民営業務範囲は不明確
高橋氏、水道法改定案ただす
日本共産党の高橋千鶴子議員は4日の衆院厚生労働委員会で、水道事業の広域化の推進や民間企業への運営権の譲渡の仕組みを盛り込んだ水道法改定案についてただしました。
高橋氏は、災害時に自治体同士で応急給水を行うなどの応援体制が民営化後も担保されるのかと質問。厚労省の宇都宮啓審議官は民間業者との「実施契約で定めればできる」とし、明確な担保は示しませんでした。
水道管路の老朽化対策について、宇都宮氏は業務範囲や水道料金などの枠組みを事前に条例で定めるとし、「水道施設の更新や費用負担などを行わせることが可能」と説明。高橋氏が、民間業者が管路の更新などに全く責任を負わない場合もあるかを問うと「そういう契約になればありうる」と認めました。利用料金の上限や改修費などの按分(あんぶん)率、災害対応など、条例などであらかじめ定めることが多すぎて現実的でないことが浮き彫りになりました。
また高橋氏は、改定案では、国の基本方針に基づき、都道府県が広域化などの「水道基盤強化計画」を定め、推進する責務が新たに設けられ、「都道府県が広域化の“推進役”にされる」と指摘。さらに、県議会も同計画をチェックできず、国の関与もなくなっていると批判。加藤勝信厚労相は今までが特異で、今回が一般的な仕組みだと強弁しました。
高橋氏は、給水人口が小規模である「簡易水道」が広域化に加わらない選択も尊重して、補助金も存続すべきだと要求。加藤氏は「財政支援は行っていく」と答えました。
(しんぶん赤旗2018年7月5日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
前回かなり問いを残しましたので、きょう、早速質問したいと思います。
資料の一枚目ですけれども、先ほど、水道事業の最前線にいらっしゃった武内委員から貴重な発言もありました。日本水道協会が震災被害への対応を実施した主な実績とあります。これをまとめてあります。
これは、最初のところがやはり阪神・淡路大震災なわけですけれども、百二十六万六千戸が断水し、最大三カ月これが続いた。それに対して、応急給水に百五十六事業体、復旧に四十三事業体ということがありました。また、延べ給水車の台数が一万四千七十三台、活動期間が三十九日間だったわけです。東日本大震災で見ますと、給水台数が一万三千八百台、延べ四万四千五百人の応援の方が行って、百五十二日間も活動したと言われています。この外枠に自衛隊の皆さんの派遣も含まれるということになるわけですけれども、こうしたことが日本水道協会のもとで体制が組まれて、また、自治体同士で協定を組む、そういうふうな形で応援の体制はやっていると思います。
それで、きょうずっと質問があったわけですけれども、水道給水事業者が民間事業者になった場合、このスキームが同じだ、変わらないというお答えだったと思います。それが逆になぜなのかということ。
それから、その際の費用負担についてはどうなるのかということなんですね。現在は、救助される自治体が割増し賃金のみ払うと聞いております。この分を災害救助法が補填するというふうな格好になっているのかなと思うんですけれども、払う側、来てもらう側がコンセッションだった場合、そうじゃない場合、行く側、どちらも、自治体によって違いが起きてはまずいわけですよね。それがないということが保証できるのか伺います。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたように、水道の災害時における協力体制としては、日本水道協会が災害の程度に応じて都道府県や地方支部などの単位で広域的な応援体制を構築しているところでございます。
今般導入するコンセッション方式におきましては、水道法に基づく認可を有する水道事業者は地方公共団体のままでございまして、これまでと変わらないため、基本的にこの枠組みで行う、つまり、同じスキームで行うということとなることでございます。
コンセッション導入時の災害時の対応について、どこまでを民間企業に委ねるかは、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めることとなるということでございます。このため、災害を受けた自治体への応援を民間事業者に行わせることも可能でございます。
なお、コンセッション方式を導入するに当たりまして、水道事業者である地方自治体は、災害等の非常時における当面の事業継続のための措置について、費用負担を含めまして、あらかじめ定めることが求められておりまして、厚労大臣が、その措置について確認した上で許可を与えることとしてございます。
また、費用のことでございますが、応急給水につきましては、災害救助法に基づく措置として、都道府県が実施し、国がその費用の一部を負担する制度がございまして、コンセッション事業者が応急給水を実施する場合も同様の措置がとられると考えられるところでございます。
〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(千)委員 水道事業者が今までどおりであるから大丈夫なんだ、それはさっきも言っていましたね。多分それは、お金の面ではそうなんだと思うんですよ、出す分は。そうすると、実際に出動する方は、結局、自治体は、コンセッションになって、多分ほとんど手も足も出ないわけですよね。その体制については十分な担保があるということなんでしょうか。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
先ほど答弁申し上げましたように、民間企業にどこまで委ねるかということは、あらかじめPFI法に基づく実施方針及び実施契約で決めるということでございまして、この契約の中で定めればそういうことができるということでございます。
○高橋(千)委員 つまり、あらかじめ定めることが多過ぎるんですよ。二十年も三十年も契約すると言っているのに、こういう場合、こういう場合、こういう場合と、物すごい内容のことを定めておかなければ何もできない。本当にそれはできるんですかということなんですね。
資料の二枚目に、運営権の設定に関する手続の流れというのをつけておきました。上がPFI法、下が水道法なんですね。
それで、この一番最初のところが肝心なので、実施方針の中で業務の範囲、利用料金、運営などの基準を条例で決めることになっております。この中に全部盛り込んでしまわなきゃいけない、そういうことになりますよね、今説明を聞いていますとね。
そうすると、じゃ、前回からも指摘されている管路の老朽化、耐震化率がおくれている問題、これをどうするのか、どっちが責任を持つのかというときに、やはりあらかじめ決めなきゃいけないわけですよね。そんな五割も老朽化したのを我々は受けないよとなった場合に、じゃ自治体がどうするかとなってしまって、そうすると、費用は、水道料金を自治体が徴収するんだけれども、案分しなければならない、そういう格好になるんだと思うんですよね、民間事業者と自治体の分と。具体的にどのように考えているのか、内閣府、厚労省、それぞれに伺います。
○石崎政府参考人 御質問の点でございます。
コンセッション事業、性格としまして、公共施設等の所有者である公共団体が公共サービスを提供する最終的な責任者との責務をまず負った上で、民間事業者に事業の運営を行わせるという性格のものでございます。
このため、当然ながら、どの部分を負わせるのか、どの部分を公共が担い続けるのか、そういうものに関しましては、その事業の性格ですとか個別の事業の状況、そういうものについて事業者と行政の当事者の間で検討、合意をした上で定めるべきものというふうに考えてございます。
内閣府としても、そのようなものが非常にきちんとすることが必要だということを基本方針、ガイドライン等に記載し、周知しているところでございます。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
水道事業においてコンセッション方式を導入する場合には、PFI法に基づいて、公共施設の管理者である地方公共団体が、施設整備の費用負担を含む業務の範囲、サービスの水準、料金などの枠組みを事前に条例等で定める仕組みとなってございます。その上で、議会の議決を経てコンセッション事業者が決定され、事前に取り決めた枠組みの中で水道事業を運営することになるということでございます。
コンセッション事業者には、事前に取り決めた枠組みにおいて、水道施設の更新やその費用負担、水道料金の徴収業務を行わせることが可能でございまして、その業務遂行に責任を負っていただくこととなるということでございます。
加えて、事業開始後も、PFI法に基づいて、地方公共団体がコンセッション事業者に対して業務の実施状況に関する報告徴収や実地調査を行うとともに、今回の水道法改正法案に基づいて、厚生労働省がコンセッション事業者に対してモニタリングを実施することとしてございまして、こういったことで、水道施設の耐震化や老朽化対策についても適切に行われていくものと考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 具体的に答えてください。
最終的な責任は、水道事業者である地方公共団体であると。だけれども、更新の費用はどっちが持つのか、つまり、どこまで委託するのか、業務の内容をどこまで設定するのかによって全然違うということですよね。つまり、管路に全く責任を持たないコンセッションだってあるわけですよね。そうなったときに、費用の案分ということが、要するに、水道料金をもらうけれども案分ということが出てくる。そういう意味ですよね。確認します。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたように、地方公共団体が、施設整備の費用負担を含む業務の範囲その他について条例等で定めるという仕組みになっているところでございまして、それに基づいて費用の負担が行われるということでございます。
