国会質問

質問日:2010年 1月 25日 第174国会 厚生労働委員会

雇用保険法改正

 日本共産党の高橋ちづ子議員は25日、衆院厚生労働委員会で、国庫負担として3,500億円を追加する雇用保険法の一部改正案について質問しました。

 失業手当への国庫負担は法改定により2007年度から本則(1/4)の55%に減額されています。高橋氏は今回の3,500億円が、09年度1~3月分と10年度12ヶ月分を国庫負担1/4に戻した額に相当することを政府に確認させた上で、民主党のマニフェストにあるようになぜ来年度から「本則に戻す」と法律に書かないのかと迫りました。

 長妻昭厚労相は「平成23年度(11年度)の本則復帰をめざす」と答弁し、来年度からの復帰は認めませんでした。

 一方、雇用安定・能力開発事業(2事業)は、雇用調整助成金の増加などで財政がひっ迫し、失業等給付積立金から4,400億円を振り向けることになります。雇用保険の失業等給付は来年度約4兆円の積立金が残り、根拠法がなければ「他へ回せばいい」となりかねません。

 高橋氏は、失業者の5人に1人しか失業手当を受給できておらず、厚労省も潜在失業率を含む失業率として6.1%という数字を出していることを示し「深刻な失業に対応し、失業等給付(失業手当)そのものを充実させることが大切だ」と求めました。

(2010年1月26日(火)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年、年越し派遣村に象徴された雇用の破壊に対し、何とか国会もこたえようと、雇用保険法の改正が行われました。わずか一日でしたけれども施行日を四月一日から三月三十一日に前倒しをしたことで、雇用保険が受けられるようになりましたと集会で発言をしていた青年もおりました。国会の果たす役割、そして雇用のセーフティーネットとして雇用保険の役割が本当に重要になっているのではないかと思っております。

 そこで、国庫負担については、昨年の法改正の際に本委員会の附帯決議において、「今後、雇用失業情勢のさらなる悪化によって安定的な財政運営に支障が出る恐れがあり、現在、百分の五十五に軽減されている国庫負担の暫定措置については、本来の四分の一に戻すことを検討すること。」と明記をされました。また、民主党のマニフェストにも、本則に戻すとあったはずであります。

 私どもは、まず、この本則に戻すという考え方に賛成であります。しかし、残念ながら、今回出された法案はそれとは若干違うものであります。

 先ほど来、なぜ三千五百億円なのかという議論がされておりましたけれども、私の理解は、本則に戻した場合に必要となる額の今年度の残り三カ月分と来年度の十二カ月分相当という考え方だと理解をしておりましたけれども、それでよろしいでしょうか。まず、確認です。

○長妻国務大臣 この本則に戻すというのは、私ども、前から申し上げているところであります。実は、今回の法案にも、安定的財源を確保した上で二十三年度において本則に復帰できるように努めるというように書いてあるところで、私としましても、平成二十三年度には法律上も本則ということをしてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 質問に答えておりませんけれども。

○山井大臣政務官 高橋議員がおっしゃったように、十五カ月間であります。

○高橋(千)委員 まず、確認をされました。十五カ月分だということであります。

 そこで、さっき、早いとかなんとかという話がありましたけれども、私は違うと思うんです。二十一年度の補正予算ですから、今積むのは三カ月分だけにして、二十二年度予算案で本則へ戻すという法案と一緒に予算を提案されるべきではなかったでしょうか。

○長妻国務大臣 いろいろ先ほども御指摘をいただきましたけれども、基本的に、第二次補正で緊急的にこの三千五百億円を措置していきたい。そして、過去の事例を見ても、四兆円もあった積立金が急速に減る、こういう事態もございます。国民の皆様に安心をしていただくということも含めて、そういう措置を今回させていただいたということであります。

○高橋(千)委員 これも答えになっていないんですね。

 ですから、精神は賛成なんです。でも、必要なお金を積むという予算措置だけであれば、これは確実に本則に戻るということは担保されていないわけなんですね。ならば、基礎年金の国庫負担二分の一の法案がかつてそうであったように、毎度毎度法改正をして、予算をそこに入れるということをしなければならない、そういうことになってしまうわけです。だから、なぜ法改正をすぐにやらないのかということを聞いています。

