国会質問

質問日:2010年 11月 12日 第176国会 厚生労働委員会

脳せき髄液減少症

 日本共産党の高橋ちづ子議員は12日の衆院厚生労働委員会で、脳脊髄(せきずい)液減少症の治療法確立と患者への保険適用の早期実現を求めました。

 脳脊髄液減少症は転倒や交通事故、スポーツ外傷などの衝撃で脳脊髄液が漏れ出し、脳の位置が下がることによって、さまざまな不調が起きる病気です。

 高橋氏は「専門医も少なく、患者が周囲から理解されずにつらい思いをしている」と指摘。診断・治療のガイドライン(指針)を早期に確立することや、この病気について医療機関、学校現場への周知徹底を求めました。 細川律夫厚労相は「大変さは承知している。保険適用をめざしていく」と答弁。厚労省の岡本充功政務官は「診断・治療のガイドライン作成に向け研究事業を行っているが、今年度中に方向性を出したい」、文部科学省の笠浩史政務官は周知徹底について「改善していく」と答えました。

 高橋氏は、効果があるとされるブラッドパッチ療法が保険適用されないため、患者が生活保護を申請したら、保険がきかない高額な治療を受けたことを理由に保護を受けられなかったことを示し、是正を要求。岡本政務官は、生活に困窮していれば生活保護が受けられると答えました。

 傍聴した「脳脊髄液減少症全国ネットワーク架け橋」の細谷地正樹代表は「診断・治療の指針を一刻も早くつくってほしい。約30万人いる患者の願いです」と話しました。

(2010年11月19日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、脳脊髄液減少症について質問したいと思います。

 脳脊髄液減少症は、交通事故、スポーツ障害、落下事故等による頭部、全身への強い衝撃で脳脊髄液が漏れる、液が減少することによって、頭痛、目まい、耳鳴り、視機能障害、しびれなど、さまざまな症状に襲われ、潜在的な患者は数十万人とも言われております。

 この問題については、我が党の赤嶺政賢議員が質問主意書や予算委員会分科会などで繰り返し取り上げてまいりました。

 先日、私も患者さんたちとお会いする機会がございました。約四年前、後ろからぽんと車で追突されたという和田留美さんは、全治五日と最初は診断されたものの、その後、左目が燃えるように熱く痛くなったといいます。その後どんどん体全体にしびれが広がり、今身体二級になっているわけですけれども、医師からはそれでも異常がないと言われます。保険会社からは保険金目当てかとなじられます。保険も切られてしまいました。弁護士の介入、そしてホームページをたどって、やっと専門医にたどり着くまで一年半もかかったといいます。

 まだまだ病気が認知されず、専門医も少ないこと、だるいとかしびれるとか起き上がれないことがただ怠けているというように、周囲から理解されないなど、大変つらい思いをされています。大臣がこうした脳脊髄液減少症患者の皆さんの現状をどう受けとめていらっしゃるのか、一日も早い治療法の確立、保険適用が求められていると思いますが、見解を伺います。

○細川国務大臣 高橋委員から今お話がありました、脳脊髄液減少症の皆さんはその御病気で大変苦しい思いをされているということは、私も承知をいたしております。この治療方法あるいは診断方法が早く開発をされるということが、これは患者の皆さんにとっても切実な願いであろうというふうに思いますし、これは国としても、この研究を推進していくということは大変大事なことだというふうに考えております。

 そこで、厚生労働省といたしましては、平成十九年度より、脳脊髄液減少症の診断方法、治療方法の確立を目指した研究を実施しているところでございまして、できるだけ早く研究成果が取りまとめられるように期待もいたしておりますし、頑張ってみたいと思います。

○高橋(千)委員 そこで、今具体的に大臣が最後に紹介をされました厚生労働科学研究、平成十九年から始まっているわけですけれども、治療ガイドラインを目指す研究の進捗状況について、政務官に伺います。

○岡本大臣政務官 今御質問いただきました脳脊髄液減少症に関する研究については、大臣より答弁をさせていただきましたとおり、平成十九年度より三カ年計画で診断ガイドラインの確立等を目指して研究を実施してきたところでありますが、平成二十一年度までの研究期間内に、解析に必要な登録患者数、一応、中間解析に必要な患者さんの数というか症例数は百と見越しておりましたけれども、この百症例が確保できなかったところでございます。

