国会質問

質問日:2009年 11月 18日 第173国会 厚生労働委員会

雇用問題、富士通のリストラ問題について

 日本共産党の高橋ちづ子議員は18日の衆院厚生労働委員会で深刻な雇用問題、とくに岩手、福島での富士通における「正社員切り」を取り上げ、企業に対する政府の姿勢を厳しくただしました。

 富士通ML(マイクロエレクトロニクス)は、会津若松工場で1500人中700人、岩手工場で1700人中1300人を「再配置」しようとしていますが、再配置は名ばかりで、多くは退職金を上乗せして正社員を退職させ、北九州、京浜地区などで新たに契約社員にするものです。

 高橋氏が、「一身上の都合により」と最初から会社が書いた「退職願い」を示し、「これは文字通り退職強要ではないか」と迫ったのに対し、長妻昭厚生労働相は「一般的には、最高裁判決で多数回長期にわたる退職勧奨が違法とされた。こういう基準にもとづいて措置をする」と答えました。

 さらに、大量に離職者を出した場合の人数や企業がとった対策を政府として公表するよう高橋氏が求めたのに対し、長妻厚労相は「指導件数の公表にどういうやり方があるか検討を命じている」と答えました。

 高橋氏は、労働者派遣法についても質問。大臣が労政審に諮問した文書からは製造業派遣・登録型派遣の原則禁止に向けた「政府のメッセージが伝わってこない」と指摘。「貧困率を初めて発表したのも、貧困の背景にある雇用破壊と向き合い、正社員が当たり前のルールをつくる決意があってのことではないのか」とただしました。

 長妻厚労相は「(製造業派遣・登録型派遣の原則禁止などの)3党連立合意の中で法案を作成していきたい」と表明しました。

(2009年11月19日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 雇用情勢の改善が見られません。総務省が先月三十日に発表した労働力調査によると、九月の失業者数は、実数で、前月から二万人ふえ、三百六十三万人に上り、十一カ月連続の増加であります。

 雇用調整助成金など、二百五十万人とも言われる企業内失業を入れると失業率九%に上るのではないか、このような野村証券金融経済研究所の指摘などもございます。

 政府は、再び年越し派遣村をつくらない、こういうかけ声のもとに十月二十三日に緊急雇用対策を発表し、また、二次補正も取りざたをされています。手続の煩雑さや体制の強化は課題としてあるものの、ワンストップサービスや住居の確保などが確実にやられていくことを期待したいと思います。

 全労連の調査によると、反貧困ネットワークや日本共産党が参加して諸団体との共同でやられた街頭生活・労働相談、これは四十五都道府県、二百七十八カ所、六千五百八十五件の相談を受け付け、九百六人が生活保護を申請するなど、まさに今ワンストップサービスが広範な国民によって展開をされています。

 大臣には、一つ最初に要望しておきます。ワンストップサービスをワンデーで終わらせないこと、行政もまず断らないこと、そしてたらい回しには絶対しないこと、このことをお願いしておきたいと思います。

 さて、同時に、政権交代を実現させるエネルギーとなったのは、年越し派遣村に象徴される雇用とセーフティーネットの破壊、これを取り戻してほしいという労働者と国民の声でありました。ここに正面から向き合えるかが国会の責務だと思います。

 そこで伺います。

 労働者派遣法の抜本改正についてです。

 来通常国会に提出するために、年内の取りまとめに向けて労政審の審議がやられております。ところが、労政審の担当部会の議論では、先ほど阿部委員からも少し紹介がありましたが、使用者委員からも、製造業四十七万、一般事務派遣二十八万、合わせて七十五万人が禁止の対象になり、これは派遣切りを促進する法案になるとか、勤労者の職業選択の自由を侵すもので憲法違反だなどと驚くような議論がやられております。

 そもそも、十月十五日の職業安定分科会労働力需給制度部会において清家座長は、前回の答申、つまり旧政府案をベースに議論を進めてもらいたいと発言をしているんです。これでは、政権がかわっても中身が変わりようがないではありませんか。

 質問は、改正案の検討に当たっては、少なくとも、前国会に民主党、社民党、国民新党が出された三党案がベースになるものではないのか、伺います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

