国会質問

質問日:2007年 12月 12日 第168国会 厚生労働委員会

薬害肝炎、生活保護問題

 日本共産党の高橋千鶴子議員は十二日の衆院厚生労働委員会で、生活保護基準の引き下げ問題について質問しました。

 高橋氏はこの間の国会審議で、政府が「激変緩和措置」に言及したことに触れ、「下がることが決まっているのか」とただしました。厚労省の中村秀一社会援護局長は、「(引き下げを報告した)『検討会』は保護基準を消費の実態に合わせていくという重要なもの。結果は、来年度予算に反映させたい。基準を変える場合は配慮する」と答弁しました。

 高橋氏は、中村局長が、「保護基準の一番高いところと低いところの差は22.5%だが、消費の実態で見ると10%になる」としたことについて、「格差を縮めるという話だが、、下を上げるというならいいが、上を下げるということではだめだ」と強調しました。

 さらに「これは受給者だけの問題ではない」と指摘し、生活保護基準が地方税の非課税限度額などと連動していることを示しました。岸宏一厚労副大臣は「基準が変更された場合でも、国民に負担、不安を与えることがあってはならないとの気持ちで対処したい」と述べました。

 高橋氏は、「検討会」の報告書にある生活保護基準の基本的な考え方は生存権の保障を求めた「朝日訴訟」判決から引用したものだと紹介。「判決では、所得の低い人と比べて基準を切り下げてはならない、予算の有無によって決定されるものではないとされている」と強調し、「判決の教訓をふまえるべきだ」と述べました。

(2007年12月13日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私からも、最初に一言、薬害肝炎問題で大臣のお考えを伺いたいと思います。

 一昨日、総理の政治判断を期待し面会を求めた原告団に会ってはくれませんでした。大阪高裁の和解を待ってではなく、政治判断をするべきだという意思がなぜ受け入れられなかったのか。法的責任はないと繰り返しておりますが、しかし、被害者に責めはありません。これを救済するのは国の政治決断以外にないのです。

 そこで、原告団の皆さんが、先ほど山井委員からも詳しい説明がありましたけれども、線引きは認められないと繰り返し述べているのはなぜだとお思いになりますか。

○舛添国務大臣 原告の方々とも私は二度お会いしました。そして、同じ薬害で苦しんでいる、そういう人たちに差があってはいけない、こういうことをはっきり皆さんおっしゃいました。私は、その言葉を重く受けとめております。

○高橋委員 重く受けとめていると言ってくださったと思います。私は、ただそれだけではなくて、やはり原告団の皆さんが提訴に踏み切るまでの、自分がフィブリノゲンなどを投与されたという事実を知ること自体なかなか困難だった、証明することも困難だった、ただ怠けていると周りの人から言われて、原因不明で苦しんでいた、そういう時代を経て提訴に踏み切るまでの苦しみがあったからこそ、同じ苦しみをこれからの方たちに味わわせたくない、そういう思いが最大ではないか、このように思うんです。

 〇二年十月に東京、大阪地裁に十六名、最初は十六名でスタートしましたね。これから始まった薬害肝炎が、〇三年の四月に原告団長の山口さんが実名を公表された、このことによってメディアにも大きく知られることになり、初めてそのニュースを通して、私もそうではないか、そのようにいろいろな方たちが被害に気づき、提訴に踏み切って、今は二百名を超える原告団になってきた。ですから、お一人お一人がそこに踏み切るまでの苦しみを乗り越えてきたことの思いを理解するべきだと思うんです。

 大阪地裁で線引きされたという原告の一人は、一日違いでも線引きされるのはなぜか、子供の生まれた日を否定された気持ちがする、今回自分が和解を受け入れれば、自分の思いをこれからの人に負わせることになる、みずから線引きをすることはできないと訴えられました。

