国会質問

質問日:2011年 10月 5日 第178国会 東日本大震災復興特別委員会

仮設住宅の住環境の改善、除染対策

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 大震災と原発事故から半年以上が過ぎましたけれども、まだまだ被災者一人一人の生活の再建、そして復興の道筋が見えてはきておりません。

 日本共産党としても、全国からたくさんの救援ボランティアに応援をいただきながら、また、地元の議員さんは、みずから被災をし、仮設住宅に入っていたり、まだ避難所に入っていらっしゃる方もいます。そういう中で、本当に被災者救援のために奔走されている。そうした姿を見て一緒に頑張ってきたつもりでありますが、やはり国がもっと頑張らなければならない、そのことを強く言わなければならないと思うんです。私たちも、そのためには本当に提言も協力も惜しまない、そういうつもりでありますので、国として本当に決意と明確な答弁をいただきたい、このように思うわけであります。

 さて、九月の末に、先ほど少し紹介がありましたが、応急仮設住宅の住環境改善を求めるプロジェクトチームが、自治体と入居者個人からアンケートを集めて発表をいたしました。そして、寒さ対策、これは県ごとのばらつきが非常に多かったというのがわかったんですけれども、政府は、九月二十八日に通知も出して、断熱材等の追加・補強、畳の設置、エアコンの追加整備、また雪捨て場の配置、こうしたことを行った場合に「災害救助法による国庫負担の対象となる」、ここが大事ですので、ということを通知されたわけです。

 要望も多く、自治体で対応も非常にばらばらなんですね。ですから、本当に東北の冬が乗り越えられるように、しっかり、かつ柔軟に対応すること。そして、仮設住宅にやっと入ったと思ったら、台風で既に床上浸水の方がいらっしゃいます。二重三重に被害のあった方たちへの対応は当然災害救助法で速やかに行う、このことを確認したいと思います。

○小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、九月三十日にアンケートを取りまとめた結果、先ほど御紹介したような、特に寒さに対する多くの御要望がございましたので、エアコンの追加設置、それから窓ガラスの二重化、断熱材の追加など、こうしたことを示しまして、取り組みを強化するように被災県に促しております。

 今委員おっしゃいましたように、被災三県で取り組みにかなりばらつきがございます。岩手県、福島県はかなり取り組まれているのですが、宮城県がちょっといろいろ取り組みがまだというところもありまして、きょう午前中も知事ともお話をさせていただきました。

 それで、今、宮城の方もようやくいろいろできるようになってきたということでございますけれども、そこがいろいろ事務的な要員が足りないというようなお話もございますので、そうしたところへの応援も含めて、しっかりと支援をしながら取り組みを進めたいと思います。

 それから、最後におっしゃいました、台風などで二重三重の被害があった地域につきましては、その被害のあった応急仮設住宅の補修等について、これは当然のこととして、災害救助法の国庫負担の対象とすること、これは関係県には直ちに連絡をしておりますので、二重三重に遭われた方に対してもしっかりとした対応をしていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 あえて私が名指しをしなかったのに大臣が県名をおっしゃいましたけれども、三県のばらつきがないように思いが込められておりましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 政府のアンケートにも、また、私ども、赤旗新聞の調査、また議員団が訪問調査もずっとやっておりますので、やはり出されてくるのは、今後の生活に不安がある、このことであります。

 二年で仮設を出ろといっても、どこに、家がもともとあったところに建てられるのか、国、行政は住まいの展望を示してほしい、二年はすぐ来る、仮設を出た後どうなるのか、公営住宅をつくってほしい、こうした声が出されております。

 私が今回非常に不思議に思ったのは、被災した直後に被災地を歩いていますと、まだ仮設住宅に入る前から、入ると二年なんでしょうということを皆さんおっしゃるんですね。だれかがそれを言ったのかなと思うんですけれども、別に二年で区切っているわけではない、それは三年でも延長できる。だけれども、そのことよりも、なぜそういう思いが出てくるのかということにきちんと着目するべきなんです。

 つまり、自力で家を建てられる当てがない、これをどうしていいかわからないのに、仮設に入っている時間が一定来ますと、一人抜け、二人抜け、自分だけは当てがない、そういう大変焦る気持ちが出てくるんです。だからこそ、大丈夫です、仮設後の住まいはちゃんと確保されているというメッセージを早く出すことが絶対必要なんです。

