国会質問

質問日:2011年 2月 24日 第177国会 予算委員会

薬害イレッサ問題

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、通告をしておりませんが、細川大臣に一問お伺いいたします。

 午前の部で、鴨下委員の質問が積み残しとなりました。国民の年金権にかかわる重大な課題だと思います。一片の課長通知で決められた、これは大問題です。その原因である課長通知を本委員会に提出すべきだと思いますが、大臣、お答えいただきます。

○細川国務大臣 用意をして提出をさせていただきます。

○中井委員長 夕刻です、夕刻の理事会までに。

○細川国務大臣 夕刻の理事会までに出させていただきます。

○高橋(千)委員 確認をいたしました。

 では、早速本題に入りたいと思います。

 資料をお配りしていますので、一枚目を見ていただきたいと思います。

 一月二十九日の日経新聞でございます。この日は、各紙が同じような構図になっておりました。一つは薬害イレッサ訴訟、「政府、和解拒否を表明」と書いてあります。そして、もう一つは「B型肝炎は受け入れ」。いずれも国の責任を問う二つの訴訟で、明暗が分かれたかのように見えます。しかし、果たしてそうでしょうか。原告らが国による誠実な謝罪と全員救済を望んでいるにもかかわらず、政府は正面からこたえていないのです。

 私は、この二つの問題は同じ根を持っていると思います。きょうは、薬害イレッサとB型肝炎、菅総理は所信演説でも不条理を正すと言ったわけですが、まさしく不条理な事態となっているこの問題について、一日も早い全面解決を求める立場から、関係各大臣に質問をしたいと思います。

 初めに、薬害イレッサの問題です。

 夢の新薬ともてはやされて、二〇〇二年七月に世界で最初に承認された肺がん治療薬イレッサは、市販後半年間で百八十名が死亡、昨年九月までに八百十九人が副作用で亡くなっております。間質性肺炎で娘さんを亡くした近沢昭雄さんら遺族と患者十五名が国と輸入販売会社を相手取った訴訟は、ことし一月七日に大阪と東京の両地裁から和解を勧告する所見が出されました。

 政府はこれを拒否、あすの大阪、来月の東京判決を待つとしております。菅総理も、がん患者全体の利益から見てどうなのか、このような答弁を繰り返しされています。これは、こう受けとめますと、一部にあるドラッグラグ、新薬の承認を切実に待っている患者さんたちがいる、その方たちに何か、この承認がおくれるとかできないとか、そういうようなイメージをつくっているのではないかと思うのです。

 しかし、所見は、イレッサの承認は間違いだったと断罪しているのではありません。もちろん、原告や弁護団もそれを求めているのではないのです。がん医療の進展と患者の権利の保障、医薬品の安全性確保は表裏一体のものであるとして、薬害イレッサを早期に解決することががん患者全体の利益につながると表明をしているのです。

 そこで、細川大臣、この問題を解決することはがん患者とイレッサの被害者を対立させるものではないのだ、がん医療の進展とがん患者全体の利益のために資するものであると考えますが、この点では認識を共有できるでしょうか。

○細川国務大臣 私ども、今回のこの事件に学びまして、医療、医薬品行政全体の向上に向けてしっかりやっていかなければというふうに思っております。

 そこで、このイレッサの訴訟につきましては、手つかずの論点を多く残したままの解決というのではなくて、判決で問題点を指摘していただいた上で、それを整理いたしまして、制度のあり方を検討することが必要ではないか、このように考えた次第でございます。

 いずれにいたしましても、医療、医薬品行政全体の向上を目指して、さまざまな立場でがん患者の皆さんが闘っておられる、そういう立場に立って施策を実施するために、私どもも全力を尽くしていきたいと思っております。

○高橋(千)委員 今回のことを学びましてと大臣おっしゃいました。その学びましてというときに、原告の皆さんに対する気持ちがどこにあるのかということなわけですね。

 この裁判はこの裁判で、国の責任は一切ないのだということでは困るわけなんです。このことをしっかりと、責任を明らかにして、謝罪もしてもらって、そしてそれが解決、本当の検証や再発防止策を探っていく中で、すべてのがん患者の利益に資するんだという立場なわけですね。そこが一致できるのかということを聞いています。