○長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今回の連立政権の三党政策合意にもございますように、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止等々のものについて、この十月七日に私の名前で、労働政策審議会、いわゆる労政審にこれを諮問させていただき、今精力的に御議論をいただいている。いろいろな意見がその中で闘わせられているということは私も承知をしておりますけれども、こういう論点について私の方から諮問をさせていただいております。

 いずれにしましても、この審議会の結論を踏まえながら、私自身が法案の内容の最終的な決定を行って、来年の通常国会への法案提出を目指してまいりますので、この連立合意の範囲の中で法案を作成していきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 今ちょっと思いがけない答弁でございました。大臣自身が労政審に対して、三党案が出された原則禁止について、製造業派遣や登録型派遣のことだと思いますけれども、諮問をしたとおっしゃいました。

 資料の一枚目をごらんになっていただきたいと思います。まさしく長妻大臣の名前による十月七日の諮問書であります。「今後の労働者派遣制度の在り方について」。

 下の段の方を見ていただきたいんですけれども、「上記の法律案において措置することとしていた事項のほか、製造業務への派遣や登録型派遣の今後の在り方、違法派遣の場合の派遣先との雇用契約の成立促進等、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進のために追加的に措置すべき事項についても検討を行い、改めて法律案を提出する必要が生じている。」

 この文面ではあくまでも「在り方」なんですね。ですから、禁止をしたい、あるいは、もっと規制を強めたいという政府のメッセージは全く伝わりません。だから、座長が旧政府案をベースにとおっしゃったのではないですか。

○長妻国務大臣 御存じのように、この労政審というのは普通の審議会ではございませんで、法律に基づく審議会、かつILO、国際機関などからも、労使が入った形での議論というのは要請があるわけでございまして、この諮問の文章にもございますように、冒頭でも「近年、日雇派遣など社会的に問題のある形態」云々の記述で課題をここで例示し、そして「改めて法律案を提出する必要が生じている。」ということも申し上げ、具体的には、登録型派遣の原則禁止の論点、製造業派遣原則禁止の論点、日雇い派遣禁止の範囲、マージン率の労働者への通知の是非、派遣労働者と派遣先の労働者との均等・均衡待遇等々についての論点について御議論をいただくということで申し上げているところでございます。

 いずれにしましても、最終的にその御議論を踏まえて私が法律を判断して、来年の通常国会を目指して今議論をしていただいているということでございます。

○高橋(千)委員 ですから、ILOが言っているのは、政府が政策を変更する、決定するにおいては、労働者、使用者それぞれの審議会を持って、公益委員も、三者入っていますけれども、決定をするように、検討をするようにということを言っているのであって、政府のメッセージが聞こえてこない、禁止やあるいは規制強化というようなことを考えているというのが伝わってこないんじゃないかということを指摘しているのであります。そこまでILOが、そういうふうなやんわりとした表現じゃなければだめだと言っているわけではない。最初から諮問がこうであるから、中身も旧政府の枠を出ないのではないかということを指摘させていただきました。

 ただ、今、私自身が決意をするとおっしゃっておりますので重ねて伺いますけれども、例えば日米の大企業が集まる日米財界人会議が三日に共同声明を発表しました。その中で、非正規雇用の正社員化は非生産的な対策でしかないと発言をしています。低賃金諸国と日米両国の競争がますます激しくなっている中で、企業に厳格かつ硬直的な労働法規や社会的規制を課すことに両協議会は懸念を持っている、このような指摘をしているわけですね。

 そうすると、国際競争だからという話になると、やはり低賃金で使い捨て自由の雇用のシステムの維持が求められる。そして、先ほど紹介したような、労政審の中に出てくる使用者側の意見というのも、まさにここに共通するものがあるわけです。

 こういう理論にくみする立場なのか、基本的な立場が問われていると思うんです。せっかく新政権になって、貧困率を初めて発表いたしました。貧困の背景にある雇用の破壊、一千万人が二百万未満のワーキングプアである。これと本当に向き合って、正社員が当たり前のルールをつくっていく決意があるのか、伺います。

○長妻国務大臣 今御指摘をいただいた話でございますけれども、恐らくこちらにおられる与野党の委員の皆様方も、日本国はこれまでかなり行き過ぎた労働法制等の規制緩和があったということは、おおむね程度の差こそあれ意識を共有しているのではないかと私は信じているところであります。

