国会質問

質問日:2008年 11月 14日 第170国会 厚生労働委員会

労働基準法改正案審議

 日本共産党の高橋ちづ子議員は14日の衆院厚生労働委員会で、残業割増賃金引き上げの労働基準法改定案について、残業規制のしり抜けとなる問題点をあげて、長時間労働をなくす力にならないとただしました。

 改定案は、過労死ラインの80時間超について割増賃金を現行25%から50%に改定。労使協定を結べば、80時間超分を有給休暇に振り替えできます。残業4時間が休暇1時間に相当し、80時間プラス32時間の残業で一日休める計算です。

 高橋氏は、労使協定を結べば残業時間は青天井であり、「上限を法定化し時間を規制するべきだ」と指摘。休暇振り替えについて「120時間残業して一日休める程度だ。その前に死んでしまう。年休取得率が5割に満たないのに何の意味もない」と述べました。

 金子順一労基局長は「労使で話し合って頂く」としか答えられません。高橋氏は、「残業をさせても、事業所がひまな時に休暇を与えればよく、企業の都合の良いようになる」と批判しました。

 高橋氏はまた、派遣労働者の雇い止めについて、「1999年に原則自由化し、雇用の調整弁にできるよう規制緩和したことに根本問題がある」と指摘。「(リストラは)飛躍のための縮み」という堺屋太一経企庁長官(当時)の発言(99年)を紹介し、「企業はばく大な利益をため込んでおり体力はある。予防的に、この際、雇用を切っておくといったことはあってはならない」とただしました。

 舛添要一厚労相は、「調整弁として使われてきた面はある」と認め、「予防的なことのないよう雇用の確保に全力をあげていかなければならない」と述べました。

(2008年8月15日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 この間、アメリカ発の金融危機とそれに伴う日本経済の急速な落ち込み、これにかかわる労働者の雇用の確保の問題について、一昨日の本委員会や、また昨日の参議院の委員会、そして本日も議論をされてきたところだと思います。

 この間、貧困と格差の拡大が叫ばれているわけですけれども、その大もとに働き方の問題があること、その象徴的な問題として派遣労働がクローズアップされ、今国会にも労働者派遣法改正案が出されているところだと思います。

 我が党は、九九年の原則自由化に唯一反対をいたしました。当時、派遣対象業務の拡大は大量の低賃金、無権利の労働者をつくり出さざるを得ない、常用労働者の派遣労働者への置きかえが加速する、このように指摘をしたところであります。トヨタとそのグループ会社が七千八百人の派遣や請負労働者を削減する計画がわかっています。契約を解除すると紙切れ一枚を派遣元に届ける、それで瞬時に労働者が職を失う、結局しわ寄せはおれたちに来るのかという男性のつぶやきがテレビで紹介されていました。

 また、私の地元では、八月に三つ目の新工場を稼働させたキヤノンプレシジョンが、わかっているだけで、これは全体として五千人雇用して、地域に大きな影響力があるわけですけれども、二つの派遣請負会社、二百八十人が雇いどめ、中途解約をされました。

 こうしたことが今次々と起こっているわけです。

 大臣に伺いたいのは、派遣労働者が真っ先に雇いどめされるような今日、我が党が指摘してきたように、無権利の労働者を生み出し、企業の都合で雇用の調整弁とできるようにしてきたこの規制緩和、ここに根本的な問題があるのではないかと思いますけれども、認識を伺いたいと思います。

○舛添国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、いかにして働く人たちの権利を守るか。働き過ぎ、それから特に派遣労働者の問題、これは私もさまざまな問題が出てきていることに対して、日雇い派遣の原則禁止ということを打ち出して、今これを法案化しようとしております。

 ただ、片一方で、私が日雇い派遣を原則禁止するよと言ったら、たくさんの苦情が国民から寄せられまして、大臣は私の職を奪うのか、私は主婦をやりながらこうやっていることによって家計を支えているんだ、どう思っているんだという声もまた、たくさん寄せられております。

 したがって、自由な価値観に基づいて働き方を自由にするということにも一顧を与えないといけない。しかし、そういう中で、基本的に働く人たちの権利を守っていくことが必要だと思っておりますので、例えば名ばかり管理職、これについては厳しく取り締まったところでございますし、今後とも、そういう労働政策を労働大臣としてきちんとやってまいりたいと思っております。