○高橋(千)委員 今、答えたんでしょうか。わからないです。
つまり、管路をまるっきり、コンセッションでない場合もありますよねと。一言。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
もしそういう契約になれば、そういうこともあり得るということでございます。
○高橋(千)委員 そういうことなんですよ。大変な中身をこの最初の段階で決めなければならないわけ。
そうすると、今、九月議会を迎えようとしている宮城県は、上水、下水、工業用水、三つですから。その内訳をたどっていくと、九つなんですって。九つにそれぞれ案分をするという作業になって、とても考えられないなと思うんですね。
逆に、管路を全部引き受ける、更新費用も引き受けるとなったら、その分、当然、利用料にはね上がります。そこを踏まえて、はなからはね上がるというのがわかっていてその範囲を決めるというのは、大変悩ましいことではないかと思うんですね。
四月から下水道のコンセッションを導入した浜松市では、水道事業へのコンセッション導入を、下水道だけではなく、今度は水道事業に導入することを検討しています。
内閣府の一〇〇%補助である民間資金等活用事業調査費補助事業、これによって導入可能性調査業務報告書を出しているわけなんですが、そこのバリュー・フォー・マネー、費用削減効果で見ますと、包括委託、まるっと委託すると一%、管路を除くコンセッションだと一から二%、管路を含めたコンセッションだと三から四%削減できる、だからコンセッションが有効だと結論を出したというんですね。
でも、えっ、たった三から四%って、桁が違うんじゃないのと。これは市の上下水道アドバイザー会議の民間委員が指摘をしたこと。このわずかな誤差で、誤差と言えば失礼ですけれども、何があるかわからない中で、これでコンセッションが有利だなんて到底言えないと思います。
それで、利用料金がはね上がることが心配されています。この利用料金の決め方、議会の関与の仕方はどうなるのか、伺います。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
水道事業においてコンセッション方式を導入する場合の料金につきましては、PFI法に基づいて、地方公共団体が事前に条例で基本的な料金の枠組み、範囲というものを定めることとされてございまして、加えて、今般の水道法改正法案においては、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して料金を設定していることを確認することとしているところでございます。
仮に、やむを得ない事情によって、この枠組みの範囲を超えて利用料金を上げる必要が生じた場合であっても、コンセッション事業者の一方的な意向によって利用料金の値上げができるわけではなくて、議会において条例改正の手続が必要となる仕組みとなっているところでございます。
○高橋(千)委員 では、値上げが必要になったら、そのたびに議会で確認をする、議決をするという理解でよろしいですか。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
あらかじめ定められた枠組み内であれば、一々議会の承認は必要ございませんが、先ほど申しましたのは、仮に、やむを得ない事情によって、この枠組みの範囲を超えて料金を上げる必要が生じた場合、そういう場合については、議会による条例改正の手続が必要ということでございます。
○高橋(千)委員 枠組み内というのは、つまり、利用料の上限を決めるわけですよね。一気にそこまでいくか、じわじわといくかというのはその事業者によると思うんですけれども、しかし、議会がその範囲を決めてしまえば、そこはかかわれないとなったら、これもまた議会にとっては大変悩ましいことでありますよね。それをどういう根拠で定めるのかということも大変悩ましいことになると思うんです。
それで、大臣に伺いますけれども、済みません、ここはちょっと通告していないんですが、民間事業者の場合、当然、御存じのように、総括原価に法人税や株主配当を含むことになるわけですよね。ですから、よく言われている、コストを民間のノウハウで下げるんだと言っているけれども、でも、一方では、もうけなくちゃいけないんだから、配当もするんだと言っているわけなんです。でも、そのもうけなきゃいけないという部分を、水道法の第一条である、清浄で豊富低廉な水の供給、特に低廉な水の供給、これに合致していると言えるんでしょうか。
