国会質問

質問日:2008年 4月 22日 第169国会 厚生労働委員会

感染症予防法改正案 ―参考人質疑

 日本共産党の高橋千鶴子議員は、二十二日の衆院厚生労働委員会で、新型インフルエンザに関する感染症予防法について参考人質疑を行いました。

 国立感染症研究所の岡部信彦氏は、「新型インフルエンザは国外で起きる可能性が高く、国際レベルで検知システムを引き上げることが大事」としたうえで、対策について、「ワクチンなど一つの方法だけでなく、マスクや手洗いなど生活習慣や日常医療の充実が大事。医療崩壊がいわれるなか、信頼を回復しないと成功しない」と述べました。高橋議員が都道府県の感染症防止計画について質問したのにたいして、岡部氏は「保健行政、医療現場、検査部門、衛生部門などに専門家が少なく、仕事が進まない」とし、人材不足解消の緊急性を訴えました。

(2008年4月24日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、お忙しい中、本委員会に出席いただき、貴重な御意見をいただきました。本当にありがとうございました。

 初めに、岡部参考人に伺いたいと思います。

 国民の新型インフルエンザに対する関心が、この一年間でようやく高まってきたかと思います。一方、センセーショナルな報道も多く、予想のつかない混乱が起こり得るということも想定されるし、同時に、先生御指摘のように、判断者がパニックにならない、このことは非常に重要ではないかと思っております。

 その点で幾つかお伺いをしたいと思っておりますが、まず、こんな聞き方をしていいのかどうかあれですけれども、パンデミック発生のきっかけはどんなところから来るとお考えか、WHOの監視のポイントなども、もしあれば伺いたいと思います。

○岡部参考人 御質問ありがとうございます。

 何らかのエビデンスに基づいて、つまり事実に基づいての説明ではなくて、想像と周辺からの考えになるんですけれども、日本の国内で初めて新型インフルエンザというウイルスが発生するということは、メカニズムから考えると非常に起こりにくいであろう。

 現在、鳥から直接来る、あるいはそのほかのルートを考えても、恐らくは、インフルエンザという病気に関する通常の監視が行き届いていないところでふっと起き上がってくる、そして、それがわかりやすいところに広がった時点で初めて見つかってくるのではないか。つまり、国内よりも国外のところで発生して、そこからスタートをするのではないかというのがあります。

 その分だけ、時間をできるだけ稼げるのであれば、そういうような地域での発生をなるべく早く検知できるということが重要になってまいりますので、これが、先ほどの御質問にもありました、通常のインフルエンザに関する関心あるいはチェック、検知システムを国際レベルで引き上げていくということが重要だろうと思います。

○高橋委員 ありがとうございます。

 その上で、例えばトリ・ヒトの、今の鳥インフルエンザの場合は、既に死亡率が六割ということになっておりますけれども、やはりその特徴として、トリ・ヒトの場合は圧倒的に途上国で発症しているということ。もともと、免疫がないというだけではなく、抗ウイルス薬などの備蓄もないなど、いわゆる貧困、経済的な理由というのが大きいかなと思っております。

 その点に対する先生のお考えと、日本は逆に、タミフルは世界じゅうのシェアの七、八割くらいを占めているということも言われておりますけれども、では、日本が国際貢献としてやるべきこともあると思いますが、その点で伺いたいと思います。

○岡部参考人 御質問ありがとうございます。

 例えば、今韓国で鳥のインフルエンザが発生して、二十数羽の陽性鳥が見つかっているというようなこともあるわけですけれども、韓国で発生した後に我が国で鳥インフルエンザが発生しているという事例が、今までは二回ともそのようなことが想定されているわけです。

 したがって、日本の場合は、今、次の段階で鳥インフルエンザが出てくるかどうか。しかし、前回の例でも、早いところでは数十羽単位で見つけられるようになっている。これは、やはり我が国のそういう意味では検知精度が随分進んでいると思います。

