国会質問

質問日:2018年 3月 23日 第196国会 厚生労働委員会

高度プロフェッショナル制度、労働契約法の無期転換ルール(東北大学の非常勤職員雇止め問題)

高年収でも過労認定 / 高橋氏「高プロも断念せよ」

 日本共産党の高橋千鶴子議員は23日の衆院厚生労働委員会で、年収1075万円以上の労働者でも3年で73件の過労による労災認定があることを告発して、「働き方改革」関連一括法案から削除された裁量労働制拡大とともに、高度プロフェッショナル制度(高プロ=残業代ゼロ制度)も撤回するよう迫りました。 高橋氏は、高プロ制度の要件のひとつとなっている年収1075万円以上の労働者でも、2011~13年の3年で、脳・心臓疾患や精神障害の労災認定が73件(過労死27件、過労自殺12件)もあることを指摘し、「年収は過労死の歯止めにならない」と主張。「裁量労働制で新たに実態調査をするのだから高プロにあたるような労働者の実態も把握すべきだ」とただしました。
 山越敬一労働基準局長は「新しい制度であり、現状把握は難しい」と答弁。
 加藤厚労相は「(高プロ適用は)書面での確認をする」「一定年収を確保すれば交渉力がある」などと言い訳しました。
 高橋氏は「高プロ導入には根拠となる立法事実がないということだ。断念すべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗2018年3月25日付より)

無期転換逃れは明白 / 高橋氏 内部文書で東北大告発

 日本共産党の高橋千鶴子議員は23日の衆院厚生労働委員会で、東北大学が3月末に非常勤職員の大量雇い止めを強行しようとしている問題について、労働契約法の無期雇用転換ルール逃れを画策した内部文書を示して告発し、政府が解決に乗り出すべきだと訴えました。
 全国90の国立大学法人の事務系の有期雇用職員は9万8667人、契約更新に上限があるのは5万9673人で、3月末で契約期限となるのが7919人です。
 東北大で契約期限となる非常勤職員1140人は全員がいったん雇い止めとなり、「限定正職員」試験に合格して採用し直されるのが690人。そのうち418人は「プロジェクト型」などの口実で1年で雇い止めの恐れがあると、高橋氏は指摘しました。
 高橋氏は、東北大が5年を超える契約更新をせず、6カ月のクーリング(空白)期間で雇用をリセットするとした内部文書を読み上げ、厚労、文科両省の対応をただしました。
 牧原秀樹厚労副大臣は、「雇用の安定を図る労契法に基づく対応が望ましい」、丹羽秀樹文科副大臣は、「各法人に労契法の趣旨を踏まえ対応をお願いしている」と答えました。
 高橋氏は、「人事をやっているのは文科省天下りの理事だ。財政を口実に無期転換はできないというが、所管官庁として心配はないとちゃんと言うべきだ。東京大学をはじめ分かっているだけで17大学で無期転換になった」と強調。丹羽副大臣は、「東北大に対しても職員側と適切に対話し、労働関係法令に基づき対応するよう伝えたい」と答弁しました。
(しんぶん赤旗2018年3月24日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先ほど来、きょうはいろいろな話題がありますけれども、その中で重なるところがあるんですが、どうしても私自身がこれを取り上げなければと思っています。
 二月二十日の予算委員会で私が、昨年十二月二十五日、野村不動産に対する特別指導を行ったこと、このことを取り上げました。
 資料の一枚目に、これを報じた当時の、十二月二十七日付ですが、朝日新聞をつけております。裁量労働制に該当しない営業職など約六百人に適用していたとして、残業代不払いなどで是正勧告をしたものであると。そして、記事の二段目にあるように、このような事案で大企業の社長が労働局に呼ばれて指導されるのは極めて異例だと指摘をしています。なので、特別指導と、行政用語にはない言葉を使っていたようでありますけれども。
 そこで、去年のこの瞬間というのは、もう何度も議論されていますから、加藤大臣は、二月二十日の私の質問の際、野村不動産の社員の過労死が認定されていた事案を知っていたのでしょうか。
    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕
○加藤国務大臣 先ほどからもほかの委員からも御指摘ございましたけれども、過労死に係る申請とか認定とか、そういった個々の事案については、申請者の個人情報保護の観点から、御本人の遺族、また代理人の方、例えば弁護士等がみずから会見を行う等、確認をできた場合以外においては、私どもの方から説明をしたり、あるいは回答することは差し控えているところでございます。
○高橋(千)委員 その答弁、何度もさっきから聞いていたわけですけれども、個人名を出せとか、そんなことを誰も聞いていないわけなんです。
