国会質問

質問日:2018年 2月 26日 第196国会 予算委員会

米軍F16戦闘機の燃料タンク投棄、核燃料サイクル

米軍機の飛行中止を
燃料タンク投棄問題 高橋氏が要求

 日本共産党の高橋千鶴子議員は26日、衆院予算委員会分科会で、米軍三沢基地所属のF16戦闘機のエンジンが炎上し、燃料タンク2本を小川原湖(青森県東北町)に投棄(20日)した問題について、残骸の回収を自衛隊に担わせる一方、事故の翌日には飛行再開した米軍の対応を批判し、休漁補償と飛行中止を求めました。
 自衛隊が進めている残骸回収の進展状況について、防衛省の深山延暁(のぶあき)地方協力局長は、残骸回収が「本来米軍がやるべきもの」と認めた上で「全体の75%程度は回収できたとの米側の見解を聞いている」と説明しました。
 高橋氏は、タンクが投下された東北町に謝罪をせず事故翌日に飛行を再開した米軍の対応に「厳しく抗議すべきだ」と指摘しました。深山氏は「今日、説明・謝罪などが行われると連絡を受けている」と答弁。飛行再開について「米軍から、事故の原因はエンジン火災を起こした当該機固有のものであり、他のF16戦闘機に影響を与えるものではないと説明を受けている」とし、飛行中止に言及しませんでした。
 高橋氏は、F16の墜落や部品落下が1998年以降で10回にのぼっていることを挙げ、「住民の不安が募っている。飛行再開を認めない強い姿勢で臨むべきだ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2018年2月27日付より)

配管空間14年点検なし
高橋氏 原燃の企業資質問う

 日本共産党の高橋千鶴子議員は26日、衆院予算委員会分科会で、六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)で昨年10月に雨水流入など保安規定違反が複数指摘され、原子力規制委員会による審査が中断された問題を取り上げ、同工場を運営する日本原燃のずさんな保守管理の実態を示し、核燃料サイクルの撤退を求めました。
 高橋氏は、配管を収める空間「配管ピット」を2003年から14年間、一度も点検せず、長期にわたって雨水による水没が見過ごされてきたことを挙げ「深刻な事態だ」と指摘。原燃について「企業の資質そのものが問われている」とただしました。原子力委員会の更田豊志委員長は「(今回の問題は)新規制基準以前の問題だ。環境や人に影響する恐れのある物質を扱う企業として自らの施設の仕組みを掌握するのは当然のことだ」と答弁しました。一方で「(原燃は)厳しい受け止めかたをした」などとして、「設備の点検、再確認を注視したい」と述べました。
 高橋氏は、原燃が事業者としての資質を欠く状態で大臣が青森県に対して「核燃料サイクル政策に変わりがない」と確約できるはずはないとして、「核燃料サイクルありきの姿勢を見直すときだ」と迫りました。世耕弘成経済産業相は、放射性廃棄物の減少など核燃料サイクルは「メリットがある」などとして推進する姿勢を示しました。
(しんぶん赤旗2018年2月28日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)分科員 おはようございます。日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、青森県六ケ所村で建設工事中の再処理工場、核燃サイクル問題について質問したいと思います。
 朝早くから、原子力規制委員会の更田委員長にもおいでをいただいております。ありがとうございます。
 それで、その前に、二月二十日、三沢米軍基地所属のF16戦闘機が離陸直後にエンジン部分から出火し、燃料タンク二本を小川原湖に投下した問題について、防衛省に伺います。
 小川原湖は、七市町村にまたがる青森県最大の汽水湖であり、ワカサギ、シラウオ、天然ウナギ、シジミもトップクラスの漁獲量を誇る、まさに宝の湖と言えるものであります。当日も百隻のシジミ漁が出ておりましたけれども、タンクが落ちて十五メートルの水柱が上がったと証言する漁師は、わずか二百メートルのところの距離でありました。
 離陸三秒後に火が出たといいますから、燃料も満タン、一トン近かったと思われます。それだけのタンクが直撃すれば、大惨事になったかもしれません。米軍は、人けのないことを確認してタンクを投下したと述べており、訓練はうまくいった程度の認識しかないのではないか。二十日の予算委員会で、私は総理に対して、小川原湖は米軍の訓練場ではありませんと指摘をしました。このことを改めて強く指摘したいと思います。