 そこで、先ほど来議論がありましたけれども、一般の公営住宅よりも補助率が高い災害復興公営住宅、家賃の減免制度もございます、これは大変大事なことで。そういうことで、この復興公営住宅を、必要とする被災者にはすべて提供できるようにつくる、このことを約束していただけるでしょうか、国土交通大臣。

○前田国務大臣 高橋委員の御指摘のとおりでございまして、公営住宅の整備については、一次補正においても既に相当の額を確保しております。さらには、これは当然、執行する自治体の負担のことを考えて、土地代についても補助ができるというふうにいたしました。今のところ……(発言する者あり)ちゃんと実行していないじゃないかというお話もありましたが、自治体の方で、それぞれの自治体が今鋭意取り組んでおりまして、相当の数が今出てきつつあります。

 そして、いずれにしろ、三次補正においてもさらにできるだけの支援をいたしまして、委員が御指摘のように、希望する方々にはちゃんと公営住宅が支給されるように頑張ってまいる所存でございます。

○高橋(千)委員 まず、必要とする被災者にはきちんとということが確認できたと思います。

 着手はまだ非常におくれておりまして、目立っているところで仙台市で二千戸の計画が始まったというくらいであるわけですよね。そういう点で、ここで本当に必要な戸数を確保していくという取り組みが求められるわけです。

 今回非常に注目されているのが、福島県相馬市の公営住宅、今、百六十九戸予定されているということですが、これは二つパターンがありまして、パネルにしましたのは、ひとり暮らしのお年寄りなどがどのくらいいるかということを市の方で調査しまして、これはグループホームのような形をしておりまして、高齢者対応の共同住宅、これをつくる予定である。NPOに委託して、管理者もいるということであります。それから、もう一つのプランは、若い世代が将来払い下げもできるような戸建ての住宅もつくる。こういう二つのことを考えている。

 そうすると、公営住宅を今までみたいに集合住宅型でやりますと、高齢者が集まって、その後の管理が心配だとか、そういうことがこの間あったわけですね、自治体が二の足を踏む。そういう中で、やはりニーズに応じて特色あるものをつくるということがすごく大事ではないか。仮設のときは急いでいましたので、指摘をされてきたように、孤立ですとか、高齢者、障害者優先といって入ってみたらバリアフリーではなかったとか、地域のコミュニティーがばらばらになってしまった、ここを本当に配慮することが大事なわけです。

 そこで要望が出ているのは、四分の三という補助率をさらに引き上げて地方負担を減らすこと、それから、今相馬市も言っていますけれども、払い下げも可能になるように緩和をしてもらいたい。この要望についていかがでしょうか。

○前田国務大臣 今御指摘のことなんですが、一つはもちろん、激甚災害に指定しておりますので、最大限の四分の三ということにしております。もちろん、地元の負担については交付税等で特別の措置もいたしますし、負担の軽減というのは最大限図るつもりであります。

 それから、払い下げの御指摘がございました。四分の一という制約があるというのは委員御存じのとおりでございます。木造であれば、そういう住宅だと木造で三十年ですから四分の一というと七・五年でしょうか、そういったことが短縮できないかという御提案も入っていたと思うんですが、そこは四分の一ということに私どもも余り拘泥せずに、地元の事情で、地元の自治体と入居者あるいは市民とのバランス等も考えた上での御提案であれば、前向きに受けとめてまいりたい、このように思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。

 後段の方はかなり前向きな答弁であったのではないかと思います。これまでの払い下げの期限である七年半、これにこだわらずに、地元のニーズにこたえていきたいということであったかなと思います。やはり、この払い下げ、ある程度の負担をしても自分の家を持ちたい、そういう意欲のあるうちに結論が見えてくるというのが大事だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 もう一つの財政の方がちょっと声が低かったかなという気がするんですけれども、実は、きょう随分議論がされておりましたが、この公営住宅の建設、またまちづくり、これは、土台となる土地をどうするかが最大のかぎになるわけであります。地盤沈下した土地のかさ上げ、それから高台移転、希望がありますが、国がどこまで支援をしてくれるかが見えないために市町村の復興計画がつくれないわけです。先ほど年内には全部出そろうだろうという平野大臣のお話もあったと思うんですが、もっと早くつくるはずだったんだけれども、国の姿勢が見えないということで市町村が待っている事態もあるわけです。