 次のこととあわせてもう一度答えていただきたいんですけれども、大阪地裁の和解勧告には、初めにということで、冒頭、このような文章がございます。一般に、予後が不良とされる肺がん患者に残された時間は、本人と家族にとって極めて貴重な時間である、ところが、本件訴訟の対象となった肺がん患者は、イレッサを服用したことにより、全く予期しなかった重い副作用を発症したものであり、想定外の早い時期に死亡した患者本人の苦しみと遺族の悲嘆は察するに余りある。

 まず、こういう立場に立って、それから議論しようということで、いかがですか。

○細川国務大臣 高橋委員の御指摘のように、これは、予後不良の患者さんであっても、残された命を生きていくということ、そういう権利があることは当然でありまして、そのとうとい命の、生きていくという権利を最大限尊重すべきであるというふうに考えております。

 がん対策基本法というのができておりますけれども、この基本理念におきましても、「がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分尊重してがんの治療方法等が選択されるようがん医療を提供する体制の整備がなされること。」こういうふうに規定をしておりまして、がん患者の立場に立った対策の必要性というのは規定をされているところでございます。

 私どもも、この基本理念にのっとって、すべてのがん患者がみずからの選択によりまして適切な医療が受けられるような、そういう質の高い療養生活を送ることができるように、がん対策を積極的に進めていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 実は、聞いたことにきちんとは答えていらっしゃらないわけですね。やはり訴訟であるということもあって、多分、大臣が言葉を選んでいるのかなと思うわけでありますが、少し具体的な話の中で大臣の立場を聞いていきたいと思うんですね。

 事実関係をまず伺います。

 政府が和解勧告の所見の拒否を表明したのは、一月二十八日でした。そして、資料の二枚目を見てください。被告会社アストラゼネカが拒否を表明したのは、二十四日であります。アンダーラインを引いておきました。「本日、日本肺癌学会及び日本臨床腫瘍学会から「肺がん治療薬イレッサの訴訟に係る和解勧告に対する見解」が表明されました。いずれも、和解勧告に対する弊社の判断と一致しています。」と。これは、発表したときと学会から意見が出ましたよというのは非常に絶妙なタイミングだなというふうに思うわけです。

 資料の三枚目をごらんください。

 厚労省が二十八日に記者会見をしたとき、説明資料の中の一番最後のところに、このような各団体のコメントを並べているわけです。「和解勧告を受け入れるべきではないとの意見」というタイトルがわざわざつけられております。「再承認されたサリドマイドのようなハイリスクな薬を国は承認できなくなるのではないか、患者のことを考えているか懸念。」「添付文書に記載があってなお瑕疵があると言われては、現場は途方に暮れる。」「新薬に関するすべての情報が明らかになるまで承認が得られず、新薬を待ち望む患者が使用できなくなることを示唆。」云々かんぬんという形でコメントが述べられています。

 これは厚労省から依頼したのですか。

○細川国務大臣 これは、厚生労働省の方から依頼をしてこのようなものが出たとは思っておりません。

○高橋(千)委員 今、否定をされたかと思います。では、二月十日号の週刊文春では、東大医科学研究所の上昌広特任准教授のコメントを紹介しています。「二十二日頃、厚労省からイレッサの声明を頼まれた、どのように対応すればよいかと複数の学会の方から相談を受けました。」とあります。事実ではないでしょうか。

 そもそも、裁判所の所見は非公開です。どうやってコメントを載せるのか。つまり、厚労省が何らかの案文を出すか、一定の資料を示さなければ、こういうふうにやってほしいと言わなければ、できないはずなんですよ。そのことは既にきのうの民主党さんの議連でも問題になって厚労省が認めたということを、けさの毎日新聞と朝日新聞が書いているわけです。

 例えば毎日新聞を読みますと、「同省医薬食品局の佐藤大作・安全対策課安全使用推進室長は「日本医学会の会長が和解勧告に懸念を表明する意向であると聞いたため、サービスとして提供しただけ」と釈明した。」と。サービスとして。そして、毎日新聞の取材に対し、この方は個人名で見解を出された方ですけれども、高久会長は、全く要請していないのに厚労省が文書を持ってきたと取材に答えているそうです。

 朝日新聞では、文案を作成して提供していたことを明らかにしたということで、朝日新聞自身が入手した文案と出された見解がほとんど一致をしているということを記事にしているわけであります。