○加藤国務大臣 ですから、まさにそこのところは、今お話があった、地方公共団体が事前に条例で決める、その条例で基本的な料金の枠組みを決めるわけでありますから、そこにおいては、今お話のあった条文等も踏まえて、地方公共団体、まさに議会がお決めになる、また、その中においてコンセッション方式をとった場合には、コンセッション事業者がその中で運営していく、こういうことになるわけであります。
○高橋(千)委員 久々に、ですからを聞きましたけれども、低廉な水の供給という目的は変わらないのだという趣旨でおっしゃったんだと思います。でも、それを踏まえながら、ちゃんともうけもとりながら、そしてなおかつ安いというのは、絶対私は現実的ではないと思います。そこまで見越してどうやって条例を決めるんですか、先ほどの応援体制までも踏まえてですよ。それはあり得ないなと思います。
資料の三枚目に、コンセッションのインセンティブ、横展開をやれということで、これは内閣委員会で議論されましたけれども、一定の要件を満たした地方公共団体に対して、地方債の繰上償還による補償金を免除すると言います。これがどれだけのメリットになるんでしょうか。具体例を挙げてお答えください。
○石崎政府参考人 今御指摘いただきました措置に関しましては、平成三十三年度までの四年間に実施方針条例を定めるなどの要件のもとで、上下水道事業に係る公共施設等運営権を設定した公共団体に対して、過去に貸し付けられた当該事業に係る地方債につきまして、補償金を免除する、繰上償還することを認めるというものでございます。
現在検討が進んでいる公共団体の範囲では、支援対象期間において十数件程度、対象となる繰上償還の補償金免除額は最大で十五億円程度に上るものと想定してございます。
○高橋(千)委員 最大で十億円程度のとおっしゃった……。
○石崎政府参考人 言葉足らずでした。最大で十五億円程度でございます。
○高橋(千)委員 失礼しました。十五億円程度の補償金の免除という意味でのメリットですよね。そうすると、一定の、そうですね、一千億くらいの事業なんでしょうかね、かなりの、要するに、償還に伴う補償金なんだと思います。
ちょっと事前に聞いておいたのは、宮城の場合は、上下で今、企業債残高は六百三十億円ありまして、三%以上が合わせて五十三億円と聞いております。そうすると、大体三、四億円かなと思って聞いていたんですけれども、それよりも大きいところがあるというお話でありました。
ただ、この繰上償還の原資というのは、民間企業が運営権を買うことによってできるわけですよね。じゃ、それに見合う運営権が、ちゃんと見合いとして買っていただける保証があるんでしょうかということが一つと、さっきおっしゃったように、四年間で実施方針条例を定めなければなりません。相当急がないと、だから、今言ったようにいろんなことを盛り込まなきゃいけない、検討しなくちゃいけないのに、急げとなったら、ちょっと、大丈夫でしょうか、拙速ではないですか。
○石崎政府参考人 まず、済みません。言葉足らずで申しわけございません。先ほど、最大十五億円というのは、全部を足して、十数件程度あるものを全部を足して十五億円程度でございますので、宮城県がもしやった場合は、かなり大きい方ではないかというふうに考えてございます。当然ながら、宮城県は今、いろいろな御検討をしていただいてございます。
あともう一つございました、少し拙速になるのではないかという御指摘についてでございますが、繰上償還、今度、先ほども言いました、三十三年までに実施方針条例を定めることを要件としてございます。当然ながら、この条例を定めるためには、導入可能性調査などの入念な準備手続は必要になります。それがなければ、当然ながら、手続を進めることはできません。また、条例として、あらかじめ議会の承認を得るということが当然必要でございます。このために、当然、十分でいろいろな議論を経た上で最終的な合意がされる、そういう手続が課されるということで、拙速になるということには当たらないのではないかというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 それはそう言わざるを得ない、お立場としてはそうではないかということであります。これは強く指摘をしたい。非常に無理な設計ではないかと思います。
時間の関係で、もう少しここを質問したいんですが、広域化の問題に行きたいと思います。
それで、第二条の二に、「都道府県は、」少し飛ばします、「広域的な水道事業者等の間の連携等の推進その他の水道の基盤の強化に関する施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」努めなければならないという表現が入りました。しかも、この条文は全くの新設であります。都道府県に広域連携の推進役になれという趣旨だと思いますが、確認をしたい。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