 大臣、今回やっとスタートラインについた方たちが初めから排除されるというようなことがあってはなりません。この点についていかがでしょうか。

○舛添国務大臣 今、いろいろな方々の御証言というのを委員がおっしゃいました。そういう皆さん方の思い、そして私は何度も申し上げていますように、国民が支持できないような解決案は解決案ではない、そういう気持ちで全力を挙げてこの問題の解決に今も取り組んでおりますし、今後とも取り組んでまいります。

○高橋委員 国民の意思ははっきりしていますので、そういう結果が必ず出ることを期待しておきます。

 次に進みます。

 きょうは、生活保護の問題で、この間も質問させていただきました。生活扶助基準の検討会について、引き下げが決まったという報道がされたことについて、そうではないという答弁があり、そして今は見送られたという報道もされている。

 先般の参議院の決算委員会などを見ていると、激変緩和という表現をされている。そうすると、これは下がることは基本的に決まっていて、激変緩和だという枠の話なのかな、そういう危惧をまた抱くわけであります。

 そこでまず伺いますが、検討会は、低所得層の消費実態と比較して、高い低いを比べたにすぎません。今回の結果を機械的に当てはめて得られる削減額は一体どのくらいなのでしょうか。

○中村(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお話のありました検討会、十一月三十日に報告書が取りまとめられたところでございますが、ちょっと説明の必要がありますので、述べさせていただきます。

 報告書の内容でございますが、生活扶助基準の水準の妥当性に関し、低所得世帯における消費の実態と均衡が適切に図られているかどうか、そこを調査いたしました結果、夫婦子一人の世帯、三人世帯において、先生がおっしゃいましたように、基準額がやや高目、単身世帯において高目、こういう結果になっております。

 ほかにも二つありまして、生活扶助基準の体系の妥当性について評価いたしましたところ、基準は、世帯人員四人以上の多人数世帯に有利であり、世帯人数が少ない世帯に不利になっておる。

 三点目でございますが、地域差を設けておりますが、今、最も高い地域と低い地域の基準の較差が二二・五%になっております。これは、今回の結果では一〇%くらいに縮小している、そういうことが結論になっております。

 したがいまして、先生から機械的に適用するというお話がございましたけれども、増加する要素、減少する要素もありますので、どういう基準のつくり方をするか、そういったことについて考えていかなければなりませんので、なかなか機械的に増減ということについてお出しできる性格にはないんじゃないかというふうに考えております。

 そこで申し上げますと、毎年度の生活保護基準は、先生御案内のとおり、予算編成で決められているところでございます。今回の検証作業は、五年に一度の全国消費実態調査の結果を踏まえて基準の妥当性について検証していくというルールの適用でございまして、これからの保護基準を消費の実態に合ったものにしていくために重要なものであり、私どもは、今度の予算編成にぜひ反映させていきたいと考えております。その場合、ただいま申し上げましたように、増加する要素、減少する要素、両面ありますので、報道などにありましたような、一概に引き下げ云々とは言えない状況にございます。

 いずれにしても、現在、予算作業が継続中でございまして、現段階で確定的なことは申し上げられませんけれども、最終的には予算案の中で明確にしてまいりたいと考えております。その際、大臣からも御説明しておりますように、そういう基準を変えるに当たっては、さまざまな配慮もしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 まず、機械的にと私が言ったのは、今言ったように、夫婦と子一人の三人世帯は高目である、その差額は例えば千六百円とか、そういうのを当てはめたときどうかというお話をしたんです。

 例えば、それはせいぜい一%ですから、影響額としたらわずかな額ですよね、そんなものを削る必要はありませんよねということが言いたいのが一つです。

 それと、級地を一〇%の較差にするとおっしゃいました。これは、要するに較差を縮めるというお話なんですね。だけれども、地方を、下を上げるというのだったらいいんですけれども、上を下げるというのだったら、期待している較差の是正にはならないわけです。その点はいかがですか。

○中村(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 検証結果では、委員御指摘のとおり、水準については、三人世帯で基準が十五万四百八円、それから、それに見合う消費実態が十四万八千七百八十一円ということで、先生が御指摘になった差でございますが、例えば単身世帯を見ますと、七万一千二百九円の基準に対し、六万二千八百三十一円ということで、報告書でも、単身世帯では高目、夫婦子一人世帯ではやや高目、こういうような状況になっております。

