国会質問

質問日:2017年 11月 24日 第195国会 厚生労働委員会

労働契約法の無期転換ルール(東北大学非常勤職員雇い止め問題)、建設アスベスト被害救済

脱法行為を許すな/「無期転換ルール」確実に適用を
衆院委で高橋議員

 東北大学が、契約更新を5年以上続けた有期雇用労働者から求めがあれば無期雇用へ転換しなければならない「無期転換ルール」を回避するため、独自制度(限定正職員制度)を代替措置にしようとしている問題で、厚生労働省は24日、一般論としながらも、独自制度は代替にならないとの見解を示しました。
 衆院厚生労働委員会での、日本共産党の高橋千鶴子議員への答弁。無期転換ルールは、2013年の改正労働契約法によるもの。来年4月の適用を前に、国立大学法人や自動車大手などで適用を避ける脱法的手法が問題になっています。
 東北大学は、14年4月に契約更新の上限を5年・例外なしへと就業規則を変更。無期転換ルールに抵触しないよう、対象とする契約年を1年遡及(そきゅう)して13年4月からに変更しました。文科省の調査に対しては、更新の上限を5年と定めるが「別途の無期転換制度がある」と回答しています。
 高橋氏は、独自制度に応募できなかった非常勤職員がすでに出ていることから、採用が一部に限られる危険性が高く、「無期転換ルール」の代わりにはならないと追及。厚労省の山越敬一労働基準局長は、独自制度をつくるかどうかと「労働契約法の無期転換ルールは別途のものだ」と、代替措置にはならないとの見解を事実上、示しました。
 自動車大手による、空白期間を設けて契約が5年に達するのを防ぎ、無期転換ルールの適用を避ける行為についても、加藤勝信厚労相が「明らかに脱法的にすることには非常な問題がある」と初答弁。無期転換ルールの目的については「有期契約で働く方の雇用の安定を図るためだ」と答えました。
 高橋氏は、改正法の審議当時から抜け穴を指摘してきたとして、脱法行為への厳しい対処と改正法の趣旨に基づく指導を求めました。
(しんぶん赤旗2017年11月25日付より)

アスベスト救済基金を
衆院厚労委 高橋氏が設立要求/高裁判決後初の質問

 日本共産党の高橋千鶴子議員は24日の衆院厚生労働委員会で、建設アスベスト(石綿)被害救済のための基金制度の創設を求めました。東京高裁が国の責任に加え、建材メーカー4社の責任を二審として初めて認めた判決(10月27日)後の初の国会質問です。
 高橋氏は、全国で14件の集団訴訟が起こっているなか、提訴から10年、首都圏では7割の原告がすでに亡くなっているとして、これ以上裁判を長引かせず、政治決着をはかるべきだと主張。その上で、2016年度の石綿関連の労災請求件数が前年比4%増の1106件になったことなどを指摘し、潜伏期間が10~40年とされる長期にわたり症状に気づかない潜在的患者や、発症の可能性がある人などが相当数いるとして国の認識をただしました。
 加藤勝信厚労相は「ここ10年の労災請求件数は1000件台で推移している。過去の石綿の使用状況や潜伏期間を考えると、今後も同水準で推移していくのではないか」との認識を示しました。
 高橋氏は、高裁判決が、「労働者ではない」として労災が認められてこなかった、個人で仕事を請け負う「一人親方」についても、その働き方の形態に応じて国の賠償責任を認めたことに言及。さらに判決が、困難とされた責任企業の特定でも、当時の建材の企業シェア(市場占有率)をもとに責任を判断した点は重要だと強調し、「こうしたことをヒントに国とメーカーの共同責任で救済制度に踏み込んでいくべきだ」と強く求めました。
(しんぶん赤旗2017年11月25日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 時間がもったいないので、早速質問いたします。
 二〇一三年四月施行の改正労働契約法は、同一の使用者との間で締結された二つ以上の有期労働契約の契約期間が通算五年を超える労働者が申し込みをした場合、使用者が承諾したものとみなす、いわゆる無期転換ルールを定めました。当時、有期雇用契約労働者一千二百万人の三割、三百六十万人が無期転換になるであろうと言われていたわけです。そして、いよいよ来年二〇一八年四月で施行から五年目となり本格実施というこのときに、この資料の一枚目があるわけです。
 朝日新聞の今月四日付でありますが、自動車大手が「無期雇用を回避」と大きく見出しを打ってあります。図がありますけれども、五年というのは、例えば、一年契約を反復五年、通算で五年、あるいは二年と三年などといろいろあるんですけれども、その間に半年間の空白期間を入れればそれまでの期間をリセットできる、だから空白からまた一年というふうに数えていくということになるわけですよね。そういう形で雇用ルールを変更したと報道されております。
 総理は、二十二日の参議院の本会議で、我が党の山下芳生議員の質問に対して、無期転換ルールを避ける目的で雇いどめすることは法の趣旨に照らして望ましいものではないと答えていらっしゃいます。