 もう既にきのう認めたことであります。もしそれを大臣が知らないとなったら、これはどういうことになるでしょうか。改めて、厚労省として意見の取りまとめを、取りまとめといいましょうか、厚労省が望む内容のコメントをお願いしたという事実はありませんか。

○細川国務大臣 今御指摘があった点については、私もまだ、けさの新聞のようですから、それについてはよく存じていないんですけれども、しかし、今委員が指摘されたような事実があるかどうか、これは私の方でしっかり調査をしたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 調査をしたいということを確認いただきました。これをちゃんと本委員会に報告をいただきたいと思います。

 問題は、こういう事実があったとしたら、大臣、どうしますか。結果、関係者から一斉に意見が上がったかのように見せて、新薬の承認がとれない、薬事行政が萎縮してしまう、こういうキャンペーンを、仮に厚労省みずからがつくり出した世論だと、こんなことになったら大変ではありませんか、大臣。

○細川国務大臣 先ほども御答弁しましたように、そういうことがあったかどうかしっかり調査をして、その結果に基づいて私なりの判断をしていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 結局、こうして厚労省が世論をつくっているということを本当に厳しく指摘しなければならない、絶対に許せないと思います。

 これらの団体の意見を私も全部読みました。それがやはり根っこにあるのは厚労省の見解かな、こういうふうに思うんです。それで、資料をつけておいたわけですけれども、四枚目です。二十八日の会見のときに配った資料であります。

 所見の内容と問題点、「承認時点における危険性評価の誤り」、左側にこう書いてあります。所見のポイントを「治験外の副作用報告を慎重に検討していれば、また、イレッサに未解明な点があった点なども考慮すれば、イレッサの間質性肺炎は従来の抗がん剤より危険なものと判断すべきであった。」と所見のことをまとめております。相当厳しい所見であるかのように受けとめられます。

 そこで、「国の考え方」のところに書いてありますけれども、そうなってしまうと、「臨床研究(治験外使用)に参加できる患者が限定されるおそれ。」がある、「新規抗がん剤の開発は大幅に遅滞。医療現場の新薬に対するニーズに逆行しかねない。」と指摘をしています。

 これだけを読めば、医療現場は大変だ、あるいは患者の皆さんは大変だと思っちゃうんです。当然です。もう新薬はつくれないのではないかと縮んでしまいます。しかし、私も所見を何度も読みました。承認時の危険性評価については触れていません。ここまで断定的な表現はしていないではありませんか。細川大臣、確認をされましたか。

○細川国務大臣 大阪地裁の所見では、治験外の副作用報告等も考慮すれば、イレッサによる間質性肺炎については、一般的な間質性肺炎と比べ、より慎重な対応をとり得たのではないか、こういう指摘をしているところでございます。このために、御指摘の資料では、このような所見の趣旨を要約して、「イレッサの間質性肺炎は従来の抗がん剤より危険なものと判断すべきであった。」こういうふうに表現をしたものでございます。

 なお、二十五日に大阪地裁の判決が出る予定になっておりますけれども、あしたの判決内容というのはどういう判決内容になるかわかりませんけれども、まずはその判決内容を十分検討して、今後どうすべきかの対応を適切にしてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 いきなり結論を急がないでください。

 今のを皆さんも聞いてくださったと思うんですけれども、より慎重なものとして扱う必要があったんじゃないかという指摘と、従来の抗がん剤より危険なものと判断すべきであったという断定的な表現とは、私は大分ニュアンスが違うと思うんですよ。これは、都合のいいように厚労省が拡大解釈している、非公開であることをいいことにして拡大解釈している、こう指摘をしなければなりません。

 一部紹介したいと思うんです。これは、今紹介された大阪の所見の中にある文章であります。

 被告国が、イレッサの承認に当たり、被告会社に対し、添付文書の重大な副作用欄に間質性肺炎を記載するよう指導したことは、前記(1)の経過を踏まえた一つの適切な判断であったと言い得る。いいですか、適切な判断だったと評価しているんですよ、国の対応について。全部ではないけれども、きちんとそう言っているでしょう。

 重大な副作用欄に間質性肺炎のおそれを記載するよう被告会社を指導するだけにとどまらず、より慎重な対応をとり得たのではないかとの思いを払拭することができない。相当控え目な表現ではないでしょうか。