 さて、タンクの回収作業は海自大湊の部隊が当たっており、二十四日には湖底から燃料タンクの破片二十五個を回収し、米軍に引き渡したとされております。ただ、破片なので、それが一体回収すべき全体の何割くらいになるのか。また、二個目は全く見つかっていないのではないかと思うんですけれども、どのようになっているのか。また、小野寺防衛大臣自身が述べているように、本来なら米軍が回収すべきところをなぜ海自に任せているのか。回収の進捗状況とあわせてお答えください。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 二月二十日に発生いたしました燃料タンクの投棄の問題につきましては、大変御地元にも御迷惑をおかけしているところでございます。
 燃料タンクが投棄された現場の燃料等の回収につきましては、本来は米側がみずから行うべきものであるという認識は、我々も持っております。
 しかしながら、米側と調整を行っている中で、二月二十一日、青森県知事から海上自衛隊大湊地方総監に対して災害派遣要請がありました。これを受けまして、防衛省としては、燃料等を早期に回収すべく活動を開始いたしたところでございます。
 二十四日そして二十五日におきまして、大湊地方隊の水中処分員が水中捜索を実施いたしまして、数カ所の地点で燃料タンクの残骸などを発見、回収したところでございます。これらの残骸等は米側に適宜引き渡しておりまして、米側自身もまた、現地における作業に向けて準備を行っているものと承知しております。
 ただいま、回収はどれくらい進んでいるかというお尋ねがございました。これは米側から聞き取った結果でございますけれども、二十五日十八時の時点で、一本分の約七五%程度、もう一本分もやはり七五%程度、そうしますと、全体で約七五%程度は回収できたと見られるという米側からの見解を聞いているところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省としては、残骸等の回収については、引き続き、米側と協力をいたしまして対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○高橋(千)分科員 本来はみずから米軍が行うべきものであるということが、改めて確認がされたと思います。
 地元によりますと、確かに知事が災害派遣要請をしているんですけれども、米側の方の体制がないということ、そのことを鑑みて要請をされたというふうに私も聞いておりますので、そのこと自体が、本当に基地を運用する米軍としていかがなものかということは、重ねて指摘をしたいと思うんですね。
 七五%くらいは回収されたのではないかということですけれども、正直、ああ、タンクってこんなものなのかと思うくらいの粉々の破片でありますので、全部が回収されるのが非常に難しいのではないかと心配をしているところであります。
 漁協によると、その日のシジミの水揚げは、実は合計約三百八十五キロ既にあったわけです。それを全て廃棄せざるを得ませんでした。この時期のシジミは高値で取引されるために、収入が断たれたことの不安、特に子供たちの進学時期でもあり、速やかな補償が求められます。その日たまたま休漁していたワカサギやシラウオも、今も休まざるを得ないわけでありますし、また、町も漁協も、風評被害についても考慮してほしいと求めております。
 誠意ある対応を行うと大臣も答えていることは承知しておりますが、約四百人という漁師たちの実情、悔しい思いを本当に正面から受けとめ、万全な補償を行うべきと思いますが、答弁を求めます。
○深山政府参考人 本件事故によりまして漁業関係者の皆様が休業を余儀なくされていることにつきましては、大変重く受けとめております。大臣の発言について御指摘もございましたが、我々も全く同様に考えておりまして、防衛省としては、被害の実態について調査等を行った上で、漁業関係者の皆様がこうむった被害につきましては、誠意を持って適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、先ほど、十八時の時点で七五%と申し上げましたが、我々が発表したのが、十八時の時点で発表いたしました。実際の回収は、その日はおおむね午前中までに行ったものでございますので、ちょっとその点を一点、申し添えさせていただきます。
○高橋(千)分科員 適切な中身を、もう少し踏み込んで、実態に合わせて対応していただきたいと思うんです。本来ならば、この補償だって、米軍がやったことなのになという強い思いがあります。タンクの回収や油の除去も自衛隊に任せ、地位協定によって補償も日本政府が一部肩がわりする、極めて不公平な内容だと思います。
 しかし、これもしっかりと求めていっていただきたいと重ねて指摘をするんですけれども、ただ、一番許せないのは、後始末は自衛隊にやらせる一方で、直接タンクを投下された行政区である東北町には謝罪もせず、三沢市役所に出向いているんですからね、司令官は。飛行再開は翌日に行っているとは何事なのか。もう本当に許せないと思います。