 重ねて聞きますけれども、安定的な財源とは何でしょうか。この法案では、安定的な財源が得られない場合は、結局本則に戻らないということになるんですよね。

○長妻国務大臣 これについて、この法案にも「安定した財源を確保した上で」ということが書いてございます。これの意味というのは、歳出削減などを通じて毎年度安定して確保される財源を示すものであるということでこの文言を入れさせていただいたわけでありまして、具体的なあり方については、平成二十三年度の予算編成過程で我々も議論をしていくということになります。

○高橋(千)委員 とても安定的とは思えないわけですよね。歳出削減をしただけが安定財源であるとすれば、逆算をしますと三千億近いお金を用意しなければならなくなるわけで、このままではなかなか見通しが立たない。

 しかも、さっきから言っているように、財政だけの議論にしてしまえば、とりあえず基金があるじゃないかと。今回も、二十一年度補正をやっても三兆九千億円の基金がある。そうすると、まあ今入れる必要がないでしょうという話になって、本来やるべきはずだった雇用安定財政ということも担保できなくなっちゃうわけですね。そこが問われるということを重ねて指摘をしたいと思います。

 そこで、もうこれはきっぱりと答えていただきたいんです。資料の一枚目にありますが、これまで、自公政権時代、閣議決定において、国庫負担について何度も廃止を含める検討というものを打ち出してまいりました。平成十七年の行政改革の重要方針、あるいは平成十八年の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、平成十八年のいわゆる骨太方針の中で、廃止を含む見直しを行うということが繰り返し言われてきているわけです。まさか、少なくとも国庫負担の廃止はないということをきっぱり言っていただきたいんです。

○長妻国務大臣 国庫負担の廃止というのは考えておりません。

 これはやはり哲学の問題だと思いますけれども、雇用については、労働者、使用者がそれぞれ拠出しているお金だけで失業保険を賄うというような発想も過去にあったようでありますけれども、我々は、それに加えてやはり国も失業ということに責任を持つという考え方は続けていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 そのためにも、マニフェストを一日も早く法案として提出していただきたい、本則に戻すという法案をつくっていただきたいと思います。

 そこで、先ほど来指摘をされているんですけれども、三千五百億円を繰り入れる一方で、来年度予算では四千四百億円を二事業に貸し出すことになっております。

 雇調金の要件緩和などで財政が逼迫しているということがございますけれども、先ほど大臣は、いや、貸すといっても返すんだからとおっしゃいました。ただ、二事業の財政というのは大体年五千億円ベースなんですね。五千億円ベースの収入に四千四百億円の貸し出しで、それはそう簡単に返せるわけがないわけですよ。一、二年という話では全然ない。めどがなかなか見えないわけです。

 でも、そういうことを考えたときに、今本当に緊急な経済情勢なのだから、国の経済対策として行う雇調金の要件緩和や第二のセーフティーネット事業なのだ、そういう位置づけで直接一般財源を入れるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 これも繰り返しになりますけれども、やはり、限られた財政の中で、今回、本体部分から二事業という発想を提示させていただいているところであります。その意味では、貸し出すといっても、それぞれ相関関係があるわけでありまして、雇調金によって下支えされることで失業給付も減る、こういう関係にあるところでありますので、このお金というのは、経済の状況が回復した暁にはきちっと返していただく、こういう前提のものであります。

○高橋(千)委員 ここは指摘にさせていただきたいと思うんですけれども、今回の雇用保険法の改正案の提出に当たって、労政審の職業安定分科会雇用保険部会の報告書の中で、今の二事業の問題について、借り入れを行うことはやむを得ないと。しかし、二事業自体の財政が非常に危機的であるということを踏まえて、事業費全体の絞り込みを図るとか、失業予防や能力開発という雇用保険事業の二事業の趣旨に照らし、現時点で必要か否かという観点から事業内容を再度精査するなど、徹底的な見直しを行っていくこととすべきである、こういう指摘がございます。