 そのことによっていろいろなひずみが起こっておりますけれども、これまでは、正社員が企業に雇われる、年功序列賃金体系、企業は家庭のような役割も果たし、社会保障もきちっとそこでは適用され、ある意味では企業単位で社会保障を担っている大きな役割を果たしていた。そのモデルが崩れているというのは、まさに労働法制等の緩和のなれの果てだということは私も十分理解をして、だからこそ、今回のマニフェスト、三党連立合意でもそういうことを書かせていただいているところでございまして、やはり今の状況を立て直すということは私も論をまたないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 もう一つ議題がございますのでここまでにしますけれども、労働法制緩和のなれの果てだということをおっしゃいましたので、それが本当に抜本改正という形で出てくるように、政府の強いメッセージが必要ではないかということを重ねて指摘をしたいのと、通告をしていましたけれども時間の関係で要望にとどめますが、有期労働契約の問題についても、政府として今研究会が立ち上がっております。

 製造業派遣の禁止などが聞こえてくる中で、また請負や期間工への切りかえなどということも始まっている。あるいは、何年も反復雇用をしていたけれども実は登録型派遣だった、専門業務だから期間制限はないのだと言われて、突然、十七年たって首を切られるとか、そうしたことが現実に起こっているわけですね。ですから、派遣法の抜本改正と有期契約の規制強化、これはどうしてもやらなければならないということを重ねて指摘しておきたいと思います。

 そこで、次にお話ししたいのは、全国に広がる正社員切りの問題であります。工場閉鎖、再編などによる解雇あるいは労働条件の変更が相次ぎ、地域経済や雇用に深刻な影響を与えています。

 資料の二、これは福島民報ですけれども、会津若松市の半導体工場、富士通マイクロエレクトロニクスが、今後FMLと呼びますが、LSI、高密度集積回路製造体制の再編を発表したという、これは一月三十一日の報道であります。従業員千五百人のうち半数近い七百人が配置がえかと報じられています。地域の動揺が中に書かれています。

 めくっていただきますと、資料の三、これは岩手日報であります。同じ会社です。富士通MLの岩手工場。千七百人のうち約千百三十人が再配置対象となり、再配置先が十六カ所になると報じられております。

 岩手県、福島県ともに有効求人倍率は〇・三三倍と大変低いです。この間も、例えば会津地方では、富士通系列のスパンション・ジャパンの会社更生法、六百人近い削減、サティ、中合など大型店の閉店が報じられています。岩手県では、八百七十人の正社員を抱えるソニー千厩テックの工場閉鎖、関東自動車、東芝などの期間社員打ち切りなど、まさに地域経済、雇用に大穴があいている状況であります。

 伺いますが、そもそも再配置という言葉です。富士通が勝手に使っている言葉だと思いますが、そういう概念があるでしょうか。

 その中身なんですが、北九州、京浜、いろいろな地区がございます。身分も正社員から契約社員、ばらばらです。でも、その多くは、退職金を加算して一たん退職させて、新たに契約社員にするというものであります。もちろん賃金とか処遇は割り引かれることになります。

 いずれにしても労働条件の大幅な変更になり、本人の合意なしにはできないと思いますが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 これは、まずもって、この個別の事案について具体的コメントができないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、一般論といたしましては、裁判の判例などにおいて、殊さら多数回、長期にわたる使用者からの退職勧奨が一定の要件で違法とされた例があるということは承知をしているところであります。

 厚生労働省としては、こうした裁判例の周知啓発により、違法となり得る退職強要がなされないよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ちょっと次の質問の答えを先におっしゃったような気もしないでもないのですが、次の質問をしますのでもう一回答えてください。

 最初の質問は、本人の合意なしにはこうした労働条件の大幅な変更、つまり、配転だったり、一たん退職してまた契約社員になる、こういうふうなことはもちろん基準法からいっても違法であるということを確認したかったのです。

 それから、再配置という言葉はそもそもないと思うのですけれども、では局長に一言確認して。

○森山政府参考人 再配置という言葉につきましては、これは企業でつくっている言葉だと思っております。

 法律上その再配置という言葉でいろいろなことが書いてございませんけれども、先ほど来お話ございますように、裁判例等におきまして、その有効性、それからまた効力につきましては、いろいろな判例が出ているところでございます。

○高橋(千)委員 非常に歯切れが悪くて……。

 勝手に使っている言葉である、そういう言葉はないということだと思います。それから、本人の合意なしにはできないというのは、基本的にはもう判例でも確立をされているということでよろしいですよね。