 厳しく抗議をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○深山政府参考人 まず、東北町長さんに対する謝罪ということでございます。米軍司令官は三沢市役所を訪問して謝罪をしたというのは、二十日にそうしたことがあったというのは聞いております。また、東北町長御自身が逆に三沢基地を訪れて司令官に対して要請、申入れを行った際には、説明、謝罪を行ったと聞いておりますけれども、今先生御指摘のとおり、やはりこうしたことはきちんと訪問しておわびすべきことだろうということと思います。そして、実はきょうお時間をいただいているという連絡を受けておりますので、きょうは適切に、また再度御説明、謝罪などが行われるということになろうかと思っております。
 また、後始末についてということがございましたけれども、先ほど申し上げましたが、現在、海上自衛隊の隊員が、災害派遣要請を受けた隊員が、実際、残骸の回収の中心になっているというのは事実でございます。一方、米軍も現在、みずから行う準備を進めておると聞いております。また、米軍自身も湖水の水質調査等も既に行っております。湖水の水質調査につきましては、既に我々も国土交通省さんと協力をさせていただいて対応しておりますけれども、こうした点で米軍も取り組んでいるということも一言申し上げておきたいと思います。
○高橋(千)分科員 飛行再開については一言もありませんでしたが。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 飛行再開、まず、今回の事故の直後に、米軍からは、今回の事故の原因は、当該機、エンジン火災を起こしたこの当該機固有のものであって、他のF16戦闘機に影響を与えるものではない、飛行前の手順にのっとり全ての機体の点検を確実に行っているとの説明を受けておるところでございまして、こうしたことを防衛省としては関係自治体の皆様方にもお知らせをいたしているところでございます。
 もともと、米軍機の事故等は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものだと考えております。防衛省としては、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提との認識のもとで、引き続き、米軍に対しまして、しっかりと再発防止のための対策を講ずるように求めてまいりたいと考えておるところでございます。
○高橋(千)分科員 今おっしゃりたいのは、今回の事故は、その事故を起こした当該機だけのものだから、あとは問題ないんだ、そうおっしゃっているのと同じことだと思うんですね。小野寺大臣も、米軍からそういう説明を受けて、県に対してもそうやって説明をしたと報道がされてありました。それで済まない。もう事故が続いているわけですから、当然、安全最優先と言う限りは、原因究明されるまで再開をしない、最低限はそれをやるべきではないのかと重ねて言いたいと思うんですね。
 昨日の地元紙一面に、小野寺防衛大臣が知事と東北町の蛯名町長と会談し、しっかり誠意を持って対応したいとお答えになったことが報道されています。それくらいはやるでしょうと思って二面をあけてみたら、大臣は、空自三沢基地で開かれたF35A最新鋭ステルス戦闘機の配備記念式典に出席をされています。そっちがメーンだったんだなと思ったわけですね。敵基地攻撃能力の保有につながるのではと記者団に指摘をされて、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、基本的な役割分担はミサイルを導入しても変わらない、つまり、あくまで専守防衛には変わらないというお答えだったと聞いています。
 しかし、これは絶対おかしいんですね。自分の落としたタンクの回収すらできる体制がない米軍と役割分担などと言っていて、これまでも中東への出撃基地として役割強化をしてきた三沢米軍の一部隊として、日本の自衛隊が組み込まれていくだけではないか。
 小川原湖に燃料タンクを落としたのは九二年にもありました。F16の墜落やオーバーラン、タンク投棄などの事故は、記録がある九八年以来で十回目です。沖縄の米軍ヘリの窓枠落下や墜落などが相次ぐ中、住民の不安と米軍に対する不信感は募っています。飛行再開は認めない、こうした強い姿勢で臨むべきです。厳しく言っておきたいと思います。
 さて、次に、小川原湖は、六ケ所村の再処理工場から約三十キロ、直線にすると二十四キロくらいだと思うんですけれども、その間に、米軍と空自共同の対地射爆場、いわゆる天ケ森射爆場もあります。この危険性をどう認識されているのか。新規制基準で航空機防護も一つの考慮となったわけですが、どのようにお考えなのか、原子力規制委員会に伺います。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
