国会質問

質問日:2010年 4月 13日 第174国会 厚生労働委員会

健保法改正案 ―参考人質疑

 日本共産党の高橋ちづ子議員は13日、衆院厚生労働委員会で国民健康保険法等の改定案に関する参考人質疑で質問に立ちました。

 同改定案は、後期高齢者医療制度の廃止の先送りを前提としています。同制度は後期高齢者の医療費の上昇や人口増が保険料に跳ね返る仕組みを温存しています。

 中央社会保障推進協議会の相野谷安孝事務局長は陳述で改定案を「『構造改革』『医療費抑制』の総仕上げである後期高齢者医療制度や『医療費適正化計画』を肯定、継続し、この改革で生じた保険財政の赤字を国民、加入者への痛みわけでつくろうものだ」と批判しました。

 高橋氏は後期高齢者医療制度について「高齢者が増えると保険料の増大につながる、これが制度の欠陥ではないのか」と質問。相野谷氏は「その通りだ。廃止の日を延ばすほど後期高齢者医療制度の問題が拡大する。一日も早く廃止してもらいたい」と述べました。

 高橋氏はまた、「国保は、憲法25条に基づく社会保障であると思うがどう考えるか」と質問し、芝田英昭立教大学教授は「社会保険は生存権に基づき、お金の有無にかかわらず、当然受ける権利がある。国保でいまだに各市町村のパンフレットが相互扶助をうたい、保険料を払えない人を差別する制度を維持していることは大変問題だ」と述べました。

(2010年4月14日(水)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 被用者保険も国保も財政的に非常に厳しいことが表明される中で、負担のあり方についてさまざまな意見があったかと思います。また、後期高齢者医療制度については、現行の枠組みをよしとする意見もかなり多かったかのように思われますけれども、ただ、それでも、来春までに後期高齢者にかわる新しい制度の案を合意する、まとめるのは難しいということでは皆さん同じではなかったのかな、そんなふうに思っております。

 きょうは、ふだんより時間が短いですので、すべての皆さんに質問できないことを最初におわび申し上げたいと思います。

 最初に、芝田参考人に伺いたいと思います。

 先生は「国保はどこへ向かうのか」という本を三月に発表されまして、まさにタイムリーな出版であったかと思います。

 陳述の最後にあったんですけれども、そもそも国保とは何かということがやはり大事だと思うんですね。例に挙げられましたさいたま市の例もあるんですけれども、そもそも相互扶助という言葉が、ここ最近、政府ですとかさまざまに使われてきたわけですね。資格証を出して保険証の取り上げをするということも、まさに相互扶助だから仕方ないのだ、そういうことで使われてきたのではなかったかと思うんです。

 やはり、国保は保険ではあるけれども、同時に、憲法二十五条に基づく社会保障制度でもあったはずではなかったか、こうしたことを先生も指摘していらっしゃるのかなと思うんですが、ぜひ御見解を伺いたいと思います。

○芝田参考人 議員の質問にお答えしたいと思います。

 そもそも国民健康保険は社会保障だということで私の意見陳述の最後の資料のところに書いてございますけれども、翻って、社会保障における社会保険とは何なのかというのを少し考えてみなければいけないと思います。

 社会保険というのは、まず国民等が保険料を支払ってお金をプールし、そして、社会保険におけるさまざまな問題が起こった場合、給付をするという制度なんですけれども、ただ、その説明だけですと私的な保険と何も変わりません。

 社会保険というのは何なのかといいますと、社会的扶養部分である国の公的な、財政的な負担と、あるいは事業主負担、そういうものを社会的扶助部分というふうに呼んでおりますけれども、ここがあるがゆえに社会保障の中の社会保険だということが言えるんですね。そうなれば、単に相互扶助で、私的な保険のように、保険料を払ったからいわゆる給付が見返りとしてあるんだということではないというふうに考えられます。

