国会質問

質問日:2008年 12月 24日 第170国会 厚生労働委員会

雇用対策関連四法案質疑・採決

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は24日の衆院厚生労働委員会で、派遣会社だけでなく、派遣先にも非正規社員の雇い止めを撤回する指導を政府に求めました。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は、キヤノンの請負・派遣社員が解雇されることについて、“請負・派遣元が解雇したものだ”として同社の責任ではないとの発言をしています。

 高橋氏は、解雇されたのは派遣会社の社員だが、キヤノンの責任は明白であり、「雇用関係がないからといって派遣先の責任が問われないのは重大だ」と主張。厚労省が12月9日に出した通達にもとづき、「契約期間中の解雇をした企業に何件直接指導を行ったのか」とただしました。
 厚労省の金子順一労働基準局長はまともに答弁できませんでした。

 高橋氏は「派遣会社に『安易に解雇しないで』と呼びかけるだけでは解決にならない。派遣先に指導せよ」と迫りました。

 また高橋氏は、解雇された労働者の生活保護申請に関し、「現場では、住所がない、仕事がないのに働けるといわれて、窓口で申請を断られている」と指摘し、申請を却下しないよう要求。舛添要一厚労相は「申請して頂ければ、門前払いしないよう、懇切丁寧に全力を挙げてそういう方々の生活を支える」とこたえました。

(2008年12月25日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 提案者には一問だけ伺いますので、簡潔にお願いいたします。

 私は、今回出されている四つの法案は、いずれも急がれるものであり、趣旨には全く賛同できるものであります。

 しかし、先ほど来の議論にあるように、詳細は省令をつくらなければならない、施行日は年を越すというのは事実であります。法律として規制力を持つ以上、その準備に時間が必要なことは当然否めません。本当に国民のために必要な法案だというのであれば、そしてそれをどうしても成立させたいというのであれば、ともかく採決をしてくれと、それを急いでも、単に否決という結果しか生まれず、何も実りがないのではないでしょうか。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

○福山参議院議員 お答えをさせていただきます。

 私は、提案者として、否決でもいいと申し上げたことは、この委員会の席上、一度もございません。それで、私は今でも、この場で成立をさせていただきたいという思いでいっぱいでございます。

 確かに施行日は一月の年を越える法案もありますが、例えば、きょう成立をさせていただければ、急げば一月の五日か六日には施行ができる法律もありますので、現実の問題としては、国民に対する立法府等のメッセージも含めて、まさに高橋先生が、参議院でこの法案は共産党さんも賛成をいただきましたけれども、今お申し出のとおり、スピードも重要ですし必要性も重要なので、ぜひ御賛同いただき、成立をさせていただきたい。私は、否決でもいいと申し上げたことは一度もございません。

○高橋委員 否決でもいいということではなくて、採決を急げとなればその詳細な詰めが間に合わないということを言っているんです。これ以上は、私、時間がないので質問いたしません。

 例えば、頑張っても一月五日に国会が始まります。十分にこの間私たちが審議を続けて、五日に成立させるということだってできるわけです。最低限の努力を本当に尽くしたのか、そのことを考えたときに、月曜日の頭から、とにかく採決をしてくれと民主党は迫ったわけです。そういうことを考えれば、余りにも議会のルールを無視しているのではないか、最後まで努力をすべきだった、そのことを重ねて言いたいと思います。もう質問はしません、時間がありませんので。

 そこで、次に大臣に伺います。

 大臣に通告をしていませんけれども、申しわけありません、一言伺いたいと思うんです。

 この数日間、もうあと一週間で年越しになってしまう中、トヨタ・ショック、スズキ、キヤノン、富士通と相次ぐ雇いどめの発表があり、どれだけの労働者が職を失うのか、本当に深刻な様相になっています。二十六日に解雇されるという期間従業員のある男性は、この年末に一千人以上を外にほうり出して生活不安にさせるとは犯罪に等しい悪行行為です、もしこの中から自殺する人が出てしまったら、絶対に、これは企業の名前ですけれども、許さないと訴えています。

 今心配していることは、この指摘が現実のものになるのではないかということなんです。既にホームレスになってしまった人もいます。大みそかになって、ハローワークもみんな閉じてしまったときに寮を出される人もいます。そこで、緊急的な対応として融資制度や住居支援を受けられるということは本当に周知を徹底すること、手続を簡素化すること、あきらめないでというメッセージを明確に出して、これが本当にそういう対象者の目に届くような広報をするべきだと思います。一点。

