国会質問

質問日:2011年 7月 8日 第177国会 厚生労働委員会

予防接種法改正案

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、予防接種法の改正論議の中で、定期接種化が期待されているHibワクチン、肺炎球菌ワクチンなどについて質問したいと思います。

 国会請願あるいは自治体決議など、同ワクチンの定期接種化を求める保護者らの運動が実って、二〇一〇年度補正予算で、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンの三種について公費助成制度が始まっているところであります。例えば、そうした運動をしてきたお母さんたちの声を聞いてみますと、このように述べております。

 愛知県で、五歳と十一カ月のお子さんがいるお母さん。Hibワクチンが解禁になったころは、まだ自治体の助成がついていなくて、一回一万円、二回二万円、小児用肺炎球菌と二種類で全部で四万円、経済的に余裕がなくて断念していた。下の子のときは、病院から無料になりますよと教えてもらったので、実施される一月を待って予約をした。予約が殺到し、夏まで待たされ、七月になってから早速打ってきました。やはり、自己負担もなく接種を受けられるのが一番助かっている、今後もなくさないでほしい、そういう声であります。

 あるいは、東京・品川区のお母さんは、保育園に張り紙がしてあり、お母さんたちの話題になって、早速受けに行った。ちょうどインフルエンザがはやっていたときで、それにもお金がかかり、本当によかった。水ぼうそうの予防接種に一万円近くかかったお母さんもいて、やはり同じ感想だった。ワクチンが自費だと、収入によってどうしても、受けられる子、受けられない子が出てくる。その差はなくしてほしい。助成は絶対継続してほしい。

 また、神奈川県のお母さんは、もうすぐ助成が実現しそうという情報を聞いて、それまで待って受けた。やっぱり費用がネックだと自治体に訴えたら、係の人からも、若いお母さんの生の声が聞けてよかったと言われた、このように述べています。地方自治体も子供の健康を守るために歓迎している、そういう様子が受け取れると思います。

 私は、今回の公費助成が本当に喜ばれていること、同時に、無料になるということがわかって、それが実際になるまで待って接種をするというように、いかに経済的負担が大きかったのかということも読み取れるのかなと思います。

 こうして歓迎の声が広がる一方、来年度の助成継続を、どうなるんだろうと心配している声が上がっております。ぜひ続けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○岡本大臣政務官 私も先般、地元の各自治体の要望をそれぞれ聞きました。うちのところは、市町村、村まであるんですけれども、首長さんの皆さん、この話、必ず出されます。

 私も、当然、こうやって事業化されているこのワクチン接種事業、できるだけ継続を、どういう形かというのは議論があります、定期接種化するかどうかというのは議論がありますが、結果として、子供さんが、その保護者の負担を少なくする形で接種ができれば望ましいなとは思っておりますが、これについては、今お話をしましたいわゆる財源の問題、それから、定期接種化するかどうかといったいわゆる制度的な問題等、議論の余地が残っております。

 これから二十四年度の概算要求が始まると承知をしておりますけれども、こういった中でどう取り扱っていくか。厚生労働省としても、引き続きこれらの事業ができるように、予防接種ができるように関係省庁と調整して、努力していきたいというふうに思っておりますが、委員の皆様からも御声援をいただきたい、御支援をいただきたいと思います。

○高橋(千)委員 今の答えぶりは、少なくとも悪くはならないだろう、今よりよくなるか、続くかというように受け取れたわけであります。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 これらのワクチンについては、昨年の十月六日、厚生科学審議会予防接種部会でも、早期に定期接種すべきと意見書を出しているところであり、次の予防接種法の抜本改正が待たれていると思います。

 ただ、心配しているのは、請願の中身も、要望してきたことも定期接種化ということなのでありますけれども、それが実際になってしまいますと、他の予防接種との並びでいうと、低所得者対策として三割程度の交付税措置しか今はやられていないわけですよね。そうすると、半額助成している今の助成制度よりも自治体負担が大きくなってしまう。それで、また自己負担だの利用者負担なんということになっては困るなと思いますけれども、これはいかがでしょうか。

○岡本大臣政務官 先ほど御答弁させていただきましたように、財源の問題というのがどうしてもこういった課題にはあるわけでありまして、この財源問題をどう克服するかというのは大きな課題であります。

 いずれにしても、ワクチン接種が引き続き実施できるよう努力はしていきたいというふうに考えておりますが、市町村の費用負担も大きな課題となります。接種に際しては、ワクチンの代金と、やはり接種にかかわる手技料、技術料、こういったもの、事務費等、さまざま費用があるわけでありまして、こういった費用を一つ一つしっかり見ながら、この接種に係る財源との比較をしていきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 この公費助成をつくったときに、自治体が助成制度をつくらないと支援がないわけですから、一気に広がって、現在、ほとんどの自治体が利用者負担がないところまで来たわけですよね。やはりそういう運動があって、地方の独自の助成制度が広がって、そこで国として初めて公費助成になった。ところが、最終的に決着が、また何か自治体負担の方が多い方に決着するということでは、やはりとても残念である。せっかくここまでは到達したわけですから、その水準を下げないということが最低必要ではないかと思うんです。

