国会質問

質問日:2010年 2月 19日 第174国会 厚生労働委員会

労働者派遣法改正について

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は19日の衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改正案要綱に自公政権時代の規制緩和による改悪が盛り込まれている問題を取り上げ、抜本改正を求めました。

 要綱には、無期雇用の派遣労働者ついて、派遣先が採用を決める「事前面接」の解禁や、26の専門業務で3年が経過した場合、派遣労働者に対する雇用の申し込み義務を適用除外する規制緩和が盛り込まれています。

 高橋氏は、自公政権の改正案に盛り込まれたものだと指摘し、旧与党案をベースにしたのかと質問。細川律夫厚生労働副大臣が「念頭になかった」と答えたため、高橋氏は「旧与党案は廃案となり、審議会でも議論されていない」とのべました。

 高橋氏は、コニカ狭山工場で派遣労働者が事前面接され、10年以上も働かされた上に解雇されたケースを紹介し、雇用が安定しているから規制緩和しても大丈夫とはいえないと指摘。雇用申し込み義務を外せば、ずっと派遣のままであり、派遣法が禁じる「常用雇用の代替」になると強調しました。長妻昭厚労相は「20年法案(旧与党案)より厳しくなっているのでご理解を」と答えたため、高橋氏は「20年法案そのものだ」と指摘しました。

 高橋氏は、登録型派遣禁止から除外されている専門26業務について志位和夫委員長の質問に、鳩山首相が見直し検討を表明した問題をとりあげ、見直しはいつ行うのかと質問。細川副大臣は「今後、審議会で審議していただく。まず(適正化)通達を徹底していきたい」と答えました。

 高橋氏は、経団連が専門業務の拡大を求めていることにふれ、「こうした規制緩和を許せば、より専門性の高い業務でも派遣先が労働者を特定し、期間制限に関係なく使い続けられる。派遣先にあまりに都合のいいようになりかねない」とのべ、規制緩和と決別すべきだと主張しました。

(2010年2月21日(日)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十七日に、労働者派遣法改正案の要綱が労政審に諮問をされました。私は、昨年十一月の本委員会、また一月の予算委員会で、年末に出された労政審答申のままでは、解散前の野党が出した三党案よりも後退してしまうのではないか、このことを指摘いたしました。要綱が出される前にもっと前向きの、もう少し前向きの検討がされることを実は期待しておりましたが、大変残念に思っております。

 大臣、端的にお答えください。派遣法第二十六条七項で禁止されている期間の定めのない常用雇用について事前面接を解禁すること、もう一つ、派遣法第四十条の五、二十六専門業務について三年が経過した場合の雇用申し込み義務を除外したこと、これらは十二月二十八日の労政審答申の中に盛り込まれていない項目ですが、今度の要綱に盛り込まれたのはなぜですか。

○細川副大臣 高橋委員にお答えをいたします。

 派遣先が派遣元との契約を途中で解除するという、いわゆる派遣切りがたくさん起こりまして、派遣労働者の雇用の不安というのが本当に強くなったところで、これも社会的な問題となったところでございます。派遣労働につきましては、できる限り無期の雇用契約で雇用されるというのが、派遣労働者の雇用の安定を図っていくということで、それが私どもとしては最も重要だというふうに認識をいたしております。

 今御指摘の事前面接の解禁や労働契約の申し込みの義務の適用除外のことにつきましては、これは有期雇用の派遣労働者が無期雇用に今転換をしている、これを促進していくというためのものでございます。

 事前面接につきましては、特に登録型派遣の場合などは、これを認めてしまいますと、派遣先の求めに応じまして採用行為が行われるというような、そういう懸念がありますので、これを禁止しているところでございます。したがって、一方で、派遣元に無期雇用されておりますとこの心配はないということで、解禁は問題がないのではないかというふうに考えております。

 そしてもう一つの、派遣労働者の雇用の安定のため、いわゆる専門二十六業務について三年を超えて従事する人に対しては、派遣先がこの業務に新しい労働者を採用する場合にはその派遣労働者を採用しなければいけない、こういう義務を生じさせているわけでありますけれども、しかし、派遣元で無期雇用というふうにして採用されておりましたら、これは派遣先での雇用の安定を図る必要性も乏しいのではないかというふうに思いまして、義務の対象からの免除については問題がないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 中身の話はこの後いたしますので、私が伺ったのは、労政審答申の中に盛り込まれていないのに要綱になったのはなぜかと聞いているんです。

 時間の関係がありますので、私が答えを言いますけれども、答申の中には、「昨年十一月に第百七十回臨時国会に提出した法案(以下「二十年法案」という。)の内容に、下記の各事項に示した内容を追加・変更した内容の法案とすることが適当である。」と書いてあります。つまり、答申にはないけれども盛り込まれたとするならば、これは二十年法案の中にあったから、それがそのまま引き継がれたとしか解釈ができません。しかし、この二十年法案は、御承知のように、自公政権のときに出されたものであり、既に廃案になっております。