水道事業は主に市町村が経営してございまして、小規模で経営基盤が脆弱な事業者が多いことから、施設や経営の効率化、基盤強化を図る広域連携の推進は、事業基盤の強化に資する重要な施策であると考えているところでございます。
しかしながら、それぞれの事業基盤に格差があることから、住民や議会の理解を得ることを含め、その調整が非常に困難であるということでございます。このため、都道府県に、市町村を超えた広域的な見地から、水道事業者等の間の調整を行う広域連携の推進役を担っていただくことが重要であるということでございます。
このため、今般の水道法改正法案においては、都道府県に対して広域的な水道事業者等の連携等を進める責務を法的に位置づけることとしたところでございます。
○高橋(千)委員 今お答えの中で、住民の理解を得るのが大変困難である、だからその調整役を都道府県にという御説明だったと思うんですね。ただ、困難であっても、これは重要なことなので、やらなきゃいけないんですよね。これはシステム的に変えてしまったらだめだと思うんです。
それで、資料の四ページに、今までの広域的水道整備計画、そして、これが条文上はなくなりました、それで水道基盤強化計画になったわけです。同じものではないわけですけれども、時間の関係で、私が比較をして質問します。
左側は、広域的水道整備計画は、地方公共団体が都道府県知事に要請するという中身になっています。なので、地方公共団体と協議をして、都道府県の議会の同意を得て、計画を定めると書いている。そして、一番下のところに、「厚生労働大臣は、都道府県知事に対し、広域的水道整備計画に関し必要な助言又は勧告をすることができる。」と書いています。
右側を見ますと、これはなくなっちゃっている。県が主語になっておりますので、県が突然出てきたみたいな格好になっているのと、国の関与、今最後に読み上げたところがなくなっております。それから、県議会の同意を得てという部分もなくなっております。こういう形で、県議会のチェックもできずに、国の関与もない。よろしいんでしょうか。
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
宇都宮審議官。
○宇都宮政府参考人 失礼いたしました。
水道基盤強化計画は県がつくる計画ということで、県議会が関与するものでございます。
○高橋(千)委員 違うでしょう。県が関与と。県と議会は違いますから。独立していますから。議会の同意を得てという言葉がなくなっているんですよ。
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
宇都宮審議官。
○宇都宮政府参考人 大変失礼いたしました。
広域的水道整備計画については、県の予算が絡む話ということで県議会の関与ということが記載されてございましたけれども、水道基盤強化計画というのは必ずしもそういうものが絡むとは限らないということで、今回については記載が落とされているということでございます。
○高橋(千)委員 そうなんですよ。だから、今それをもう一回聞かなければ、関与するからいいんだみたいな、まるで議会の承認を得るみたいな答弁をされた。重大だと思いますよ。
これは、県議会は一切関係ないと。だって、県が主導してやることを、当然関係するわけじゃないですか。それに対して、何の同意もないと。しかも、国さえももう出番がないんですよ。これは、地方分権の絡みでこうなったと思いますけれども、後戻りできませんよ。いいんですか、大臣。
○加藤国務大臣 国の関与は、第五条の二で、厚生労働大臣は水道の基盤を強化するための基本的な方針を定めるということ、これは国全体といいますか、全国的なという話ですけれども、そして、今委員御指摘の中の第五条の三の第三項で、「水道基盤強化計画は、基本方針に基づいて定めるものとする。」こういう構成になっているわけでありますから、一つ一つについて助言、勧告をすることが必要はない、こういうことであります。
○高橋(千)委員 定めたら終わりじゃないですか。方針を定めるというのと、ここに書いている必要な助言、勧告をすることができるというのは全然意味が違うわけでしょう。これは地方との協議で、地方分権の流れで取っちゃったんじゃないですか。だから、基本方針を定めてその後どうなっているのかを何のチェックもしない、それでいいんですかと聞いています。
○加藤国務大臣 これは多分、むしろ現行水道法のたてつけの方が余りなじみのない仕組みなんだろうというふうに思います。一般的には、これはほかもそうでありますけれども、国が方針をつくり、それにのっとって都道府県あるいは市町村が計画をつくる、これが一般的なたてつけ、仕組みということでありますから、それにのっとった形でやらせていただいたということであります。