 宅地被害、液状化も含め、復興交付金の中にまちづくりを一体として入れるということが今度の補正の中で検討されているということを聞きました。自由度が高く、ワンストップで、しかも地方負担をなるべく減らすんだというのが復興の基本方針にも書いてありますので、期待をしたいんですけれども、これは一番基本となる問題ですよね。要するに、住まい、土地をどうするのかということ、これをみんな交付金という中に丸め込んでしまうと、本当にできますかということを言わなければならないと私は思うんです。

 だから、必要なことはちゃんと名前をつけて出して、これをやりますということを言って、それ以外に、私は本当は基金がいいなと思っていたんですけれども、自治体が自由に使える自治体独自のお金に組み込んでいくのが大事なのではないか。例えば、一部損壊だけでも五十八万戸数以上あるわけですよね。そういうのに、今、自治体独自の助成制度をやっているわけです。そういうところにも手が回るような仕組みの方が本当はいいのではないかと思うんですが、これは総理に伺います。

○古賀委員長 平野達男復興担当大臣。(高橋(千)委員「呼んでいないんですけれども」と呼ぶ)手を挙げられました。

○平野国務大臣 私は呼ばれなくても出席が義務づけられておりますので、気になさらないでも結構であります。

 復興交付金につきましては、今おっしゃったような高台移転についても交付金の中に含めようと思っております。私は、これを入れたからといって補助率が変わるわけではない、制度が見えなくなるというわけではございません。パッケージとしてお示しした方が自治体は理解をしやすいのではないかというふうに思います。

 あわせて、使い勝手のいい交付金あるいは基金という話は長島委員からも御議論がございましたけれども、使い勝手のいい交付金というのもこの復興交付金の中でぜひ実現をしたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 総理は、九月二十日の閣僚委員会で、復興関連予算について、青天井でいい、しっかりと要求を出していただくと述べたと報道されているわけですね。ですから、予算は青天井だ、出すだけは出したんだけれども、組んでみたら頭打ちということになっては、やはり、メニューだけはそろったんですけれども、できませんよ、つまりこの枠しかとれませんよとなったら、では我慢しなきゃいけないのかいということになりかねないんですね。

 ですから、地方の要請にはこたえていくんだということを一言おっしゃっていただけますか。

○野田内閣総理大臣 基本的には委員の御指摘のとおりです。被災地の実情を踏まえて、被災地のニーズに合わせて事業を行って予算を組んでいくということで、その意味で青天井という言葉を言いました。国が勝手にかさを決めちゃうんじゃなくて、出てくるニーズについてはちゃんとこたえていこうと。

 ただ、これは、とかくありがちなのは、役所が悪乗りをする可能性もありますので、そこは精査しなければなりませんが、被災地の実情をよく踏まえて、必要な事業はしっかりやっていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 悪乗りという表現はどうかとちょっと思いますけれども、本当に必要なものが、しかも待たれていたものが、地震が起きて、津波が起きて、原発事故が起きて、真っ先にやるべきことがここまでおくれたということがあるわけですから、本当に必要なものが青天井に出されたいろいろなものに紛れてできなくなるということがないようにということを重ねて指摘させていただきたい、このように思います。

 さて、福島の皆さんにとっては、やはり仮設住宅の訪問をして尋ねていても、もっと先が見えないということで、深刻な声が寄せられているわけであります。その話をしていきたいと思うんです。

 九月三十日に、緊急時避難準備区域が解除されました。該当する五つの市町村、川内村、広野町、南相馬市、田村市、楢葉町、それぞれ、帰還の目途、これは来年三月というところもあれば来年中にというところもございます。ばらばらですけれども、国が一斉に解除を宣言した理由は何でしょうか。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

○枝野国務大臣 これについては、原子炉の状況で、解除が可能な状況という時期が来ました。それに、その前からなんですが、周辺自治体の皆さんとは、解除されたらどういう段取りでどういうことをすれば実際にお帰りいただけるかということを相談いたしまして、その上で、実際に解除できる状況、環境になった段階で、おおむね一カ月ぐらいをめどに計画を相談しながらつくりましょうということを申し上げました。