 このため、外部の専門家から成る研究評価委員会において、研究の評価を行い、平成二十二年度以降も研究を実施することとなったところでございます。

 その結果、平成二十二年八月の段階で、中間解析に必要な百症例が確保されました。現在、科学的根拠に基づく診断ガイドラインの作成に向けた解析を行っているところでございまして、何とか今年度で診断に関するいわゆるガイドラインが作成できたらいいな、出してほしいなという思いは持っておりますけれども、残念ながら、出せるという確証、ここでお約束をできるほどということまでは至っていないということでございます。

○高橋(千)委員 今、何とか今年度とおっしゃいましたので、科学研究は三年単位ですので、また延長したとなるとまた三年待つのかという思いがまず非常にあるわけですね。その点については、今年度がまず目標なんだということをおっしゃっていただきました。そこをまず確認したいのです。

 そこで、研究に参加をしている脳外科医などの専門病院、まず、それが今現在幾つになって、それで、例えば赤嶺議員が、それぞれの病院は何例くらい集まっていますかと聞いたら、守秘義務がありますからというつまらない答弁になってしまうわけですね。そういうことは、どこのだれかのデータを知りたいという問題ではありませんので、傾向を知りたい。つまり、最大でどのくらい、最低でどのくらい、ばらつきがあるのかないのか、そういうふうな傾向について、答えられる範囲でお願いいたします。

○岡本大臣政務官 今御質問いただきました点でありますが、ちょっと事前にもう一点、誤解があってはいけないので確認をしておきますけれども、先ほど答弁させていただいたとおり、診断に対するガイドラインというのを今年度目指すのですが、これは治療の確立に関する研究という名前も振っていますから、やはり患者さんがお待ちいただいているのは診断だけではなくてその治療法の確立でありますから、それに向けてさらにその後努力が必要だということはあわせてお話をしておきたいと思います。

 その上で、今委員御指摘の、研究班に参加している施設は一体どのくらいあるのかということでありますが、十六施設参加をしております。そのうち、施設ごとの登録患者数の範囲につきましては、一番少ない施設がゼロ症例、一番多い施設が三十三症例であります。先ほどお話をしましたように、百症例を集めるということでありますから、一定程度のばらつきが出るということは統計学的にあり得ることだろうというふうに考えております。

 本研究の登録施設は、脳槽シンチや頭部MRIまた脊髄MRIなどすべての検査をプロトコールどおりに行い、なおかつ、その画像や臨床データを解析するための施設に提供することができることを条件としております。

 したがって、すべての施設がどこでも参加できるというような状況にはありませんが、実際には、本症に関係する学会の代表者の所属施設、また本症の治療経験の多い施設等から構成をされておりまして、施設間の登録症例に差がありますけれども、登録症例がゼロ症例であった施設の研究者も、学会の代表として、鑑別すべき他の病態、症候、検査所見の比較検討に加わっていただいているということでございます。

○高橋(千)委員 今、診断から治療法の確立ということで、今手元にホームページからとったものがございますけれども、診断・治療の確立に関する研究ということで、今は国立がんセンターの所長であります嘉山先生が研究の代表者であるということになっておるわけですが、当然、その治療法の確立、そしてそれの保険適用まで目指していただきたいという立場で私も質問しておるんです。

 ただ、心配しているのは、このガイドラインの確立の中で、入り口ではじかれる人が多いと困るなという心配がございます。というのは、もう慢性の人ははじかれているのじゃないか。あるいは、起立性頭痛ということから最初からスタートして、そこからフローチャートが進んでいますので、最初にお話ししたようにさまざまな症状があるということを言っているのに、一定の条件からスタートしたら当然少なくなるのではないか。

 私、これは全部は理解できないところがあります、専門家ではありませんので。ただ、その中で、例えば、想定される患者は二千人前後ではないかというふうなことが書かれているわけですよ。そうすると、今訴えている患者さんたちの実感からはかなり遠いものになるという心配がございます。

 ですから、せっかく大臣、先ほどお話ししてくださって、研究の成果を見たいのだと言ってくださったわけですから、本当に望む結果が出てほしいと思うわけです。

 そういう点では、今、ゼロ症例のところもあるとおっしゃいました。もっとこれを広げることができないのかということや、国がその実態をもう少し見て、関与をして、積極的な成果を上げられるような努力はできないのか、患者さんたちにできるだけの情報公開ができないのか。そういう点でもう少し努力ができないかという提案ですが、いかがでしょうか。

○岡本大臣政務官 先生御指摘の、どういった方をこの脳脊髄液減少症という疾患として診断をするのかという、まさにガイドライン作成中でありますけれども、頭痛というのは、本当に一冊の本になるぐらい、医学書でも一冊の本になっています。いろいろな原因で頭痛が起こる。非常に難しいです。