 地域差につきましては、先ほど申し上げましたように、今、最高地域と最低地域の差が二二・五%ございますが、消費の実態で見ますと、最高地域を一〇三といたしますと、最低地域が九三で、一〇の較差に縮小しているということでございます。

 そういった地域差の問題などにつきましても、その基準をどうやってつくっていくかということについては今精査中でございますので、もう少し時間をちょうだいしたいと思っております。

○高橋委員 この点は強く指摘をして、次に行きたいと思います。

 生活保護は、単に受給者だけの問題ではなく、生活のさまざまな、例えば減免基準の目安などという形で影響しているわけであります。

 総務省にまず伺いますが、地方税の非課税基準に生活保護を勘案するという根拠は何でしょうか。仮に生活扶助基準が変更されれば、地方税にも影響が出ると考えてよいでしょうか。

○高橋(正)政府参考人 お答えいたします。

 個人住民税の非課税限度額についてのお尋ねでございましたが、個人住民税につきましては、地域社会の会費という性格から、所得割につきましては、その課税最低限は所得税よりも低く設定されてございます。このため、所得割の非課税限度額を、低所得者への配慮から、生活保護基準額を勘案して水準を設定し、その水準以下の所得しか有しない方には所得割を非課税としているところでございます。また、均等割の非課税限度額につきましては、特に、所得の低い方に対する負担を避けるため、所得割よりも低い水準で設定しているところでございまして、生活扶助の基準額を勘案した基準に基づきまして、市町村が条例で定めることとなってございます。

 このような非課税限度額の基準を定めるに当たりまして、低所得者への配慮から、生活保護に係る基準を勘案し非課税限度額の基準を定めているところでございます。

 以上でございます。

○高橋委員 質問には直接お答えをいただいていなかったと思います。

 低所得者への配慮から、生活保護基準を勘案しているとおっしゃっている。ですから、逆に言うと、生活保護の基準が仮に変わったとして、もし下がるということになったとすれば、それで、またこれが影響するということでは、逆に低所得者に影響を与えてしまうわけですから、そういうことはないよというふうに受け取ったらよろしいのかしらと。それ以上は言えないでしょうか。

○高橋(正)政府参考人 失礼いたしました。

 先ほど、生活保護に係る基準を勘案し非課税限度額の基準を定めているというふうにお答え申し上げました。したがいまして、今後、生活基準について、一般論ではございますけれども、いろいろ御議論がございまして、見直されるようなことになった場合には、非課税限度額の基準について、私どもといたしましても、検討をする必要があろうかとは考えてございます。

 以上でございます。

○高橋委員 検討する必要があるというお答えでした。低所得者への配慮のために勘案すると書いていたことが、やはりリンクするということがわかったかなと思っております。

 昨年の六月、文部科学省が就学援助に関する調査結果を発表しました。これは、十七年度から、三位一体の改革の関連で、準要保護児童に対する国庫補助を廃し、一般財源化したことの影響を調べたものでありました。全都道府県の二から四市町及び二十三区の百二十五市区町を対象としたものでしたけれども、準要保護児童の認定基準を変更した市区町が二十八、二二・四%ございました。うち、縮小、引き下げは二十だったという結果でございます。

 もともと就学援助の内容は市町村によって一定幅がございますけれども、やはり、財政難を理由に自治体が要保護家庭だけに限定し援助を縮小する傾向にあるというのは、ここからも読み取れると思います。この上、もし仮に保護基準の引き下げなどがあれば、どうなるのかということが危惧されます。

 子供たちにワーキングプアが引き継がれているということがテレビでも報道されていました。しかし、これは今、一つの具体的な例でありますが、こうしたことが、さまざま関係するものがあるよということは、この間指摘をされてきました。こうした点でも、ほかの施策に与える影響をどのように考えるか、伺いたいと思います。