○高橋委員 ちょっと、そういう議論にまさか入るとは思っておりませんでしたね。

 やはり、大もとのところでどうだったのかということを真剣に見る必要があるのではないかということでの議論を私は伺いたかったのです。

 資料の一枚目につけておきましたけれども、日経新聞の十月二十二日です。「「失われた十年」で、日本の雇用は大きく変質した。」というところで始まっているわけですけれども、「雇用の調整弁になるのも非正社員だ。」ということを言って、人材を供給する製造派遣大手のアイラインがこう言っていますね。「例年ならこの時期は派遣契約の注文人数が増えるはずだが、今年は前年同期の三割減。年末商戦をにらんだ増産期が終わったら、さらに人数が減るかもしれない」。仕出し弁当じゃあるまいし、派遣の一人一人が注文人数という形でまさに物のように扱われてきたわけです。

 その中身がどういうことだったのかということを非常に露骨にこれは書いているんですけれども、写真の下の段、「企業は正社員を派遣など非正社員に置き換えることで人件費を削減し、競争力を維持した。」後ろの行に行きますけれども、「非正規雇用が失業率の上昇を食い止める防波堤の役割を果たしてきたからとも言える。」と。これが、今ひびが入りつつあるというふうに言っているわけです。

 ですから、例外的、臨時的なものだということでスタートしたはずです。しかし、そうではなくて、実際には置きかえになるのではないかということを指摘してきたことが現実にやられてきたということをあからさまに言っているのではないか。そういう認識は大臣はないのか、伺いたい。

○舛添国務大臣 今、この新聞の記事にありますように、まさに調整弁として使われてきた面はあるというふうに思います。

 したがって、この派遣労働者の問題をどうするか。日雇い派遣の原則禁止を含め、労働基準監督署による重点的な監督指導、さらには、限度基準告示において、限度時間を超える時間外労働について、その短縮や法定を超える割り増し賃金率を定めるように努力しろ、そして、この労基法の改正案では、八十時間を超えるものについては五〇%に割り増し率を引き上げるということを申し上げているわけでありまして、こういうことに対して、きちんと政策で対応したいと思っております。

○高橋委員 順番に質問しますので、そこの基準法の問題までおっしゃらなくてもよろしいかと思います。ただ、調整弁であるということはお認めになったかと思います。

 簡潔に、局長でよろしいです、答えていただきたいと思いますけれども、派遣先指針にもあるように、途中の契約解除、これは、就業あっせんなど雇用確保に努める必要があると思いますけれども、確認したい。

○太田政府参考人 今委員御指摘の、派遣先の労働者派遣契約の中途解除でございますけれども、これはやはり、派遣労働者の雇用の安定の面から好ましいものではなくて、可能な限り避けるべきものと考えているところでございます。

 このため、派遣元、派遣先指針に基づいて、中途解除の際には、派遣元、派遣先双方の企業に対しまして、派遣先等の、例えば関連企業での就業をあっせんすること等によりまして、新たな就業機会を確保するように必要な措置を求めているところでございまして、今後とも、厳正な指導をやっていきたいと考えているところでございます。

○高橋委員 今のお言葉のとおりにしっかりとやっていただきたいと思います。

 この間の情勢を、十年前の平成大不況のことを思い出しているわけです。ちょうど今の定額給付金の騒ぎも、よく似た地域振興券というものがあったななどということがあるわけですけれども、あの大不況を契機に、逆に雇用の流動化が大きく進んだということも一つの特徴ではなかったかなと思っております。

 九九年の三月二十六日、これは中日新聞ですけれども、当時経済企画庁長官だった堺屋太一氏がこんなことを答えております。

 政府は、景気は下げどまりつつあるとの判断を示しているが、回復時期はいつになるかという質問に対して、景気は底入れの段階に入っている、しかし、企業のリストラは今後も必要で、雇用面では厳しい数字が出るだろう、だが、それは次の飛躍のための縮みだ、九九年度後半になれば、回復をしっかり実感できるのではないかと思う。