 細川副大臣は、野党三党案をまとめる中心となって頑張った方であります。野党のときに考えるときは、もちろん集中して、登録型派遣、製造業派遣をどうしようか、こういうことに論点が行くのは当然であります。しかし、法案を出すに当たってどうするかといったときに、では、自民党が出した法案がベースだということが念頭にあったのでしょうか。

○細川副大臣 そういうことは、結論から申し上げますと、ございません。

 私どもは、選挙におきまして勝利をさせていただいて政権交代をいたしまして、三党によります連立政権ができまして、その連立政権のもとで、この派遣法の改正案についての合意がなされておりました。それに基づいて、私どもは、昨年の秋に審議会の方に諮問をいたしまして、そこで審議をしていただきました。

 その審議の中で、まず冒頭に審議会の委員の皆さん方が、以前の、二十年法案と委員が言われます、その法案についても、そこで労使がしっかりと議論をして、派遣労働者の保護の形での内容の議論をして、そしてまとまったものであるから、それを前提としてさらに議論も進めていく、こういうことで答申の内容をお決めいただいた、こういうことでありますから、私どもは、今回の審議会の答申というのは、私どもの政権で新しく諮問をして内容をいただいたということであります。

○高橋(千)委員 今、念頭になかったということを明確にお答えになったと思います。そうであれば、やはりこれは派遣法という制度の骨格をなす部分の改正でありますので、それが特に議論にならなかった、特記されなかったということをもってしては、無理に要綱に盛り込む必要はなかったと私は思うのであります。

 基本は現行法がベースになるべきである。今後の法案策定に当たって、これを削除の可能性もあるということでよろしいでしょうか。大臣に伺います、一言で。

○細川副大臣 私どもは、法案の要綱を審議会の方に諮問いたしまして、今議論をいただいているところでございます。

○高橋(千)委員 大臣に、一言、あるかないかだけ。

 委員長、要りません、それだったら。

○藤村委員長 高橋君、どうぞ。

○高橋(千)委員 時間が限られているので、聞いたことに答えていただきたいと思います。

 念頭にないとおっしゃったことは、私は非常に重要だと思います。ですから、今後、あえて労政審でこうすべきだという指摘があったわけではないのだということをしっかりと踏まえて、法律の作成に当たっていただきたいと思います。

 話を続けます。

 平成二十年三月二十五日閣議決定の規制改革推進のための三カ年計画では、紹介予定派遣以外の労働者派遣における事前面接の解禁について、「二十年度中に検討」と明記されました。それが二十年法案の中に盛り込まれたものであろうということだと思います。その中で、こんなことが書かれています。「事前面接の禁止は、派遣労働者の就業機会が不当に狭められないようにすること等に目的があるとされているが、労働者派遣の役務を現実に提供するのは、生身の人間である派遣労働者であって、機械やロボットではない。」

 私は、非常に、何となく怒りが込み上げてくるんですね。生身の人間だから機械やロボットではない、そこまでわかっていながら、生身の人間を物件費として物扱いし、必要なときだけ発注する、首を切られても、派遣先は注文をやめただけだから痛みに感じないのだ、それが派遣労働という間接雇用の最大の問題ではないでしょうか。

 例えば、自由法曹団の派遣黒書では、さまざま紹介をされておりますが、コニカ狭山工場に派遣されたAさんは、四人でコニカの総務課長から一時間程度の面接を受けて、一人が落とされました。正社員と同じ部署で同じように働き、正社員と同じパソコンを使用させていただいた。一年後にはAさんを直接雇用することになったと、グループリーダーが正社員の前で紹介をされたということです。しかし、十年以上も働いた上に、これから半年後に、生産減少するからということで契約が終了され、雇いどめをされました。

 一月の予算委員会で紹介した日産のTさんも、学生時代のデッサンを持参させて、二人が面接を受け、Tさんだけが合格をしましたが、六年間派遣で、雇いどめという実態でありました。

 スキルを面接で試される、このことは、長く働ける、正社員になれると期待をさせます。しかし、最後は、業務悪化のためにと簡単に雇いどめに遭っています。これは結局、常用代替ではありませんか。

○長妻国務大臣 先ほど言われた派遣の問題点ということでありますけれども、おっしゃられるように、派遣ということがかなり、日雇い派遣等々、規制緩和し過ぎると、やはり直接雇用をするよりも当然、雇い主、派遣先は、労務管理や安全管理等々、あるいは仕事を断るということについて、非常に心理的負担が少なくなるということで、労働者の権利を著しく阻害する、こういう問題意識は持っております。

 先ほど言われた事前面接の解禁等につきましても、細川副大臣から説明がございましたけれども、派遣元で無期雇用される派遣労働者に対する、こういう前提でございますので、派遣先に仕事が仮になくなったとしても、派遣元はその方を雇い続ける、こういう前提のもと、事前面接の解禁ということでございますので、この二十年度改正に比べていただくと、もちろん今回の我々が考えている法案は厳しい法案になっているところでありますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

