国会質問

質問日:2010年 5月 28日 第174国会 厚生労働委員会

労働者派遣法改正案

 28日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の高橋ちづ子議員は、労働者派遣法改定案について質問し、製造業派遣は全面禁止すべきだと主張しました。

 高橋氏は、同改定案で製造業派遣と登録型派遣の原則禁止の対象となるのは18万人、全体の16・7%にすぎないことをあげて、「例外の方が多い。これで派遣法改正といえるのか」と指摘しました。

 製造業派遣の原則禁止から常時雇用を例外とする問題について、資生堂の工場で女性労働者が派遣と請負を繰り返しながら同じ生産ラインで働かされ解雇された事件を取り上げ、資生堂社員から指揮命令を受けるなど偽装請負で働かされていたことを指摘。「雇用調整しやすい労働者を確保するため規制をすりぬけようとするものだ」として全面禁止こそ必要だと求めました。

 長妻昭厚労相は、派遣先や請負先が変わっても同じ労働者が同じラインで働いていた場合、現行法でも違反であり、改定案に盛り込まれた「みなし雇用」(派遣先が派遣労働者に直接雇用を申し込んだとみなす)の対象になると答えました。

 高橋氏は、「みなし雇用」で直接雇用されても派遣社員のときと同じ雇用契約となるため、短期契約であれば雇い止めされることになるとのべ、期間の定めのない雇用にすべきだと強調しました。

 長妻厚労相は、短期契約を更新し、長期間働いてきたという「実質的なことも判断していくことも重要」と答弁。高橋氏は、労働政策審議会建議で「従前以上の条件で申し込むよう勧告すべき」としていたことを示し、労働者の願いにこたえる改正を求めました。

(2010年5月29日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 労働者派遣法について、本会議で代表質問を行ったのは四月十六日でした。それから一カ月半近くたって、きょうがようやく第一回目の委員会質問であります。それなのに、与党内からは早くも採決日程などが聞こえてきています。派遣法の抜本改正を強く求めてきた全国の労働者や派遣切りされた人たちのためにも、徹底審議をするよう、この場をかりて強く求めたいと思います。

 さて、最初の質問は、資料を一枚だけお配りしておりますが、先ほど来既に話題になっております、今、最新の資料で、派遣労働者数百八万人中、今回の製造業派遣と登録型派遣の原則禁止などによって規制の対象となるのは十八万人にすぎないということであります。このデータが出るまでは、四十四万人がその対象になるということが言われていましたが、今や十八万人で、全体の一六・七%にすぎません。

 例外の方が多いということをどう見ますか。これでは何のために派遣法改正をやろうとしているのかわからなくなりますが、大臣の見解を聞きたいと思います。

○長妻国務大臣 全体の派遣も半減をしたということでございます。これは、ちょうどこの調査が、前回お示ししたものと今回のものが、調査の時点のちょうど真ん中にリーマン・ショックがありまして、景気の影響で全体も半減し、規制の対象の方も半減をしたということでありまして、景気変動が大きいと思います。

 そして、例外の方が多いという御指摘でございますけれども、我々は、全体のボリュームを見て判断するということも当然ございますけれども、それと同時に、やはり最低限の安定的な雇用を維持していく、こういう必要不可欠なものについて、労使で合意をしていただいたものについて行き過ぎた労働規制緩和を一定程度戻していく、こういう発想で法案をお願いさせていただいている、こういう趣旨でございます。

○高橋(千)委員 今、行き過ぎた規制緩和を一定程度戻していくというお話でありましたけれども、ほんのちょっとだなという気がしますね。派遣という不安定な働き方をやめさせてと言っているのに、何か聞いていますと、派遣でちゃんと働けるように、そう言っているように聞こえるわけです。やはり、それは違うだろう。