 この縮みだという表現ですね。つまり、もう一定底入れになっている、しかし、今後の飛躍のためには雇用のリストラはさらに必要だということを長官は当時おっしゃっている。今の状況が、確かに減産の見込みということは言われています。しかし、この間、もう当然御承知のように、莫大な利益をため込んできたということもこれあり、体力もあるということもあります。そういうときに、予防的に、あるいはこの際という形で雇用を切るといったことは厳にあってはならない。

 この点で大臣、一言お願いしたいと思います。

○舛添国務大臣 それぞれの御判断は企業がおやりになると思いますけれども、これから先の経済情勢が実体経済にどういう影響を与えるか、そういう中で、雇用の確保ということに対しては、今予防的というお言葉をおっしゃいましたけれども、そういうことがないように、雇用の確保のために政府としては全力を挙げてまいりたいと思っております。

○高橋委員 ありがとうございます。

 そこで、非正規雇用の話をしましたけれども、一方では長時間労働であるということが今問題になっているわけですけれども、大臣に伺います。今回、労働基準法改正の目的は、労働時間を減らし過労死をなくす、人間らしく働けるようにすることである、こういうことで理解してよろしいでしょうか。

○舛添国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、ワーク・ライフ・バランス、本当に長時間の労働は抑制しないといけないというふうに思っておりますとともに、私はもう本当に過労死に対して大変心を痛めておりまして、こういう方々をどうしても救いたいということで、さまざまな訴訟においてもそういう点について配慮を下してきたつもりでございます。

○高橋委員 今、大臣、過労死について特別な心を砕いているとおっしゃいました。きのうの参議院の厚生労働委員会で、我が党の小池議員の質問、国立循環器病センターの過労死の大阪の判決について上告をしないと明確に大臣が答弁されたので、お母様も見ていらっしゃったし、質問した小池さんも非常に感きわまっているというところを見て、そういう、大臣が早く決断をしてくださったということは本当に喜ばしいことだと私は思っております。

 同時に、明と暗が分かれておりまして、昨日は、私の地元の八戸の労災病院に勤めていて薬剤師だった方の過労自殺が敗訴いたしました。これは、労災の審査に対して不服であるという行政訴訟であったけれども、働く人の健康と命、生活を守るために支える役割をしている労災病院でこうしたことが起こったというのは本当に残念なことで、長い時間を割いて、遺族の方が労災をやり、そしてそれがかなわずに裁判に持ち込まれて、また非常に何年も、この方はもう十年以上闘っていらっしゃいます。そういうことを何としても、もちろん過労死をなくすというのが大前提です、同時に、遺族がここまで闘わなければならないということを何としても食いとめていただきたいと私は思っています。

 ちょっと具体的な質問をさせていただきたいんですけれども、そういう立場に立つときに、やはり残業の上限時間は法定化すべきではないか。これは、現在三六協定と言われている平成十年の労働省告示、限度基準、月四十五時間、年間三百六十時間ということがございますが、実際には、三六協定を結んでその上に特別協定を結べば、上限は青天井になっているという現状がございます。

 本当にやるのであれば、残業の上限時間を法定化して時間規制をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘にございましたように、現在の労働時間規制でございますが、これにつきましては、限度基準告示におきまして、一カ月でございますと四十五時間までということで、この範囲に残業をおさめていただくということで、指導によりまして、三六協定の締結等に必要な指導を行っているところでございます。

 ただ、その上で、やはり不測の事態ということもあるわけでございまして、特別な場合にはこれを超えてできるということで、これを特別条項つき協定と呼んでおりますけれども、こうしたことも認めているわけでございます。

 ただ、これは、指導に当たりましては、その特別条項に該当するような労働時間は全体の二分の一以下になるようにということで指導をさせていただいているところでございまして、こうしたことで、非常に長い労働時間の抑制というようなことに現在努めているところでございます。

 あわせまして、今回提出させていただいております労働基準法の改正法案におきましては、特に長い、月八十時間超の労働時間につきまして、法定の割り増し賃金率を上げさせていただいて、これを強く抑制していこう、こういうことで御提案をさせていただいているところでございます。

