国会質問

質問日:2009年 1月 13日 第171国会 予算委員会

雇用のセーフティーネットについて

 日本共産党の高橋ちづ子議員は13日、2008年度第二次補正予算案の衆院予算委員会での締めくくり質疑に立ち、雇用保険について政府の姿勢をただしました。

 昨年12月26日の厚生労働省の調査では、8万5,000人という雇い止めが予定されている労働者について、雇用保険の加入状況は「99.9%」となっています。

 高橋氏は、雇用保険がきちんと適用されていたら、もう少し混乱は避けられたとして、このうちどのくらいが失業保険給付の資格があるのか、と質問。舛添要一厚労相は「いちいち把握しているわけではない」と答弁しました。

 高橋氏は、もらう資格があるのに、そうなっていない事態があるとして「あとで離職票を送る」といわれ、寮を追い出された労働者が「派遣村」のアドバイスで雇用保険について気が付いた事例を紹介。「企業への指導や相談窓口で(情報を周知)徹底すべきではないか」と追及しました。舛添氏は「きめ細かな支援を行っていく」と表明しました。

 高橋氏は、派遣労働者の雇用保険適用要件は「週20時間以上、一年以上の雇用見込み」であると述べ、2-3ヶ月などの短い契約期間の継続で一年以上となる場合も、一年以上の雇用見込みとして、雇用保険の対象となるのか、と政府に確認。舛添厚労相は「そうなる」と述べ、派遣元が労働者の雇用保険加入手続きをしなければならないことを認めました。

(2009年1月14日(水)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日、与野党の合意が得られなかったにもかかわらず、委員長が理事会を打ち切り、採決を前提に本委員会が進んでいることに、まず強く抗議をしたいと思います。

 こんなに暮らしが大変な中でも六割から八割近い国民が定額給付金に反対と言っているのはなぜか、ここに思いをして、国は今何をやるべきか、その点では、さらに審議を深めるべきだと重ねて指摘をするものであります。

 私は、きょうは主に雇用のセーフティーネットについて伺いたいと思います。

 最初に総理に伺いますが、十二月二十六日の厚生労働省の調査では、八万五千人の雇いどめが三月までに出るとされております。その後、帝国データバンクが八日に発表した雇用調整に関する企業の動向調査によると、国内企業の四社に一社は非正規社員を含む従業員の削減を実施または検討している、そのうち、製造業は三社に一社、自動車業界などは六割ということを言われております。

 八万五千人が、残念ながら、わかっている一部であり、今後もこの数字はさらにふえると思われますけれども、総理の受けとめを端的に伺います。

○麻生内閣総理大臣 今御指摘がありましたように、百年に一度とよく言われるように、今回の経済不況というものは、これは世界同時不況になっておりますので、日本だけに限らず、世界じゅう、ほぼ同時に昨年末に向けて起きてきております。

 したがいまして、日本としても、国内の経済事情はそれほど悪くないと我々は期待をしておりましたけれども、残念ながら、輸出産業を含めまして、今言われました自動車、家電等々、輸出関連の企業ほどいわゆる影響が大きい、したがってそれに合わせて雇用の調整などが続いておるという事態は、極めて我々としては深刻に受けとめておるというのが正直なところであります。

○高橋委員 今後について伺ったつもりですけれども、今の極めて深刻ということにそれが含まれているのか、もし追加があるのであれば。

○麻生内閣総理大臣 こうした事態に対応するための措置の話を聞いておられるということですね。(高橋委員「受けとめです」と呼ぶ)受けとめは、今、極めて深刻でありまして、これが、では、すぐ来年からとかことしの中ごろにはすべてよくなっているかといえば、これは世界じゅうの経済、世論調査、予測調査というのはかなりまちまちでありますので、我々としてこれが絶対という自信があるかといえば、正直、世界じゅうこれだけまちまちのあれが出ますと、私どもとして、なかなか予測としては立てにくいというのが率直な感じであります。

○高橋委員 世界じゅうというお話をされましたけれども、国内で何をやるかということもまた問われていると思うんですね。

 きょうは、残念ながら、それ以上その話は進めるつもりはないんですけれども、一言言っておきたいのは、今つかんでいる数字というのは自動車・部品ですとか電機などの大手であります。大手が真っ先にリストラを発表し、今後はさらにその関連する中小の企業に波及するというのは必至だと思うんですね。既に、発注の激減、単価の切り下げなどが現実に起こっております。体力のある企業がここで本当に踏ん張らないと、では、どこで持ちこたえることができるのかということが言われている。ですから、先週も内部留保の問題などが議論されていたと思うんです。ここを一般論にしないで、総理が企業に対しても明確に発言されるよう、この点は指摘だけにしたいと思います。重ねて要望したいと思います。

