国会質問

質問日:2011年 2月 25日 第177国会 予算委員会

公立病院統廃合問題 ー分科会

○高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は、鳥取県知事時代の片山さん、そして知事をおやめになってからの片山さんが連載していたエッセーなど、いつも注目していた一人であります。特に印象に残っているのは、二〇〇五年の予算委員会、私が小泉元総理に被災者生活再建支援法について質問をした際、片山知事が鳥取県西部地震で全国に先駆けて県独自の住宅再建支援策をつくった経験を紹介して、住宅再建へ国の直接支援を迫ったことがございました。

 今も、ニュージーランドの地震の報道が刻々と伝えられておりますが、災害対策は、人生が一瞬にして変わるため、ある意味、政治と社会の凝縮だと感じてきました。地域のコミュニティー、高齢者や弱者対策、地域経済と人々のなりわい、あらゆる課題と直面します。

 私は、政治がやるべきことは、今すぐ被災者にとって必要なことを、一番身近な市町村がやるべきだ。財政や制度の枠を考えるよりも。国は後から、財源的にも、あるいはインフラ整備の技術面の支援でもしっかり支えていけばいいと思っています。そして、観測体制の強化や、防災、災害に強い町づくりのための知見を集約すること、各県の声を生かして、命の格差、地域の格差にならないためのルールづくりは国の責任だと思います。地域主権だけではやはり足りない、両方が大事ではないかと常々思ってまいりました。そうした点で、きょうは貴重な機会をいただいたと思っております。よろしくお願いいたします。

 実は、きょうのテーマは、地域医療、公立病院の問題であります。

 東北出身の私にとって、地域医療と医師不足は本当に重大な課題であります。高齢化と公共交通、冷え込む地域経済と一体で深刻さは増しています。

 政府は、二〇〇七年の十二月に公立病院改革ガイドラインを発表し、公立病院を設置する地方公共団体に、例えば、三年間で経営を黒字化することや、再編、ネットワーク、地方独立行政法人など経営形態の見直しを図るなど具体化をすること、改革プランの策定を求めました。既に今年度には全地方公共団体のプランが出そろい、一年目の実施状況なども紹介をされております。

 大臣は、公立病院について、また公立病院改革ガイドラインについて、どのような評価をされているのかをまず伺いたいと思います。

○片山国務大臣 今お触れになられましたように、今、全国の公立病院は非常に経営に苦しんでおります。一方では、しかし、地域の医療の中核をなしているのも公立病院、もちろんそれだけではありませんけれども、公立病院がかなり重要な役割を果たしております。したがって、しっかりした経営で、経営に持続可能性を持っていただくということが非常に重要だろうと思います。そのためには、必要な経営の改革でありますとか、業務の効率化でありますとか、いろいろなことをしていただく必要があると思っております。

 そこで、総務省として、先ほどお触れになられましたように、経営についてのガイドラインを示して、そして、それの一環で公立病院改革プランの策定を促したという経緯が今日まであります。それに基づいて、該当のほとんどの団体がそのプランを策定してきている、こういうことが事実であります。

 それを前提としてでありますけれども、私は、そもそも、国が自治体の経営者に対してああしろこうしろと言うことよりは、本来は、自治体の経営の任に当たっている方々、それは市町村長であったり、もっと言えば議会であるわけでありますけれども、そういう経営に責任のある皆さん方が自主的に、自律的に経営の改革というものを進められるべきだと思います。国はそういうことを促したりしてきておりますけれども、あくまでもそれは助言でありまして、その助言をいかに生かすかというのは、あとは経営陣の努力と自主的な判断によるものと考えております。

○高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 この公立病院改革ガイドラインは二〇〇七年の骨太方針に盛り込まれたものでありますけれども、議論の過程では、公立病院も民間病院も同じ病院だから民営化でよいじゃないかという考え方が底流にあったのではないか、このように思っています。民主党政権になってからも、前厚労大臣も同様の発言を委員会でしたことがございました。

 もちろん、公立病院でありながら、豪華な箱物、漫然とした経営、あるいは民間と競い合うもうけ主義は排除されるべきだと私は思っておりますが、同時に、不採算医療や僻地医療、地域医療を担っているという点では、なくてはならないものだと思っております。この点で同じ認識でよろしいか、大臣にもう一言伺います。

○片山国務大臣 公的病院は、病院ということでいいますと、民間の病院と基本的には同じであります。同じでありますが、先ほど議員もお触れになられましたように、民間病院では賄えないような、僻地での医療でありますとか、場合によっては高度な医療などを担っておりますから、不採算などの部門も当然担うことが期待されているわけであります。そこに公的病院の意味合いもあると思います。