 クーリング期間を使えば無期転換を避けることができることは、実は最初からわかっておりました。質疑のときに、この五年前のときに議論をされていたし、私自身は改正案に対して、これを削除する修正案も出したわけであります。結果として法の抜け穴を用意し、雇いどめのツールにされてしまったと言えないでしょうか。
    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕
○加藤国務大臣 まず、クーリング期間が労働契約法上設けられた趣旨でありますけれども、クーリング期間を設けない場合、例えば、有期労働契約を締結し三年間働いた労働者が、一定期間を経過した後に再度同じ企業に働こうとした場合に、企業が雇うことをちゅうちょするおそれがあること、また、通算された期間の記録等を永久に保存しなければならないのは実務上の問題がある等を生じることを防ぐために、そうしたクーリング期間が設けられたというふうに承知をしているところであります。
 総理が言われたように、これは明らかに脱法的に、例えばクーリング期間があって、またその先に、さらに雇用の予約というんでしょうか、そういったことをする、こういったことについては非常な問題があるというふうに思っておりますので、そういったことを含めて、しっかりとこの無期転換ルールというものが円滑に行われるように、我々も周知啓発に努めていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 脱法という言葉を使われました。調査を今されているということでよろしいですか。
○加藤国務大臣 都道府県の労働局を通じて、自動車メーカー十社について、有期労働契約の終了後六カ月を経過するまで当該労働者の再応募を受け付けていない運用をしているかどうか、あるいは六カ月経過後の再雇用を約束しているかなどについて、実態調査を行っているところでございます。
○高橋(千)委員 調査を踏まえて、今おっしゃったように、脱法である、その立場を明確にした指導をしていただきたいと思うんです。
 JILPT、労働政策研究・研修機構の調査では、フルタイム契約労働者について、申し込みがなされた時点で無期に切りかえる、あるいは五年を待たずに無期にする、これは合わせると六五%が無期転換すると答えているんですよね。これは、最初の調査のときには四一・二%でした。ですから、無期にするという人がふえている。そういう中で、こうした大手企業の法抜け行為というのは他の産業にも波及されかねず、絶対認めてはならないと思います。
 最初に大臣がおっしゃった、五年働いた後も同じ事業所へ再就職することもあるから、それが困難になるからということは答えていたわけですよね。ただ、それは、さっき事業所がちゅうちょするとおっしゃったんですけれども、当時の答弁は、労働者の再就職の権利というか選択を狭めてはならないという答弁で、何か労働者の立場に立ったような言い方だったわけです。でも、実際は、やはり業界の要望に応えて、バランス感覚というか、そういう中で生まれたものであったということで、改めて指摘をしておきたい、このように思います。
 もう一つ、あのときの議論で指摘をしたことは、無期転換をするんだけれども、有期のときと労働条件が変わらないということ。無期であるという以外は変わらない、つまり給料が上がるわけではないしということも問題としました。
 ただ、そのときの答弁は、雇用が不安定であって、雇いどめを恐れて年休などの権利を十分に行使することができないといった課題を解消することがまず大事と。西村副大臣でございました、当時は。無期転換によって、雇用不安をなくし、労働者としての権利行使も容易にして、安心して働き続けることができる、あるいは正社員へのステップにもつながると言ったわけです。
 私は、百歩譲って、雇用の安定、まずはそれ自体を目指すんだということは大変重要だと思っております。
 そこで、改めて聞きますが、労働契約法の無期転換ルールは雇用の安定化を望んだものか。
    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤国務大臣 いわゆる無期転換ルールの規定は、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期契約で働く方の雇用の安定を図るために設けられた規定である、こういうふうに認識をしておりますし、厚生労働省としても、企業においてこうした法の趣旨に沿った対応がなされるよう、有期契約労働者の正社員転換、また無期転換のための企業の取り組み、こういったことを後押しするなど、周知啓発や支援にも努めていきたいというふうに考えているところであります。
○高橋(千)委員 資料の二枚目に厚労省のホームページをつけておきましたが、「無期転換ルールで実現する 雇止めの不安がない生活!」となかなか力を入れておりまして、かわいらしいイラストで、「平成三十年四月まであと百三十日」とカウントダウンをしております。これをプリントアウトしたのが二日前でしたので、きょうはあと百二十八日ということになると思うんですけれども、そういうわくわくして待つ状況ならいいんですよね。そうなっていないから今問題にしているんですけれども。