 そこで、江田法務大臣にお出ましをいただいております。率直な感想を伺いたいと思います。

 二十八日の会見で、イレッサの回答期限を前に、大臣は、夜、眠りが浅いくらい、いろいろ寝てても考えておりますと答えていらっしゃいます。そんなに悩んでくださったんですが、裁判所の所見は何か将来の新薬承認を縛るような中身でしょうか。そこまで踏み込んだものではないと思いますけれども、伺います。

○江田国務大臣 イレッサのことは、これは一月の七日に裁判所の所見が、東京と大阪ですね、示されて、一月二十八日までに和解の席に着くかどうかを答えろと。和解ができるのは、判決の言い渡し期日を決められていて、それまでに和解ができるかどうかやれという非常に日程を縛られた中での判断で、私が法務大臣に就任をしたのが一月十四日でございますから、それはもう大慌てで勉強して、大慌てで、夜も本当に眠りが浅いほど悩みました。

 ただ、この大阪の所見は、今委員おっしゃるとおり、指導をしたのは適切だ、しかし、指導をするだけにとどまらず、より慎重な安全対策をとり得たのではないか、そういう表現。東京の方は、もう少し厳しくて、厚生労働大臣が、重大な副作用欄の最初に間質性肺炎を記載し、かつ、致死的なものとなり得ることを記載するよう行政指導を行うことが適切であった、そういう指摘もあったりで、その間、いろいろなニュアンスのことがあるわけです。

 委員は、そういう副作用についての記載のことであるから、新薬承認自体の違法性は裁判所は指摘していないのじゃないかとおっしゃるんですが、これは、副作用をどう評価するか、その評価の程度というのは、この程度の低い評価で承認したのは違法ではないかという承認の違法のところにつながるようにも論理的にはなっていくので、しかしながら、いずれにせよ、あす大阪地裁の判決が出されるわけですから、所見の解釈を今いろいろ言ってみても、もうあした裁判所が所見じゃなくて明確に判決で答えを、その問題点を指摘するわけですから、それを受けて私ども考えたい。

 裁判所が設定をされた日程の中で、インフォームド・コンセントのあり方であるとか、あるいはがん新薬からくる副作用の救済方法であるとか、この日程ではとてもそこまでいろいろな検討が進まないということで、悩んだ末ではございますが、厚労大臣とも協議をして、これは判決を受けるということにしたので、裁判所の所見については、そういう意味では非常に考慮をされた所見であったということは思っております。

○高橋(千)委員 確かに、限られた時間の中で態度を迫られたという点で、法曹の立場からの御発言であったかと思うんです。

 同時に、そういう中で、あした判決が出ますから今言ってみてもしようがないとおっしゃいましたけれども、その所見をなぜ出したかという意をやはり酌んでほしかった。最初に私が言ったように、がん患者とイレッサの被害者を対立させるという趣旨ではなかったんだ。そこを、本当にこの両者の利益が一致できるような歩み寄りを国に求めたい。私は、そういう思いが込められたのではないか、なかなか判決というところでは書けない部分があるからこそ、国にそれを求めたのではないかと思うんです。

 結果として、国が時間的に間に合わないとおっしゃるのはやむを得ないかもしれません。でも、その間に合わないという限られた時間の中で、一方的に新薬の承認を縛るかのような宣伝がされるということは、やはりそれはあってはならないですよね。

○江田国務大臣 私へのお尋ねということだと思うんですが、新薬の承認の手を縛る、縛らないというのは、法務大臣に答えを求めていただいてもちょっと困るんですが、ただ、私は、この日程、もう判決は二月の二十五日に出しますよ、東京の方は三月の終わりに出しますよ、それまでに答えを出さなきゃ、合意ができなきゃいけませんよと言われても、裁判所の気持ちもわかります、私も裁判官をやっていたこともあるのでわかりますが、それなら、判決の言い渡しはもう少しどうかするとか、もうちょっと余裕があればよかったな、そういう感想を率直に持っております。裁判所の批判じゃございませんが、個人的にはそんな感じも持っております。

 いずれにせよ、患者の皆さんと製薬会社、あるいは行政の立場、こうしたものが同じ方向を向いていろいろな努力をしていくことは大切なことだと思っております。

○高橋(千)委員 だからこそ、最初に指摘をしたようなコメントがこの短い時間で一斉に出てしまったということの問題は、本当に深刻ではないかと改めて指摘をしたいと思うんですね。

