国会質問

質問日:2011年 7月 26日 第177国会 東日本大震災復興特別委員会

原子力損害賠償支援機構法案に対する質疑

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 七月十二日の本委員会で、原発推進あるいは原発維持ありきの法案ではないのかということを指摘いたしました。そのときは目的条項について聞いたわけですけれども、改めて法案を読みますと、第四十条「資金援助の申込み」というものがございます。原子力事業者が資金援助を機構に申し込むためには、書類を提出し、並びに機構が事業者と協力して特別事業計画をつくることになっていると思います。これには当然、今後の事業をどうするかという計画も明記する必要があると思います。

 東電は、全国の発電量の中でも三割、原子炉は全国五十四基中十七基で、非常に大きい位置づけにあると思うんです。ですから、この東電の中の原発をどうするのかということが真っ先に問われてくることになるわけです。

 そこで、総理に伺いますが、国は、東電の特別事業計画の中における原発の扱いについて、どのようにされると思っているのか。

○海江田国務大臣 私から高橋委員にお答えをいたします。

 もうこれは言うまでもないことでございますが、今回私どもが出しておりますこの機構法、これの目的というのは三つございます。一つは、迅速確実に損害賠償が行われること、二番目が、原子力発電所の状況の安定化及び事故処理に関する事業者への悪影響の回避ということ、それから三つ目が、電力の安定供給でございます。ですから、特別事業計画を事業者が作成するという場合、この三つの目的に照らして事業計画が適切かどうかということをやはりしっかりと判断をするということでございます。

 原子力発電所のあり方、これについても、政府におけるエネルギー政策の検討状況も踏まえつつ、電力の安定供給の確保の観点から適切に精査をしていくつもりでございます。

○高橋(千)委員 本当はこれは総理に質問したんですけれども、当然、事業計画の中で原子力の位置づけについては書かなければならない、これは確認してよろしいですね。

○海江田国務大臣 ですから、原子力発電所のあり方について、それは当然、政府におけるエネルギー政策の検討状況も踏まえつつ、電力の安定供給の立場から適切かどうかということをしっかり精査をしていくということでございます。

○高橋(千)委員 やはり、これはあいまいにできないわけですね。

 エネルギー計画の見直しということは、いずれやるだろうということをおっしゃっています。私たちは、期限を区切ってゼロを目指すべきだということも言っています。その間の期間が当然あるだろうということなんですけれども、あくまでも東電に対してはどうなのかということはきちんとしなければ、そこをあいまいにして進むということがあってはならないということです。

 それと、海江田大臣は、前に質問をしたときには、リストラを進める、こういう表現をされたわけですけれども、事業計画イコール、いわゆる合理化イコールリストラではないということも言えると思うんですね。

 リストラと言ったときに、やはり電力の場合、特に原子力事業者の場合は、それが本当に最前線の労働者のリストラにつながって、一番危険な原子炉付近の仕事が非正規の労働者に置きかえられている、このことが今の安全軽視のことと本当に密接に結びついていると思うんです。そのことをしっかりと見きわめていただきたい、そのことを踏まえての審査でなければ、あいまいにしてはならないと思うんです。

 いいですか、もし一言あれば。

○海江田国務大臣 それは重々承知をしておりまして、リストラがもう既に計画も一部発表されておりますが、例えば都心部の繁華街にある電力館でありますとか、そういう原子力をPRするようなものについては真っ先にこれを売却するということでございますから、そういうことを先にやって、そして、まさに現場で頑張っておられる方々をくれぐれもそういうリストラの波にさらさないようにということは、私どもも何度もこれは東京電力に伝えてございます。

○高橋(千)委員 昨日の審議でも国の責任について議論をしたわけですけれども、やはり仮払い法案の参議院からいらした提出者の方、自民党の方も公明党の方も、東電と同じ責任があるということがあったかと思うんです。

 私が問題意識として指摘をしてきたのは、機構法案は、形の上では東電を責任者としているんだけれども、やはり国がスポンサーになっている、それは結局、どちらも本当に責任をとっているとは言えないのではないかということです。

 その上で、機構や国が東電の肩がわりをするのではないのだ、できるだけ東電が払う、そのことが大前提だということを確認したい。

○海江田国務大臣 そういう認識でよろしいかと思います。

○高橋(千)委員 確認しました。

 そこで、先ほどの第四十条は、賠償する額が賠償措置額、つまり千二百億だと思いますが、これを超えたときに資金援助を申し込めるというふうに書かれているわけです。そうすると、千二百億円を超えたら直ちに資金援助を申し込めるというふうにも読めなくはないわけですね。

 そうなると、いよいよ一円も東電は出さなくてよくなるということになりますので、そうではないということをさらに確認したいと思います。

○海江田国務大臣 私どもは、今般の補正予算でも二兆円、交付国債の原資というものを計上して、昨日成立をさせていただきましたが、これはあくまでも返していただくということでございますから、資金の融通をするということでございますが、それは東電にしっかりと返済をお願いするものであります。