 ところが、いわゆる途上国に行きますと、患者さんが一人発生をし、二人発生し、その人をずっと追っていってみると、自分のうちで鶏が死んでいたというような形で、逆のことになっています。つまり、早期の発見ということができない中でだんだんたまっていっている。まだ人の患者さんの数としては三百数十人ですから、極めて少数だと私は思うんですけれども、しかし、その積み重ねがぱっと破裂するといいますか、そういう状況が警戒されるというのが今です。

 したがって、途上国全体の医療、それから、先ほどのインフルエンザの延長でありますけれども、そういう感染症対策ということを、やはりこれは、できるところはできないところに対してもっとサポートをしていく。そのサポートは、必ずしもその国のためだけではなくて、こちら側の方に反映をしてくるということでの国際協力。それから、その辺は医学を超えていくわけですけれども、国際政治も含めた協調性というものが非常に重要だというふうに思います。

 私たちの立場からは一生懸命そこができますけれども、それを超えたところをぜひいろいろなところでお考えいただけるとありがたいというふうに常々思っています。

○高橋委員 ありがとうございます。

 今先生のお話を聞いていて、やはり医療の水準というのが非常に大きく違うのかなというふうに考えました。

 タミフルの備蓄に関しても、いろいろな政策的な問題はともかくとして、日本がフリーアクセスの国であるということ、一定の医療の水準があるということの上に立って使われているということもあるのであろうと。そうすれば、やはりそういう途上国の医療の水準を引き上げるためにも、国際貢献という形が非常に重要なのかなということを改めて考えさせられました。ありがとうございます。

 そこで、ヒト・ヒト感染がどこかで発生した瞬間でありますけれども、国としては、WHOがどこかで発生しましたよということで、一斉に諸外国に対策を求める、そこで、検疫や出入国の規制あるいは移動など、段階的な程度によって規制や公衆衛生介入などによって時間を稼ぐということが求められてくると思うんですけれども、同時に、先ほどお話があった、通常のインフルエンザ対策の多くの積み重ねによって、個人のレベルアップということも求められる。ですから、高性能のマスクや、あるいはうがい、手洗いなども有効な手段ではないかと。

 そうしたことなどを基本的に周知して、国民に過度に恐れるものではないんだということを徹底していくことも非常に大事ではないかと思いますが、その点でお願いいたします。

○岡部参考人 ありがとうございます。

 何か一つのことを集中すればそれでパーフェクトだということはないというふうに思います。例えばワクチンも非常に期待をされているところではありますけれども、ワクチンさえ接種しておけば一〇〇%安全ということでもありません。それから、通常タミフルという名前の薬を飲めばこれで絶対に治るということではないので、幾つかのいわゆるバリアを設けていって、複数のものでやっていかなくちゃいけない。

 その中には、先ほど申し上げましたような、医薬品だけではなくて、日常の習慣としての、今議員がおっしゃったマスクであるとか手洗いであるとか、そういうようなことに対する習慣づけであったり、それから、通常の医療の中で、これは清野参考人もおっしゃっていましたけれども、医療の中で必要なものは必ずしもタミフルとワクチンだけではなくて、そのほかの、呼吸器、呼吸を調節する機械であるとか、あるいは点滴であるとか、あるいはそのほかの指示薬、こういったようなもの、加えてベッドの余裕とか、医療体制そのものの方に関連が出てくると思います。

 今、医療の崩壊と言われていますけれども、お互いのそういうようなものの信頼を戻さないと、実際の新型インフルエンザ対策のときになかなか難しいというふうに思います。非常に広範であると思いますけれども、ぜひよろしくお願いいたします。

○高橋委員 ありがとうございます。

 非常に貴重な提言をいただいたと思います。今後また生かしていきたいと思います。

 次に、藤井参考人に伺いたいと思うんですけれども、政府が先般発表した新型インフルエンザの水際対策において、もちろん発生国からの出入国規制やおそれのある人への衛生介入などのほかに、在外邦人の帰国について検討していると。