 日本原燃の再処理施設につきましては、平成二十六年一月に事業変更許可申請を受理しまして、航空機の落下に関する評価を含めまして、現在も新規制基準への適合性審査を継続しているところでございます。
○高橋(千)分科員 今、あっさり終わってしまったんですけれども、要するに、核燃施設の上は飛ばないことになっている、それが前提で組み立てられているわけですよね。
 私は、今もるる話をしてきたとおりに、やはり基地の強化が進んでいること、また事故が続いていること、そういうことをちゃんと考慮しなければ、とてもじゃないが、確率論だけで議論はできない。もちろん、今審査の途中ですから、そのことをきちんと見ていただきたいと思いますが、もう一度、いかがでしょうか。
○片岡政府参考人 日本原燃の再処理施設につきましては、現在、事業者からの申出によりまして、審査を中断しているところでございますが、審査が再開しました場合には、厳正に審査を行ってまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)分科員 昨年の十月十一日、日本原燃の再処理工場の保安規定違反が認定をされて、同日の原子力規制委員会で新規制基準審査を中断することが決まりました。今お話があったとおりです。非常用電源建屋への雨水流入を発端とし、原因となった配管ピットを、実は二〇〇三年以来十四年間、一度も点検をしていなかった。しかも、毎日巡視をしていて、配管ピットとは別物であるケーブルピットを見て、日誌に毎日見ました、異常なしとチェックしていたと、にわかには信じられない事態が報告されているわけですけれども、しかし、これだけではないということを原燃自身が何度もお答えになっているわけですよね。
 それで、更田委員長に伺いたいんですが、まず、審査を中断することとなった直接の要因は何か、そして、この深刻な事態について委員長の認識を伺いたいと思います。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
 お尋ねの審査の中断につきましては、日本原燃において、同社再処理工場の非常用電源への燃料油配管を長期にわたって未点検のまま水没させていたことを踏まえて、昨年十月の委員会において日本原燃の社長より申入れがあったものであります。
 御質問の中にもありましたけれども、その際、社長からは、核燃料物質、化学物質を取り扱う工場を持つ企業として、プラント全体を掌握し、管理するという点が不足しており、これを改善するためと説明があったところであります。
 原子力規制委員会としましては、日本原燃が事業者自身として非常に厳しい受けとめ方をしたと認識しており、工藤社長みずからが最大限の危機感を持って当たるとしていることから、事業者が行う設備の点検、再確認を注視してまいりたいと考えております。
○高橋(千)分科員 発端はこの雨水の問題、水没という事態がちょっと正直本当に驚いたわけなんですけれども、しかし、それがやはり長期にわたって見過ごされてきたものであること、しかもそれだけではなかったということをもって、やはり、企業の資質というんでしょうか、これだけの大規模な化学プラントを担う企業としての資質そのものが問われたということで受けとめてよろしいでしょうか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
 いわゆる規制で、新規制基準で見ているものは、規制の要求が満たされているかどうかという観点のもので、ある種、安全を守るために少なくともこれだけは守るべきであるというところが審査であります。
 しかしながら、今回見つかったことというのはそれ以前の問題であって、そもそも環境や人に影響を与えるおそれのある物質を扱う企業として、みずからの施設、みずからの設備がどのような構造になっており、どういった仕組みになっているか、これを掌握しておくということは、事業主体として当然のことであろうと思います。
 であるからこそ、工藤社長は、最大限の危機感を持ってというのは、それは同社としての今回の事象を深刻に受けとめていることのあらわれであろうと考えております。
○高橋(千)分科員 ありがとうございます。
 新規制基準以前の、それ以前の問題だという御指摘があったかなと思います。
 日本原燃が審査再開に向けて約六十万件の総点検を行うとの報道がされて、その途方もない数字に大変驚きました。
 昨年十月十一日の規制庁の、保安規定違反と今後の対応についてという文書並びに九月十三日のそれに至るまでの審査会合の議事録を見ますと、まず流入が見つかったのは非常用ディーゼル発電機のBであって、配管ピットBが一・八メートル水没していた。