○高橋(千)委員 返済をお願いする、それと、先ほどの質問に対して、東電がまず先に払えるものは払っていくということとセットであるということで、確認をしたいと思います。

 そこで、官房長官に伺いたいと思うんです。

 きょうも稲わらの問題などが議論をされているわけですけれども、これは指針に入れるか入れないかではなくて、やはり待たずに、やるべきことはもう国が率先してやればいいじゃないか。モニタリング、除染、あるいは健康調査、今の牛の問題にかかわっては、全頭検査、買い上げなどは国がやるべきだと思います。そのことと同時に、この点では福島県と他の県に違いがあってはならない、同じ条件だと思うんです。いかがですか。

○枝野国務大臣 御指摘のとおり、必ずしも紛争審査会の指針を待たずに、やれることはやっていくという方針でございます。

 モニタリングについては、既に関係府省や自治体、事業者、それぞれ役割に応じてさまざまなモニタリングを協力して実施しておりまして、これもできるだけ広範かつ詳細にさらに詰めてまいりたいと思っております。

 除染については、第二次補正予算において、福島県内の全域の市町村が実施する公園や通学路等の線量低減事業と、福島県外も含めて校庭、園庭の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の学校等について設置者が行う土壌に関する放射線低減事業について、それぞれ財政支援を行うこととして、国会の御承認をちょうだいいたしたところでございます。

 健康調査については、第二次補正予算では、福島県が主体となって実施する事業を中長期的に実施するための基金を計上して、全面的に支援することといたしておりますが、その他の県についても、各県ごとの事情をしっかりと踏まえた上で、必要性について相談、検討してまいりたいと思っております。

 牛の出荷については、出荷制限を指示したところでございますが、これに関しては、肉のうち既に流通しているものについて、暫定規制値を下回ったものを除き、買い上げて処分するといった緊急の対策を決定したところでございまして、賠償がどうなるかということにかかわらず、安全、安心、あるいは被害を受けた方々の生活のために必要なことで、できることについては行っておりますし、また、どうしてもまずは福島県からということになりますが、しかし、県外においても必要なことについてはしっかりと進めていくという考え方でございます。

○高橋(千)委員 福島県からではあるが、必要なことは他県についても進めていくというお答えだったと思います。

 やはり、同じ被害を受けているのに他県では支援が受けられない、そういう違いがあってはならないと思いますので、ここはしっかりと確認をしたいと思います。

 ただ、前段にお話しされたいわゆる除染の問題などで、やはり、文部科学省が基準とした毎時一マイクロシーベルト以上のところは国が支援をするけれどもということは、それでよいのかということはさらに要望が上がっているわけですので、そこをちゃんと踏まえていただきたいということは重ねて指摘をして、これは次の機会にまた質問しますので、続けたいと思います。

 そこで、福島県は、全県民の賠償が必要である、そのように訴えております。審査会で、損害の終期、いつまでを損害の時期とするかというのを随分議論していたわけですね。ただ、実際には、終期というのは当然決まらないわけです、まだ収束をしていないわけですから。私は、そのことと同時に、将来の損害ということも考えなければならないなと思います。

 例えば、牛を手放して避難した方が、先日もNHKスペシャルでやっておりました、泣く泣く、見通しが持てない、いつ帰ってこられるかわからない、だからもう牛を手放すしかないと選択した方。でも、国は戻れるようにしたいと言っているわけです。だとすれば、戻れたからといって、一から酪農をやり直すというためには、新たに設備投資をしなければならないわけです。そうすると、その避難していた間だけの支援、損害賠償では済まないことになるわけですよね。

 ですから、こうした再生まで見通したときに、さまざまな制度があるよという羅列ではなく、いわゆる現行制度の枠内ではなく、やはり特別法が必要ではないか。これは福島県も求めているわけですけれども、この点について、ぜひ総理の考えを伺いたいと思います。

○菅内閣総理大臣 今回の原子力発電所の事故により生じる損害については、事故と相当因果関係が認められるものは、原子力損害賠償法に基づいて、東京電力により適切に賠償が行われることになっております。

 また、原子力損害賠償紛争審査会において、現在、賠償すべき原子力損害の範囲について指針を策定中でありますが、この指針においては、原子力事故がいまだ継続中であることから、将来生じる損害についても対象とする内容となっております。

 そのような将来生じる損害に対しても被害者が適切な賠償が受けられるよう万全を期するとの観点から、今般提出した原子力損害賠償支援機構法案をぜひ早期に成立させていただくことが重要だと考えております。

 なお、今後、原子力損害賠償に関する法制度のあり方については、同法の附則にあるとおり、原子力損害の賠償の実施状況等を踏まえ、原子力損害に係る政府の援助のあり方などについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとなっております。