 先ほど来、自民党の皆さんなどは、規制すると派遣切りが起こって失業者がふえるじゃないかというようなお話があるわけですけれども、もう既にいいだけ切られてしまったわけですね。大手の自動車産業などは派遣労働者がいなくなるくらい切ってしまった中で、今規制すると切られるだろうか。本当はそういう議論ではなくて、派遣切りされた皆さんが、もうこのような派遣という働き方、物扱いされる働き方をやめさせてほしい、そのことを訴えているということをちゃんと受けとめて、それにふさわしい改正でなければならないということをまず指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、まず、今回、常時雇用される者を規制の対象外とするとしております。そうすると、常時雇用だけの特定派遣業と、登録型、常用型の両方ある一般派遣という区別が意味がなくなると思います。そうであれば、この際、区別をなくし、すべて許可制にするべきではないでしょうか。

○長妻国務大臣 今現在は、御存じのように、専門二十六業務について許可制ということになっておりますけれども、それ以外は届け出制ということでありますが、これをすべて許可制という御趣旨だと思います。

 これについては、今回の法案でもそれは書いてございませんのは、それをすべて許可制にいたしますと、一定程度の自由な経済活動あるいは自由な労働市場、当然、規制というのはきちっと今回かけるわけでありますけれども、それについて、やはり強過ぎて、経済活動あるいは労働市場について制約をかけ過ぎるのではないかというような懸念も出てくるところでありますので、今回はそれは盛り込んでいないわけであります。

○高橋(千)委員 今の区別の問題も含めて、一切検討が今後なされないんですか。もう一度。

○長妻国務大臣 これについては、すべて許可制にいたしますと、先ほど申し上げましたように、非常に、自由な労働市場あるいは経済活動について、今回も一定程度の規制をかけるわけでありますけれども、それについて規制が過度になるという懸念もございますので、今の時点では検討はいたしません。

○高橋(千)委員 今後の検討でさえもないということでありました。

 私は今、大臣の答弁に本当にがっかりしたんです。改めて自由な経済活動ということが強調されまして、正直言って、どれもこれも規制が緩いわけなんですよ。いわゆる禁止するところも例外があるし、今の事業所のところでも、許可制には全部はならないのだとお話ししている。あるいは、この後出てくるみなし雇用の問題ですとか、労働者の保護の問題にしても、全体として緩いんだ。では、どこかで厳しくするものがきちんとなければ救いがないじゃないかということを私は言っているわけなんですね。この点は、重ねて要望にしておきたいと思います。

 続けます。

 そもそも、九九年に労働者派遣が原則解禁になったときも、製造業派遣は二〇〇三年まで禁止業務として残ったわけで、その後解禁になったわけですけれども、その理由は何だったでしょうか。政府参考人に確認したいと思います。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘ありましたように、平成十一年の派遣法改正では、このときには原則自由ということにしたわけでございますけれども、製造業務の派遣につきましては、いわゆる製造業務で働く方の我が国の労働者に占める割合の大きさ、あるいはまた我が国の労働者の労働条件の決定に与える影響の大きさ、こういうものを勘案いたしまして、激変緩和の観点から、当分の間、労働者派遣事業を行ってはならないというふうにしたところでございます。

○高橋(千)委員 今、製造業の労働者の割合が大きいことや影響の大きさというお話がありました。そのほかにも、偽装請負の問題が既にあったと思いますし、雇用責任があいまいだということなども指摘をされたのではないかと思うんですね。

 とりわけ、二〇〇三年の解禁後からわずか三年間で、製造業の労災が九倍にもなった。こういう結果に示されるとおり、矛盾が集中的にあらわれたのではないか。私は、改めてこの原点に戻って、製造業派遣はきっぱりと禁止をするべきだ、このように思っております。

 そこで、象徴的な事例を一つ紹介したいと思います。

 昨年の十二月二十一日、東京高裁は、七名の女性が争っていた資生堂と請負派遣会社アンフィニの非正規切り事件について、横浜地裁が十月九日仮処分申し立ての却下をした決定を取り消して、労働者に賃金支払いを命ずる逆転勝利決定をいたしました。