 過労死事案があったということを、しかも、野村不動産という名前を出して質問し、野村不動産と名前を出して答弁しているわけですよね。しかも、しっかり指導していると。そういう文脈の中で、これを知っていたかどうかも答えられない、これは大変なことだと思うんですね。
 この五十代の男性は、裁量労働制に当たらないと指摘された約六百人の中の一人だとされています。私の質問の趣旨は、その日ですよ、二十日の質問の趣旨は、何で異例の特別指導を行ったのかなというときに、裁量労働制でやはり過労死がふえるんじゃないか、長時間労働になるんじゃないかということが盛んに言われてきた、そういうときに、裁量労働を偽って、ただ働きや長時間労働をさせていることが現実にあること、そしてそれがさらに拡大するおそれがあると認めているからではないかということ、そういう趣旨で指摘をしたわけです。
 大臣はそれに対して、今の野村不動産を始めとして、適切に運用していない、こうした事業所などもありますから、つまり認めているわけですよね。実際にそういうところがあるということを認めて、しっかり監督指導を行っていると。いるですよ、これからやるではなくて。そういうお答えをしたわけです。
 ですから、当然、心の中には、そういう事案があったしなと、知っていないとおかしいわけなんです。でも、知っていてそれを一切触れないのも重大だなと思うけれども、逆に知らされていないとすれば、知らされていなくて、そんなことはなくてしっかり指導しているんだよと答弁していたとしたら、これは極めて深刻な、いわゆる大臣と官僚との関係の問題を言っているわけなので、私はそれだけを大臣の立場に立って、これはちょっと深刻じゃないかという意味で聞いているんですよ。
 裁量労働制のデータ問題が削除という結末になったものの、今も調査が続行中です。そういう中で、年金個人情報のデータ問題も発覚しました。厚労省に対する信頼が土台から揺らいでいるんです。
 知っていたか、知っていないか、そのくらい率直に答えてください。
○加藤国務大臣 今お話があった、Aという企業において例えばそういう事案があったということになれば、おのずとどの方かというのは特定されていくわけですから、やはりそこは我々は慎重に対応しなきゃいけないということで、先ほど申し上げたような対応をとらせていただいているということでございます。
 ただ一方で、もちろん、特別指導を行ったということは私も当然承知をし、また報告も上がってきているわけでございます。
 本件については、各地区で行われていた、また対象者も非常に多くあったといったこと等々を踏まえて、これは特別指導という形の対応をする必要がある、そういう判断の中で行われたということでございます。
○高橋(千)委員 二〇一六年の十月の予算委員会で、これは私、電通の高橋まつりさんの過労自殺を取り上げたんですね。そのときに、塩崎大臣が、社長を呼んで指導したと、異例の答弁をしました。これは本当にちょっとびっくりしたわけですけれども、特別指導というのは、このときと今の野村不動産の二件のみと聞いているわけなんです。
 では、なぜ、野村不動産の場合は、過労死のことは言わなかったけれども、是正勧告をしましたという、特別指導をやりましたということを公表したんでしょうか。
○加藤国務大臣 労働基準監督署が個々の事業場に対して監督を行った結果、全社的に法の趣旨を大きく逸脱するなどの実態が認められた場合、労働局長が企業の幹部に対して行政の対応を明らかにすることによって同種事案の防止を図るということから特別指導を今回行い、そしてその旨の公表を図ったということでございます。
 電通の事案についても、そういった対応でありますけれども、ただ、電通の事案のときには、別に特別指導と名を打ったわけではなかったというふうに承知をしております。
○高橋(千)委員 それは、後でそういう呼び方をしたということなんですね。
 昨日の野党の合同ヒアリングの中で、昨年の裁量労働制による監督指導ということがありまして、是正勧告又は指導を行った事業場数は二百七十二。そのうち、指導事業場数というのは二百三十二。内訳があって、対象業務が、つまり、対象業務というのは、裁量労働制ではないのに裁量労働制だと言って残業代を払っていなかったとか、そういうことを言うんだと思うんです。これは、野村不動産もその中に入る。それが七十もあるんですね、七十も。一年間でですよ。その中の一つだけをとりたてて特別指導し公表したというのは、よほどのことがなければと言わなければならないわけですよね。違いますかね。
 これはだから、逆に言うと、私は、過労死案件を知っていたということと同時に、政治判断だと。いろいろある中で、本当はたくさんあるけれども、あえてこれを、名前もよく知れた業者のことを出して、自分たちは裁量労働制になっても大丈夫だ、ちゃんと指導できますというアピールをしたかった、そういう政治判断だとも言えませんか。