 今御指摘のような問題意識も、私も一つの選択肢としてあり得るかとは思いますが、今申し上げましたように、まずは、こうした損害賠償の実施というものを行った上で考えることになろうと思っております。

○高橋(千)委員 官僚の答弁なのか、ずっと読み物をされていたというのが非常に残念に思います。

 この特別法については、別に今初めて言ったわけではなくて、もう繰り返し指摘をしてきましたし、また、委員会として知事さんに意見を伺いに行ったときも寄せられた要望でございます。やはり従来の枠組みではできないのだ、賠償という枠組みだけでは難しいのだということをちゃんと問題意識として持っていただくことが絶対必要なんだということを重ねて指摘したいなと思います。

 そこで、もう一問用意していますので、海江田大臣に伺いたいと思うんですけれども、第六十五条「政府による資金の交付」についての考え方です。これは参考人質疑でも、電事連の会長は、「この第六十五条に基づく国の支援を積極的に発動していただく」と要望しています。

 この法のつくりとしては、事業者からの一般負担金と特別負担金で二兆円を返済する。これは交付国債であるわけですけれども、それと見合いの額を事業者で負担していく。ただ、これを、いきなりその二兆円をすぐ返せとなると、電気料金ががあっとはね上がることになるわけですので、そこを、そこまでしないように資金を交付するという、真水の投入ということになるのかなと思うんですけれども、ただ、いずれにしても、これは負担増には違いないわけであります。

 ですから、この六十五条の意味合い、また発動のタイミングについてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○海江田国務大臣 今委員御質問のありましたこの一般負担金の場合につきましても、これはコストの計算の中に入れるということでありますが、しかし、私どもは、国民負担の最小化ということを基本的な考え方として持っておりますので、ここはしっかりと守っていきたいというふうに思っております。

 そうした考え方の上に立ちまして、六十五条の問題でございますが、この六十五条というのは、文言をお読みいただければよろしいかと思いますが、「当該事業の利用者に著しい負担を及ぼす過大な額の負担金を定めることとなり、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限り、」と書いてございますから、この法律に書いてございます文言をしっかりと守って、そして具体的な発動のタイミングについては、やはり事故が収束をして損害賠償の全体の像が明らかになった段階で判断すべきものと考えております。

○高橋(千)委員 国民負担の最小化、負担は避けられないということになるわけですけれども、ただ、これは別な形で、電気料金にはね返るのは単純計算すれば二割にはなるだろうなと指摘をされてきたわけですけれども、そこはそこまではしない、しかし、そのかわりに真水の投入ということは、結局税金であり国民の負担であるということで、それを避ける努力をどこまでするのかということもまた問われなければならないと思うんです。

 六月二十五日付の福島民報の社説では、「原発賠償の原資 まず合理化、「埋蔵金」で」として、支援機構法案では、電力会社の負担金として電気料金への転嫁や国が公的資金で支援する仕組みもあり、最後のツケを国民が税金で払わされるおそれもあると指摘しています。これをもっと端的に表現しているのは、「原発事故の賠償対象者が賠償金の一部を自分で支払う矛盾が生じかねない。」こう言っている。つまり、税金投入ですから、賠償してくれと言えば言うほど増税がかぶさってくるということになっては困るんだという指摘だと思うんです。これは、我々も繰り返し指摘をしてきたところでございます。

 この点について、どうですか。

○海江田国務大臣 今のは、まさにこの原子力発電所の事故の被害者であります福島県の方々にとってみれば、そういう主張をされるのはもっともだと思います。

 そういう事情があるわけでございますから、そういうことにならないように全力を尽くしたいということでございます。

○高橋(千)委員 税金投入しか選択肢がないのだということに仮になった場合に、そうすると、全面的に賠償してほしいと福島県が今詳細な要望書を出していますけれども、要するに、そこに歯どめがかかるようなことがあってはならないわけですね。つまり、国民と賠償を求める被害者との間に対立を生み出してはいけないのだということを指摘しているわけであります。

 全国銀行協会の前の会長、奥正之氏の言葉をかりれば、東電は日本のGDPの四〇%を占める大変重要な地域に電気を供給しており、電気をとめるわけにはいかないと言っております。つまり、電気という欠かせないライフラインを地域独占しているがために、東電を破綻させることもできないと。これは、今回はここに風穴をあける、そういう覚悟が必要ではないかということです。

 使用済燃料再処理等積立金、最終処分積立金の活用、事故処理でもうけを拡大させるプラントメーカーの責任、大株主でもあるメガバンクの責任も含めて、徹底した放出をさせるときです。電気を人質に実質破綻している東電を救済し続けるのではなくて、国の介入によって全面賠償と電気の安定供給を両立させるべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。

 以上です。

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