 東北大学の非正規職員の大量雇いどめ問題について、ことし三月二十四日の本委員会で指摘をいたしました。
 実は、組合の方たちは、今私が紹介した、無期になっても処遇が変わるわけじゃないことは知っているんです。だけれども、でも雇用の安定が欲しい、無期というだけでもよいと言ったんですね。やはり雇用の安定がまず第一歩というのは、そのとおりだったと思うんです、労働者にとって。それはとてもよくわかりました。
 ところが、東北大学は、二〇一四年の四月に就業規則を変更し、これまでは更新の上限は三年と決めていたんです、決めていたんだけれども、実際は、協議の上更新をして、長く反復更新をしていました。だけれども、これを更新は五年までとして、もうこれ以上しないということを決めてしまったんですね。
 ただし、二〇一四年からそれを始めますと二〇一九年で五年目を迎えますので、無期転換ルールにかかっちゃう。なので、就業規則を決めたときに、あろうことか、一年さかのぼって、つまり過去に戻って、この契約は二〇一三年四月から始まったと変更してしまったんですよね。それで、来年四月で、ちょうどよく雇いどめになると。これはちょっと幾ら何でもひどいんじゃないかという指摘をしたわけです。
 三千二百名を超える非常勤職員のうち、来年四月で千百三十八名が期限を迎えます。大学側は、三年上限を五年にしたんだから不利益変更ではないと説明したんですね。だけれども、今までは更新ありとあったものを、例外はないと言い切っているんですから、これは不利益変更ではないかと思うんですね。
 まして、労契法の第十一条には、就業規則の変更手続に関しては労働基準法九十条の定めによるとあるんですね。九十条というのは、就業規則を変更するときあるいは作成するときは組合または過半数代表の意見を聞かなければならない。そして第二項には、使用者はその聞いた意見を書面を添付して届けなきゃいけないとなっているわけですよね。
 局長に伺いますが、東北大学の手続は適正だったのでしょうか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 労働基準法第九十条におきましては、今御指摘もございましたように、就業規則を作成、変更した場合には、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその組合、そういった組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならないというふうにされております。
 また、就業規則を作成、変更する場合には、これを労働基準監督署に届け出なければいけないわけでございますけれども、その際には意見を記した書面を添付しなければならないこととされておりますけれども、具体の事案につきましては、個別の事案でございますので、御回答を差し控えさせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 三月の質問のときにも、私、組合は知らなかったと言っていると指摘をしました。そのときに、個々に司法が判断するというふうな答弁をされたと思うんですけれども、改めて確認したいのは、これは一般論でいいんです。組合が知らないけれども、もうこれは変更されていましたよとなったら、届け出しなきゃいけないんですから、添付しなきゃいけないんですから、これは違反になるということで、一般論でお答えください。どうですか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 就業規則の変更の効力につきましては、労働基準法と別に労働契約法の規定がございますので、それに従いまして判断がされることとなるというふうに考えております。
 それとは別に、今申しましたような労働基準法第九十条の規定があって、それは遵守していただかなければならないということかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今、精いっぱいのお答えだったかと思っております。そういうことだと思うんですね。遵守をしていただかなければならないということですから、個々に見ていただきたい。私は遵守していないと思います。
 そこで、資料の三枚目を見ていただきたいんですが、宮城労働局も大変頑張っているんですね。「はじまります!無期転換ルール」、これは「地下鉄・窓ガラスステッカー」と書いてありますので、地下鉄に張ってあるのかなと。結構目立つように頑張っているわけなんです。
 それから、無期転換ルールについて、下の方に、知っている七七%、導入済み三七%ということで、これは全国の調査では、知らない、あるいは、制度改正は知っているけれども中身は知らないというのが四〇・九%ですから、それに比べると周知が進んでいるということになると思うんです。そういう努力をしていると思います。
 だけれども、そのことによって、制度はよく知っている、だからそれを悪用しちゃったということになっては、労働局としても大変不名誉なことではないかと思うんです。
 そこで、文科省に伺います。