 そこで、大臣にぜひ決意を伺いたいと思うんですが、補正予算を、先ほど岡本政務官もお話しされたように、どこへ行っても言われるわけですよ、要望が出る。だけれども、毎回継続になるんだろうかと心配をするのではなくて、やはりきちんと予防接種法で位置づけて、定期接種化が望ましいと思うんです。その点についてどうかということと、ただ、そのことによって今より自治体負担が大きくなっちゃう、それで利用者に負担がはね返ってくるということはやはり避けるべきだと思うんです。ワクチンによって救える子供の命を本当に守るためには、定期接種化に際しても現行水準は維持すべきだというふうに思いますけれども、大臣に伺いたいと思います。

○細川国務大臣 現行の予防接種制度の定期接種というのは、これは委員御承知のように自治事務となっておりまして、全額地方負担というふうになりますが、市町村の判断によって、低所得者を除いて実費徴収が可能である、こういうことになっております。

 一方で、先ほどお話がありましたような、二十二年度補正予算におきまして創設をいたしました子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの基金事業において、緊急に一通り接種を推進するために国が費用の半分を負担いたしているところでございます。

 この基金事業が終了する平成二十四年四月以降、これらのワクチンの接種を引き続き実施できるように、私としても最大の努力をしてまいりたいというふうに考えておりますが、その際、市町村の費用負担や実費徴収のあり方も大きな課題の一つというふうに認識をいたしております。

 岡本政務官からのお話もありましたように、この財源の問題、恒久的な財源の確保や国と地方の役割分担、これらも含めまして、いろいろと調整をしながら、これに対してはしっかり対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 なかなか、何と受けとめたらいいのかというのもありますが、やはり今避難所の、いまだに、本当に暑い季節に入ってまだ避難所が解消されていない、感染症の広がりも大変心配されている中で、ワクチンを打てないだろうか、ちゃんと対応されているだろうか、そういうお医者さん方の心配の声も上がっているし、現場からの要望も上がっている。そういう中で、自治体が来年度の予算に向けて、どうなるんだろうという心配もされているわけであります。

 ですから、確かに財源の問題、すべてはそこに話が行ってしまうわけでありますけれども、やはり子供の命を、守るべくして守れる命を守るという大前提からせっかく始まった事業でありますので、この水準を落とさないという中で本当に定期接種化を目指していきたいということを重ねて指摘をしたいなと思っています。

 日本の予防接種行政が世界の大勢から見ても二十年おくれている、このことは重ねて指摘をされてきたところであります。

 予防接種部会の下に置かれているワクチン評価に関する小委員会が、ことしの、それもちょうど三月十一日に、Hibなども含め七種のワクチンの接種促進を指摘しておりました。これには、先ほど来、またこれまでも古屋委員が繰り返し取り上げていらっしゃった不活化ワクチンへの切りかえなども指摘をされているわけであります。本当に思い切って進めていただきたいと思います。

 同時に、世界で重要視をされ、定期接種化が進んでいる疾患の現状を国として把握する仕組みを持つ、このことも大変重要ではないかと思っております。

 細菌性髄膜炎の大半を占めるHibや肺炎球菌による髄膜炎の発生件数、水痘脳炎あるいは全身感染による年間死亡数、おたふく風邪による難聴の発生数などの把握、これらはどのようになっているでしょうか。また、先進国ではどういう状況であるでしょうか。

○岡本大臣政務官 今御指摘のありましたような感染症のサーベイランスというのは大変重要でありまして、どういう感染症が世界のどういう地域でどうはやっているか、先ほどもちょっとお話をしましたけれども、そういったことをサーベイランスしていくということは重要だというふうに考えています。

 国内においてのサーベイランスも今やっておりまして、細菌性髄膜炎、それから水痘及びおたふく風邪については、感染症法に基づいて、定点医療機関に対し、受診した患者数の報告を求めて、全数ではありませんけれども、その発生状況を把握しております。

 それによりますと、年間の報告数は、おたふく風邪は十八万人、水痘は二十三万人、いずれもおおよその数でありますが、細菌性髄膜炎は約五百人、こういうことで報告をされているところであります。

 また、先進国におきましては、例えばイギリスにおいては、Hib、肺炎球菌、おたふく風邪については、予防接種対象疾病とされており、サーベイランスが行われておりますが、水痘については、予防接種対象疾病ではなくて、サーベイランスも行われていないと承知をしております。

 また、水痘脳炎についてお尋ねがありました。水痘脳炎やあるいは全身感染による死亡者数、おたふく風邪による難聴の発生数については、日本でも、イギリスにおいても、制度としての把握を行っているところではございません。

 今後とも、すべての疾患を調べるというわけにはいきませんが、疾患の重篤性や希少性、そして、予防接種対象疾病であるか否か等を総合的に勘案しながら、対象を選定し、サーベイランスをしていく、こういったことになろうかと思っております。

○高橋(千)委員 今お話があったように、定点観測であって全数把握ではないということ、また、サーベイランスの重要性についてはお話があったかと思います。イギリスで既にやっているような全数把握というのをなるべくやっていくべきではないか、このように思うんです。

