国会質問

質問日:2009年 4月 3日 第171国会 厚生労働委員会

国民年金法改正案

 日本共産党の高橋ちづ子議員は三日の衆院厚生労働委員会で、基礎年金の国庫負担を二分の一にする国民年金法の改定案について質問にたちました。

 高橋氏は「三百八十一万人の派遣労働者の厚生年金加入人数はどうなっているのか」と質問。社会保険庁の石井博史運営部長は、約九十三万人(二〇〇八年九月一日現在)と明らかにしました。

 高橋氏は、「割合はまだまだ少ない」と述べ、細切れ雇用の連続で、受給に必要な二十五年間の加入期間をクリアすることも厳しいことを指摘。派遣労働者の年金加入者を増やす対策や派遣法改正による正規雇用への転換を求めました。

 また、高橋氏は、政府は年金財源として消費税増税をあてにしているが、基礎年金財源を「全額消費税負担」にした場合は、消費税率が3・5―12%アップとなるとした政府の社会保障国民会議の試算を紹介。勤労者世帯と年金世帯はいまよりも負担増となる一方、企業は負担が下がるという共通した特徴があると指摘すると、厚労省の渡辺芳樹年金局長は、「その通り」と認めました。

 高橋氏は、大量解雇を続ける大企業が、年金保険料三兆円の負担減につながる「全額税」方式や法人税減税を求めていることは「あまりにも身勝手だ」と政府の認識をただしました。舛添要一厚労相は、大企業の社会的責任をはたさせる必要がある点は認めました。

(2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 年金財政を考える上で、担い手の問題、どうふやしていくかは不可欠の課題だと思います。

 十九年度の労働者派遣事業報告では、派遣労働者が三百八十一万人で、過去最高を記録しました。一方、この六月までに十九万二千人の非正規労働者が解雇、雇いどめされ、うち十二万五千人以上が派遣労働者だといいます。さらにふえることが言われているかと思います。先般まで雇用保険法の改正で、少しでもこうした非正規の労働者のセーフティーネットとなれないかということの議論をしてきたわけですけれども、年金となるとさらにハードルが高くなるかと思います。

 資料の一にあるように、原則二カ月を超える期間を定めて使用される労働者、所定労働時間がおおむね通常労働者の四分の三以上である場合、派遣元で健康保険と厚生年金に加入することになっており、この資料では約七十三万人とありますけれども、未適用事業所が大変多いということもうかがえるかと思います。実際、どれだけの派遣労働者が年金制度に加入しているでしょうか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生年金保険におきます派遣労働者数のお尋ねでございますけれども、その派遣労働者数、把握している派遣労働者数でございますが、実は、そのような仕組みになってございませんので、正面からの把握数値というのはございません。

 ただし、厚生年金保険に適用されている事業所のうち主として労働者派遣業を営んでいる事業所に使用されている被保険者の数ということで申し上げれば、平成二十年九月一日現在で九十三万人というふうに把握させていただいております。

○高橋委員 九十三万人ということで、非常に割合はまだまだ少ない。

 本当であれば、この図にあるように、厚生年金に入れない労働者は国民年金に入ることになっているわけですけれども、もう十分検討されてきたように、細切れの契約を繰り返し、例えば待機の期間があったら国民年金に入らなければならない。そうすると、みずから手続をして、例えば一カ月とか、そのわずかな期間の保険料を払い、ずっと切れ目なく年金をやって二十五年ルールをクリアするというのは、だれが考えてもかなり厳しいのではないかということはうかがえると思うんです。

 社会保険庁の〇七年十二月データによると、現在、年金受給年齢である六十五歳以上で無年金者は四十二万人、六十五歳未満では七十六万人と推計されております。今後、年長フリーターの増加や不安定雇用、そして失業の増加に歯どめがかけられないと、将来の無年金者が大きく膨らむのは避けられないと思いますが、いかがでしょうか。

○舛添国務大臣 一つは、例えば派遣切りに遭う、もう生活も大変だ、そういう方に対しては、さまざまな段階での免除措置、月の国民年金一万四千六百六十円、とてもじゃないけれども払えない、これは免除措置をまず活用していただく。

 それから、先ほど来の議論にありますように、結局、二十五年というのをどうするかということを制度設計の問題として議論すべき時期に来ていると思いますから、今委員がおっしゃった観点からも、この議論は必要だと思っております。

○高橋委員 さまざまな免除制度ですとか追納ですとかあったとしても、さっき言ったように非常に細切れである。そうした方たちが後でも救済される、確実につながっていく、そういうことは本当に、よほど気をつけていかないと、みずからの努力ではなかなか困難であろうという点では、それは、二十五年ルールをどうするかという以前にまずやっていただきたいと思います。

 それと同時に、もう言うまでもないことでありますけれども、こうした働き方の問題をやはり全面的に、派遣法の見直しが今国会に出されているわけですけれども、全面的に取り組んでいくことがやはり必要なのではないかと思っております。