○高橋(千)委員 そうじゃないんです。二十年法案を今言っているんじゃないですか。事前面接の解禁というのは、二十年法案そのものなんですよ。何も、よくなったんじゃないんです。ここをちゃんと、間違えないでくださいね。

 大臣は、一月の予算委員会での私の質問に対して、常用型という働き方について、平時では安定している、こうおっしゃいました、平時では。そうすると、これは、雇用契約に期間の定めがないと書かれていても、今は平時ではないんだ、景気が悪化しているんだと言えばもう合理的な理由になるんだ、そういうふうに逃げ道をつくることになるんです。

 そもそも、派遣会社が、今契約の先がなくても、派遣先の仕事がなくても、その人の身分を保障するだけの体力がありますか。規制緩和を言う前に、特定事業所を届け出制ではなく許可制にするべきではありませんか。

○細川副大臣 通告がなかったもので、突然の御質問でありますから、その問題について直接にお答えというわけにはまいらないと思います。というのは、今、私どもは、審議会の方に諮問をして、御審議をいただいているところでありますから、むしろその審議を私どもは見守る、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 ぜひ検討してください。

 もう一つの、二十六専門業務に関する雇用契約義務の除外については、結局、ずっと派遣のままということになってしまいます。雇用契約義務が除外されれば、ずっと派遣で、不安定化が常態化するのではないか、このことをまず伺いたい。

 ちょっと、時間の関係がありますので、続けて伺います。

 この二十六専門業務について、二月八日の志位委員長の質問もあり、大臣が通達を出してくださったこともあり、見直しが進むのかなと思っているんですけれども、具体的に、二十六専門業務について、政令の見直しはいつごろを目途にやるのでしょうか。

 その際、通達で着目をされた、五号事務用機器操作、八号ファイリングなどは、もう当然のこと、今どきそれは専門業務じゃないよというのは当然のことでありますが、全体について検討し、絞り込むべきだと私は思っています。

 しかし、業界からは、逆に、追加、拡大の要望があると聞きました。例えば、経団連の規制改革要望〇七年では、いわゆる二十六業務の拡大として、一つは業務の種類をふやすこと、もう一つは二十六業務の内容、つまり、営業といっても営業だけではない、保守、点検、修理も必要だという形で中身を膨らませる、そういう意味の拡大を要望しています。逆に、見直しといっても中身は拡大するのでは、法の趣旨からいっても違います。

 どのようなスタンスで取り組むのか、伺います。

○細川副大臣 二十六の専門業務につきましては、委員が今御指摘のような、一般事務と事務用機器操作あるいはファイリングとか、そういうのがなかなか明確ではないというような御指摘もありましたので、せんだって、通達でしっかりこの監督、周知を徹底するようにということで、徹底を図ったところでございます。

 そこで、二十六業務の見直しの件でありますけれども、この間の総理のお話も、今すぐ政令の見直しというのではなくて、しかし、専門業務につきましては、委員が御指摘のような話もありますし、一方で、業務を絞れというような話、いろいろありますから、これは今後、また審議会等でいろいろと審議はしていただくということになりますけれども、今はやはり、先ほども申し上げましたように、この専門業務についてのしっかりした、せんだって通達を出しました、そこをまずは徹底していきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 先日出していただいた二月八日の通達、「期間制限を免れるために専門二十六業務と称した違法派遣への厳正な対応」ということで、この二カ月間、集中的な指導監督をやられるということで、非常にありがたく思っております。

 とりわけ、私、とても大事だなと思うのは、この通達の中で指摘をされているのは、専門業務と称した違法派遣の場合は、契約の最初の日を確認するように、つまり、既に期間制限を超えている可能性があるからということが指摘をされております。このことを本当に徹底していただきたい。つまり、名ばかり専門業務なわけですから、これは、一般派遣の一年と同じ扱いで、期間制限違反として指導するということをぜひ確認させていただきたいと思います。

 最後になりますが、私は今、事前面接の話をしました。それから、契約期間を過ぎた場合の契約義務を除外する問題を言いました。これが実はセットになったときにどういうことがあるんだろうと思うんですね。

 つまり、二十六専門業務に対して、もっと高度な特殊な業務があるんだよ、もっとふやしてほしいということが業界の中からもちょっと声が上がっている。そうすると、特殊な業務だからこそ事前面接で雇いたいなという話に当然なりますよね。事前面接で特定をして有能な人を雇いたい。だけれども、期間制限はかからないし、雇用責任は派遣先にはないので、とても気持ちが楽なわけです。派遣先にとって余りにも都合のいい話になりかねない。これが非常に危険と思うわけであります。

 あくまでも常用雇用の代替防止が前提であるということをこの間もずっと言ってきた、その前提が崩れるのではないかということが非常に心配であります。そうではないと一言、言っていただきたい。

○細川副大臣 派遣労働につきましては、やはり一番大事なのは雇用の安定だということだと思います。そこで、派遣労働者が派遣元でしっかりと期間の定めのない、これになるということが私どもはまずは大切なことだというふうに思っております。

○高橋(千)委員 時間が来ましたので、また次の機会にお願いします。

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