 三月の質問のときに、昨年十二月に、各国立大学法人、八十六ありますけれども、無期転換ルールの対応方針を調査した、その結果はまだまとめ中ということで答弁がなかったわけでありますけれども、一体どれだけの非正規雇用職員がいるのかなということと、対応状況、無期転換をもうした、するよと決めたところもあると思いますが、簡潔にお願いします。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
 文部科学省といたしましても、国立大学法人の職員の雇用形態は、労働関係法令に従って、各国立大学法人が経営方針等に基づき適切に定めるべきものであると考えております。そして、文部科学省としても、この改正労働契約法の趣旨を踏まえ、各国立大学法人が適切に対応いただくようお願いしてきております。
 御質問の、各国立大学法人及び大学共同利用機関法人における無期転換ルールへの対応状況に関する調査についてでございます。
 平成二十九年三月三十一日時点では、例えば、一、業務の専門性や特殊性を考慮して職種によって異なる対応を行う法人、あるいは、二、契約更新に原則として通算五年以内の上限を設けるが、一定の要件を満たした場合に通算五年を超える更新を認める法人、三、契約更新に上限を設けない法人、これらそれぞれございまして、各法人の実態に応じて対応をしていると承知しております。
 いずれにいたしましても、文部科学省としては、国立大学法人等に対して、今後も必要に応じて情報提供等の支援を行ってまいる所存でございます。
 なお、雇用期間が通算五年以上となる有期雇用職員数については、現在、調査結果を精査中でございますので、恐縮ですが、回答を差し控えさせていただきます。
○高橋(千)委員 あのときに資料は公表していただくというお約束をいただいたので、いただいた資料を見ますと、上限を設けない、つまり、無期転換になると思うんですが、六法人あったと思うんですね。
 そのときは、ずっと見ていきますと、秋田大学、浜松医科大学、愛知教育大学、京都教育大学、三重大学、奈良教育大学とあったと思います。その後、名古屋大学や山形大学などが、事実上無期転換を行うということを発表しているということではないかなと思っているんです。
 それは事実でいいと思うんですけれども、その後の対応、要するに、もう一度調査をするとか、何か考えていましたら一言お願いします。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
 この調査を全体についていたしまして、今後、この適用に向けて、各大学個別の取り組みをしてまいると思います。
 この基礎データがそろっておりますので、必要に応じて、しっかりと大学等にこの趣旨が伝わるようにやってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 もう一度局長に伺うんですけれども、この調査に対して、東北大学は、契約更新に通算五年の上限を設けるが、別途の無期転換制度が既にあると答えているんです。大変驚きました。
 別途の無期転換制度、つまり、対等だということですよね、今の無期転換ルールと。では、何かというと、一つは、もともと上限がなかった方たちがいらっしゃいます。一九八〇年七月以前の採用とか、そういう方たちは一割に満たないんですが、いるんです。だから、これは聞いていることとは別枠なんですね。
 では、一般の非正規職員に対しては限定正職員制度を導入する予定であると答えています。しかし、この限定正職員、もう八月に締め切っていますが、採用規模がどの程度のものなのか、発表されていません。千百三十八名が雇いどめになる一方で、そのうち、例えば数十名ですよ、あるいは半分とか限定正社員になった、あるいは新規の募集に入れかわったとなれば、これが別途の無期転換制度があるということとは言えない、全く別の次元の問題であるというふうに思いますが、これも一般論でお答えください。どうですか。
○山越政府参考人 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、有期労働契約で働く方を無期雇用に転換する仕組みを設けます場合において、どのような方を無期雇用に転換するかということは、それぞれの企業において定めていただくべき事柄であるというふうに考えておりまして、行政としては、その適否について申し上げる立場にはないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、労働契約法第十八条でございますけれども、これは有期労働契約の濫用的な利用を抑制するものでございますので、各企業におかれましては、こうした法の趣旨を踏まえていただきまして、適切に御対応をいただきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、労働契約法に基づく無期転換制度は一切使わない、限定正社員を、かわりの別途の制度があると言っていることは、それは正しくないですよね。それで採用される人がいたとしても、それで無期転換を補ったとか、あるいはかわりになったということにはなりませんよねということだけを今聞いています。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 労働契約法第十八条でございますけれども、これは、五年を超えて有期労働契約が反復更新されている場合に無期雇用に転換する申込権を認められるという制度でございまして、こうした場合には、この権利がいずれにしても発生するということでございますので、そういうことかというふうに思います。