 資生堂とはだれもが知っているあの大手化粧品メーカーでありますが、花形商品である口紅をつくっているのは資生堂鎌倉工場ただ一つであります。その鎌倉工場で働いていた女性たち、人によって違いますけれども、大体八年間くらいですね、幾つかの派遣会社と派遣契約を繰り返します。そして、〇六年から、資生堂が誘致した派遣会社であるアンフィニの派遣社員となって、派遣契約を結びます。これを長く続けると契約の期間制限に触れるということで、今度は請負に切りかえて、同じアンフィニの請負社員となる。結局、ずっと同じ工場でずっと同じ仕事をしていたわけであります。

 昨年十二月末までの一年契約だったにもかかわらず、突然四月に、五月いっぱいで契約を打ち切るという新しい契約書に無理やり、仕事中呼び出されてサインをされました。二十二名の指名解雇でありました。たった一日休んだだけで、出勤率が悪い、こんな理由をつけられるなど、明らかに不当解雇でありました。

 彼女たちは、フルタイムで働き、今やラインリーダー、サブリーダーとなって後輩を指導し、正社員と一緒にリーダー会議に参加をして、指揮命令も当然受けています。まず、このような事例は既に直接雇用の対象になると思いますが、いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 今おっしゃられた個別事案についてはお答えは差し控えたいと思いますけれども、一般の例、一般的見解で申し上げますと、まず、今、一つは期間の問題でございます。

 基本的には、派遣可能期間を超えて引き続き労働者を使用するときは、派遣先は、派遣元から派遣停止の通知を受けた場合は、派遣労働者に雇用契約の申し込みをしなければならないというようなことがございます。

 この派遣元からの通知がなければ、派遣可能期間を超えて派遣を受け入れた場合であっても雇用申し込み義務は生じないということでありますけれども、今回の法案ではみなし規定がございます。これについて、例えば偽装請負だというふうになりますと、派遣先が雇用申し込みをその労働者にしたとみなされますので、労働者が拒絶しない限り、同じ条件で雇われるということになろうかと思います。

○高橋(千)委員 明らかにこれは偽装請負でありまして、みなし雇用の対象になるのかなというふうに、今の大臣の答弁を聞いていても、それは個別だからということでお答えできなかったと思いますが、確認できたのかなと思います。

 先ほど来、坂口委員が請負と派遣の違いなるものをいろいろ御質問されておったわけですけれども、今後、製造業派遣が原則禁止になるということで、請負に切りかえるというところも多いかと思うんですね。

 このアンフィニの場合は、まさにそれを先取りしているわけです。同じ会社なんですね、派遣会社であり、請負会社である。ですから、会社の中には指導できる者はありません。本来ならば、自己の雇用する労働者という言葉があるわけですけれども、自分たちが技術を持ってその口紅の製造の仕方を教えることはできないんです。

 ということは、派遣社員だった原告らが同じ仕事をやっていたという技術があるからこそ仕事を続けることができる、請負として成り立っているわけです。でも、工場の中で完結しなければ請負にはなりません。ですから、どうしているかというと、彼女たちが使っている二つのラインだけを、二つだけリース契約を結んでいる。瞬間契約みたいなものですけれども、そうやって、請負なんだということを言っている。これは、もう本当に法抜けのような実態ではないのかなと思います。

 それで、こういうことが繰り返されることをどう思うかということなんですね。雇用調整がしやすい労働者を確保したいがために、あの手この手で法抜けをしようとする、やはりそういうことをちゃんと食いとめなければならない。今回、常時雇用を例外とするだけで、こうした根本問題が解決されるでしょうか。

○長妻国務大臣 今回の規制があって、派遣からいろいろな労働者の、規制対象の方の移動が起こるということを我々も支援していきたいと思います。

 本当のきちっとした請負に移っていただくということは、直接雇用でありますので、私は望ましいと考えておりますけれども、今おっしゃっていただいたように、偽装請負ということが規制がかかるから、それを先取りする、あるいは三年後、五年後の規制後にそれをそのまま移行してしまうというようなことがないように、移行期間についてもきちっと我々は監督体制を整備して、また新たな監督の手法が必要であれば、それも研究していくということであります。

