国会質問

質問日:2011年 5月 11日 第177国会 厚生労働委員会

震災と解雇問題(仙台コロナワールド)

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 あの大震災から、きょうでちょうど二月がたちました。死者数一万四千九百四十九人、行方不明者九千八百八十人、そしてなお十一万七千八十五人が不自由な避難所生活を強いられております。

 毎日新聞が一月前にアンケートをとった百人に対する二月目に当たっての追跡調査で、生計のめどが全く立っていないと答えた方が二七%、六割が前回と同じ避難先におり、職場が被災し休業中が二五%、失業が二〇%で、前回調査以降仕事を再開した人は八%にとどまっているといいます。生活の基盤を取り戻す、そのための仕事、雇用の確保が本当に重要だと考えます。

 きょうはそういう視点で質問していきたいと思いますが、まず、震災後、被災地の解雇、離職状況について、把握している数字で示されたいと思います。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。

 特に被害が大きかった岩手、宮城、福島の三県の労働基準監督署等に寄せられました解雇あるいは雇いどめに関する相談につきましては、五月二日までに二千十五件となってございます。

 また、雇用保険の離職票等の交付件数はこの三県で六万九千六百二十八件、これは四月下旬まででございまして、受給資格決定件数は三県で四万二百十五件と、前年に比べまして約二・五倍に増加をしております。

 このように、被災地の雇用状況は大変厳しいものになってございます。

○高橋(千)委員 今、七万人近い方が離職票を提出されて、その受給決定が二・五倍になったという状況がうかがえたと思います。

 その一方で、三十人以上の退職を出した場合に事業主が事前にハローワークに提出することが義務づけられている大量雇用変動届は、これは三月末までの数字ですけれども、全国で二百八十七事業所で、前月比よりも三十九カ所減っているわけですね。そして、岩手はゼロ、宮城は一、福島は十一にとどまっております。

 これは、震災で事業再開が不可能な場合は出す必要がないということになっていますので、本当に被災してしまって再開ができない場合はもうやむを得ないわけですけれども、出す必要があるのに出していないところがあるのではないか、実際と乖離はしていないのか、今後これはしっかりと見定めてほしいと思っております。

 そこで、大臣に伺いたいのは、事業所が被災したからといって、イコール解雇がやむを得ないということにはならない、これは当然なことだと思いますが、まず確認をしたいと思います。

○細川国務大臣 これは、震災によって工場が被災した、こういうことで、それだけの理由というようなことで解雇が認められるということはございません。

 解雇というのは、これは使用者と労働者の間で労働契約というのが定められております。その労働契約というのは、労働契約法によりまして、これについては、解雇する場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用をしたということで無効というふうになっております。

 したがって、委員が御指摘のように、震災で工場が流されたというような、そんな理由だけでは解雇はできない、こういうことになっております。

○高橋(千)委員 明確な答弁を大変ありがとうございました。

 こういうときであっても、労働基準法あるいは労働契約法、こうしたルールというものはきちんと守られるべきであるということ、その上に立ってさまざまな事情を考慮されるということがあるのだという仕組みになっているのかなと思います。四月八日付の「東日本大震災に伴う解雇、雇止め等に対する対応について」という通知も出されておりますし、東日本大震災に伴う労働基準法等に関するQアンドA、こういう形で政府が周知をしてきたということは十分承知をしているところでございます。

 同時に、例えば全国展開をしているなど余力がある事業所がこの際と解雇をするようなことがあってはならないと思うんです。ですから、一般的に制度を周知徹底するというだけではなくて、直接的な指導、これが必要だと思います。例えば、解雇の相談に対してのあっせんということも当然あるかと思うんですけれども、そういう具体的な取り組みはどの程度されてきたのでしょうか。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準監督署におきましては、種々の相談が働いている方から寄せられることもございますし、それから新聞その他の報道というようなことで、いろいろなことを端緒にいたしまして事案の把握に努めているところでございます。

 震災を理由とすれば無条件に解雇ができる、雇いどめができるというようなことでは決してないわけでございまして、こうした観点から、事業主に対しまして解雇に関するルールの啓発指導などを実施しておりますが、その際には、労働契約法や裁判例の趣旨だけではなくて、雇用を維持していただくための雇用調整助成金の活用等につきましても、あわせて必要な啓発指導等を行っているところでございます。

○高橋(千)委員 私が質問したのは、啓発指導ではなくて、具体的に指導なりあっせんなり、どの程度やられてきましたかと聞きました。

○金子政府参考人 岩手、宮城、福島の三県におきまして震災後指導いたしました事案の数は、合計百六十一事案になっております。

○高橋(千)委員 わかりました。

 そこで、さらに具体的に質問しますけれども、よく言う自宅待機という言葉がございますよね。これは法律用語ではないと思います。被災して、めどのわからないまま自宅待機を命じられている人も非常に多いわけです。でも、これは休業扱いとして、本来給与の支払い義務があるという理解でよろしいと思いますが、どうでしょうか。