 次に行きたいと思うのですけれども、さっきちょっと大臣がお答えになったことが、実はこれなんですね。資料の四を見ていただきたい。これは、このままプリントされて、退職願というものが出ております。富士通MLの会津若松工場の。ここには氏名を書いて判こを押せばいいだけになっております。ところが、その理由について、「今般一身上の都合により二〇〇九年六月三十日付を以て退職いたしたく」と、一身上の都合によりということを最初から会社が書いて、そして本人に書けと。だから、もう文字どおりこれは退職強要になるということでよろしいですね。これは大臣。

○長妻国務大臣 これについても、個別の案件についてはお答えできないというのはぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、一般的に、退職を強要していくということに関して、これは最高裁、昭和五十五年七月十日の判決がございまして、いろいろな要件のもとでの判断がなされておりまして、この判例というのを我々も重く受けとめているところでありますけれども、多数回、長期にわたる使用者からの退職勧奨が違法とされたという判例でございます。

 これは、当局といたしましても、この判例の周知啓発にはきちっと取り組んで、こういう基準に基づいて我々も措置をしていこうというふうに考えております。

○高橋(千)委員 私は、きょうは長妻大臣に、せっかく大臣になられて、これまでの自民党政権のときの大臣の答弁をひとつ抜け出していただきたい、こういうことを思っているのであります。それが、先ほどの個別の事情ではというお話でございます。

 今紹介をした、この退職願の文章、これは書いているように「一身上の都合により」と書かされている。そうすると、普通はこれは自己都合扱いされるわけですよね。ところが会社側は、雇用保険の関係は会社都合でいいよと言っているのです。わかりますか。一身上の都合という退職願を書かせておきながら、雇用保険の関係は会社都合になっている。何でこんなことをするのでしょう。これは会社の社会的な体裁なわけですよ。社会的に、解雇をしたのではないのだと言っている。だけれども、本人には気の毒だから、一応、雇用保険を受けられるように会社都合にしている、こういう二枚舌を使っているんです。

 こういうことはやはり認めるべきではない。社会的な批判を免れたい一心の身勝手な会社の意図に対して、やはりきちんと物を言っていかなければならない。肝心なことは、こういう意図に対して政府が認める仕組みになっているんですよ。

 例えば、一体何人が再配置に応じたのか、何人が退職したのか、大量雇用変動届を出したのか、あるいは再就職援助計画を出したのか、雇用調整助成金を活用して解雇を回避しようとしたのか、個別企業なので一切答えられませんというわけです。こういう体質を変えるべきではありませんか。多くの労働者を雇用する企業の社会的責任からいっても、大量に離職者を出した場合の数、あるいは企業がとった対策を政府として公表すべきと考えます。

○藤村委員長 申し合わせの時間が過ぎていますので、短くお答えください。

○長妻国務大臣 今御指摘のように、今御指摘のようにというのはその個別企業のことではございませんけれども、これもあくまで一般論でございますが、行政が問題企業に対してきちんと指導を行っているかどうかということの御懸念もあるのではないかと思います。

 その意味で、今まで指導件数というものを全国ベースでなかなか詳細には公表してこなかったということもございますので、私としては、事務方に、その公表をするとすればどういうやり方があるのかということを検討を命じておりまして、これについては私どもも検討をしております。

 ただ、大量の離職等に関する再就職援助計画を提出するということに関しては、これは全体数字のデータというのは公表しているところでありますけれども、その指導に着目した全体数字のデータというものもどういう形で出すべきか、これはきちっと検討してまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 済みません、時間がなくなったので一言だけ要望を言わせてください。

 今、検討という言葉がございましたので、これはミスター検討中であってもいい意味の検討だと受けとめたいと思うのであります。

 再就職援助計画のその一端がこの資料の五枚目なんですよ。つまり、麻生政権が最後にやった経済対策、ふるさと雇用再生特別基金事業、これを使って、富士通から退職になった人を介護施設で雇う。つまり、首を切った企業がまた国の税金で補助金をもらって、新たに、それもちょっぴりですよ、八十人ですよ、こうやって雇用する。ここにまた国が応援している。こういうのが社会的に見て許されるのかということが言われるのです。

 だから、企業に対してもしっかり物が言える、国もそうだし、自治体にも言わせる権限を持たせるということを、ぜひ今後検討されたいと思います。

 以上です。

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