 ですから、基本的には性格は同じゅうするとはいいましても、やはり、それぞれの公的病院の置かれた地域の実情とか担わされた責務によって、差異はおのずからあるだろうと思っております。

○高橋(千)分科員 ありがとうございました。

 人口約四万人の北秋田市の市民病院が、昨年四月にオープンをされました。指定管理者制度により、もとの北秋中央病院を経営していた厚生連が委託経営をしているのであります。同じ医療圏である公立米内沢病院は、再編統合をするわけですが、必要な病床は維持されていくということが計画では明記をされておりました。ところが、昨年一月、新市長のもとで、ベッドなしの診療所化ということが提案をされ、ことし一月に議決をされました。

 実は、ちょうど私が現地視察に行った日が議決の日でありまして、昼過ぎまで議会の討論が続く中、病院がなければ困るという住民の皆さんが本当に大勢、しかも朝八時ごろから出かけてきて、ずっと待っていらっしゃいました。本当に必死の皆さんの思いを肌で感じたところであります。

 そこで、まず厚労省に伺いますけれども、秋田県は、北秋田市の医療圏にかかわって、地域医療再生基金を二十一年度に申請しています。もちろん交付をされているはずですが、なぜ、米内沢病院をベッドなしの無床診療所にするためにその解体費用までも基金から出すのか、再生といっているのにという率直な疑問を住民の皆さんからぶつけられたんです。地域医療再生計画の目的に照らしてどうお考えになるか、伺いたいと思います。

○唐澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生から御指摘のございましたように、平成二十一年度の補正予算によります地域医療再生基金でございますけれども、地域の医師の確保、救急医療の確保など、こうした地域における医療課題を解決するために、都道府県が作成する地域医療再生計画に基づく取り組みを支援するものでございます。

 お尋ねのございました秋田県北秋田市の地域医療再生計画でございますけれども、公立米内沢総合病院や北秋中央病院等の機能を再編成するということで、今御指摘のあったとおり、北秋田市民病院を新設し、北秋中央病院の機能も吸収して二次救急医療等の機能を持たせる、あわせて、米内沢病院につきましては、現時点では病床を有しない診療所とすることになったものというふうに私どもも報道等で承知をしております。

 この件でございますけれども、地域医療の再生のためには、限られた人的、物的資源を効率的、効果的に活用できるようにしていく、あわせて、医療機関の機能分化、連携ということも視点としては重要でございます。秋田県におかれまして、その計画の中で、そのような広い観点に立って策定された計画と理解をしておりますので、私どもとしては、この計画が不適切なものであるというふうにはちょっと申し上げられないわけでございます。

 ただ、今後とも、地域医療のあり方につきましては、地域の住民の皆様に密接に関連した問題でございますので、都道府県、市町村を中心に引き続き御検討いただきまして、厚生労働省といたしましても、外部有識者による地域医療再生計画に係る有識者会議というものを設けてございますので、ここにその計画の達成状況等を御報告いただいて確認をしながら、必要な技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○高橋(千)分科員 この地域医療再生基金については、自民党政権の最後といいましょうか、に補正が組まれて、民主党が一たんは一部凍結、そしてまた新たな基金をつくる、そういう経過をたどったものであります。だからこそ、チェックというのも非常に大事だし、本当の意味で地域医療再生なのかということは問われると思うんですね。

 市民病院は、全国で赤字路線で大変有名になってしまったんですが、大館能代空港、この近くに建設をした、三百二十床の総合病院であります。当時の管理者は、立派な病院と立派な医療機器をそろえれば医師は集まってくると、楽観的に考えていたと思います。オープン当初から、最初から医師は半分しか集まりませんでした。

 私が視察に行った日も、既に退職の意向を示している人がおりました。立派な検査機器、ICUなど立派な設備もありますが、病棟の半分はがらあきであります。医師がいないから、医師がいないから使えないんだと繰り返し訴えられたのです。私は、このままでは市民病院自体がもたないと率直に市長にも懸念を伝えました。

 療養病床は米内沢病院にしかないため、四月以降は四十床を市民病院が引き受けることとしていますが、入院患者を順次受け入れる、一遍には無理だということで、その間があくんですね。三月で米内沢病院がなくなって、病床がなくなって、四月に一遍には受け入れられない。その間に、何と特別養護老人ホームに一時的に預かっていただいて、順次入れていくと。だから、もう嫌でしようがないと言わんばかりだったんです、病院としては。頼まれたから引き受けるけれども、本当はやりたくないんだ。だって、四十人来たって、その分、一人も医師はふえないんですよ。ただ忙しさが増すだけなんです。だから、三カ月か半年くらいで回転して、どんどん出てもらうしかないな、そういうことをおっしゃっていました。これで地域医療再生の名に値するのかと思います。