 きょうは雇用のセーフティーネットということで話を進めていきたいと思うんですけれども、この厚労省の調査のときに、六七・四%が派遣契約で五万七千人、一八・五%が期間工で一万五千七百三十七人。いずれも、雇用保険の加入状況が判明した方々のうち、雇用保険の加入者は九九・九%だというわけであります。正直驚きました。もし雇用保険がきちんと適用されていれば、一遍に何もかも失うという混乱は少なくとも避けられたのではないかと思うわけです。

 そこで伺いたいのは、九九・九%は加入している。そのうち、どのくらい実際に失業保険がもらえる資格があるのでしょうか。

○舛添国務大臣 委員御承知のように、派遣労働者や非正規労働者に係る雇用保険の適用要件が、現在は、所定労働時間二十時間以上、かつ一年以上の雇用見込みがあることをこの要件としております。したがって、この適用要件を満たす労働者を雇用する事業主は雇用保険の加入手続を行わなければならないし、労働者自身も、公共職業安定所に自分がちゃんとそうなっているかということを確認することができるようになっております。

 なお、この雇用のセーフティーネットとしての雇用保険の機能をさらに強化するために、非正規労働者に対するこの適用基準、一年以上雇用見込みというのを六カ月以上に緩和するという方向で拡大することを予定しております。

○高橋委員 どのくらいもらえるかということについてはわからないということですよね。答えていないと思いますが。

○舛添国務大臣 週所定二十時間以上、一年以上の雇用の見込みがある方がどれだけかという数字になると思いますから、それは一々把握しているわけではありません。

○高橋委員 今回の調査が、企業への聞き取りでこうしたことが判明したわけですから、その時点で少し思いを寄せて実態をつかむべきではなかったかということを指摘したいと思うのです。九九・九%だけが前に来ますと、大体カバーできているのかというふうに思っちゃうわけですよ。そこをきちっと言いたいわけです。本当は使えるのに、使えるのにですよ、知らずにほうり出されていることがあってはならないんです。

 この派遣村では、例えば、会社から離職証は後日届けると言われたという人がいます。ところが、後日といっても、寮から出されているので届け場所がわかりません。そんな形でほうり出されているんです。雇用保険に自分が入っていることさえわからない。とにかく、雇いどめされたショックでそこまで思いが至らないのが実態であります。

 ただ、派遣村では、相談員のアドバイスで、では、ハローワークを気付とすれば受け取れるのではないか、こうしたことをやってくれたからまだ救われている人がいます。しかし、これから先もまだこういう人が出るということを考えたら、少なくとも今資格のある人が受け取れないことは避けるように、企業への指導、相談窓口においても徹底するべきだと思いますが、いかがですか。

○舛添国務大臣 十二月には、全国のハローワークで特別相談窓口を設置しておりますし、先ほどの派遣村の件につきましても、きめの細かい対応を行っております。さらに、事業主に対しても、こういうことについてきちんと徹底するようにお話をしておりますし、全国の労働関係の部局において徹底的な指導を行っておるところでございます。

○高橋委員 〇七年三月の雇用保険法の改正のときに、私は、完全失業者における失業給付受給率が、二〇〇〇年の三三・三%から二〇〇六年は二二・八%にまで落ち、圧倒的多くの失業者が雇用保険から排除されている、そして、その背景に、派遣など非正規労働者を拡大してきたことがあると指摘をし、受給資格要件を半年から一年に延長したことや国庫負担の引き下げについて反対をしました。

 大臣、結局、わずか一年で見直しを迫られている、このことをどう受けとめますか。

○舛添国務大臣 雇用情勢の急激な悪化、さまざまな状況があると思いますけれども、委員、ぜひ、これはもう一つ別の側面からもお考えいただきたいのは、一年を六カ月にいたしました、さらにもっと短くするとどういうことになるかというと、片一方では、きちんとその仕事に定着してもらわないといけないという要求があるわけです。いわゆる循環的離職、二、三カ月いて、失業保険、雇用保険もらえるからとぱっと職業を離れる、そしてまたやる、この循環的離職に対する歯どめということも必要なので、やはり政策というのは、両方の側面からバランスをとって、何が本当に労働者のためになるか、しっかりと定着して安定した雇用を確保していただきたい、そういう要請も片一方にあるということを申し上げた上で、バランスのとれたいい政策を今後とも全力を挙げて遂行してまいります。