 つまり、私保険の場合は、私的な商取引になりますので、保険料という商取引にかかわる代金を払わなければ当然給付はないのは当たり前の話ですけれども、社会保障における社会保険というのは、払えない場合であれば払わなくてもいいというのが一般的な概念だと思います。これは生存権というものを具現化しているんですから、お金があるないにかかわらず、医療を受けたりあるいは社会福祉制度を受けるというのは当然の国民の権利であるというふうに考えられております。

 そういう意味では、一九五八年以来、国民健康保険においては、その目的の中で社会保障制度として位置づけているにもかかわらず、各市町村のパンフレットがいまだに相互扶助あるいは助け合い制度だということをうたって、国民に対して、保険料を払わない、払えない人たちを差別する制度を維持しているというのは大変問題だというふうに思っております。

○高橋(千)委員 貴重な御提言、本当にありがとうございました。

 もう一点伺いたいんですけれども、広域化が医療費抑制のためのものであるという指摘がございました。私も実は先週の委員会の質問で、保険料の平準化やあるいは給付の適正化と称して、都道府県が調整交付金の減額、これらを活用して市町村を競わせることになるのではないかということを指摘したわけであります。その点で、もう少し補足の意見をいただければと思います。

○芝田参考人 ただいまの質問、御意見なんですけれども、広域化に関しては、何人かの参考人の方がおっしゃっているように、私は非常に大きな問題があると思います。

 議員のおっしゃるとおり、保険料が高い方で平準化される可能性というのは非常に高いと思います。これは、介護保険なんかでもそういうことが言えると思いますし、まさに各市町村に対して競わせてということも当然起こってくるだろうというふうに思います。

 それと、先ほど来出ておりましたが、例えば事務に関しては広域化してもいいのではないのか。これは、昨年度、埼玉県から、広域行政にした場合の医療保険等の報告書というのが出ておりますが、広域化することによって事務経費は効率化されていないということがその報告書の中でも出ております。

 ですから、規模が拡大することによって事務経費が効率化するというのは幻想ではないのかというふうに私は思っております。その点を勘案しても、広域化することには何らメリットはないというふうに考えます。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。

 次に、相野谷参考人に伺いたいと思います。

 医療や介護や社会保障のさまざまな分野で、各地でさまざまな運動が取り組まれている、また実態などを本当によくつかんでいらっしゃると思います。きょうは、保険証がないために死亡に至った事例のお話などもいただきました。

 同時に、自治体では既に、例えば滞納整理機構などを使ってサラ金まがいの厳しい取り立てがされているということが聞こえています。ぜひそこら辺の実態と、先ほどの芝田参考人に対する質問にも重なるわけですけれども、本来どうあるべきだったのかということで御意見をいただきたいと思います。

○相野谷参考人 相野谷です。議員にお答えをしたいと思います。

 特に国民健康保険の収納率の低下が続いておりまして、それに対する収納率アップと称する取り立てがかなり深刻になっています。例えば、これは二月二十二日の朝日新聞ですが、千葉県の鴨川市で七十七歳の男性が孤独死をする。その男性は税金の滞納を理由に振り込まれた年金の銀行口座を差し押さえられる、その結果、電気もとまった寒い部屋で孤独死をしていたというもので、ここでは細かくいろいろ申し上げる時間もないんですけれども、生活そのものまでも差し押さえてしまうような行き過ぎの差し押さえというのがかなり横行しているように思っておりまして、その点では、やはり何のための保険料なのか、何のための税金なのかという視点での改善をぜひ求めたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 今のお話、時間の関係で余り詳しくお話しできなくて非常に残念だったと思うんですが、例えば私がこういう問題を質問しますと、それは地方で決めていることですとお話をするわけですね。取り立てですとかあるいは保険証を取り上げているのも、地方が決めていることなんだと。でも、一方では、収納率アップを国が求めているということとの関係で起こっている問題ではないか。つまり、国に一切責任がないということでは実はないんだと思うんですね。