○岸副大臣 生活保護は、先生ももちろん御承知でございますが、健康で文化的な最低限度の生活を保障するという、我が国のいわば最後のセーフティーネットでありまして、その基準は、客観的なデータに基づき、定期的な検証を実施して設定されるべきものであるということは、中村局長の御説明のとおりでございます。

 生活保護基準では、生活保護以外にも、厚生労働省の関係では、例えば介護保険料、国民年金保険料等の減免の基準などに関連しているところでございますけれども、生活保護の基準が変更された場合にどのような影響が出るかは、変更の内容によるものでして、ただいまの答弁にもありましたし、先生の御発言にもあったとおりでございまして、一概には申し上げられない、こういうことでございます。

 なお、生活保護基準の見直しに当たっては激変緩和措置というものを講じるということは、既にさまざまな場で大臣初め皆さんからの御発言もあったわけでございますが、関連する制度についてもやはり、制度ごとによくその影響を検討して、国民に負担を、不安を与えることがあってはならない、そういう考えのもとに対応を考え、適切に措置していく、こういう気持ちでこの問題に対処したい、こういうふうに思っております。

○高橋委員 今、最後におっしゃってくださった、負担をかけることがあってはならないということは非常に大事なことで、ぜひそうしていただきたいんですが、ただその前提として、やはり影響があるんだな、かなり広範に影響があるんだなということが読み取れるかなと思っております。

 生活扶助基準が引き下げられると、最低生活費とはこの程度と国が決めることになり、新たに保護を受けたいという人の門戸も狭めることになります。

 そこで、報告書にある生活扶助基準の基本的な考え方は、「生活扶助基準の水準は、健康で文化的な最低限度の生活を維持することができるものでなければならないが、その具体的内容は、その時代の経済的・文化的な発達の程度のほか、国民の公平感や社会通念などに照らして総合的に決まるものである。」先ほどおっしゃったことと同じですけれども、この引用部分が朝日訴訟を引いたものだということを説明を受けました。

 結核患者だった朝日茂さんが、お兄さんからの仕送りを国庫へ取り上げられたことに端を発し、憲法二十五条そのものを問いただした闘いとして、人間裁判、人権裁判として今に生きている裁判であります。

 ここでの教訓は、人は単にかろうじて生物としての生存を維持できる程度のものであろうはずはないのだということを言っていること、あるいは、最低限度の生活水準を判定するに当たって注意すべきことは、現実の国内における最低所得層、例えば低賃金の日雇い労働者や零細農漁業者、いわゆるボーダーラインに位する人々が現実に維持している生活水準をもって直ちに生活保護法の保障する健康で文化的な生活水準に当たると解してはならないということ。このように、低い人と比べて、それでいいのだと言ってはならないということを指摘していることや、予算の有無によって決定されるものではないという指摘をしています。

 このような教訓を生かしているのでしょうか、大臣、最後に一言伺います。

○舛添国務大臣 憲法二十五条は最後のセーフティーネットでありますから、きちんとこの線に従って生活の扶助をする。しかし一方、私がよく申し上げますように、憲法の二十七条では、国民は勤労の権利義務をきちんと持つし、負っているんだということを言っております。私は、やはり一生懸命働ける、就労支援ということが非常に重要だと思います。

 そして、今回の報告書は、働いている方の一番下の十分の一の方々に比べて、いろいろなデータ、客観的なデータで見ると、生活保護の水準が若干高くなっている、これを明確な形で示された。それを受けた上で、どういう形でこれを予算編成に反映させるか、それを今、政府・与党内できちんと議論をした上で結論を出したい。そういう過程におきましても、今の高橋委員の御意見も大変貴重な意見として賜った上で、そういう意見も国会の中であるんだ、それを念頭に置いた上で対応してまいりたいと思います。

○高橋委員 勤労する方々にとってもこの生活扶助基準が重要だということを示したのが朝日訴訟判決だったわけです。一九六二年の社会保障制度審議会の勧告にも反映をさせた、そこをしっかり受けとめていただきたいと思います。

 残念ながら時間が来ましたので、終わります。

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