御一緒にチームに入っていただいて検証した結果、やはり行政上、厚生労働省として、十四年、十六年の、あらゆる肝炎対策を一応やっているわけですが、その時点では、実名が入っているリストを持っていたという認識はだれも持っていないわけですね。そういう中で告知というところに思いが至らなかった、これが事実だと思います。

 その中で、大変それは、しかしもう一歩の努力をして、やはりそこまで努力すべきだったんじゃないかと。そういう思いは、私たちチームのみんながもう共通の認識として持っておりました。ただ、法的に責任があるとはやはり言い切れなかったという結論になったわけでございます。

 ですから、大臣が私たち副大臣、政務官を入れた真意は何かといえば、やはり官僚の行政権限の範囲なんかの中だけで考えるのでなくて、もう少し政治家として広い意味でこの問題を検証しろという御下命の真意だと思いますので、そういう意味では、今私たちのこの視点から考えると、当時の厚生労働行政、患者さん個人の心の中まで思いをいたした中での厚生労働行政というのはやはりあるべきだという大変深い受けとめ方をしなければいけない、そういう思いで概略に書かせていただきました。

○高橋委員 その思いがなぜ本体に入らなかったんですか。

○西川副大臣 検証チームの聞き取りということで私たちはしておりますので、やはりそこに限界があったと思います。聞き取った範囲の中では、どうしてもそういう答えが出てこなかったということですね。

 ただし、その中で、厚生労働行政全体としては、やはり本当に被害者の方々の思いを深く受けとめなければいけない、そういう思いで書かせていただきました。

○高橋委員 ちょっと質問の答えになっていないと思うんですね。

 法的には責任はなかった、しかし、政治家としてどうだったのかということに思いをいたして書いたんだと。なぜ、その書いたことが本体に盛られなかったのかということ。本体がやはり最終的には残っていくものですから、そのことを言っていたわけです。ちょっと時間がないのでよろしいです。

 そういうことがやはり伝わらないわけですよ。せっかくの思いがやはり伝わらないし、今後に生きないということをあえて指摘させていただきたい。

 私は、やはり法的に責任があるかないかをぎりぎりと詰めていけば、多分責任はないというふうになるかもしれません。しかし、今問われているのは、本当にそういうことだろうか。実名があるかないかとか、そういうことだろうか。防ぎ得たことをやらなかったということが問われているんだと思うんですね。告知されなかったことについて、報告書には、当時の関係者の聞き取りでは、だれ一人検討しなかった、念頭に浮かばなかったということが書いてあるわけです。

 私は、率直に伺います。これは局長でよろしいです。二〇〇二年というのは、再提出を求めていますよね、この報告書、リストが出たのは。ですから、一般的な副作用報告書ではないわけですね。この年の三月には、既に弁護士でつくる薬害肝炎研究会が国の法的責任を指摘する意見書を提出しています。九月には被害者の会も結成されている。つまり、裁判の準備がされている時期だ。裁判で不利になること、あるいは原告がこれによって拡大することを恐れて告知をしなかったのではありませんか。

○西川副大臣 ちょっと一言、済みません、さっきの補足をいいですか。

 当時、資料は全部徹底的に公開していたという事実の御報告と、それから、本文の中でも、十四年当時も、そこに思いをいたし、さらなる告知の努力をするべきであったのではないかということはちゃんと報告書にも書いてありますので、一切それに触れていないという高橋議員のおっしゃるのとは、ちょっと事実関係が違うと思います。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの局は、この五年前の問題につきまして調査をするチームではございませんので、私の方から御答弁するのはちょっと違うんですが、御指名でございますので申し上げます。

 この調査チームの今回の報告書の中での記載によれば、平成十四年当時、調査チームにおいて告知などについて検討がなされなかった背景については、「調査の目的は、患者救済ではなく、フィブリノゲン製剤に関し、過去の行政の対応について検証するものであった」「患者に告知するのは、本来、医師が患者への診断の中で行うべきものであるとの認識から、四百十八名は症状があることにより国が改めて指示しなければならないとは認識していなかった」「フィブリノゲン製剤に限らず、様々な原因で肝炎に感染した者も含めた幅広い一般肝炎対策を実施し、広く肝炎検査の受診を勧奨していく考え方が支配的であった」、こういったことが背景にあるというふうに記載をされているところでございます。

○高橋委員 当時の人のことがわからなかったのであれば、それを明らかにする必要があるのではないですか。

 私が言っているのは、一般的な副作用報告書とはどういうものかとか、そういう次元の話ではないわけです。つまり、一定の目的を持って再度集めているわけですから、一度は出された副作用の報告書を。そのときに、当然、被害者がもう既に出ている、病気が出ている。そうすれば、その被害の拡大を防ぐために告知をするのは、つまり、国ができなかったとしても、では、メーカーあるいは医療機関にちゃんとたどり着いていって告知をせよというのは当然のことだったと思うんですね。そこに意図的なものがあるのではないかと言っているんです。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年の調査の発端は、その一年か二年前だと思いますけれども、昭和六十二、三年当時、旧ミドリ十字から厚生省に対する肝炎の症例数の報告があったわけでございますけれども、それが後になって、実際には過小報告であったのではないかということから、もう一回過去を検証するという作業を始めたという経緯であったかと思います。

 その過程で、昭和六十二、三年ごろ、どういう報告をしたのか。個々の患者さんの状態、そういうものではなくて、何例ぐらいの報告であったのかということがそのときの調査の主眼であったというふうに認識をいたしております。

○高橋委員 この問題は、まだ幕引きができないということを指摘しておきたいと思います。

 医療費助成の問題を質問したかったんですけれども、ちょっと時間がなくなりました。この間出されていたのでここは割愛させていただいて、最後に政府に、昨年七月に党としても申し入れを行ったわけですけれども、最初に言ったように、総合的な対策を本当にやるという観点からいって、呼吸器、心臓、腎機能障害などと同様に、肝機能障害を身体障害者福祉法による内部障害の対象とするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者等の範囲につきましては、一般論といたしましては、障害者自立支援法の施行後三年の見直し規定において検討が求められているところでございまして、今後、幅広い観点から議論を行っていくこととしております。

 障害者の範囲、定義につきましては、難病などの疾患と身体障害との関係をどのように考えるべきかという点について、従来からさまざまな御指摘がございます。

 委員から、肝機能障害を身体障害者福祉法の内部障害とすることについての厚生労働省の見解のお尋ねがございましたけれども、ウイルス性肝炎等の肝臓の疾患については、継続的に医療が行われることや、治療により改善する可能性があることが想定され、身体障害者福祉法の基本的な考えである、障害が永続し、固定しているという要件には一般的に該当しないというふうに考えておりまして、肝機能障害を身体障害者福祉法の内部障害と位置づけることは困難であるというふうに考えております。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 この間議論されてきた医療費助成ではなかなかカバーできない問題があるということを踏まえて提言させていただきましたので、御検討いただきたいと思います。

 以上です。

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