 帰国を希望する在外邦人に対してはすべて速やかに帰国させるということを言っているわけですけれども、これは、全体としては出入国を規制しつつ、何らかの手段で在外邦人だけを帰国させるというのは、またその後の態勢も含めて、かなり技術的には難しいのかなというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○藤井参考人 ありがとうございます。

 水際対策のお話で、特に在外邦人の帰国のさせ方というのが議論されているがというお話でございますが、確かに、私も実は、この会議、特に検疫所は直接入っていないんですけれども、四月九日に関係省庁対策会議というのがあって、それがかなり新聞で報道されましたものですから、私たちもちゃんと知っておきたいということで、内閣官房などのホームページで内容を見させていただきました。

 先ほどから水際のお話をしておりますけれども、恐らく、水際対策というのが、陸続きの国ではない日本だから、帰ってくるのが飛行機あるいは船でしか帰ってこれないものですから、さらに効果が出るんじゃないかと思っておりますけれども、帰ってくる便の調整の仕方なのかなというふうに思っています。

 資料を見させていただきますと、在留邦人の方が例えば中国で十数万人いらっしゃるということで、その方たちを帰すためにはどうするかといったような検討がなされているということであります。

 我々は、その帰ってくる便が、例えばの話ですけれども、これはまた国土交通省さん等とも調整をしていただく話だと思いますけれども、すべての便を一応運航を停止して、在留邦人さんだけが特定の便で帰ってくるとか、あるいは観光客の方などはもうシャットアウトをしていただいて、まさしく日本の方だけ、お住まいになっている方だけ帰っていただくといったようないろいろな方法があると思うんです。

 どういう、帰していただき方、航空機あるいは船舶の運用であっても、私たちが水際でやることは、その方たちに対してきちんと健康チェックをさせていただいて、御説明を申し上げて、必要な方は入院等をしていただく、あるいは地域に帰ってからもきちんと留意をしていただく、せきエチケットみたいなものはちゃんとやってくださいとかというお話をする。

 私たちがとり得る方法はそういう方法ですので、恐らく今先生が御質問いただいたことは、帰し方の運用方法については、恐らく政府の方で検討していただいて、その方針に従って私たちがきちんと対応させていただくと。

 済みません、御回答になっているかどうかわかりませんが、そのように考えております。

○高橋委員 ありがとうございます。

 なかなか難しい問題ではないかなと今思っているわけですけれども、ただ、在外邦人の対策についても、あるいは一般的な出入国の規制についても、日本だけではなく、国際的な合意が必要であろうと思うわけです。検疫に関する業務というのは、国際保健規則、IHRにより各国共通と聞いております。

 そこで、例えば、SARSの経験はどうだったのか、生きているのだろうか、あるいは国内対策を国際スタンダードと照らし合わせたときにまだ追いついていない点などがあるのかどうか、その点について伺えればと思います。引き続いて藤井参考人に。

○藤井参考人 ありがとうございます。

 確かに、私たちが行っております検疫は、法に基づいて仕事をしております。また、感染症法も、感染に関しての法律だというふうに理解しております。それとIHRがきちんと整合がとれているということは非常に重要なことだというふうに思っておりますし、恐らくそういう観点からの見直しもされているというふうに認識をしております。

 ただ、先ほど出入国規制というお話をしていただきましたが、私たちは、今、検疫法に基づいて行える業務は、入国者に対する対応でございます。恐らく、出国については、いろいろあると思うのですけれども、感染者の方が出国しようというのは、本当に、外国に感染者の方を送り込んでしまう、あるいは航空機に御迷惑をかけるので、というふうに考えた時点で、ふと考えますと、感染者の方は、地域で入院の治療をどうしてもしてくださいということで、入院勧告などをされておられますし、あるいは、外国に行きたいというのでチケットを買われる、あるいは航空会社に来られるといったら、その時点で御連絡をいただいて、きちんと出国を取りやめていただくといったようなことが、運用上はできるんじゃないかと思います。