 今、例えば、おたふくが十八万人とか、水痘が二十三万人、あるいは細菌性髄膜炎が五百人などという数字が幾つか紹介をされたと思います。これは、ワクチン評価に関する小委員会報告書の中にも、この定点観測を踏まえて、例えばHibであると、五歳未満児に髄膜炎が約四百例、髄膜炎以外の侵襲性感染症が約二百から三百例などという数字はあるんですけれども、実数より過小評価の可能性もある、こういうことがただし書きで書いてあります。

 やはりこういうことをきちんとつかんでいくこと、それが、要するにワクチンの必要性について、いよいよもって大事だねということはもちろんそうでありますし、ワクチンで避けられない健康被害という問題もございますけれども、サーベイランスがしっかりやられていくことと、ワクチンの再評価ということがきちんとできていくことが大事だということも報告書にも指摘をされておりますし、そういう仕組みをなるべくつくっていくべきだというふうに要望したいなと思いますが、もし、もう一言あれば。

○岡本大臣政務官 なかなか全数把握というのは難しいところがあると思います。医師に過剰な負担をかけるということにもなりかねないことでもありますし、ましてや、報告しなければそれに罰則をかけるというようなことになってくると、さらにその負担感は強くなると思います。

 英国においても、現実的には、公衆衛生条例により医師は報告を義務づけられているものの、罰則力がないために、届けると報奨金がもらえる、届け出ればお金がむしろもらえるという仕組みでやっているようですが、届け出が実際よりも下回っているのではないかという推計があるぐらいでありまして、なかなか全数把握というのは難しいというところがあります。

 ただ、いわゆる推移、トレンドというものは見ていかなきゃいけないというふうには思います。したがって、決められた定数の定点観測の中でトレンドを見ていく、これはインフルエンザも同様でありますけれども、トレンドを見ていきながら対応していくという意味においてのサーベイランス、これはしっかりやっていきたいと思っております。

○高橋(千)委員 最後の言葉ですけれども、なるべく実態が本当に全数把握に近づくような努力を、トレンドを見つつもやはり重点化を図っていくという努力をしていただきたいということを重ねて要望したいなと思います。

 次に、抗がん剤による副作用被害救済制度について伺いたいと思います。

 この問題は、医薬品による健康被害救済制度は抗がん剤が対象外となっているということで、薬害肝炎の訴訟を通じて「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」という最終提言が昨年出された、その中にも指摘をされたことでありますし、また、イレッサの訴訟を通じても繰り返し要求をされてきたところであります。

 厚労省で現在この検討がどこまで進んでいるのか、伺います。

○岡本大臣政務官 御指摘の現行の医薬品副作用被害救済制度は、医薬品が適正に使用されたにもかかわらず、医薬品の副作用によって健康被害を受けられた方に対して救済を行う制度でありまして、これには抗がん剤が対象から外されております。

 これは、抗がん剤の場合、原疾患自体が重篤であり、他の治療方法がない中、重い副作用があるということを理解した上でもその抗がん剤を使用せざるを得ないという事態が考えられること、それからまた、抗がん剤の副作用と死亡の因果関係の判定が難しいこと、つまり原疾患による死亡であるのかどうかの判定が難しいことなどが想定されることから、これまで対象外としてきたところでありますが、抗がん剤による副作用被害を救済するべきという患者の方々や御家族の御意見もあることから、本年六月二十七日に、第一回抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会を開催いたしまして、検討を開始したところでございます。

 いずれにしても、どういった方々がこういった救済制度の対象になるのかとか、また、先ほどお話をしましたけれども、どのようにこれまで除外をされてきた理由を克服していくことができるのか、どういうような観点で見ていけばいいのかなど、課題が幾つかあると思います。しっかり議論をしていかなければいけないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 六月二十七日に第一回の検討会が立ち上がったということなんですけれども、昨年の最終提言から見ると一年以上かかってようやく検討会ができたというのは、遅きに失したとはいえ、やはり一歩前進だと思います。

 大臣は、一月二十八日のあのイレッサの会見で、患者や家族の心情を重く受けとめ、国民の合意を得るべく十分検討を尽くしたいと述べているわけであります。改めて、救済制度の実現に向けて、大臣の決意を伺いたいと思います。

○細川国務大臣 今、岡本政務官の方からもお話をしたとおりであります。

 今、抗がん剤などについては救済制度の対象になっていない。したがって、遺族の方、患者の方からは、ぜひ対象にしてほしい、こういうお気持ちというのもよく理解もいたしております。ただ、岡本政務官も今お話ししましたように、この点については問題点、論点もございます。そこで、検討会を立ち上げまして、今検討を開始したばかりでございます。そこでよく検討をしていただいて、そして結論を出したい、このように考えております。

○高橋(千)委員 今、大臣の決意と受けとめてよろしいのかということで、ぜひ、課題はあっても、やはりそれを乗り越えていただきたい。それを大臣がしっかりお約束をしたのですから、原告の皆さんの前でお約束をしたのですから、それを本当に乗り越えて実現していただきたいということを重ねて指摘をいたしまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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