○金子政府参考人 休業手当の支払い義務があるかどうかということですので、法律の解釈の問題としてお答えをさせていただきます。

 労働基準法第二十六条におきましては、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、これは労働者に対して休業手当の支払いが罰則をもって義務づけられているところでございます。

 しからば、使用者の責めに帰すべき事由というものが一体いかなるものかということになるわけですけれども、震災などの天災事変等の不可抗力の場合はこれに該当しないと解されております。その場合、不可抗力といっても、柔軟に解釈されても困るわけでございますので要件を定めておりまして、その原因が事業の外部から発生した事故であるということ、それから事業主の方が通常の経営者として最大の注意を尽くした、それでも避けることができないものだった、こういう二つの要件を満たすものということで不可抗力ということを解釈しているわけでございます。

 自宅待機のケースというのは、さまざまなケースがあるということで、結局は、今申し上げたような観点から、個別の事案ごとに判断されることになるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 柔軟に対応されては困るという答弁だったと思います。

 ただ、実際には、最初に言ったように、法律用語ではないわけですので、自宅待機と言われたときに、それがどういう意味を持っているのか、つまり、限りなく解雇に近い自宅待機の場合もあるわけですよね。そこの対応について非常に見きわめていく必要があると思うんです。

 そこで、解雇予告手当。労基法第二十条によって、使用者は、労働者を解雇する場合、三十日前に予告するか三十日分の平均賃金を支払わなければならないとされております。そこで、ただし書きなどで、今お話しされたことと同じ趣旨ですけれども、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合などで労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要とされております。

 この除外認定でありますけれども、先ほど紹介したQアンドAによれば、事業場の施設設備が直接的な被害を受けたために事業の全部または大部分の継続が不可能となった場合は原則としてこれに当たる、除外されるというふうに記されているわけです。

 ただ、事業所が被災をしたといっても、地域一帯が津波で流されてしまったというところにある事業所と、内陸部で、地震で、もちろん全壊もあるけれども一部損壊でとどまっているとか、さまざまあるわけですよね。ですから、全部または大部分の継続が不可能となったということを事実認定するためには、当然労働者の意見も聞く、そして現地調査を行う、そういう必要があると思いますが、いかがですか。

○金子政府参考人 労働基準法第二十条に関します解雇予告の除外認定についてのお尋ねでございますけれども、これは、議員から御指摘がございましたように、通常は三十日前に予告をしていただくことが義務づけられているわけですが、非常に特別な場合には、労働基準監督署長の認定を個別に受けることによりまして、この予告を要しないということができることになっております。

 しかし、これは使用者の恣意的判断で運用されては困るわけでございますので、あらかじめきちっとした形で労働基準監督署が調査をいたしまして必要な認定を行うということになっております。

 認定の際の考え方でございますが、これも議員から御指摘がございましたけれども、まずもって、天災事変の場合につきましては、震災等で事業場が倒壊したなどの事情が現実にあるということ、これに加えまして今後の見通しということでございまして、事業の全部または大部分の継続が不可能になっている、こういったことを調査し、確認した上で判断をすることにしております。

 認定申請の実務におきましては、関係者から直接事情を聞くほか施設の被害状況を確認するというようなことで、企業、事業主からの申し立てのみに頼ることではなくて、客観的な資料の提出を求めた上で適切に判断をしていく必要があるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 そこで、具体の話をさせていただきたいと思うんですけれども、株式会社コロナ、これは愛知県小牧市に本社があって、全国十県十九施設、五千二百名の従業員を擁し、映画、外食、遊技場を集積した複合施設とあります。コロナワールドという名前で郊外型大型店などと一体に立地をしておりますので、御存じかと思います。

 仙台市にあるコロナワールド二店、被災して現在休業中ですけれども、アルバイト従業員五百六十八名全員が自宅待機を命じられました。震災当日は責任者の対応が大変ばらばらで、金庫を持って家に帰れと指示をされた人もいました。後で金庫だけとりに来て、解散だと言われたそうです。あるいは、避難しろ、帰れと言われた人、自宅待機だと言われた人、ばらばらなんですね。何の指示もなかった方もいらっしゃるわけです。そういう中で翌日より出社ができていないわけで、その後、労働組合を結成して本社に結成届けを出しました。本社、つまり小牧市です。そうしたら、だれが解雇と言っていますか、現在は自宅待機の扱いになっています、書面は出していないがと語ったそうです。

 そもそも、自宅待機などと言いながら、めども示さず、休業手当も払わないでいること自体がおかしいと思うんです。ところが、組合の要請で四月二十五日に離職票を出したわけですが、それより十日前の十五日には、解雇予告手当の除外認定を仙台労働基準監督署に提出し、二十一日に承認がおりているのです。二十一日、職員に離職票を出す前です。ですから、解雇とは言っていないとしらを切る一方で、解雇予告手当の除外認定をちゃっかりとっておく、まさに悪質きわまりないやり方だと思うんですね。