    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤国務大臣 政治判断というよりも行政判断なんだというふうに思いますけれども。
 趣旨は先ほど申し上げたので、同じことは重複をいたしませんけれども、この野村不動産においては、本来、企画業務型裁量労働制の対象とはなり得ないにもかかわらず、多くの働き手がそういう形で働き、しかもそれが全社的に認められていた、そういったことを踏まえて、これに対して、その名前を公表し、特別に東京労働局長が指導を行うことによって、こうした行政の対応、これをしっかり明らかにして、こうした事案の防止を図っていく、こういったことでありまして、あくまでも、そういった趣旨においてこの特別指導がなされたということであります。
○高橋(千)委員 極めて残念だと思いますね、この答弁は。
 一昨年の十二月二十六日に、電通の事案があって、過労死ゼロ緊急対策を政府が発表したわけなんです。これが、資料の二枚目につけておきましたけれども、フローがあるわけですよね。いろいろあるんだけれども、今回の事案は、このフローにはのっとっていなかったという説明を受けています。
 だけれども、私はずっとこれを公表しろと言ってきた。言ってきて、言って見直ししたんだけれども、真ん中を見ていただくとわかるんですが、過労死、過労自死が二つの事業場であった場合初めて、それも認定されて初めて公表するんですね。ゼロ対策と名乗っているんですよ。ゼロ対策と名乗っているのに、二人以上亡くならなければ公表もしない。これをやはり見直さなくちゃ。亡くなる前に本当に対策を打つとしたら、そういうところから見直すべきなんです。
 先ほど来、個人情報が云々と言いましたけれども、過労死を、本当につらい思いをしてきた家族の会の皆さんが一番このことを望んできました、企業名の公表をやれと。これはもうずっと言っています、このことを。これに、大臣、応えるべきではありませんか。
○加藤国務大臣 これも、ちょっと年次が入っていませんけれども、そういった御指摘も踏まえながら、新たな仕組みとして、この、何といいますか、点々々の下のところですね、これを……(高橋(千)委員「それじゃだめだと言っているんです」と呼ぶ)いやいや、そうじゃなくて、それをやったということでございます。そして、さらに新たな仕組みとして、現行の要件を以下のとおり拡大するということで、平成二十九年から実施をしているということでございます。
 これは確かに公表基準なんですけれども、私自身思うのは、これは一つのルールなんですが、ただ、じゃ、逆に言うと、ここにかからなければいいのかという御指摘もいただいているわけであります。ですから、やはり、これを基準としながら、その条件条件を見ながら我々は適宜に対応していくということが必要ではないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 もうゼロ対策なんてとても言えるものではないと、重ねてこの問題は何回でも指摘をさせていただきますので、見直しをしていただきたい。大臣も、やはり二人死んでからということをしっかり胸に引き取って考えていただきたい、このように思います。
 それで、裁量労働制を削除して高プロだけを残すということには理がありません。
 安倍総理は、三月二日の参議院の予算委員会で、我が党の小池晃議員に対して、高プロは、今度、これからつくる制度でありますから、この制度に起因する何か問題が起こっていることでは、もちろん今まではないわけであります。当たり前なんですよ。高プロだと言われている人は今はいないから、それはそうかもしれないけれども、でも、法律をつくって初めてそこに対応する労働者が生まれるわけではなくて、どこかのカテゴリーにいるわけなんです。それは、いわゆる専門業務型裁量労働制とか、あるいは商品開発として限度基準を除外されている方、そういう人たちの中に高プロと呼ばれる人が当然いるわけですよね。
 今回、裁量労働制のデータ問題を契機に、新たな手法を検討して実態調査を行うんですから、高プロもその調査結果を待つべきではないでしょうか。
○山越政府参考人 裁量労働制の実態についてでございますけれども、総理から、厚生労働省においてしっかり把握し直すよう指示を受けているところでございます。具体的な把握方法といたしましては、二十五年の調査と同じ方法ではなく、新たに調査を実施することとしております。