○高橋(千)委員 ですから、やらないと言っているんです。一切対象はない、やらないと言っています。
 前はやっていました。やるつもりだったけれども、今やめている、やらない。そのかわり、今言っているように、別途の制度があるといって限定正社員にすると言っているんだから、それは違うでしょうということを言っているんです。そうじゃないですか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 無期転換制度を設けるかどうかというのは、労働契約法等に定められている問題ではございませんので、これは労働契約法第十八条に定める無期転換ルールとはまた別途のものだというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、無期転換ルールとか雇いどめ法理につきましては、これは労働契約法で定めます民事法規でございますので、この問題については司法において判断されるべき問題だというふうに私どもは考えているところでございます。
○高橋(千)委員 そういうことなんです。別途のものなんです。だから、それで採用される人が一部にあったとしても、無期転換を設けたからいいんだ、かわりになったということではない。そのことだけを確認させていただきました。
 実際に申し込んだけれども、採用枠がないからと言われて、上司から判こをもらえなかった人もいるんですね。たくさんいます。だったら就職活動した方がよかったよ、退職するしかないと、悔しい声が聞こえています。これで別途制度を設けたなんて言わせてはなりません。
 名古屋大学では、財政は厳しいけれども、法の趣旨と働く人々の意向も踏まえたと答えているんです。そういう立場に立っていただきたいと思います。
 東北大学は、学部生と大学院生合わせて約一万七千名の学生を抱え、正規職員は六千二百名。合わせると一万名の雇用なんですね、教職員。本当に地域経済にとっても多大な影響があります。
 二〇一三年五月の人事改革プロジェクトチームの報告書の中でも、正規職員の削減を非正規で補ってきたことによって、もう臨時的とは言えない労働力になってきている、スキルの蓄積にも支障を来している、こういうことを大学自身が言っているんですね。
 私は、やはりこの立場に立って本当に本来の役割を果たしてほしい、雇用を守るということが大学の発展にとっても大事なことなんだという立場で援助していただきたいということを、文科省にも厚労省にも求めたいと思います。
 きょうはもう一つ質問があるので、ここは要望にとどめたいと思います。審議官、もしよければ退席されても結構です。
 次に、建設アスベスト訴訟について質問をいたします。
 資料の5は、十月二十八日の神奈川新聞。東京高裁が国と建材メーカー四社に対して賠償命令を出したと報じております。これは十四件、全国で集団訴訟が起こっておりますけれども、二審としては初めての判決であること、メーカーの賠償責任を認めたのは三度目、国に対しては、時期は少しずつずれてはいるんですけれども、原告の七連勝、ほぼ確定と言えるのではないでしょうか。
 十年に及ぶ裁判の中、首都圏の原告五百四十二名中三百八十五名が既に死亡されています。これ以上裁判を長引かせるのではなく、政治決着をしてほしいと原告らは求めておりますが、大臣の所見をお願いします。
○加藤国務大臣 今のものは横浜建設アスベスト訴訟一陣と二陣と言われるものでありますけれども、現在、国としては上訴しているところでございます。
 この上訴した理由としては、国はその時々の知見に応じて適時かつ適切に措置を講じて、あるいは強化してきた、そして、過去の最高裁判決に照らせば、国の規制権限の不行使が違法であったとは言えないというふうに考えられること、また、これ以外にも訴訟がございます、そういった影響等を勘案し、関係省庁で調整をした結果として、上級審の統一的判断を求めるべきであるという結論に至っているところでございます。
○高橋(千)委員 そうおっしゃると思っているわけですが、続けて聞きたいと思います。
 石綿肺については五〇年代、肺がんや中皮腫などは七〇年代に、石綿との因果関係があると医学的知見は確立されておりました。一九七二年にILOあるいはWHOが石綿による発がん性を指摘したにもかかわらず、一九七四年には石綿の輸入量は三十五万二千百十トンで、ピークに達しておりました。石綿使用禁止とされたのはそれから三十年後と、余りにも遅過ぎると思います。
 昨年度の石綿関連の労災請求件数は千百六件で前年比四%増、支給決定件数も九百八十一件、一・二%増と、今もふえております。
