国会質問

質問日:2018年 7月 13日 第196国会 厚生労働委員会

医療法・医師法改定案に対する反対討論

――議事録――

※正式な議事録が出来次第、更新します。
※以下、討論原稿を掲載します。

 私は日本共産党を代表し、医療法・医師法改正案に反対の討論を行います。
日本の人口1000人当たり臨床医師数は2.4人で、OECD加盟国平均の2.9人を下回り、絶対的な医師不足であることをまず指摘しなければなりません。これは政府が長年にわたり、医師が過剰になるとの想定で、閣議決定により医学部の定員抑制を行ってきた結果であり、国民からの強い要望を受けて医学部の定員増が図られたのは2008年になってからです。そして臨床研修を終え、医師として働けるようになったのはようやく2016年になってからであります。
本法案の趣旨は、「地域間の医師偏在の解消を通じた地域における医療提供体制の確保」、「医療計画における医師の確保」等とされています。過疎地などの医師不足はきわめて深刻であり、その解消のために地方自治体はたいへんな努力を払ってきました。しかし本法案は、そうした地方自治体の努力に水をさすことになりかねません。

 まず、本法案では、地域医療構想の達成を図るための都道府県知事等の権限が追加されました。2014年に成立した「医療介護総合確保推進法」では、都道府県は医療機関の病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床機能に分け、地域医療構想と医療計画を策定し、4つの病床の必要量を設定することとされました。その際、都道府県知事は病床の増設、開設の中止を公的医療機関には命令でき、その他の病院には勧告し、従わない場合には各種補助の対象としないなどの措置がとれる権限が付与されました。本法案は病床削減について現在の既存病床数と基準病床数の関係だけでなく、現在基準病床数を下回っていても将来の必要病床数に達している場合には新規開設、増床の申請があっても許可を与えない等、いっそう病床削減をすすめるために都道府県知事の権限が強化されました。
委員会で指摘したように、地域医療の不採算部門等を担ってきた公立病院等が、新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランを地域医療構想に合わせて改革プランを修正すべきとされました。地域医療構想の目標達成のための標的にされ、病床削減やさらなる統合を迫られることは明らかです。その病床削減の受け皿は、在宅医療、介護などの地域包括ケアシステムに担わせるものであり、社会保障削減のために公的責任を投げ捨て、家庭と地域に丸投げすることは認められません。

 また、医師の確保もこうした病床削減の計画にあわせることになることになり、抜本的な医師不足の解消にはなりません。医師の働き方改革は題目だけで、もともと過労死ラインをこえた過重労働が多い医師の現状を追認するものです。
本日の参考人質疑でも指摘があったように、勤務医の勤務先選択の自由が制限されざるを得ないという問題、外来医療についても診療所の開業規制につながるおそれもあるなど、まだまだ議論は出尽くしておりません。
以上問題点を指摘し討論といたします。

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