 高度プロフェッショナル制度につきましては、平成二十七年二月の労働政策審議会の建議で対象業務なども議論されたところでございますけれども、この高度プロフェッショナル制度につきましては新しい制度でございますので、現状において実態を把握することは困難であるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 資料の四枚目を見てください。これは産経新聞の二〇一五年の七月十二日です。「ホワイトカラーエグゼンプションの対象者」と、懐かしい名前が出てきたかもしれませんが、ちゃんとここに囲みで、高プロのことを今はホワイトカラーエグゼンプションと呼んでいるんだという解説をしております。これは、「労災認定 三年で七十三人」とありますけれども、二〇一五年の三月二十六日の参議院の厚生労働委員会で民主党の津田弥太郎議員が、年収一千七十五万円以上の労働者の脳・心臓疾患及び精神障害の労災補償状況について出すようにということで、厚労省が調べて出したものであります。その内訳がここに書いてあります。次のページをめくっていただければわかると思うんですね。
 ですから、これが高プロだと言っているわけじゃないですよ。ただ、年収が高い人も、二十五年度が四件で二人が亡くなっている。二十四年度も八件で五人が亡くなっている。こういうふうな数字を積み上げていくと七十三件にもなっている。決して、年収が高いということが長時間労働にならならない事由であるという、歯どめにはならないということがはっきりしていると思うんです。
 これは、右側の裁量労働制のことについては、大臣、実は答弁していることがあるんですね。このときだけは調査がありますと答弁している。ところが、左の調査については、これまで議論がされてこなかったわけです。ですから、高プロは今存在しないからなんて言ったら、立法事実がないということになるんですよ。そんな答弁が成り立ちますか。高プロになりそうな方は、こういう形で調べることができているでしょう。これをちゃんとやるべきだと思いませんか。
○加藤国務大臣 今委員御指摘の数字、確かに平成二十七年六月に、参議院の厚生労働委員会に、理事会に報告をさせていただいた数字だというふうに承知をしております。
 ただ、高度プロフェッショナル制度の年収要件、しかも、今のやつは、ちょっといろいろな仮定を置いた数字でありますけれども、高度プロフェッショナル制度についての要件というのは、年収のみならず、書面等による合意に基づき職務が明確に定められている等々が決まっているわけでありますから、そういった意味において、また、そもそも目的が、高度の技能を、専門的な知識を必要とし、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるという性質の範囲内で、具体的には省令でその範囲を限定していくわけでありますから、そこは、単に今の部分というのは、通常の働き手の中で高額な収入を得た人とはその性格は違ってくるんじゃないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 それは最初から織り込み済みで聞いているじゃないですか。年収が高いということが長時間労働にならないことの歯どめにはならないということ、裁量労働制だといっても過労死がないとは言えないということ、そういう実態が一定程度指摘をされて調査をしているんですよ。
 今回は裁量労働制の調査をちゃんとやると言っているんでしょう。一応ちゃんとやるんでしょう。だったら、それが終わってから高プロのことをちゃんと提案したらいいじゃないですか。今どこにもいないなんて言って、どうしてそれで法案を出せるんですか。もう一度。
○加藤国務大臣 もう一度答弁させていただくわけでありますけれども、年収が高ければ長時間労働にならないということを申し上げているわけではなくて、しっかりとした年収を確保するということが、これまでのいろいろな議論の中で、交渉力があるということの一つとして労政審でも議論がなされたということでございまして、我々は、そういった中で、長時間労働にならないように、また、健康確保をしっかりやっていく、そういった措置はしっかり盛り込んでいるということでございます。
 また、そういった意味において、先ほど申し上げた新たなカテゴリーということでございますから、それはそれとして、そこで懸念されることに対しては、健康確保措置等々、あるいは一定の年収等々を絞り込んで、しかし他方で、そうした仕事の仕方ということは働き手の方からも求められているわけでありますから、そうしたことに対応できる人に対してこうした制度をつくることによって、その方が自律的に創造的な仕事ができる。そういったことによって、また日本においてより付加価値の高い仕事が維持され、あるいは生み出されていく、そして、それが更にさまざまな新たな仕事等を生んでいく、そういったことを進めていきたい、こういうふうに思っております。
○高橋(千)委員 何一つ根拠のある答弁がなかったと思います。高プロを、そもそも年収要件を設けることの根拠すらやらない。だって、どういう人かもわからない、現実にいないから実態はわからない、それで法律をつくれるわけはないんです。立法事実がないと重ねて指摘をして、あの調査を踏まえて本当に抜本的な見直しを、私は、これ二つ削除したらいいと思っておりませんので、法案はもう今国会は諦めるべきだと思っております。重ねて指摘をしたいと思います。