 先ほど、有識者会議でチェックをしていくというお話がありましたけれども、こういうことをしっかり踏まえて、また住民の声もとらえてチェックをしていくのかどうか、改めて伺います。

○唐澤政府参考人 地域の公立病院は地域医療の中核を担っているわけでございまして、住民の皆さんも大変関心のある事項でございます。

 先生からきょう、御質問の中で何点か御指摘をいただきましたので、こうした点も有識者会議の方には御報告をさせていただきまして、また、秋田県の方からも、新聞その他の情報等もさらに詳しくいただきながら、有識者会議の方に御報告をして、御検討いただきたいと考えております。

 以上でございます。

○高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 私は、新しい病院をつぶせという立場で言っているわけではありませんからね。逆に言うと、病院の皆さんも苦労して、こんなはずじゃなかったといろいろな思いを抱えていらっしゃる、そこにどういう手だてがとられるのか、できるのかということを議論していかなければならないと思っている。そういう意味で、実は米内沢病院の役割というのは大事だなと思っているんです。

 そこで、大臣に伺うんですけれども、今お話をしたように、立派な病院を建てて豪華な機械をそろえれば医師も集まる、そういう考え方というのは、実はここだけではないと思います。ガイドラインでも再編、ネットワークを推奨してきましたけれども、結局、それだけでは医師はふえない。周辺の病院がベッドがなくなっても、そこから医師が来るわけではないので、中核病院は忙しくなるだけなんです。本当に矛盾が集中している。こういう実態をどのようにごらんになりますか。

○片山国務大臣 これはもうおっしゃるとおりでありまして、私も、鳥取県で知事をやっておりましたときに、医師不足には本当に悩まされました。

 それはいろいろな意味があるんですけれども、県は県立病院を経営しておりますが、他の公立病院に比べますと、県立病院というのは医師の不足の度合いはそんなに深刻ではない、やはり恵まれた環境にあると思います。思いますが、それでも、私なども、医師の供給面において、派遣といいますか、供給源である鳥取大学の医学部とかなり綿密な協議などをしなければいけなかった、そういう実態にありました。

 ましていわんや、町村などが経営しております公立病院では、本当に町長さんが医師の確保に努力をされておられまして、県の場合は努力をすれば確保できるという状況でありましたが、町村の場合は努力してもなかなか確保できないので、県にも依頼があって、県からも口添えをしたりいろいろなところに働きかけをして、それでやっと確保できたりできなかったりということでありまして、本当に鳥取県などでも同じような、似たような状況がありました。

 そこで、一つは、国の方に対して、もっと医師の養成数を多くする、これは文科省などに働きかけをしたり、要するに医学部の定数をもっとふやしてくれということをやったり、それから県独自としては、自治医科大学に派遣する人数をもっとふやしたいということ、これもなかなか限度がありますけれども、そういう働きかけをしたり、あとは独自に、地元の大学に入る地元の医学部の学生について、一定の条件のもとに奨学金を支給する、そのかわり、自治医科大学ほどではないにせよ、卒業後、地域での公的な病院、医療機関において勤務することをいわば義務づける、こういうこともやったりしました。

 ただ、それは即効性がありませんで、いずれもある程度の年月、最低でも六年はかかるわけでありますので、そういう年月を経なければいけませんけれども、そんなことを苦労してやってきましたので、議員のおっしゃる秋田県の北部の状況というのも、私もかつて住んでいたこともありまして、非常によく理解できるところであります。

○高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 理解していただいてありがたいんですが、再編、ネットワークの矛盾ということを少しお話をしたかったわけであります。

 ちょっと時間がないので先に進ませていただきたいんですけれども、実は、新しい市長ですので、大きな箱物を引き継いでしまった、自分のせいじゃないという思いがやはりあるんだと思うんですね。その無念さはよく理解できるわけです。しかし、だからといって、前の市長が決めたことは関係ないと言い放って、ベッドなしの診療所にするので、ことし三月、たった今の話です、分限免職だと。現在の職員は八十三名いるわけですけれども、そういうことになりまして、とにかく家計がありますのでほかで仕事を見つけている人もいますけれども、提訴に踏み切った職員もいるわけです。一部事務組合の解散に伴う解雇、これに対する提訴というのは全国で初めてと聞きました。