 そこで、九九年の財政見通しでは、二〇一〇年の保険料収入を三十四兆二千億円と見込んでおりました。それが、〇九年の、先ほど来話題になっている財政見通しでは十兆円の不足という事態になっております。これらの要因としては、やはり賃金の低下による標準報酬月額の減少ですとか、保険料収入そのものの減少、厚生年金から国民年金への異動、こうしたことが要因と思われますけれども、どのように見ていらっしゃるでしょうか。

○渡辺政府参考人 なお厚生年金、国民年金ともに積立金から取り崩しをして給付を賄うという構造を続けております。かつての見通し、それから、つい先日出しました見通しということで見ましても、その状況に当面は大きく変わりございません。

 ただ、この間、十六年改正で定められた保険料率の計画的な引き上げをお願いしており、この四月にも国民年金の保険料の引き上げをお願いしておりますが、そうした保険料の引き上げと、また経済等の回復を待って運用環境の改善という両面で財政の均衡を中期的に図っていき、また、本当に積立金を計画的に取り崩して安定化させていくということのできる局面を二〇五〇年以降迎えてまいりたい、こういうふうに考えております。

 そうした見通しでございますが、当面なお基金を取り崩さなきゃいけないということの背景には、たとえそれが運用でカバーできる範囲内であったとしても、おっしゃるように、賃金の伸び悩みというようなことが背景に影響しているという点は私どもも承知しておるところでございます。

○高橋委員 伸び悩み程度の話では多分ないのであろう。先ほども、将来の無年金者が大きく膨らむという点についても明確なお答えがなかったと思うんですけれども、かなりシビアに見る必要があるのではないか。財政見通しが甘いじゃないかということが先ほど来指摘をされているわけですよね。今も答弁の中で、なお積み立てから取り崩して給付をしている現状だとお認めになっている一方で、わずか五年後には三十一兆七千億円、〇六年の財政見通しより九千億円も改善されるというふうに見込んでいるのは、これは非常に飛躍しているのではないか。

 ですから、うんと先に向かって希望を膨らますのはいいけれども、しかし、つくった先からもうほとんど見通しがない、こういう立場ではやはり問題である、これを私からは指摘させていただきたいと思います。

 そこで、今回の法案は、基礎年金の国庫負担を二分の一にするというものであります。先般成立した所得税法等の一部を改正する法律附則第百四条に、「基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するため」、中飛んで、「段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と明記をされております。そこで、財源は消費税が有力なのであろうということ、それから社会保障目的ということで、並びにということでいろいろなことを言っているわけですから、今言われている単に二分の一だけでは済まないということを意味するのだろうというふうに読めるわけであります。

 そこで、基礎年金の二分の一だけを消費税にすれば二兆三千億円、ちょうど一%増に当たるかと思っております。年金制度全般の見直しがさまざまに言われる中、基礎年金を全額税方式ということもよく言われているわけです。

 そこで、仮に基礎年金を全額税方式にすれば、消費税、何%ふやすことが必要でしょうか。それから、そのうち事業主負担がどのくらい今より減ることになるでしょうか。

○渡辺政府参考人 昨年五月に、官邸に設けられました社会保障国民会議における定量的シミュレーションが行われ、公表されております。そうした中で、今の御質問にそのままかどうかは私もちょっとよくわかりませんが、基礎年金を一定の前提を置いて税方式化した場合における移行パターンごとのシミュレーションが行われていると承知しております。

 そこでのマクロ計算の方では、現行制度を税方式化した場合、二分の一国庫負担分を除いた、さらに追加的に必要となる財源の規模と消費税率換算が示されております。切りかえ時点は二〇〇九年度とされております、その計算上でございます。

 過去の保険料納付状況に関係なく基礎年金を満額税方式で給付するケースAでは追加財源の消費税率換算が五%、過去の保険料未納期間があれば、それに応じて基礎年金給付を減額するというケースBでは追加所要財源が消費税換算で三カ二分の一、三・五%と申しましょうか、過去の保険料を納付していただいた実績を評価して、それを加算して給付するケースCの税方式では追加所要財源が消費税換算で八カ二分の一、八・五%とされております。

 そのシミュレーションの中では、さらに、現行制度における基礎年金を仮に税方式とした場合に、同じく二〇〇九年度において減少する厚生年金の事業主負担分は三兆円程度とされております。

○高橋委員 今、社会保障国民会議のシミュレーションをもとに御答弁をいただきましたので、資料の二枚目にその総括表をつけさせていただいたわけですけれども、今のお話があったように、税方式に今の制度のまま移行した場合、あるいは未納分を考慮した場合、あるいは加算した場合と、さまざまケースがあって、一番少なくて九兆円、三・五%から、一番多くて三十三兆円、一二%増ということがシミュレーションをされて、しかも、その後の年度ではさらにふえていくということが言われていると思います。

 そこで、資料の三を見ていただきたいんですけれども、そのうち、これは今言った四種類のシミュレーションに沿って、さまざまな所得階層に応じて、あるいは勤労世帯の場合とかさまざまな場合の、保険料の負担の軽減、あるいは消費税による負担の増との比較ということがあって、そのうちの一番ボトムのB、要するに未納分などを入れませんよという形でのものを今ここにお示しさせていただきました。