 そうしたことの中で、実際に復旧計画をまとめて提出いただいた時期がほぼ同時期でございましたので、だとすると、こっちが早いとかこっちが遅いとかということのずれが出るというよりは、一斉である、どこかにお待ちをいただいたりとか、どこか無理やり急がせてというようなことはなく、ほぼ同じ時期に計画ができ上がったということで、同時期に解除をいたしました。

 そのかわり、それぞれの地域の事情に応じて、その計画の中で、御指摘いただいたとおり、実際にお帰りいただける時期等については、これはずれが出ているということでございます。

○高橋(千)委員 今回の緊急時避難準備区域の設定が、やはり原子炉の安定性に着目して、避難に余裕を持たせる区域指定である、ですから直接放射能の汚染とリンクしているわけではないというのが説明であったのかなと思うわけですね。

 しかし、それに向けて、五市町村の全部の復旧計画が手元にございますけれども、それぞれの市町村が計画を出した。一番最初に出して、来年の三月に帰りますと宣言した川内村の遠藤村長は、自分たちが出さなければやはり国がその気にならない、そういう決意でつくったということをおっしゃっておりました。

 やはり、これは四月に指定をしたわけですから、長い時期がかかっていて、いろいろ不自由な暮らしぶり、あるいは矛盾を抱えたままですから、解除イコールもとどおりにならないのは当たり前のことなわけですよね。帰れない、先が見えない、帰っても田んぼや畑はできないと思う、つくっても食べられるかどうかわからない、新鮮な野菜を食べられないのがつらい、生活空間の除染も終わっていないのに解除を言うのは順番が逆、除染をして、安全だから解除するというのが筋だと思う、帰れるものなら戻りたいですが仕事もありません、こういう被災者の声にこたえるべきだと思います。

 南相馬市では、区域内の五つの小中学校が今月再開するようですけれども、児童から戻りますと連絡があったのはわずか十一人のみだったと読売新聞が報じているところであります。こうした実態を本当に受けとめていただきたい。

 そこで、損害賠償が、解除した後の避難は対象にならないということはまず絶対ないということを一つ確認したいということ。それから、自治体の復旧計画は、国の支援なしにはできないということが本当に書かれています。除染だけではないんです。ライフライン、雇用、医療、教育、全般にわたる、これに対してきちんと全面的に支援していくということをおっしゃっていただきたい。

○枝野国務大臣 御指摘いただいたように、解除をしたからといってすぐ帰れるわけではない。除染のこともあります。インフラの整備、復旧のこともあります。

 したがいまして、この解除は、警戒区域で立入禁止のところを解除しましたから、さあ、今まで全く入れなかった人が戻れます、入れますということとは意味が違いまして、まさに解除をして、解除をしたことによって実際の本格的なインフラの復旧であるとか本格的な除染にいよいよ着手をしますということで、したがって、しっかりとした計画に基づいて、具体的に帰っていただく時期について地域の事情に応じた計画をつくっていただいた、こういうものであります。

 そして、当然のことながら、このインフラの復旧であったり、除染はもとよりでありますけれども、こうしたことについては関係各省とも連携をして、しっかりと、財政的な面を含めて、自治体と一体で仕事を進めていかないと、それぞれの自治体、財政的にもそうですし、それから実際に町役場の皆さん、村役場の皆さんも避難をされてきていたりとかという経過、さまざまあります。ここについては万全を期してまいりたいというふうに思っております。

 また、賠償についても、解除をしたから、そこから先、避難をしていることについて賠償の対象にならないとは全くなりません。まずは、そもそも、国も御相談をしてつくった各自治体の計画でございますので、その計画に基づいてお帰りをいただくことが想定されています。さらに、その計画でお帰りいただくという時期についても、無理やり帰るというような線を引くわけではありませんで、ここまでには何とか帰れる状況をつくりますという計画でございます。

 実際に、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針においても、解除から相当期間後に生じた避難費用は特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないと書いてありまして、逆に読みますと、相当の期間の間はしっかりと賠償の対象になります、相当の期間を経過しても特段の事情があれば賠償の対象になりますと言っております。

 具体的期間等については、今後、これは文部科学省の審査会において指針について検討をしていただけるものというふうに思っております。

○高橋(千)委員 ここは反論しないつもりでしたけれども、最後にちょっと大臣が長くおっしゃいましたので一言言っておきたいんですけれども、相当の期間というふうにおっしゃいました。これは、どっちでもとれる表現なんですね。やはり、緊急時避難準備区域を設定するときに、いわき市の一部が外れましたよね。ただ解除しただけですかと聞いたら、その後四カ月ですか、同じように対象になりますということが指針に基づく結果でありました。それが相当の期間だと言われては、来年中に帰れるかどうかと言っているのに、それでは困るわけです。