 一部事務組合の解散だから、地方公務員法に照らして合法だと向こうは言っているわけですね。でも、市は存在しており、病院もあり、一般職員を募集している。分限免職の根拠である、仕事がなくなったという状態ではありません。米内沢病院の職員に対しては、ハローワークに行けと紹介状を出すだけなんですね。

 何よりも、住民が病院を残してと思う気持ちと、職員の皆さんにお世話になっているという気持ちは一緒なんですね。要するに、職員がよくなければ病院に対する不信感が募るわけですから。さっき言ったように、新病院で大変だと言っている。その病院で今の患者さんをスムーズに受け入れるという点でも、私は本当に大事な方たちだと思っているんです。

 実は、ちょうどこの病院に関係して、平成二十年の二月の予算委員会で増田元大臣に質問したことがあります。もちろん一般論でありますけれども、公立病院の再編統合や民営化などに伴ってこうした問題はいろいろ出てくる、職員の処遇について聞いたときに、やはり任命権者として、配置転換ですとか、雇用を確保するための適切な努力をしていただくのが大前提だとおっしゃっていただきました。片山大臣にも同じ質問をしたいのですが、いかがでしょうか。

○片山国務大臣 一般論で申しますと、一部事務組合も地方公共団体でありますので、特別地方公共団体ではありますけれども公共団体でありますので、地方公務員法の一般法の規定の適用があります。それによりますと、職制もしくは定数の改廃という、一部事務組合という組織自体が縮小するとかなくなるということの場合には、職員を分限免職することができるという規定があります。

 これが原則でありますが、私自身も知事をやっておりまして、こういう組織の改廃などに遭遇したことはありますけれども、だからといって、しゃくし定規に首切りをしたということはありません。制度はできますけれども、やはりそこは、最大限の努力をして、どこか組織内で吸収できないかということを努力する。それでも、職種によってはそれが可能でない場合もありますので、そういう場合は類似のところにあっせんをするとか、いろいろな手だてを講じた経験があります。

 ですから、法律は、もちろん制度的にはそういう分限免職が可能でありますけれども、任命権者とされては最大限の努力をされるというのが必要ではないかと私も思います。

○高橋(千)分科員 まず、その最大限の努力ということを、本来、これまでだってそうしてやってきたと思うんですね。同じ北秋田市でも、高校の統廃合などに伴って、市として吸収をして解雇しなかったという経験を持っているわけですので、やはりそれが大事なのかなと思っています。

 それで、実は一月の初めに、青森県の南部町というところ、国保名川病院に行ってまいりました。これは規模が米内沢病院にとてもよく似ているんですけれども、この病院は、公立病院改革ガイドラインをまつまでもなく、地方交付税分の繰り入れのみで黒字化をしております。総務大臣表彰まで受けております。建物が非常に老朽化して、小学校の隣に病院と町の健康福祉部門を合体させた総合保健センター計画を進めているところです。

 私は、キーワードは、身の丈に合った病院という言葉かなと思っているんです。平成十五年から、一般病床六十六床を二十六床の一般病床と四十床の療養型に変更しております。そこから黒字化になったんですけれども、常勤医師五名を確保して、定着率もよく、利用率もほぼ一〇〇%です。予防や初期医療、慢性期の医療に徹して、それは地域のニーズなわけですね、そこに徹して、専門的、高度な医療は中核病院と連携する、そういう形でやっていることと、地域医療の研修に力を入れているということも非常に注目できることでありました。

 とはいえ、院長先生の御苦労は大変大きくて、卒業したての医師なら多分来るとは言わないだろう、女性医師は定着できない、中小の病院でもやっていけるようにちゃんと評価してほしいと、大変厳しい指摘をいただきました。

 せっかく身の丈に合った運営で表彰されるほど頑張ってきた町立病院も、療養病床ですから、やはり今の低過ぎる診療報酬などでは、国の施策のもとで立ち行かなくなるのではという状態にあるわけです。地域医療に対する評価がやはり少ないのではないかと思います。

 きょうは大塚厚労副大臣に来ていただいていますので、いかがでしょうか。

○大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 今、委員の御質問の中で、身の丈に合った病院という御表現を、大変感銘を受けて聞かせていただきました。全くそういうことの追求が大切なことだと思います。

 医療だけじゃなくて介護も含めて、できれば在宅で、できれば地域で医療や介護をしっかり受けられるということを私どもは目指しておりますので、そういう方向で、来るべき診療報酬改定でもしっかり臨ませていただきたいというふうに思っております。