 二〇〇二年の七月十六日、イレッサは、わずか五カ月というスピード審査で世に出ました。当時、どのような情報が患者や家族にもたらされていたでしょうか。

 原告団長の近沢昭雄さんは、二〇〇二年七月の半ば、インターネットでイレッサについて書かれたサイトを見つけました。夢のような新薬、副作用が少なく、自宅でも手軽に服用できる画期的な肺がん治療薬などの文字が輝いて見えたといいます。ネットだけではありません。雑誌や新聞の記事も専門医のコメントもどれもイレッサを推奨し、延命効果は大きく、副作用が少ないすばらしい薬だといったものばかりで、不安情報はどこを探しても見当たりませんでした。

 娘さんの三津子さん、二十九歳で肺がんを宣告されました。きっとがんを退治してみせると、強く明るく振る舞っていたといいます。

 この三津子さんがイレッサを服用し始めたのは八月十五日。十月に緊急入院。容体は日に日に悪化し、横になると息苦しく、上半身を起こしてベッドに座っていたこと。息ができない、苦しい、何とかして、何とかしてと涙を流し、顔を引きつらせながら酸素マスクのコックを見ていた。ぜいぜいという息遣いとガーガーという酸素を送る音だけが響き渡っていたと言っています。

 このわずか三カ月の間に、二十二名の副作用報告があり、十一名の死亡例が積み上がりました。

 十月十五日、国の指示で、アストラゼネカから間質性肺炎の注意を喚起する緊急安全性情報が出されたのは、三津子さんが亡くなる二日前でした。本当に皮肉だなと思います。

 そこで、資料の一番下を見てください。

 当時、近沢さん御家族が、御本人と御家族がイレッサを服用するに当たって説明された文書の一部です。つけてありませんが、この後にサインをして同意をしているわけですけれども。

 この副作用の説明のところにアンダーラインを引いていますね。「重大な副作用として、「ひどい下痢、ひどい皮膚のただれや水疱・全身に広がる丸い紅斑、肝臓の障害」という後に、「肺の炎症によるかぜのような症状:間質性肺炎が報告されています」と書かれている。当時、患者さんが得られた情報はこれだったわけです。

 かぜのような症状、これでどうして地獄のような苦しみを味わう致死性の病気だと一般の人が判断できるでしょうか。問われているのは、予知できない副作用を後から問題だと言っているんじゃないんです。副作用の情報があるのに、その提供が不十分だった、そこが問われているのではありませんか、細川大臣。

○細川国務大臣 重大な副作用というところに間質性肺炎というのが記載をされております。この間質性肺炎というのが発生いたしますと死に至るものだ、こういうことについては、これはお医者さんであるならば当然知っているべき知識でございまして、その点についてお医者さんがどのような説明をされたか、それはちょっと個別的事件でわかりませんけれども、私は、少なくとも処方するお医者さんについては、間質性肺炎がどういう病気で死に至るものかということについてははっきり理解し、認識をしているものだというふうに理解しております。

○高橋(千)委員 今、当然知っているというふうなことをおっしゃいました。そのことが、先ほど来紹介している厚労省の説明文書の中に出てくるわけですよ。だからもう役割を果たしたということを言っているんだけれども、しかし、実際には、今は違うわけでしょう。前のときは、自宅で、一日一錠、手軽です、そういうことでいろいろな問題もあったかと思います。今は全然、医師の管理が必要である、また、添付文書そのものも改善をされてきましたよね。そこを伺います。まず確認。

○細川国務大臣 お答えいたします。

 現在どういうふうな患者さんの管理になっているかといいますと、イレッサにつきましては、服用後少なくとも四週間は入院をするなど、医師の管理のもとで副作用の発現の観察をすべき、こういうこととされております。また、肺がん治療に十分な経験がある医師が使用するとともに、緊急時の対応ができる医療機関で投与する、こういうふうに現在はなっております。

○高橋(千)委員 医師の管理によって、ですから、最初に紹介したように、自宅で自由に、一日一錠という気軽さと当時は盛んに宣伝をされていた、副作用が少ないんだよ、下痢と発疹程度だよと言われていたことが、ここに至った。

 だから、その教訓を経てこうして改善をされてきたわけでしょう。添付文書を見ても、真っ先に「警告」という言葉が出てきて、死に至ることもあるんだと、改善を図ってきたわけですよね。やはりそれは、こういう裁判もあって、いろいろな犠牲があってやられてきたことなんだ。だから、そこが問われているのであって、承認に戻って、もうそこが全部だめと言っているのではなくて、不十分だったことをしっかり認める、そのことが次につながるのだと言いたいわけなんです。