 それで、きょうはもう一つ、どうしても質問したいことがあるんですが、あと一週間で四月です。無期転換権を持ちながら雇いどめにされる人がいます。厚労省はどのように把握しているのか、このまま大量の雇いどめを認めるのか、伺います。
○牧原副大臣 御指摘の無期転換ルールにつきましては、委員を始め共産党の先生方に、私のもとに陳情をいただきましたので、私の方から答弁をさせていただきます。
 昨年の九月に、都道府県労働局に無期転換ルール特別相談窓口を設置して相談対応を強化し、さらに、委員を始め先生方の要請もあり、労働者や事業主に対して相談窓口を明確化し、そしてまた周知を徹底するために、本年二月十三日より、全国統一番号である無期転換ルール緊急相談ダイヤルを開設したところでございます。
 この開設後、二月十三日から二月末までの統計が今のところ確認できていますが、相談状況によって、この窓口に寄せられた相談のうち、雇いどめについての相談割合は約三%というふうになっております。
 厚労省としては、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇いどめをする事案等を把握した場合には、必要な啓発指導をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 正直、遅いと言わなければいけないんですけれども、ただ、副大臣のところに行ってから、無理かなと思っていた理研が、雇いどめを無期転換にするとか、そういう変化が起こっていますので、最後まで諦めたくないと思っております。
 次に、文科省に伺いますが、昨年も質問しましたけれども、全国の国立系大学で有期雇用契約労働者がどのくらいいるかということを聞きました。その調査がまとまったということですので、伺いたい。そのうち、雇いどめされるおそれがどのくらいいるのでしょうか。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
 国立大学法人におきましては、各法人の自主性、自律性のもとに業務運営が行われることが基本であり、それぞれの職員の雇用形態は、労働関係法令に基づき、各法人が適切に定めるべきものであると考えております。
 文部科学省におきまして、国立大学法人八十六法人及び大学共同利用機関法人四法人に対しまして、平成三十年一月一日、本年一月一日現在の各法人における有期雇用職員数を問い合わせたところ、全体で九万八千六百六十七名でございました。このうち契約更新に通算五年以内の上限の定めのある者の数が五万九千六百七十三人であり、そのうち平成二十九年度末で雇用の期間が契約期間の上限を迎える者の数は七千九百十九人でございました。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 今お答えいただいたものを資料の最後につけてあります。九十の国立大学法人の内訳でございます。
 それで、実は私、東北大学の問題を何度も取り上げているわけなんですが、昨日の河北新報に、無期転換ルール東北大のみ実施せずという大きな見出しがありまして、これは、東北の中の十八の国公立大学で、何らかの無期転換を認めている中で、東北大学だけが無期転換は一つもないということを指摘した記事なんです。大変不名誉なことだというふうに思っております。
 今年度、千百四十名の対象者のうち、労契法十八条による無期転換者は一人もいない。限定正職員に採用された方が六百九十名おりますけれども、実は、そのうち、プロジェクト型で、一年すれば雇いどめされるおそれがある方が四百十八名いるんです。ですから、かなりの方が雇いどめに今直面しているというところなんです。
 それで、少し質問を飛ばします。
 先ほど西村委員が東北大学の資料を出してくれたんですけれども、その続きをやりたいと思います。
 大臣も、資料を見て、案がついているとおっしゃいましたね。先ほど、「原則六カ月のクーリング期間を設ける。」という文書があった。それから、「財源等の面で大きな負担と責任が伴うものであるので、行わないことを原則とする。」この二つの文書があるわけです。
 これに対して、実は、二月一日の参議院の予算委員会で我が党の田村智子議員がジェトロの内部文書を示したときに、世耕経産大臣が、この文書は撤回させた、不適切だと答えた。それの文書よりもひどいんです。ジェトロの文書は、難しいと書いていた。難しいと。だけれども、こっちは原則行わないですから、もっとはっきりくっきりしているわけなんです。
 先ほど大臣は、クーリング期間そのものは違法ではないが、あらかじめ六カ月後に戻ってくることを約束するようなことは法の趣旨にそぐわない、そういう答弁をされたと思うんですね。