 そうすると、今おっしゃったように、二事業が充実すれば失業給付の方に還元されるんだとおっしゃった、その趣旨は非常にいいんです。だけれども、財政が逼迫したことで、二事業そのものを見直すべきだということで本来の失業の予防というところから外れていく、あるいは、民主党さんがこの間非常に重視をしてきたセーフティーネットの事業が縮小されていくというようなことがあってはならないということを指摘したいと思います。

 そこで、私がきょう言いたいのは、やはり本体の失業等給付そのものを充実させるべきではないか。この間、民主党さんは、すべての労働者に雇用保険をとおっしゃってきました。私はその趣旨に賛成であります。ただ、残念ながら、失業者の五人に一人しか失業保険を受給できていない。この現状を変えるべきではないでしょうか。

 まず、年末に雇用保険が切れた人が多かったと思いますが、どのくらいでしょうか。

○森山政府参考人 お答えいたします。

 雇用保険の支給終了者数でございます。

 解雇、雇いどめ等による非自発的離職者につきまして、平成二十一年六月から十二月までの雇用保険の支給終了者数は、さまざまな実績等をもとに推計いたしますと、約三十九万人というふうなことでございます。

○高橋(千)委員 なぜそれだけを答えるんですか。年末に雇用保険が切れた人としか私は聞いておりません。自発的離職者は約五十四万人。合わせると百万人近い方が雇用保険が切れている。こういう現実があるということをまずしっかりと受けとめていただきたいんですね。そうやって数字を小さく見せるということが非常に大きな問題ではないか。

 昨年の法改正のときも、個別延長給付が最大で六十日、その根拠は約二カ月で再就職しているからというものでありました。しかし、総務省の労働力調査詳細統計でも、失業期間が三カ月以上にわたっている方は二百三十八万人で、六五・九%、三分の二です。一年以上が九十五万人、二六・三%にも上っております。失業の長期化、このことについて大臣の認識を問いたいと思います。

 また、ちょっと時間がありませんのであわせて伺いますけれども、資料の二枚目。これは、多分前回私が質問したことに関連があるのかなと思うんですけれども、厚労省が、完全失業率のデータにプラスをして潜在失業を含む失業率というものを、今回、「平成二十一年版労働経済の分析」という厚労省が出したものの中で明らかにいたしました。潜在失業という考え方が今回採用された。新しい数字を入れてもらいましたが、六・一%、こういう状態になっているんです。

 ですから、完全失業も高い、けれどもその周りにはもっと、失業が長期化していたり失業に近い状態がある、このことをしっかりと認識して、それにふさわしい対策をとるべきだと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

○長妻国務大臣 その雇用の数字というのは、表面に出ている以外のさまざまな御事情もあり、数字にあらわれない方もたくさんおられるということも認識をしております。

 その中で、委員御指摘のとおり、雇用保険が切れてしまった、あるいは自営業の方はもともと雇用保険に入っておられないということに関しましては、これは御存じのように、平成二十一年の改正で、一定の要件で六十日支給を延長する、こういうこともございますし、私ども考えておりますのは、雇用保険に加入の要件も一カ月超の雇用見込みということで緩和をしていこうということも考えておりますけれども、やはり一つ重要なのは、雇用保険が切れた方、そして生活保護の要件にも当てはまっていない方、この方々をどうサポートするかということです。

 これに関しては、自治体が行っている、国も支援する住宅手当、住宅がなければ職も探せません。そして、先ほども申し上げましたように、無料で職業訓練を受けていただくと同時に、職業訓練を受けたという証明があれば、月十万円、あるいは扶養者がおられる方は月十二万円ずつ生活費を支給する。こういうような措置で我々対応をとっていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 残念ながら、時間が来ましたので次の雇用保険法の審議のときに譲りたいと思いますが、住宅手当、十万円では生活保護基準以下でありますから、やはり本来の雇用保険の、第二のセーフティーネットは否定していませんよ、もっと使い勝手のいいようにした方がいいと思います。しかし、先ほど私が指摘したように、二カ月ではないのだという実態を明確に政府が出しているわけですから、それに見合った雇用保険制度、せっかく財政を安定させようという方向に皆さんが行っているのですから、その財政をうまく使って失業等給付を充実させるべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。


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