 肝心なことは、やはり情報公開をきちんとやることではないかと思います。週刊誌でも、例えばポストで連載を持っている鎌田先生、この方は、イレッサで劇的に効いた二人の肺がん患者を紹介して、スピード審査そのものが問題なのではないんだ、新薬を切望している人が一日も早い治療を受けられることが理想だと言った上で、情報公開が大事だ、副作用があることがわかったら情報を公開し、副作用を承知した上で、本人が薬の使用の自己決定、さっき質問したことなんですけれども、することが大事なのだとおっしゃっています。

 さきに紹介した上昌広先生も、まさにそうなんですね。承認のことを問うているんではないんだ、医師が薬の審査機関や製薬企業、学術団体、メディアに迅速に副作用情報を伝え、各組織の独自のルートで情報公開して、問題の共有が図られたことで、市販後の副作用被害を減らすことができたという、多発性骨髄腫の治療薬ボルテゾミブの事例を紹介して、イレッサはまだ消極的だった、こういうふうに言っているんです。私、あえて、いろいろな問題点があると思いつつも承認に対して意見を挟んでいない人たちもこの問題を指摘している、このことを紹介したかったんです。

 ですから、違法性が問われなければそれでよいということでは済まない。国民の命と健康を守るために、薬害を繰り返さないために、一層の情報公開を進めるなど、国が責任を果たすべきではありませんか。

 また、原告らが求めてきた医薬品副作用救済制度に抗がん剤も適用することを約束していただけますか。

○細川国務大臣 あした大阪地裁で判決がございますので、まずはその判決で裁判所の方の指摘があると思いますので、その判決内容に沿って国としてはしかるべき措置をとっていきたいというふうに思っております。

 また、救済制度につきましては、今、抗がん剤については救済制度の対象にはなっておりません。理由は、他の治療方法がない中で、重い副作用を理解した上で使用せざるを得ない、副作用と死亡の因果関係がどっちにあるのか、こういう判定がなかなか難しいというようなこともあって適用されないということになっておりますけれども、しかし、患者の皆さんあるいは御家族の御意見も、やはりこれを救済すべきだというような御意見もありますし、これは私どもとしては十分検討して、国民の合意を得るべく結論を得たいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 あす以降、引き続いてお願いをしたいと思います。

 残された時間で、B型肝炎について質問をしたいと思います。

 時間がちょっとありませんので、江田法務大臣と細川大臣に続けて質問します、一問ですから。

 二〇〇六年に最高裁で五人の原告が勝利してから五年目、この五人が提訴してから既に二十年以上が過ぎました。原告団は今七百二名を数え、提訴から十三名、昨年の和解勧告以降に五名もの原告が命を落としています。本当に時間がないのです。

 なぜ、今も原告らが肝硬変や肝がんという重い病と闘いながら頑張っているのか。双方が和解を受け入れ、もうB型肝炎は解決したのでしょうか。残念ながら、慢性肝炎を発症してから二十年を過ぎた方は除斥期間として救済から外されるのかといった課題が残されており、全員の救済を求める原告と国にはまだ隔たりがあると思います。その隔たりをどうしても埋めていただきたい。長く苦しんだ人ほど救済されないということは余りにも理不尽ではないでしょうか。

 江田法務大臣には、ハンセン議連の代表を務めていらっしゃいました。このハンセンの問題も、とっくに除斥期間は過ぎていたけれども、救済法で乗り越えた。薬害肝炎もそうだったので、やはり、除斥期間とは、人道的な問題、あるいは、議員立法など国民の合意が得られれば乗り越えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 そして、同時に細川大臣に伺います。

 十二の都道府県、北海道を中心に百二十一の市町村から、B型肝炎の早期解決を求める意見書が上がっています。特に、函館市議会の意見書は、「政府並びに国会は、解決策を示し、早期全面解決に向けた誠実な協議を開始するよう強く要望します。」と言っている。「国会は、」と言っています。

 そこで私たちは、政府と同時に、やはり、裁判の枠組みで解決できない問題についても、党派を超えて議員立法が必要ではないかなと思っています。皆さんに呼びかけたいと思う。その声に政府としても正面からこたえて協力できるか、一言お願いします。

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