 むしろ、一般の方、健康な方が外国に行かれて、発生国で感染をされて、持って帰ってしまうといったようなことも、最終的には入国される方ですので、そういう方に対しての出国の自粛等々につきましては、これは恐らく外務省さんとの御連携になるんだと思いますけれども、そのあたりをきちんと、先ほど岡部先生等々がおっしゃっておられますけれども、情報共有を国民の方ときちんとさせていただいて、その辺の重要性を理解していただくといったような対応が、今の運用上ではとり得るのではないかと思っております。

○高橋委員 ありがとうございます。

 続きまして、清野参考人と光石参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、清野参考人から、新たな経鼻ワクチンの問題について貴重な提言をいただきました。そこで、最後に発言された、臨床試験についての考え方、国の考え方を示してほしいとの要望がございました。新型インフルエンザのワクチンの製造に当たっては、フェーズ4以降においては、直ちに、国家備蓄しているプレパンデミックワクチン原液の製剤化を行うようワクチン製造会社に要請した時点をもって、薬事法四十三条の規定にかかわらず、当該新型インフルエンザワクチンの販売、授与等を行えるという形で、国家検定の一部カットや期間短縮などということが想定をされております。

 発生後にしかワクチン株が得られないという特殊性や、とにかく急ぐという問題と安全性の確保との兼ね合いという非常に難しいことが問われると思いますけれども、その点について御意見がもしありましたら、お願いします。

○清野参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、パンデミックワクチンの開発に当たっては、フェーズが非常に大事だと思います。先ほど私、現在のプレパンデミックワクチンなら自分は受けたくないかもしれないというようなことも生意気に申し上げましたけれども、それは、今フェーズ3だからです。フェーズ4になったら、事は全然変わると思います。ですから、フェーズ3の今だったらこういう指針で、フェーズ4になったら、もう既に法律等は定められているようですけれども、それにのっとってやれと。そこを明確に私たちにも示していただければということであります。

○光石参考人 今の点について言えば、フェーズ4になっても、とりあえずはプレパンデミックでやらざるを得ないという期間があるようです。その辺のところを明確に説明する、理解してもらうというあたりが、安全性を検討していくときに非常に重要じゃないかなと。だから、新型インフルエンザというのは、新しいのは全部新型インフルエンザなんだけれども、今治験で承認されたのは新型インフルエンザですけれども、これは今後起こってくる新型インフルエンザと少し違うはずなんですね。だから、その辺のところの説明、同意というあたりは非常に重要なことかな、こういうふうに思っております。

○高橋委員 ありがとうございました。

 今のお二人のお話を聞いていて、やはり事前の説明と理解というのが非常に重要であるかなというふうに改めて感じました。

 最後に、岡部参考人にもう一度伺いたいんですけれども、国内対策について、やはり都道府県が最前線である、それでいて、何をどれだけ備えるかというのは、自治体の側にするとまだまだ見えていない、よくわからない。それで、どこまで計画を進めていくかという点で非常に混乱しているということがあるかと思います。発熱センターをやるということ一つとっても、保健所が看板を一つつけるだけという印象がございます。

 都道府県の計画を実効あるものにする上で、政府として急ぐべきことについて御意見を伺います。

○岡部参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほど、医療の中で専門家が見るかどうかというような御質問もあったのですけれども、少数のときには専門家が必要だと思います。多数になったときは、専門家ではなくて、いろいろな人がそれに取りかからなくちゃいけないんですけれども、現在、私たちもそうですけれども、自治体の中の保健行政、あるいは医療現場、それから検査をするような衛生研究所、そういうところに今求められているのは準備ですので、これは専門家が要るんですね。しかし、その専門家の数が余りにも足りなくて、なかなか動きが進まない。一たん動き出したら、その専門家たちがつくったものについて多くの人が取りかかればいいので、そのときに専門家がいても、もうしようがないとは言いませんけれども、そのときにたくさんの専門家が要るわけではない。

 そういう意味では、自治体や何かに、必要な人材とか、あるいはその人たちが教育を受けてできるだけのことをやれるというのが今は必要なことじゃないかというふうに思います。

○高橋委員 もっともっとお聞きしたいんですが、時間が来ましたので終わります。

 どうも本当にありがとうございました。

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