 二つ目は、最後のとりでの生活保護の問題です。

 まず、申請を断らないでいただきたいと思うんです。ここを約束していただきたい。いわゆる相談という名で申請さえも却下する、仕事がないのに、働ける年齢だというだけで受け付けさえもしない、もしそういう対応が今されたら、本当に生きる希望を失ってしまいます。自治体との連携を深め対応していただけると約束していただけますか。

○舛添国務大臣 まず最初の問題ですけれども、これは、派遣先、派遣元それから経済団体に対して、派遣労働者について中途解除はやめてくれということを申し上げておりますし、それから、有期契約については正当な理由がなければこれは違法ですよということも徹底しております。

 そしてまた、月曜日にも参りましたけれども、私も時間が許す限り、国会の合間を縫って現場に行き、現場で指揮をしております。そして、例えば、新宿のキャリアアップハローワークに月曜日に行っていましたけれども、これはもうとにかく、ほっぽり出された、住むところもない、職もない、そういう方に、住み込みですぐ働けるところを全力を挙げて探すというようなことを含めてやっておりますし、住宅については、もう既に千件近い入居が雇用促進住宅で決まっております。

 何とかこの年末年始を、しっかりと対策をとって、寒空で震えないで済む、そしてハローワークも二十九、三十、あけて対応するというようなことも考えていますし、そして、二十二日には、クリスマス前にということで、労働金庫を活用した融資、こういうことを全力を挙げてやっておりますので、どうか御理解いただければと思います。

○高橋委員 生活保護の問題。

○高橋委員 今おっしゃった、門前払いをしないということを何としてもやっていただきたい。もう現実に起こっているわけですね。

 例えば、かつてホームレスの支援の問題があったときに、住居がないということだけをもって生活保護を受けさせないということはないということは、既に何年も前に通知が出されています。それでもまだ、現場では、住所がないのだから、前例がないのだから、そういって受け付けを拒否する、こういう事態が起こっているんです。

 今、その最初の福祉の窓口で切られたら、本当に生きる希望を失ってしまい、最初に指摘したような事態が起こるということ、それも一人ではなく起こるということを、本当に自覚をしていただきたい。

 そして、仮に窓口で申請が却下されたとしても、次につなぐことをきちっとやっていただきたい。支援の道がある、あるいは、家に帰るとか、ハローワークに行くために電車賃がないとか、そういう方たちにお金を貸し出す、差し上げる、支給する制度などもありますよね。そういうことを、何か手がかりが残されているということをきちっとやっていただかなければ、私は、やはりそこが、最後のとりでがなければ間に合わないと思っていますので、重ねてお願いをしたいと思います。

 次に、十一月二十八日、十二月九日、十日と連続して厚労省は通知を発出してきました。例えば二十八日のは、契約期間中の解雇について、使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することはできません、いわゆる労働契約法十七条第一項。その解説として、一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもってやむを得ない事由と認められるものではなく、個別具体的な事案に応じて判断されるとしております。

 非常に大事な問題で、これは労働者との間で文書を取り交わしている場合もあるわけです。しかし、それだけではやむを得ないとは言わないのだということをあえて言ってくださっている。そうであれば、本当に契約を打ち切りした企業に直接出向いて指導をやって、撤回をせよ、そういう指導をしてきているのか、どのくらいしてきているのか、伺います。

○舛添国務大臣 労働関係の法令、通達はぱっと読んだだけではわかりにくいというのは御指摘のとおりでありますので、労働基準監督署においてもっと啓発指導に役立つようなパンフレットをつくるというので、これは実施させておりますし、労働条件特別相談窓口も開設をして、あらゆる形で啓発指導を行っております。そういう中で、企業主に対しても必要な指導を行っていく。

 それから、特に、労働者が相談窓口にいらしていただければ、懇切丁寧にそういうことを教え、そして、法令や指針に基づかないような措置をとられたときには、断固として行政の方で対応する、そういう思いで労働基準行政を断行していきたいと思っております。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

○高橋委員 済みません。

 では、ここは局長に伺います。

 現場で実際にもう起こっている打ち切りなどに対して、直接どのくらいやっていますか。

○金子政府参考人 まず最初に、労働契約の中で、有期の契約の中で、労使双方で中途解約についての合意がある場合の取り扱いの件でございますが、これは委員御指摘ございましたように、労働契約法の中で、合理的な理由がない、やむを得ない事由がなければ解雇できないというのは強行規定でございまして、これが個々の契約に優越して適用になりますので、委員御指摘のようなことでございまして、そういった特約をしても、合理的な、やむを得ない事由がなければ解雇できないというふうになっているわけでございます。