○高橋委員 先ほど言ったように、時間規制に踏み込むべきだということは重ねて指摘をしておきたいと思います。

 その上で、割り増し賃金という形で一定の抑制効果をねらっているということなんですけれども、ただ、今回、八十時間以上で五割の割り増しにする。少なくとも、四十五時間から八十時間の間は努力義務というダブルスタンダードを持ち込むことになるわけで、ここはやはり、そうではなく、一律にするべきではないかと考えています。

 先ほどちょっと四十五時間のことがお話にあったように、平成十三年の脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準でも、月四十五時間を超える時間外労働が長くなるほど業務と発症との関連性が徐々に強まるというふうなことが言われているわけで、この考え方は当然だと思うんですが、ここはまず確認してよいかということが一つです。

 要するに、健康を害してくるのだ、過労死の要因となりそうな、健康を害するような関連性が徐々に強まってくるのが四十五時間であるということを厚労省は認めておきながら、実際に義務にするのは八十時間以上。これは過労死ラインと呼ばれているわけですから、そうすると何か、死ななければいいのかという話になっちゃうわけですよ。死ぬような過労死ラインだけからが義務ですよというのでは、逆にそこが何か線引きになってしまうのでは困るのだ、要するにそこに合わせてしまうというのですか、それが困るのだ。この考え方はいかがですか。

○金子政府参考人 時間外労働をめぐりますそうした時間をどこに目安を置くのかというのは、一つは、今委員御指摘ございましたように、労災のいわゆる過労死と言われているものの認定基準がございます。これは、月の残業時間が四十五時間を超えますと、それ以降、業務と発症との関連性がだんだん強くなるという医学的知見、これについて述べたものでございまして、具体的な認定基準につきましては、発症直前の一カ月につきましては百時間とか、あるいは発症直前六カ月間、これの平均では八十時間というようなことで、この辺になりますと関連性が強くなる、こういう段階的な評価をしているところでございます。

 これは、労災保険が、労働基準法に基づきまして、事業主による無過失損害賠償責任という上に立った責任保険でございまして、そういうことで、業務との因果関係が相当あるということが給付を行うための条件でございますので、こういったメルクマールに基づきまして、業務との相互因果関係を判断しているということでございます。

 片や、今回の時間規制でございます。これは、四十五時間を超えるところから努力義務をお願いするということで今回お願いをしているわけでございますが、こちらにつきましては、四十五時間という設定をしたというのは、従来、限度基準告示の中でこれを設定した考え方と申しますのは、多くの働く方々の平均的な残業時間というようなものを見た場合に、大体月四十五時間ぐらいですと、八割ぐらいの労働者の方がこの中におさまるというようなことでございまして、そういった意味で、これを超える労働時間というのと、それ以下の労働時間というのを限度基準告示の中で整理をして考えて設定した水準でございます。

 もとより、月四十五時間の時間外労働ということになりますと大変な長時間労働でございますので、ここにつきましても、労使の自主的な努力を強く促すということで、今回努力義務を課す、こういうことであわせて措置をさせていただきたい、こういう内容のものでございます。

○高橋委員 それで、割り増し賃金のことだけがよく表面に出ているわけですけれども、本法案では、割り増し分の手当を休日に振りかえることができることになっております。これをわかるように説明していただきたいと思います。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありました、割り増し賃金にかえて一部休暇を付与することで可とする、こういう新しい仕組みを今回の法律改正の中でお願いしているわけでございます。これは、今委員から御指摘がございましたように、ちょっとわかりにくいといいますか、非常に複雑な部分もございますので、若干のお時間をいただいて、少し具体的なことも含めて御説明させていただきたいと思います。

 今回、割り増し賃金を休暇にかえて、休暇を実際にとっていただくという仕組みを設けておるわけでございますが、この仕組みは、一月当たり八十時間を超える時間外労働、これは今回の法律改正案では、ここの割り増し賃金率が二五%であるものが、ここから五〇%に上がるわけでございます。つまり、二五%分上がる、こういうことになっておるわけでございますが、この部分に限って、これを何らかの形で休暇の時間に換算いたしまして、割り増し賃金の支払いにかえて休暇をとっていただく、こういう仕組みでございます。