○高橋(千)委員 一般的な話で済ませてしまったということで、やはりこれも本当に、今回位置づけられて、県が推進役だとなって、結果としては押しつけになるんじゃないのかなという危惧を持っています。それに対して後戻りとか途中でチェックをする仕組みを取ってしまった、これはすごく重大な問題だと思って、重ねて指摘をしたいと思います。
それで、そこにもちょっと絡む問題なんですが、七月一日付の朝日新聞が「簡易水道 遅れる統合」という記事を報道しました。給水人口五千人未満の過疎に近い地域で簡易水道が引かれていますが、これは約七千カ所、これを同じ市町村の中の上水道に統合するよう政府として進めてきたわけですが、期限を一回延ばしたけれども、来年度末を前に二千十四カ所が残っているという指摘でありました。
それで、ちょっとそのこと自体を聞くわけじゃないんですが、当然今、今回の基盤強化計画の中などで簡易水道も組み込んでいくという狙いを持っているのかなと思うんですけれども、資料の五にあるように、簡易水道の施設整備費は公共として国の費用補助があります。その趣旨を伺いたいんですね。
そして、本法案により上水道に統合したり広域化に集約していくことを念頭に置いていると思うけれども、だけれども、広域化に自分たちは入らない、簡易水道のまま残るという選択を尊重するかどうか、ぜひ大臣に伺いたい。その際、そうした場合もきちんと補助金は存続するという理解でよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、簡易水道事業については、事業規模が小さく経営基盤が脆弱な事業と考えられることから、水道施設の新設や改良事業に要する費用の一部を財政支援してきた、こういう経緯があります。
しかしながら、簡易水道事業は、平成十八年度末で七千六百三十事業と市町村数を大幅に上回っていたこと、小規模な事業であっても経営状態が良好な事業や非常に低い水道料金を維持している事業があることなどを踏まえて、簡易水道の統合を強力に進めつつ補助制度を見直すこととし、統合した又は統合計画を示した簡易水道事業については、一回延ばしていますけれども、平成三十一年度までに期限を限って補助することとしました。
簡易水道の統合については地方自治に基づき進めていただくものであると考えておりますが、平成三十二年度以降については、離島や町村内の全ての水道事業を統合しても簡易水道事業となる事業などのうち、経営条件の厳しい簡易水道事業に対してのみ、引き続き必要な財政支援を行っていくという整理をしているところであります。
○高橋(千)委員 条件が厳しいところのみとおっしゃいましたけれども、尊重するということに対してお答えいただいたでしょうか。
○加藤国務大臣 尊重するというのは、簡易水道として引き続き残すということ、これはそれぞれの御判断になろうと思いますが、ただ、今申し上げた形で財政支援は行っていく、こういうことであります。
○高橋(千)委員 確認しました。ありがとうございます。
第二条の二で、国による水源の開発が削除されました。これは、やはりダムなどの過大な水需要を押しつけた開発はもう要らないというのは言えると思うんですね。ただ、国が主語になって水源の開発というのは、ある意味、どんなときでも安定して水を供給できるという根拠法にもなっていると思うんですね。その点での不安というのがございます。
例えば、香川県も全国初の全県広域水道化を検討していますが、降水量が全国四十六位で、本当に渇水が多い、高松砂漠とまで言われた、そういう事態が起こっているところなんですが、水がないのにダムをつくるということをまたやって、専門家でさえも無駄じゃないかというふうな議論がされているわけなんですよね。その一方で、浄水場は三十三カ所統合される。災害のときや渇水のときに、やはり自己水源というのは残しておくべきなのではないか、そのことを一言だけお答えいただきたいと思うんですが。
○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
水道事業者は、利用者に常時水を供給する給水義務を履行するため、地域の実情に応じて適切に水源を確保していく必要がございます。
このため、広域化により、水源計画を見直して、自己水源を統合し、効率的な施設整備を進めていくことも有意義な施策でございますが、一方で、今御指摘いただきましたように、災害時を想定して複数の水源を有しておくという観点も重要でございまして、そのバランスを保ちつつ、水源を確保していくことが必要ではないかと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 終わります。
――資料――