 このことも含めまして、有期契約の途中での解雇につきまして、私ども、労働契約法あるいは労働基準法につきまして、これまでも関係の企業等に対しまして必要な指導を実施してきているところでございます。

○高橋委員 これまでもでなくて、もう少し具体的におっしゃってくれませんか。どのくらいやっていますか。通達が出されて以降のことです。

○金子政府参考人 お答えいたします。

 各労働局におきまして、しかるべく対応させていただいているところでございます。個々の企業のことにわたりますことにつきましては、現段階では差し控えさせていただきたいと思います。

○高橋委員 企業の名前を言えと言っているんじゃありません。どのくらいやっているんですかということを言っているんです。既に年末までに三万人という数字が出て、もうそのときには何件というのは出ました。それからもう既に、それを何倍も超えるような状態が生まれているわけです。

 そういう中で、通知が出されてから今三週間超えましたけれども、その間でどのくらいやっていますかと聞いているんです。

○金子政府参考人 重ねての答弁で恐縮でございますが、各労働局におきまして、必要と思われる事業所に対しまして適切に指導を行っているところでございます。

○高橋委員 通告していてもこの程度の答弁しか来ていない。そうすると、本当にどれだけ実効あるものになるのか、どれだけの決意があるのかということが疑われるわけです。

 大臣に伺いますけれども、リストラされた労働者を何とか支援しようというのは当然のことです。ただ、失業が底なしに出てくるのではとても追いつきません。ですから、そこを何とかとめようという決意があるのか、そのために今言ったような指導を本当にやっていくのか、決意を一言お願いします。

○舛添国務大臣 これは、使用者団体に対してもそういうことを再度お願いしておりますし、そして、労働側の方においても、例えばワークシェアリングというような形で対応できればいいわけですから、これは、もうすべての人たちが英知を傾けて、今委員がおっしゃるように、この安易な首切りは避けるということをやらないといけないと思いますので、そのために、持っている法律を使って、労働基準局を初め全力を挙げて行動するように指示を出しておりますし、全国の職業安定部長も集めて、このことは指示したところでございます。

○高橋委員 重ねて指摘をしておきますが、私が言っているのは一般論でなく、一般論だと、いや、そういうところもあるねという話になってしまいますので、実態に、起こっていることに対して是正をするということをやっていただきたいということです。

 もう一つ質問しますが、経団連の御手洗会長は八日の会見で、みずからが代表であるキヤノンの派遣切りについて、かなり誤解があったようだとし、同社が委託していた請負会社が社員を削減したと述べています。

 例えば、私の地元のキヤノンの弘前工場、五百人くらいの派遣切り、期間工切りが予定されておりますが、解雇されたのはタカシンという派遣会社の社員であります。しかし、それがキヤノンの契約打ち切りによるものだということは明白なことであります。雇用関係がないからといって派遣先の責任は問われない、生身の人間の首を切っても痛みに感じない、これが派遣法の問題そのものだと思うんです。仕事もない、自身では就職支援や訓練などノウハウもない、派遣会社に安易に解雇しないでと呼びかけるだけでは何の解決にもなりません。派遣先に対しても指導する考えがあるのか伺います。

○太田政府参考人 派遣の場合につきましては、労働者派遣契約を中途解除するような場合には、これは派遣元、派遣先の指針に基づきまして、派遣元、派遣先双方の企業に対しまして、新たな就業機会を確保するように通達を出して徹底しておるところでございますので、引き続き事業主に対して徹底を図っているところでございますし、実際にあっせんされている例も出てきているところでございますので、徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、当然ながら、経済団体に対しましても、大臣を先頭にその旨を要請して、徹底してまいりたいと考えているところでございます。

○高橋委員 実は、月曜日に、私の質問の前で終わったわけですけれども、ちょうどあのとき、福島の、あるトヨタの系列で日野自動車の子会社に訪問する予定をしておりまして、百五十四名の派遣全員と期間工を雇いどめにされた件で申し入れの約束をしておりました。代理の者が行ったわけですけれども、福島労働局は、やはり派遣先ではなく派遣元に指導するものだと思っていたと。

 私の事務所から、この日に申し入れに行くんだということを通知してから会社に行って、先ほどるる述べられたような非正規職員の解雇、雇いどめは最後の最後の手段だ、それまでに必要な努力を払ったかということを指摘してくださったということであります。そういうことが本当ならできるわけですけれども、実際には、行くよと言われたから行ったのかなと思えば、そういうことが指摘をされるまでもなく、きちっとやっていただきたいということがやはり必要なのではないか。

 何度も言いますが、これ以上の失業者を出さないような取り組みを強く求めて、残念ながら時間なので終わりたいと思います。

 以上です。

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