 ただ、広くすべて頭痛と言ってしまうと、必ずしも、治療に結びつけていくという意味においては、どういう原因か、やはりその疾患の原因ごとに治療法をつくっていかなきゃいけない以上は、余り広い診断範囲をとらえ過ぎますと、結果として治療に結びつかないということになってしまうということもあります。

 我々の中では、今この研究では、座位または立位により発生あるいは増悪する頭痛があることを研究対象患者の選択基準としているというのがこの厚生科学研究の立ち位置でありますけれども、もしかしたら、先生が言われている、例えばほかの理由で頭痛が増悪するというものであれば、これは違う疾患の可能性もあるわけですね。その違う疾患まで含めてしまうと、最終的に治療法が少しぼやけてしまうということにもなりかねません。

 したがって、さまざまな要因で起こる頭痛について、きちっとした診断をし、そしてそれを治療に結びつけていくという観点においては、今行われている研究が、しっかりとしたガイドラインを出し、そしてそれが診断確立に結びついていくものと私は確信をしております。

○高橋(千)委員 さまざまな要因で起こる頭痛と今おっしゃいましたけれども、その前段のさまざまな要因のところに、明らかに脳脊髄液の減少ということに結びつく、ぶつかったですとか、そういうことを訴えている方たちの声を拾ってほしいという意味で言っておりますので、ぜひ受けとめていただきたいと思います。

 保険適用を目指しつつ、しかし、今できることというのはまだあるのではないかという議論を少ししたいと思うんです。

 四十二歳の介護ヘルパーをしていた方が、利用者さんに殴られてしまってこの病気になったといいます。この方は自力でブラッドパッチの治療を受けました。ただ、その後、やはり同じ仕事はできませんので、暮らしていけない。それで、生活保護を受けたらと勧めてもらったんですが、申請したら断られました。ブラッドパッチ治療など、三十五万円などと言われているわけですが、高額な医療費を負担できるならという理由で保護が受けられないわけですね。

 こんな理不尽なことがあるのか。現実に生活の手段がないわけですから、ここは何とかなるとお答えいただきたいんです。

○岡本大臣政務官 今の話は論点が二つありまして、一つは、先ほど委員がお話しになられた保険適用をどうしていくかということで、保険適用になってくれば、当然、高額療養費の対象ということになってくるわけでありまして、こういった観点での議論が一つあろうかと思っています。したがって、先ほどお話をしました診断とそれに結びついた治療法の確立というのが求められている。

 もう一つの観点は、いわゆる生活保護法における医療扶助というのがどういうふうにあるべきかという考え方だろうと思っています。国民健康保険の適用を受けている低所得者との均衡についても考慮する必要があると思っておりまして、特別基準の適用というのは、この疾患に注目してというような観点ではなかなか難しいんだろうと思っています。

 脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチ療法についても、先ほど三十五万円というお話がありました。この三十五万円についても、実は昼の間に事務方にも話をしましたが、本当に何で三十五万円かかるのかということを私の方からも尋ねております。そういう意味では、もちろん自由診療の世界ではありますけれども、そういった一定程度合理的な説明は必要なんだろうと思っています。

 いずれにしましても、脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチ療法について関係学会に照会したところ、当該患者の疾病の程度等、個別具体的な事案に即して検討をする必要があるということでありますが、生命維持について直接の関係はないとの回答を受けている治療であり、したがって、医療扶助の特別基準により対応しなければならない必要性をこの疾患だけということで、また、この治療法だけということで定めるということは、なかなか適用が難しいということが実情であります。

 先ほどもお話をしました二つのアプローチがあると思いますけれども、私としましては、現時点でお答えできるのはここまでだというふうに思っております。

○高橋(千)委員 質問の意味と答えが違います。この方は自力で治療を受けたんです。それから保護を申請したのです。そうしたら、そんなお金を出せるんだったら保護は要らないべと言われたわけですよ。でも、それで貯金を使い果たして、仕事もできなかったら、どうやって食べていきますかという意味です。

○岡本大臣政務官 その点につきましては、先ほどお話をしました、治療にかかったお金の多寡というよりは、その方が、生活保護法による医療扶助というのは……(高橋(千)委員「扶助の話はしていない。違う、生活保護だけの話」と呼ぶ)生活保護そのものについての御質問であるということでありまして、済みません。

 生活保護については、いわゆるその適用については、収入、資産等あらゆるものを活用してもなお生活に困窮される方に対して最後のセーフティーネットというのが考え方であります。