○高橋委員 今指摘をしているのは半年をそれ以上短くしろという議論をしたのではないんですよ。〇七年に指摘したとおりに戻したじゃないか、そのことをどう受けとめているのかと聞いているんです。

○舛添国務大臣 それぞれの政治状況、雇用状況、経済状況においてさまざまな政策をやる、そしてその施策が十分でなければ勇猛果敢に柔軟に見直していく、決して悪いことではないと思います。

○高橋委員 もう少し率直に認めるべきだと思いますよ。この場で強く指摘をしたいと思います。

 今、派遣労働者は三百八十四万人、問題は二つあると思うのですね。労働法制の規制緩和や非正規労働の増大が雇用のセーフティーネットから労働者を排除してきたということ、この点できちんと責任を認めるべきだと。しかし、同時に、さっき何度も言っているように、期間というものと時間というものがございます。本来ならそれでも雇用保険は適用になるはずなのに、はなから対象外だと排除されているという実態があることです。

 現行では、派遣労働者の雇用保険適用要件について、週二十時間以上、一年以上の雇用見込みということが要件となっています。この雇用見込みというところがネックになるんですけれども、実際には、雇用契約が一カ月とか二カ月とか短いんです。間がちょっとあくけれども継続して一年以上働くケース、これは現行でも雇用保険の対象になりますね。

○舛添国務大臣 雇用見込みという形でそういうふうに解釈をし、法の適用に当該するということになればそうなります。

○高橋委員 現行でもできるというお答えだったと思うのです。これは実は当然なんですね。労政審雇用保険部会の中で課長がきちんと説明していることを私はあえて聞きましたので。

 しかし、現実にはそうはなっていないというところに問題があるわけですよ。つまり、派遣会社が二カ月の契約ですよと言ったら、見込みがどうかということは全然そこに思いをいたさない。だから、一年間、関係ないから最初から雇用保険を手続していないということが今るる出てきているんだということをちゃんと受けとめて、ここを改善しなければならない。法改正はもちろんですが、その以前でも徹底をしていただきたいと思います。

 実は、今回の法改正でもう一つ、今準備されている中で大事なところに、契約期間満了ということで雇いどめにされた方も今回解雇と同じ扱いを受けることになります。これは何でもともとそうじゃなかったのかなというふうに私は率直に思います。

 これは、やはり突き詰めれば、契約期間満了だから解雇じゃないんだとか、こうした言い分が公然とまかり通ってきた。派遣法にそれを企業が実は期待していたところではないのか。中途解約でさえも、労働契約法でいえば解雇は無効です。しかし、責任が問われるのは派遣元であり、派遣先は解雇したわけではないのだと追及を受けない仕組みになっている。やはり派遣法のスキーム自体に問題があります。

 労働者派遣法は、九九年の原則自由化以前に戻すべきだと思いますが、伺います。

○舛添国務大臣 派遣先、派遣元、そしてその派遣元における労働者、それぞれの契約関係はきちんと厳密に議論しないといけないというように思っております。もうこれは釈迦に説法でございますけれども、派遣先と派遣元の企業の間の契約については、自由な私企業間の契約でありますから国が関与するということはございません。

 しかしながら、中途解除というようなことはなるべく避けるようにということを関連団体にきちんと申し上げておりますし、そして、派遣元が自分が管理する派遣労働者について、それはきちんと契約に基づいてやらないといけないわけですから、労働契約法違反の場合には、これは処罰の対象となります。そういう形で、現行の法律の枠組み内でもしっかりと指導監督を徹底してまいりたいと思っております。

○高橋委員 自由な契約ということを最初におっしゃいましたけれども、そういうスキームがあるからこそ、本来解雇であるけれども、単なる契約満了なんだよという形で企業が責任を免れる、ここを見直しするべきではないか、このスキーム自体を問題とすべきではないかということを重ねて訴えたかったわけであります。

 本当に今の経済危機の問題、さっき、総理が百年に一度ということを何度も強調されておりますけれども、やはり企業の論理だけがまかり通る社会ではだめなんだ、それが今の経済危機の実は元凶ではなかったかと思うわけです。ドイツでは、上場大企業三十社の人事担当者とシュルツ労働社会相が九日、景気悪化の中でも会社都合の解雇を回避するために全力を尽くすとの共同声明を発表しました。今求められているのは、そういう立場だと思います。

 今こそ人間らしい雇用とルールある経済社会へ大きく踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。

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