 これを見ると、夫のみ働いている世帯、これは平均が一応五十万ということになっておりますけれども、保険料が七千円減って、消費税分が九千円から一万円くらいの増になるであろう。共働きの場合は、一万一千円減って、消費税分が一万円から一万二千円分の増になるであろう。このような、矢印が下を向いている、上を向いている、こういう図があるわけですよね。

 そうすると、これはシミュレーションによって幅が違いますけれども、共通していることがございます。それは、一つは、勤労世帯は、保険料が安くなるよりも消費税の負担分が上回っている。二つは、年金世帯は、保険料を払い終えていますから、みんな負担増になる。三つ目は、企業は皆下がる。そして四つ目は、所得の低い方が実収入に対する増加率が高くなる。

 この傾向は当然共通すると思いますけれども、いかがですか。

○渡辺政府参考人 このシミュレーションについては、さまざまな方面からいろいろな感想も出ていることは事実ですが、御指摘いただいた共通点というのは、私ども見る限り、そのとおりであるというふうに思っております。

○高橋委員 そこで、大臣に伺いたいんです。

 経団連がこれまでも、消費税率の引き上げと法人税の減税を求めてきたことは周知の事実だと思います。先ほど紹介した所得税法の附則の中にも、「法人の実効税率の引下げを検討する」とちゃんと盛り込まれております。経団連が三月十七日に発表した「今後の財政運営のあり方」、これによりますと、世界経済が同時不況に陥っている、雇用情勢も急激に悪化している、政府に対しては雇用のセーフティーネットの拡充を求める、一方、二〇一五年までに五%増、二五年で追加的に必要となる公費として一二・五%の消費税の増を求めております。

 大量首切りをした企業、これは大企業を指して私お話ししておりますけれども、今日の雇用失業情勢の中でも、非常に大変な失業者を出している企業が、年金保険料では丸々負担減になる、その上、法人税の減税も求めている、セーフティーネットは政府にやれと言う、これは余りにも身勝手過ぎるのではないでしょうか。

○舛添国務大臣 先般、三月二十三日の午前中に政労使合意を結びました。御承知のとおりです。その中に、どのような経営環境にあっても、雇用の安定は企業の社会的責任であることを十分に認識し、個々の企業の実情に応じ、成果の適切な分配や労働者の公正な処遇に配慮しつつ、雇用の維持に最大限の努力を行うという、経営者が取り組むべき課題が書いてあるわけであります。

 これはきちんと努力をしてくださいよということを私も申し上げましたし、我々は、例えば雇用調整助成金を使って、何とか雇用を守るということをやっておりますので、こういう時期こそ、経団連を初めとして、経営者がしっかりとした社会的責任を果たすべきだというふうに思っております。

○高橋委員 少なくとも、事業主負担を今なくすという議論にはならないということでよろしいでしょうか。

○舛添国務大臣 例えばワークシェアリングの議論をしていますけれども、これは、働く人も、そしてまた経営者も本当に努力をしていかないといけないし、そのために、我々は雇用調整助成金をさらにうまく活用するということを考えております。

 先ほどのシミュレーションだと、まさに全額税方式にしたときにこういう問題が起こるということですし、御高齢の方は、一生懸命積み立ててというか掛金を掛けて今もらっているのに、消費税から取られるならばまさに二重の負担になる。こういう問題をクリアしないといけないから、民主党の皆さんが言うように、はい、すぐおやりくださいと長妻さんはおっしゃったけれども、すぐはやれませんよということであります。

○高橋委員 そこで、最後に、今大臣がくしくもおっしゃった、年金受給者、これまで払ってきた人たちが丸々増税になるのはやはりおかしいのじゃないか、これは一言だけ言わせていただきたいと思います。

 〇三年の物価スライドによる年金給付費削減三千七百億円、これを皮切りに、この間、給付は六千百億円削減されております。その一方で、年金世帯がねらい撃ちされた、例えば公的年金等控除の縮小とか老年者控除の廃止などだけで見ても、負担増が四千億円ですから、合わせて実質一兆円、年金所得が減らされたことになるわけです。今年度は、消費者物価指数が一・四%上がったにもかかわらず賃金が下がっている、それから、二〇〇〇年から〇二年までに年金額を下げずに据え置いてきた一・七%分があるから、それで相殺ですよということで、年金額は残念ながら据え置きにされました。

 これは逆ではないか。実態に合わせてふやすこと、せめてこの際、老年者控除の復活などを求めていくべきではないでしょうか。

○舛添国務大臣 高橋さんの御意見は御意見として賜りますが、逆にもう一方では、世代間の負担の公平ということを考えたときに、若い世代のことを考えればどういう政策になるか、そちらのバランスも考えながら、全体のかじ取りを行っていきたいと思っております。

○高橋委員 次、また続きをやりたいと思います。

 ありがとうございました。

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