 ただ、これは皆さんに強制するという趣旨のものではなくて、それぞれの会社、事業所の中で、こういった仕組みを使いたいといった場合に、現在の法律ではできませんので、そういったオプションの一つとして、労使で、現場を熟知した労使の方々にお話し合いをしていただいて、そこで協定を結んでいただく、その上でオプションとして設定できる仕組みとして設けたものでございます。

 問題はやはり、割り増し賃金という賃金と、それから、休暇ですので時間とか日というのをどうやって換算するか、その換算の仕方をどうするかというのがなかなかイメージしにくいわけでございますけれども、今申し上げましたように、上げ幅の二五%分しかできませんので、その二五%に相当するものを四つ集めますとちょうど一時間分になる、こういうような換算の仕方があるんだろうと思います。

 したがいまして、こんなような換算の仕方をいたしまして、八十時間を超える部分について、これを積み上げていきますと、例えば何時間分、半日分というふうになってまいりますので、この場合にそこを休暇にかえていく、こういう仕組みでございます。

○高橋委員 わかりやすくと言ったんですが、聞いていて皆さんわかったでしょうか。

 これは要するに、八十時間を超えると五〇%になるか、二五%分掛けるわけなので、九十時間になった場合に、十時間掛ける二五%で二時間三十分休みなさいということでしょう。そういうことですよね。

○金子政府参考人 一つの換算の仮定として、残業四時間分でちょうど休暇一時間に該当するという計算をいたしますれば、今委員御指摘のあったような形になろうかと思います。

○高橋委員 皆さんおわかりいただけたでしょうか。

 ですから、八十時間でも過労死ラインと言われているのに、それから十時間超えても二時間三十分休めばそれでいいんですよというか、労使協定を結べばいいんですよということになるんです。

 そうすると、百二十時間以上残業してようやく一日休む程度、その程度のことで振りかえるということを言っているんです。その前に死んでしまいます。そもそも年休取得率が五割に満たない状況で、何の意味もありません。どうですか。

○金子政府参考人 これは冒頭申し上げましたように、事業場の労使で協定を締結していただいた場合にオプションとして選択できるという道を開いたものでございますので、労働の現場を熟知いたしました事業場の労使で話し合いをしていただいた上での制度の導入ということでございます。

 それから、この点につきましては、この法案を提出いたします際の、労使にも入っていただきました審議会においても議論していただきまして、その結果に基づいて私どもとしては提案をしているということでございます。

 細目につきましては、今後成立をさせていただいたならば、その後に、また関係審議会におきまして細目についても詰めてまいりたいと思っております。

○高橋委員 結局、それは確かにオプションかもしれませんよ、だけれども、企業によっては、うんと忙しいときとそうじゃないときもあるわけです。そうすると、忙しいときにはうんと集中して働いて、その分休みをちょこっととってもらえばいいとか、そうすると何の痛みもない。通常の二割五分の割り増し賃金でいいんだ、そういうふうに企業が都合いいように考えちゃだめなんだということを言いたいわけです。EU労働指令のように、二十四時間のうち十一時間まとめて休む、そういう基本的な立場に立たなければ、最初にお話しした労働基準法改正の目的ということから全く外れるのではないかということを重ねて指摘したいと思います。

 ワーク・ライフ・バランスが今叫ばれている中で、例えばマツダやキヤノンでも、夜十時以降は残業はだめだというふうにしたといいます。しかし、それで本当にきっぱり仕事がなくなるんだったらいいんです。持ち帰り残業になっています。特にこれは企画の分野などが非常に多いです。きちんと残業時間に入れるということを確認していいですか。端的にお願いします。

○金子政府参考人 今の、いわば自宅の方に仕事を持ち帰るようなケースもあろうかと思います。この場合につきましての労働基準法の適用につきましては、実際に指揮命令がどうあったかというようなことで、具体的な一つ一つの事案に即して判断する必要があるというふうに考えます。

○高橋委員 そこら辺もしっかりとわかるように指導をしていただきたいと思っております。

 トヨタの三六協定は、製造部門では年六百時間、事務が七百二十時間、ですから、先ほどの限度基準の倍になっているということであります。今指摘されているのは、結局、企画部門にぐっと残業が集中するんだと。同時に、では、製造は時間をきっぱり守っているのか、そのオーバーする部分は全部外出しで、下請に安い単価でたたかれて回っている、こういう状況がございます。全体として見ていただきたい、ここは指摘にとどめます。