 そういう中で、前回の診療報酬改定でも大きくはそういう方向で進んでおりましたので、中小病院の再診料の引き上げや、地域医療に貢献した診療所の加算を創設しております。また、在宅で医療を受けている方の入院の受け皿等を担う有床診療所に対する評価も新設をいたしております。

 いずれにいたしましても、先生がきょう御主張いただいている大きな方向は全く同感でありますし、先ほど地域医療再生計画の話とか基金の話をしていただきましたけれども、私も着任以来約一カ月がたちましたけれども、厚生労働省の皆さんに申し上げているのは、目的は同じことを言っていても、手段を駆使した結果、目的が達成できていないのであるならば、その手段は必ずしも適切でないかもしれないので、それをしっかり見直すように頑張ろうと皆さんに申し上げております。

 できれば在宅で、できれば地域で。一次医療圏が大変大切で、その一次医療圏を担っている中小病院であるとか診療所をしっかり育てていくということは、今後もしっかり配意をしてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)分科員 今の御答弁は、受けとめていただいてありがたいと思う反面、ちょっと反論したいこともあるわけですが、時間の都合がありますので、今度、厚労委員会で続きをやりたいかと思います。

 残された時間でぜひ、副大臣と大臣にそれぞれ同じことで伺いたいと思うんです。それは、社会保険病院、厚生年金病院の問題であります。

 私もこれは幾度となく質問をしてきたわけですけれども、社会保険庁が解体され、病院がその根拠を失うところとなり、昨年、地域医療推進機構法案を国会に提出したわけですが、時間切れ、廃案となりました。秋の臨時国会で、現在、整理売却のための組織であるRFO、年金・健康保険福祉施設整理機構の存続を二年延長するというつなぎ法案に私どもも賛成をいたしました。まさに苦渋の選択であります。整理売却のための組織だから、病院の経営という点では、受け皿という点ではふさわしくない。でも、今ある病院の根拠を失うわけにはいかないと思ったからであります。

 これらの病院は、例えばリハビリで本当に先進的な成果を上げていたり、遠隔地でも中小企業に出かけていって健康診断を行う、全国ネットワークを生かした特色、また、地域の医療の担い手としても、各自治体の首長さんを先頭に、守ってほしいという存続運動が起こっていたわけです。

 しかし、それでもこの延長法案は来年の九月で切れます。時間があるわけではありません。決まらないままでは退職職員の補充もできない、看護師を募集しても集まらない。本当に現場は深刻であります。公的病院の役割が損なわれないように、法案を出して何としても維持するべきだと思いますが、この点を副大臣に伺います。

 同時に、片山さんに伺いたいのは、実は、これほど世論が大きいのにもかかわらず時間切れになったのは、私は単純に国会の混乱のせいだけだとは思わないんです。なぜかというと、国会論戦の中で、独立行政法人を全廃も含めて見直すという民主党の方針があるんだから、新しい独法をつくるのはおかしいという厳しい指摘があって、なかなかそれに明確な答えがなかったからなんです。今ある病院を存続させるために何らかの根拠は必要であり、私は方針とは矛盾しないと思います。ぜひ大臣のお考えを伺いたい。お二人に。

○大塚副大臣 社会保険病院及びRFOをめぐる動きについては、今委員から御説明のあったとおりでございます。

 その社会保険病院を維持することを含めた何らかの法案をという、今、御下問でございましたけれども、現状、そういうことを考えているわけではございません。RFOの存続期間の範囲内で、できる限りの地域医療の再生に資するような社会保険病院の今後のあり方を追求していく、まずはそういうミッションを果たしたいと思います。足元でも、一部の社会保険病院が、いわば受け皿が見つかって新しい出発をしようとしているところもあります。

 そういうことも含めて、現状は今申し上げたとおりでありますが、最後に一言つけ加えさせていただきますと、四月に社会保障制度改革の原案を示すようにというふうに総理からも御指示を受けておりますので、医療のところにおいて、今御指摘のような公的病院のあり方も、どのように考えるかということも改めてしっかり検討してお示しをしたいと思っております。

○片山国務大臣 今、大塚副大臣から御答弁がありましたけれども、そこで述べられましたような厚生労働省における検討の結果を踏まえて、総務省としては必要な対応をしてまいりたいと思います。

○高橋(千)分科員 ありがとうございました。

 方向性がまだはっきりとは示されてはいないんですけれども、先ほど来議論をしてきたように、公的病院の存続と大事さということは共通認識とされたと思いますので、何としてもこれを存続できるように、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

 

 


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