 だけれども、ではAもあるよねという話になって、Aは流入はしていないけれども、その前の年に、志賀原発の雨水流入事象を受けた指示文書による撮影した写真の中に、ちゃんと漏えい痕が写っていたんじゃないか、それがなしとしていたということ。しかも、これらは当然腐食も激しくなっているし、耐震性も、安全上重要な施設としてSクラスであるにもかかわらず、確認をしたら、これから確認をするという答弁であったということであります。
 また、ウラン濃縮工場の排気ダクトのさびについては本当に驚きましたけれども、こちらの方は、ウラン濃縮工場は一番早くできておりますから、一九九二年の操業以来、点検していなかったと。しかも、そもそも保守管理計画に盛り込んでいなかったということであります。
 日本原燃は、昨年末に稼働の再延長、二十三回目になりますけれども、発表しまして、二〇一八年九月の予定を二〇二一年上半期ということで、三年延長したわけなんですよね。もうそもそも無理なんじゃないかと私は思います。
 九月十三日の審査会合で、規制庁の長谷川チーム員が、できていなかったもの、懸案的なもののリストは九月末までに、保全に関する一つの区切りとして今年度内にということを、日本原燃の村上事業部長と確認をしています。
 しかし、二月八日に日本原燃が出した事業者対応方針に基づく取組状況について、これを見ますと、まだステップワンなのかなと。現状確認、状態確認、保守管理計画の確認に今もとどまっているのでは。一体、長谷川チーム員と村上事業部長が確認した今年度中にというのは、どこまで到達させるという意味なんでしょうか。また、その見通しがあるんでしょうか。規制庁に伺います。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
 日本原燃は、安全上重要な設備を含む全ての設備について現場確認を行い、設備の状態を確認するとともに、保守管理計画が策定されているかについて確認を行っているところでございます。その状況については、適宜、日本原燃より報告がなされているところでございます。
 しかしながら、再処理事業所における設備、機器の全数把握に係る活動が具体的にいつ完了するとの報告は、現在ではまだ受けていないという状況でございます。
○高橋(千)分科員 まだ、いつ把握するかがわからないということでありましたから、そこから保守管理計画が見直されて、実際に動いていくわけですから、かなりの時間がかかるのかなと思います。
 それで、もう一度更田委員長に伺いたいと思うんですが、例えば、昨年三月二十五日の日経新聞には、つまり、今のこの審査を中断する前ですよね、「再処理工場「合格」へ」という見出しが躍っております。原子力規制委員会は、核燃サイクルの主要な二施設について、新規制基準に基づく安全審査の主な議論を終えたと書いてある。四月中旬にも、原燃が審査合格に必要な最終書類を提出する予定だとある。もちろん、それから数カ月かかる見通しとは書いているんですけれども、これって、昨年中にも合格を出す予定だったのかなというふうに思ったんです。
 委員長が会見で、工藤社長の方から審査中断を切り出されたときには、予想外という表現を使っているのも、そういう意味なんでしょうか。つまり、もう一歩でそろそろ審査完了するよなというところまで来ていたから、そういうふうにおっしゃったのかなと思ったんです。
 逆に言うと、原燃が、あえて気づいていた問題なども気づかないふりをして、審査を通過しようとしていたのか。もしそうだとしたら、これは本当に深刻だし、志賀原発や島根原発など、水平展開での点検指示がたまたまなければ、見過ごされて合格していたのかな、これも深刻なことだと思うんです。
 再処理工場は建設開始から四半世紀が過ぎて、そもそも経年劣化が懸念されます。何十回も設計変更を繰り返し、日本初の商業用再処理工場という初めての経験、化学プラントとして施設そのものが大規模化した中で、全体を把握できる人材や体制が十分とは到底言えない、こうした中で、二〇二一年の竣工などとても現実的ではないと思いますが、いかがでしょうか。
○更田政府特別補佐人 お答えいたします。
 まず、現在行っております事業変更許可、いわゆる新規制基準への適合性ですけれども、本件について、日本原燃の再処理工場の審査終了について見通しを持ったことはございません。
 また、さらに、この事業変更許可に加えて、設計及び工事の方法の認可や保安規定の変更認可等、後段の審査が続いてまいります。
 特に、今回のような、いわゆる安全基準が捉えようとする施設よりもさらにその外側で、彼らが事業者として本来掌握、把握していることが当然と考えられるようなところでの不始末といいますかミスに関して、これは、いわゆる審査の最終的な段階で、特に保安規定の段階で、事業主体としての姿勢やいわゆる安全文化というものを見てまいるところであります。これは、実態として、審査の中では、機器に関する適正さを見ていった後、審査の中での後段に位置するものであって、そこにまだ入る前の段階で、今回の一連の不祥事といいますか、不始末が認められたものであります。