 資料の2を見ていただきたいんですけれども、これが「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災請求・支給決定件数の推移」ということで、それぞれちょっと足してみましたけれども、過去最大の数になっているというのがおわかりかと思います。

 同時に、めくっていただいて3を見ますと、労災行政事件訴訟、訴訟の数を出していただきました。どんどんふえておりまして、ことしは今途中ですので、平成十九年度で脳・心臓疾患が、今、国側が勝訴十八で敗訴が八というところでありますが、提訴件数が二十五件ということで、やはり裁判に持ち込まれる件数がふえているということがあると思うんです。先ほど紹介した話もまさにこの中の一つである。

 問題は、やはりなるべく、どうしても最後のとりでである裁判というものは必要なわけですけれども、審査の段階でもっと前向きな回答が得られないのかということなんです。遺族の心を砕くような審査がされております。

 例えば、出張が続いてストレスがたまっているんだと。労働時間が、これは残業というふうにカウントされないわけですね。だけれども、長期に、一週間のうちに何度も出張している、ストレスがたまっているということを主張するのに対して、酒を飲んでいたからいいじゃないかということを言われるわけですよ。酒を飲まなきゃやっていけないくらい大変に追い詰められている、眠れないくらい追い詰められているということをわかっていただけない。持ち帰り残業があるんですと言うと、自宅でリラックスした中でやれるからいいじゃないか、こう言った。それで、夫婦生活を何度も聞かれる。労災の審査の場がこういう状態になっている。これは過労死の家族の会の方々がこもごもおっしゃっていることなんです。

 本当に、家族を亡くしただけでもつらいのに、亡くした後の審査の場でプライバシーを全部明らかにされて、それでもああでもないこうでもないと、まさに出したくないと言わんばかりの仕打ちをされている。せめて労災が、また長い間裁判に持ち込まれなくてもいいように改善を図る必要があると思いますが、いかがですか。大臣、お願いします。

○舛添国務大臣 法律に基づいてきちんと労災に対しては対応していかないといけないというふうに思っておりますし、この労災関連のさまざまなルールというのは、労働者が災害に遭ったときに、きちんとこれに対応して、御本人に対しても、そして不幸にして残された御家族に対しても温かい手を差し伸べるという精神でありますから、それが実るようにやっていきたいと思います。

 片一方で、モラルハザードということにもまた気を配らないといけません。しかし、基本的には弱い立場にある労働者を守っていく、そういう原点を忘れてはならないと思っております。

○高橋委員 かつてなく裁判が本当に続いております。そして、その中で貴重な経験が積み上げられておりますので、先ほどの認定基準の改定も含めて真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 あと、時間がなくなりましたので、最後のグラフの説明だけ一言言わせていただきたい。

 これは、4の最後に「就業者数と労働生産性の推移」ということで、先般の「労働経済の分析」で出されたグラフでありますけれども、これは横軸が雇用で縦軸が生産性なんですね。これは生産性が高まっているにもかかわらず雇用が抑制されてきたというグラフであります。製造業がのけぞっておりますね。サービス業がなだらかに上昇しているのに対して製造業がのけぞっている。

 このことを後ろにつけてある文章の中で、アンダーラインを引いておりますけれども、生産の拡大にもかかわらず雇用を抑制してきて改善がほとんど見られなかったということと、長時間労働でふえてこなかったという指摘がございます。そして、最後に、「製造業の雇用を力強く回復させていくことが、経済成長の成果を勤労者生活に波及させていく上でも重要である。」こういう指摘をされている。

 これで最初の話に戻るわけですけれども、厚生労働省自身がこのような分析をされているという立場に立って、しっかりと雇用を守っていただきたい。

 以上であります。

――資料――

【資料1】日本経済新聞(2008年10月22日付)「非正規にしわ寄せ 景気減速、調整弁に」

【資料2】脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災請求・支給決定件数の推移

【資料3】労災行政事件訴訟の推移

【資料4】就業者数と労働生産性の推移

【資料5】労働生産性と労働条件(2008年度「労働経済の分析」)

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