 その点で、一言お考えを伺いたいと思います。

○相野谷参考人 国が収納率アップということでかなり強烈に指導もしておりまして、現場では、本当は国保で医療を受けさせるということよりも取り立ての方に力点がいく。その点では、ぜひ国の指導としても、国民の命を守るための保険制度という視点での指導に変えていただきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。

 もう少し相野谷参考人に伺いたいと思うんです。

 次に、後期高齢者医療制度について、他の参考人からは、現行の枠組みをベースとすべしである、いいところもあるという意見もあったと思うんです。

 ただ、やはり枠組みを残すと、高齢者がふえれば、それが保険料の値上げにもなり、かつ、被用者保険においては支援金をふやすということにもなって、ますます対立を生み出すことになるのではないか。また、これ自体が制度の欠陥ではないのかなということを私自身は思っているんですけれども、アピールなどもつけていただいておりますので、少し補足の御意見を伺いたいと思います。

○相野谷参考人 先生のおっしゃるとおりで、日々、七十五歳の誕生日を迎えられる方がおよそ四千人いらっしゃいます。これが三年延長になるということになりますと、約三百万人ちょっとが、七十五歳以上ということで、新たに後期高齢者医療制度に加わる。そうすると、それに対する支援金も当然ふえてくるという仕組みでもありますので、これは、日を延ばせば延ばすほど、この後期高齢者医療制度が持っている問題を拡大するものというふうに私は考えています。

 そうした意味でも、これは一日も早く廃止していただく以外にないというふうに思いますし、一たん老人保健制度に戻した上で、本当に納得できる、高齢者自身も参加した討議の中で、新しい制度の枠組みについての検討を進めていただくのが一番肝要かというふうに思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。

 あと一点だけ、協会けんぽの課題について、資料は出ておりますけれども、時間の関係で言及がなかったので、一言伺いたいと思います。

○相野谷参考人 どうもありがとうございます。

 先ほど芝田参考人がお話しになりましたが、やはり社会保障としての医療保険制度、社会的扶養原理が大切だというふうに思っています。そうした意味では、今回の案では一六・三%までですけれども、やはりこれは本則の二〇%まで国庫負担は引き上げて、できる限り加入者の保険料引き上げを抑える、そういう道筋をとるべきであろうというふうに私は思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。

 あと一分ぐらいかもしれませんけれども、最後に、白川参考人に一言伺いたいと思います。

 肩がわりではないかという指摘は、私も全くそのとおりに思っております。この後、被用者保険と国保との一元化とか、そういう問題が出てくるわけですけれども、それについても反対の意見を表明されていらっしゃると思うんですね。保険者機能を発揮してやってきているんだけれども、支援金の比率が非常に高まってきている、それでは非常にインセンティブが落ちるだろう、そういうことがあると思うんですね。その点での思いを一言伺いたいと思います。

○白川参考人 保険者機能につきましては、いろいろな参考人の方々も言及されましたけれども、健保組合の存在意義の一つは保険者機能にあるというふうに私どもも考えております。ただ、残念ながら、財政が厳しくなってまいりまして、保険給付費や支援金、納付金は優先的に納める項目でございます。したがいまして、例えば、保健事業費のような保険者機能を発揮する項目がかなり財政的に圧迫されてきていることは事実でございます。

 ただ、これは私どもだけではなくて、協会けんぽさんあるいは国保組合さんでも同じような状況だとは思いますが、ここは保険者としては手を抜いてはいけない部分だというふうにも同時に考えておりまして、予算は圧迫されておりますけれども、いろいろな工夫をしながら、保険者の健康度を上げていく、あるいは医療費を効率的に使っていく、こういったことについては今後も努力をしていかなければいけないというふうに覚悟しております。

 以上でございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。

 努力をしていくというお話がございましたが、圧迫されることによって今後何が起こってくるのかというのはまた大きな課題であろうと思いますけれども、その話ができないままに時間が来てしまいましたので、次の審議でお話をしたいと思います。

 ありがとうございました。

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