 この二店は、私も先日前を通ってきましたが、内陸部なので、形は残っております。ホームページを見ても、「安全状態確認中のため当面の間、営業再開は未定」と書いてあるので、被災して使えなくなったということを言っているわけではないわけです。

 ですから、労働者の意見も聞かず、写真を見ただけで、現地調査も行っていないのです。こうした決定は問題があり、除外には当たらないと思いますが、いかがですか。

○小宮山副大臣 今委員が御指摘になりましたような企業の個別の対応については、私も適切ではないと思います。

 ただ、この認定につきましては、先ほどから申し上げているように、解雇予告の除外認定の審査では、一つは、天災事変のほかやむを得ない事由のため、二つ目として、事業の継続が不可能となった場合に調査を行って認定をするということになっておりまして、今回の場合、申請が仙台にある二カ所のコロナワールドについて出された後、その申請書を持参した人事部長から事情を聴取して、罹災届出証明書、それから第三者機関が調査をいたしました被災建物調査報告書、これは天井とか外壁などの破損、崩落などが顕著で、その外壁も致命的な被害を受けているとの所見とか写真に基づきまして、近く再開、復旧の見込みがないものということを労働基準監督署で判定したということなので、ここの手続自体はきちんと行われたというふうに認識をしております。

○高橋(千)委員 今の答弁はちょっと矛盾していませんか。適切ではないとおっしゃったのにここはやられたということで、結局、現地は見ていないわけですよね。

 そして、八日の日に団体交渉がありまして、秋口に再開するから、そのときはまた募集するよ、そういう答弁だったそうです。ですから、当面、いつ再開というのは見通しが答えられないにしても、そう遠くないときに再開するということは当然見通せたはずなわけですよ。しかも、それが労務に未熟なのではなくて、そもそも解雇予告手当の除外という特別な制度を知っていて申請をしているわけですから、離職票を出す前に。これはもう非常に悪質なものであると言わなければならない。ただ、それを、悪質だという表現は使えないでしょうから。

 いずれにしても、そういう使用者による法の悪用、恣意的に使われてはいけないと先ほど局長は答弁をされました。これは、コメンタールを見ても、本来ならば、恣意的に支払いを逃れようとする者に対して規制をするのが本来の仕事なはずなわけですよね。なのに、逆にお墨つきを与えちゃった。そういうことはあってはならないと思う。いかがですか。

○小宮山副大臣 先ほど、適切でないと私が申し上げたのは、今回のこの認定がというのではなくて、委員がおっしゃったような、ばらばらな対応が最初にあったということは適切ではないですねということを申し上げましたので、この認定としては、仙台の方の基準監督署ではきちんと手順をとってやったと聞いておりますけれども、おっしゃるような悪用があっては決していけないわけですので、また、その後、フォローをさせていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 しっかりフォローをお願いいたします。こうした事例を放置せず、厳しく対応してほしいということであります。

 東北は、確かに中小企業が大部分であります。でも、名前は聞いたことがない名前、小さい名前であっても、親会社は大手自動車産業、電機産業の工場が集積しているんですね。例えば宮城県多賀城市のソニー、一千人の雇用問題が今焦点となっています。四万人削減が取りざたされているパナソニック、福島、宮城など各県内に関連工場があります。トヨタ、日産、住友電装など、完全子会社が多い。そういう実態をちゃんと見ていただきたい。

 大会社であるからこそ、解雇回避の努力は本来なら可能なんです。政府はこの間、経団連などに雇用問題への配慮に関する要請を行っておりますが、ちょっと腰が引けているんですね。やはり震災を口実としたリストラはするべきではないということをもっと堂々と申し入れるべきだ。大臣の決意を最後に伺いたいと思います。

○細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、震災を理由に無条件で解雇というようなことはできないということは、これは申し上げてまいりました。こういう震災で本当に苦労される、被災されて、しかも職場を失うということは、これはもう本当に本人にとっては大変であります。そういう意味では、解雇というのはできるだけしないような、雇用の維持に努めるのが私ども行政の責任でもあるというふうに考えておりまして、雇用の維持、あるいは、休業などの場合に雇用調整助成金あるいは雇用保険法の震災だけの特例というのもつくりまして、それによって、雇用の維持あるいは労働者の生活の維持というのを図ってきているところでございます。

 委員が言われるように、大きな企業はそれなりのしっかりした責任も果たしていただかなければいけないというふうに思います。したがって、私は、経団連とか商工会議所とかそういうところに赴きまして、雇用の問題については、雇用の維持の観点からしっかりやってくれるようにというお願いもいたしまして、要請書も提出してまいりまして、これについては、各傘下の企業にも、企業の方から連絡もしているようでございますので、なお、私たちとしても、雇用の維持にはしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 今後、さらにこうした問題が起こってくる可能性が避けられないと思いますので、本当に今言った決意をしっかりと示して、企業に対しても堂々と指導していただきたい、このように訴えて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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