○高橋(千)委員 資生堂は、昨年三月の決算で百二十一億円の収益を上げて、株主配当も増配、二百一億円を出す優良企業であります。有名女優さんを一堂に集めて出演させているあのシャンプーのコマーシャルが大変有名でありますけれども、実は、広告費だけで五十億円使っているんですね。ランキング一位だと。ですから、わずか二十二名、時給千円前後の社員たちを解雇しなければならないほど厳しい経営状況でないのは明らかなわけですね。やはり、こういうことがもうまかり通らないようにしていかなければならないと思うんです。

 これから先は個別の話ではありません。今のは象徴的な事例としてお話をしましたけれども、しかし、通しで見ると、やはり派遣先の都合ということがあると思うんですね。やはり、派遣契約というのは間接契約なので、派遣先の企業が、自分が雇用をしているのではないから責任がないのだよと逃れられる。これが一番の問題になっている。

 だけれども、今の資生堂の例がまさにそうであるように、派遣元の会社あるいは請負の会社が何度かかわっている。だけれども、同じ労働者がそこから出てきて、同じラインについて同じ仕事をしている。これは、明らかに派遣先の企業の側の論理なわけですね、必要だと。技能の継承ということがうたわれているわけですから。そういう実態にある。

 そうすると、当然、雇用契約を結ぶに当たっての意図が派遣先にあるんだ、責任があるんだ、こういう問題意識はあるでしょうか。

○長妻国務大臣 技能の伝承あるいは継承ということで、もうずっと派遣で働いている人にさらに長い間働いてもらって、例えば三年を超えても派遣で働いてもらいたいというような、派遣先のそういう意思というのはある場合があるのではないかというふうに思います。

 そういう意味では、我々としてはそれについても、現行法でも違反でございますので、さらに改正法案ではみなし雇用制度の対象にもなりますので、これらの制度を使ってそういうものを是正していきたいと思います。

○高橋(千)委員 今、派遣先の意思があることが多いだろうということをお認めになったと思います。

 それで、やはりそういう目で見た場合、今お話しされたみなし雇用というのは非常に大きな意味があると思うんですね。ただ、これはみなし雇用だ、直接雇用契約が成立したとみなした場合、直近の契約が三カ月だったら、三カ月直接雇用されれば、それでもう無罪放免になっちゃうわけですね。午前に松浪委員が紹介した松下PDPの事例も、まさにその事例でありました。

 しかし、今、全国で七十件くらい裁判が闘われています。違法状態がはっきりした場合、確かに契約は直近では三カ月だけれども、ずっと更新して何年も働いてきたということがわかっている、だったら、三カ月でよいということはやはりおかしいんじゃないでしょうか。

 私たちは、期間の定めのない雇用にすべきだと思っております。少なくとも、この状態に即して雇用契約は成り立つべきだ、つまり、三カ月だったから三カ月ではなくて、これまでの雇用の実態に照らしてみなし雇用にすべきではないかと思いますが、いかがですか。

○長妻国務大臣 まずは、今回お願いしている法案のみなし雇用の制度は、そのとき、違法状態ではありますけれども、その契約条項と同じ雇用で申し込むとみなすわけでありますけれども、やはりそれは実質的なことも判断をしていくということが重要であるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 今、実質的な判断が重要だということが確認できたと思います。

 〇八年九月二十四日の労政審建議「労働者派遣制度の改正について」、今お話しした違法派遣是正のための派遣先での直接雇用について、「従前以上の条件で雇用契約を申込むことを勧告できることとすることが適当である。」という建議がございました。それがみなし雇用という形で発展したことは評価をいたしますけれども、この時点でさえも、従前以上の条件、今よりもよい条件にすべきだという勧告がされていたわけですから、そういう立場に立って見直しをしていただきたい、このことを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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