 繰り返しますけれども、この日本原燃の再処理工場について、いつごろ完了するであるとかといったような見通しを持つ段階には、実際のところ至っておりませんでした。
 さらに、お尋ねの、日本原燃が言っている二〇二一年の竣工につきましては、これはあくまで事業者のスケジュールであって、これまでも多数回にわたって、この竣工時期に関しては、日本原燃、繰り返しその延期を表明をしております。これはあくまで事業者としての予定でありますので、原子力規制委員会としては、予断を持つことなく、引き続き、厳正かつ的確に審査を進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)分科員 ありがとうございます。確認いたしました。
 そこで、世耕大臣に、今までの話を聞いていただいたと思いますけれども、大臣は今の事態を、当然承知していると思うんですが、どのように認識されているのかということなんです。
 昨年九月に、大臣は再処理工場を視察されております。三村知事や立地四市町村長とも会談をされ、報道では、知事に対して、国の原子力、核燃サイクル政策に変わりがないことや、各施設の安全審査に適切に対応するよう事業者を指導していくと説明したとあります。
 その後、六ケ所に行きまして、原燃に対して、大変遺憾である、極めて重く受けとめる必要があると工藤社長に対して述べられたと。ただ、正直言って、極めて重く受けとめると言ったくらいでは、とてもじゃないが、適切に対応するよう指導していくなんということはできないだろうと、今の話を聞いて、そう率直に思っていただけるのではないかと思うんです。
 一連の問題は、事業者としての資質が問われると思います。大臣が、このような状態で県に対してサイクル政策に変わりがないなどと確約できるはずがないと私は思います。サイクルありきの姿勢を今こそ見直すときではないでしょうか。
○世耕国務大臣 日本原燃は、昨年八月の六ケ所再処理工場での雨水流入などの事案を受けて、新規制基準への適合審査よりも、まずは現場の安全確保を優先することとして、安全点検や組織強化に取り組んでいるというふうに認識をしております。
 今お話があったように、私自身も、去年の九月二十日、六ケ所村の事業所を訪ねまして、工藤社長以下幹部に対して、安全管理の強化、徹底的に取り組むよう強く指導をさせていただいたところであります。
 日本原燃が事業者として技術的能力を有しているかどうかについては、これは新規制基準への適合審査において原子力規制委員会が確認をしていただくということになるわけでありますけれども、経産省としては、日本原燃が安全管理や安全審査にしっかりと対応して、再処理工場等の竣工に向けて着実に取り組むよう、引き続き指導してまいりたいというふうに思います。
 その上で、今御指摘の核燃サイクルについてでありますけれども、これは、資源の有効利用だけではなくて、高レベル放射性廃棄物の量の減少ですとか放射能レベルの低減などメリットがあるため、安全確保を最優先にしながらも推進をしていくということでありまして、そのことを知事にもお伝えをさせていただきました。
○高橋(千)分科員 安全確保を最優先と言うだけでは、言葉だけでは到底担保できない問題だと思います。
 ことし一月七日に、新聞各紙が一斉に、関電が使用済み燃料の受入先として、むつ市の中間貯蔵センターを検討していると報道されました。
 私は、この問題は、関電が再稼働を進めれば、当然、あと六、七年で使用済み燃料のプールがいっぱいになっちゃう。だけれども、その候補地が、県外にと知事に言われているから、行き先がないわけです。それで、むつ市は逆に、ことし秋にもしもこれを稼働すれば受け入れるものはない、原電と東電は稼働していないわけですから。両者の利害が一致するのかなと思ってしまったわけです。でも、それは本当に目の前の矛盾をとりあえず動かすということで、とりあえずちょっとすき間をあけるというんですか、それは一切解決にはならないわけなんですよね。
 この点について、まさか大臣はかかわっていないとは思いますけれども、そういう当座しのぎのやり方では絶対だめなんだということで改めて指摘をしたいと思いますが、一言お願いいたします。これで終わります。
○世耕国務大臣 これは、関西電力も、あるいはリサイクル燃料貯蔵株式会社も、両方とも報道を否定しておりますので、これ以上申し上げることはないと思っています。
○高橋(千)分科員 また次の機会をいただきたいと思います。
 終わります。

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