国会質問

質問日:2010年 11月 12日 第176国会 厚生労働委員会

雇用能力開発機構廃止法案に対する反対討論

公共職業訓練などを担う独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止する法案が、12日の衆院厚生労働委員会で、民主と自民、公明党の賛成多数で可決しました。日本共産党のほか社民党、みんなの党が反対しました。

 同機構の廃止は、自公政権が打ち出したものですが、民主党政権になっても予算の半減や人員削減を盛り込んだ法案が提出されました。

 日本共産党の高橋ちづ子議員は採決に先立つ討論で、国の行う職業訓練は憲法27条にある国民の働く権利を保障するもので、ILO(国際労働機関)条約でも充実・発展を各国に求めていると指摘。今回の法案では、職業訓練施設を地方への譲渡をすすめるなど「国の責任をいっそう後退させる」と批判しました。

 職員は雇用契約を継承されずいったん解雇されることについて、許されない選別採用であり、「職員の解雇は法律で認められるというとんでもない先例をつくる」と批判しました。

 みんなの党の柿沢未途議員は、採決前の同委員会の質疑で「看板のかけ替えにすぎない」と述べ、「構造改革」をさらに進める立場から反対を表明していました。

(2010年11月13日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案に反対の討論を行います。

 公共職業訓練に対する国の責務や独立行政法人の職員の雇用の問題など、極めて重要な内容を持つ本法案の審議がわずか半日、三時間半の質疑で採決されることに、最初に厳しく抗議するものであります。

 反対する第一の理由は、公的職業訓練の水準を大きく後退させ、国の責任を放棄するものだからです。

 そもそも、国の行う職業訓練は、日本国憲法第二十七条に定められた国民の勤労権を保障するものであり、日本が批准しているILO百四十二号条約でも、公的職業訓練を量的にも質的にも充実させ、発展させることが国に要請されています。

 しかし、政府は、公的職業訓練を地方や民間にゆだね、地域の中小企業で働く労働者の技能向上や情報処理技能者の育成に大きな役割を発揮してきた地域職業訓練センターやコンピューターカレッジを地方へ譲渡、廃止を進めるなど、公的職業訓練に対する国の責任を後退させてきました。

 今回の法律案は、ポリテクセンターやポリテクカレッジの都道府県への譲渡を進めるなど、公的職業訓練に対する国の責任を一層後退させるものと言わざるを得ません。

 第二は、機構の廃止に当たって、職員の雇用契約を継承せず、一たん解雇した上で新しい機構が選別採用するとしたことは、雇用を守るべき労働行政が法律によって解雇を認めるという重大問題だからです。

 非公務員型の独立行政法人の組織再編が進められた二〇〇六年一月以降、廃止、統合された非公務員型独立行政法人は九つありますが、いずれの場合も職員の雇用契約は継承されています。雇用・能力開発機構の廃止が、雇用契約が継承されない初めてのケースとなるのです。

 今後も独立行政法人の整理合理化が進められようとしているもとで、今回の法案が成立すれば、職員の解雇は法律で認められるというとんでもない先例をつくることになり、断じて容認できません。労働契約に係る権利義務の継承を行わないとする規定は削除するべきです。

 以上を述べて、反対討論を終わります。

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