 だけれども、現場では、先ほど西村委員が一部紹介していただいたように、面談で、六カ月後戻ってきてほしい、現場に必要だから、どんな状態でも席をあけて待っている、こう言った。でも、私は四月から続けて働きたいと言うと、それはできない、本部の方針が変わらない限りは、こう言われているわけです。
 あるいは、また別の方。今回、一回おやめになって六カ月たてば、クーリングってあるのを知っていますよね、そこは余り不安にならずにと言われた方もいるんです。明らかにこれは、もう無期転換をしたくない、避けるためにこの規程を設けたということなんです。
 先ほど、実は文科省の宮川政務官は、それは案であって、削除したと大学から聞いていると答えました。しかし、現場ではそうでないということを今お話ししました。
 私の手元には、案ではなく、ことしの二月の文書があります。ことしの二月の文書で、本学では、就業規則により、五年を超えての雇用は行いません、再度労働契約を行うには、適切なクーリング期間を経る必要がありますので御注意くださいと。ちゃんとそういう文書を出しているんですよ。
 これは本当にいいんですか。先ほどの答弁に照らしても見過ごすことはできないと思います。これは、大臣とそれから丹羽副大臣に続けて御答弁をお願いします。
○牧原副大臣 違反かどうかということについては個別の判断になりますので、お答えを厚生労働省としては差し控えますが、一般論として申し上げれば、企業においては、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期契約で働く方の雇用の安定を図るという無期転換ルールの趣旨を踏まえた対応がなされることが望ましいというふうに考えて、厚生労働省としては、そうしたことについて周知や啓発、指導等について取り組んでまいりたい、こう考えております。
○丹羽副大臣 お答えいたします。
 高橋先生御存じのとおり、各大学、国立大学法人におきましては、運営につきましては各大学の自主性というのが基本原則でございます。それぞれの職員の雇用形態は、労働関係という法令に基づき、各法人が適切に定めるものだというふうに認識いたしております。
 そういった中で、これまで無期転換のルールにつきまして、文部科学省といたしましても、事務連絡や国立大学の学長等を集めた会議を通して情報提供や説明を行うなど、改正労働契約法の趣旨を踏まえて、各法人が適切に対応いただくように、文部科学省といたしましてもお願いしているところでございます。
○高橋(千)委員 随分事務的な答弁でございますね。
 そうはいっても、人事をやっているのは文科省の天下りの理事でございます。その方が、結局、財政がないからと言っているんですよ。だけれども、無期転換することによって財政がなくなるということは、運営費交付金を持っている文科省として、それはないでしょう。それは関係ないわけですよね。それをちゃんと言ってくださったらいいじゃないですか。東大だって、ほかの大学だって、ちゃんとやっている。十七大学、私たちは数えました。そうじゃないですか。
○丹羽副大臣 お答えいたします。
 高橋先生おっしゃるとおり、東京大学、ちょうど去年の委員会のときは、この東京大学の話が話題になったというふうに思っておりますが、各国立大学法人、一番最初に進んだのは名古屋大学だというふうに思っておりますけれども、名古屋大学を始め、それぞれの自主性の運営の中で賄っておりまして、文部科学省といたしましても、運営費交付金を出した中で、各大学の学長を始め理事の皆さん方の会議、合議制のもとで、そのように運営が進んでいるというふうに認識いたしております。
 東北大学に対しましても、職員側と適切に対話をいたしまして、労働関係法令に基づき適切な対応がなされるように、これからも伝えていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 時間になりましたので、一言、しゃべるだけです。
 実は、大臣、聞いていただきたい。そこまでして無期転換を避けたい理由に、交渉の場で大学側が何度も言っていること、それは、働き方改革だと言っているんです。それはどういうことかというと、無期転換しても、その後、同一労働同一賃金がやってくる、そうすると、やはり処遇改善をやらなきゃいけない、これは経営的に大変だということを打ち明けているんですよ。これ、全く真逆でしょう。
 非正規の皆さんの処遇改善を目指すと言ってきた、安定雇用すると言ってきたのに、それが逆に労働者の地位を奪うこと、根拠にされたらとんでもないですよ。そういう意味で厚労省が危機感を持ってほしいし、そういう意味で大臣に乗り出していただきたい、そのことを言いたかったんです。
 このことを指摘して、終わります。

 

――資料――

2018年3月23日衆院厚生労働委員会提出資料

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