 資料の7に、これはわかる限りさかのぼってもらって、一九七九年、十九件から始まっていますけれども、ずっとコンスタントにあって、二〇一六年の速報値で千五十五件とあるわけです。救済法による特別遺族給付金も、これは二〇〇六年から始まっていますけれども、トータルで千五百四十件が労災認定されております。
 めくっていただいて、そのうち、死亡数を出していただいたのが最後の資料なんですが、これは昭和三十八年、一九六三年からさかのぼるわけですね。そして、今、一万九百七十三名で、そのうち女性が三百四十名もいるというのもかなり衝撃で、多分、製造の現場ですとか、さまざまなところであったのかなと思っております。
 十年から四十年とも言われる長期潜伏期間、震災による解体工事などで石綿暴露が懸念されるなど、まだまだ石綿による症状だと気づいていない潜在的な患者、あるいは亡くなった方、今後も発症するであろう患者は相当数いると思います。大臣は、その認識を共有されるでしょうか。
○加藤国務大臣 今、委員からも御指摘がありましたけれども、この石綿による疾病は、石綿を吸ってから非常に長い年月を経て発症することが特徴で、例えば中皮腫の場合には、多くが三十五年前後という長い潜伏期間の後に発症するというふうに承知をしておりまして、ここ十年間の石綿による疾病の労災請求件数、委員のお示しいただいた資料にもありますように、千件台で推移をしておりまして、過去の石綿の使用状況や三十五年という潜伏期間を考えますと、今後も同水準で推移していくのではないか、こういうふうに見ているところでございます。
 いずれにしても、石綿による疾病の労災請求に関しては、迅速かつ適正な決定に取り組んでいきたいと考えております。
○高橋(千)委員 まず、同水準で推移していくのではないかという認識が示されたと思います。
 昨年度の石綿関連労災の統計で見ますと、五五・五%が建設業なんですね。輸入石綿の大部分が建材に使用されたために、建設業従事者が最大の石綿被害者とも言えるのではないか。
 ただ、一人親方が労働者ではないとして認められてきませんでした。ダクトや配管工、保温工など、それぞれ同じ現場で働いていたのに、労働者ではないからと認められないのは理不尽だと思います。また、メーカーとの関係では全く区別がないと思うんですね。
 そうした中、今回の高裁判決では、一人親方でも実質の働き方の形態を見て、例えばもう工務店を退職しているんだけれども、それは工務店の都合によって依願退職であったものだから、その後も同じ仕事をしていましたとか、そういう人を国の責任は八年とちゃんと認めている。そういうことがやられているんですね。
 ことし、国土交通委員会で、議員立法で建設従事者の健康安全確保法、もう出されて今通っておりますし、そういう点でも、一人親方に対してのやはり救済というのが非常に注目されるのではないかと思うんです。
 もう一つ興味深いのは、メーカーの共同不法行為、これは立証されませんでした。大変厳しい。それぞれに、一人一人、場所が違うし、いろいろなところに行っていろいろな建材を使っているということで、これまでにない特質を有すると明記をしているんですね、判決文の中に。だけれども、例えば当時のシェアとかそういうのを見て、四十三社のうち四社を絞り込んでいった。そういう点では、私は大変ヒントになる、こういう手法というのは。別に高裁判決だけがそれができたのではなくて、一審の判決を踏襲しながら認めているんです。ここがとても大事なところですね。
 そこで言いたいことは、原告らが求めている給付金制度、メーカーを絞り込むのは困難という壁も破ったし、一人親方についても一定の見解が示されました。こういうことをヒントにして、やはり国とメーカーの共同責任で救済制度に踏み込んでいくべきではないか。いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 基本的には、先ほど申し上げた答弁に尽きるところでございます。
 また、一人親方等について、係争中の案件でありますから、その中身についてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
 ただ、いずれにしても、国としては、労災保険による補償制度、あるいは住民に対する石綿健康被害救済制度、こういった制度を設けておるところでありますので、こうした制度をしっかり周知し、その救済制度の実施にしっかりとまずは取り組んでいきたい、こう考えております。
○高橋(千)委員 これで終わりますが、原告らの交渉の場で、今回の責任が問われたメーカーの皆さんは、国が言ってくれれば自分たちも考えるということを言っておりますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたい、このことを強く求めて終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

 

――資料――

2017年11月24日衆院厚生労働委員会提出資料

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