 このため、今のお話にありますように、法律に定める要件を満たす限り、生活困窮に至った原因がブラッドパッチの治療であろうとどういうものであろうと、そういった原因のいかんを問わず生活保護の適用がなされるということでありますから、その条件を満たしていれば、当然、生活保護になるということでございます。

○高橋(千)委員 そう言ってくださればよかったんです。要件を満たしているということをまず確認いたしました。次にお話ししたかったのにもう今答えてしまったということでありますね。

 今ちらっとお話を聞いて皆さんもびっくりされたかと思うんですが、資料を配ってあります。これは、平成二十二年三月三十日、社会・援護局保護課長の名で「生活保護法による医療扶助の特別基準の取扱いについて」ということです。これは、生活保護受給者が保険適用されていない医療を受けることがどうしてもできないだろうかということを、個別にこれまでは対応していたそうなんですけれども、今回この通知が出たということで、大臣が認めれば、上のところにありますが、「厚生労働大臣が特別の基準を定める」というふうに書いてありまして、こういう場合もあるんだ、細川大臣の情けにすがることができるのかという期待を一瞬したわけです。

 ところが、今政務官が答えていただいたように、特別基準の設定の判断基準には、ア、イ、ウとありまして、生命の維持に直接関係があると認められること、他に代替できる治療法等がないこと、研究に用いられるものではないこと、これを全部かなえていなきゃだめだというんです。全部、かつ、かつです。

 そうすると、要するに、死ななきゃいいんだろう、死ななきゃ治療しなくたっていいだろうということになるんですよ。こんなことを厚生労働省が言うのか。代替療法があるんですか、安静にしていればいいんですと。これが代替療法といいますか。患者会の皆さんに聞きました。何の薬を飲んでいますかと。対症療法、特別な薬は決まっていないのでボルタレンを飲んでいますと言いました。私でもたまに痛みどめにもらう薬ですよ。

 こんなことしか代替療法としてないのに、若い方がもしこの治療がうまくいけば生活保護を受けなくたってよくなるわけですよ。そういうことを考えたらもっと財政的にメリットがあるじゃないですか。死ななきゃいいなんて、そういうことではないと思います。大臣、どうです、一言。

○岡本大臣政務官 先ほどは失礼いたしました。

 今お話しになられましたように、三つの要件があるということは事実でありまして、「生命の維持に直接関係がある」という観点、また「他に代替できる治療法等がないこと」、「等」でありますから必ずしも治療法だけではありませんが、「等がないこと」、それから「研究(試験)的に用いられているものでないこと」、これらすべての要件ということになっています。

 こういったアプローチからも、委員御指摘のいわゆる経済的支援という観点もありますが、正攻法というのは、やはり保険適用を目指していく、結果としてそれが高額療養費の対象となるというようなことを有効性のある治療法には求めていくべきではないかというふうに私は考えていますので、そういった観点でのアプローチもぜひ委員には応援をしていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 正攻法を求めるのは当然であります。ただ、どう考えても不合理なことは解決していただきたい。実際に、治らない、理解されないことを苦しんでみずから命を絶った人もいるんだということを忘れずにいただきたいと思います。

 きょうは、文部科学政務官にも来ていただいていますので、一言伺いたいと思います。

 学校現場でも、バレーボールが頭にぶつかったなどという形で、子供たちの中にも同じ症状の方がいるんですね。平成十九年五月三十一日に「学校におけるスポーツ外傷等の後遺症への適切な対応について」という事務連絡が出されました。ただ、これ一本では周知ができないと実際に思います。適切な対応についてと言われても、どうしていいかわからない。

 守山英二先生の小児・若年者の脳脊髄液減少症の現状によれば、診断された子供たち、患者の六割が登校できない、八割が学校生活に支障を来している、こういうふうに答えているわけですね。周りの子供たちから理解されず、ただ不登校だと扱われている。それをこの一片の通達だけでは、やはり理解できないだろう。もっと具体例を添付するですとか、検査はこういうところで受けられますとか、そういう積極的なアプローチが必要だと思いますが、いかがですか。

○牧委員長 笠文部科学大臣政務官、簡潔にお願いします。

○笠大臣政務官 今委員が御指摘のように、平成十九年の五月に通知を出しているところでございます。毎年その趣旨の周知徹底を図っているところでございますけれども、さらには、文部科学省のホームページについても、当初は記者発表ということだったところを、今は事務連絡の内容を見つけやすくするようにしっかり改善もさせていただきました。

 いわゆる脳脊髄液減少症については、現場の状況等も踏まえ、その周知徹底について、今委員から御指摘あったようなさらなる改善ができるように、しっかりと検討をしてまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 お願いします。

 終わります。

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