 そういうことを含めて指摘をしましたので、避難の実態が続いている、町としてまだ復旧しましたと宣言できる段階ではないのですから、そこを踏まえていただくということでいいですね。

○枝野国務大臣 今の相当の期間のその視点は、町や村で立てていただいた計画でこのころに帰りましょうと言っている時期から計算して、考えて相当な期間ということであると私は認識をしておりますので、解除からではありません。

○高橋(千)委員 はい、確認をいたしました。

 そこで、まず、条件となる除染の問題がやはりあるわけですけれども、二十八日に政府が、線量率が五ミリシーベルト未満の地域は国の財政支援はしないと発言したことが伝えられて、大きな怒りと混乱をもたらしました、その後訂正をされたわけでありますけれども。原発に最も近い警戒区域や、あるいは今回の計画的避難区域、飯舘村などを国直轄で除染を行うのは当然のことだと思うわけです。問題は、それ以外の地域についても徹底した除染を行って、内部被曝を本当に避けるということが共通した願いであると思います。

 八月二十六日の、対策本部が出した除染推進に向けた考え方、これによれば、推定年間被曝線量が二十ミリシーベルトを下回っている地域においても、市町村、住民の協力を得つつ、効果的な除染を実施し、推定年間被曝線量が一ミリシーベルトに近づくことを目指す、また、子供の生活圏の徹底的な除染を優先し、一日も早く一ミリシーベルトに近づき、さらにそれを下回ることを目指すというのが確認だったと思います。

 ですから、一ミリにいけばよいという意味ではないのだ、さらに下回るということが目標なんだということを確認したいんですね。

 そういう中で、五ミリという突然こういう数字が取りざたされるのは、除染しなければならない地域を何かできるだけ小さくしたい財政の事情があるのかなと。それで、福島の外はもう対象じゃないよ、あるいは福島の中でも対象じゃないところがあるよ、そういうねらいが見え隠れするわけであります。

 そこで、総理に伺いたいんですけれども、放射能の被害の範囲が大量でかつ広範囲だ、大変だ、だからといって、これまで言ってきた基準を緩和するなんということは絶対あってはならないと思いますが、いかがでしょうか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

○野田内閣総理大臣 間違ったメッセージが出たことは深くおわびを申し上げたいと思います。

 除染に関する緊急実施基本方針において、これは、福島県の内外かかわらず、除染の長期的目標を一ミリシーベルト以下として、国として責任を持って除染に取り組んでいくというこの基本方針は変わりません。

 このため、国は、おおむね一ミリシーベルト以上の地域について、市町村の行う除染への支援を行うこととしております。

 まずは、除染に関する優先順位等、県や市町村からの具体的な御要望をしっかりお伺いをした上で、必要な対応をしていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 今のお話は、一ミリでよしとしない、それ以下も目指していくんだということであったと思います。

 そうすれば、今、一ミリシーベルトを換算しますと〇・二三マイクロシーベルト毎時ですので、これを超えているのは千葉などにもたくさんございますし、当然、福島県だけでは足りないのだということになります。

 資料の二枚目に「予備費による事業の全体の流れ」というものがございますが、よく言われている、予備費で二千二百億除染に使いますよと言ってきましたが、そのうち千八百億円は基金でございます。福島県のみでございます。しかも、福島県にしても余りにも小さいという声が既に上がっています。「福島県外を含む」というところを見ていきますと、全体で、先ほどの農業系廃棄物処理なども入れて百八十億円。ホットスポットだけだと、本当に限られてくるなと思うわけです。

 ですから、この枠を大きく超えていくんだということを一言言っていただけますでしょうか。

○細野国務大臣 先ほど野田総理からもありましたけれども、間違ったメッセージが出てしまったことについては、本当に申しわけないというふうに思っております。

 ただ、五ミリシーベルト以下を財政支援しないと言ったわけではないんです。やり方についていろいろな条件を付すようなそういった表現があったものですから誤解を与えてしまったということでございます。重ねておわびを申し上げたいと思います。

 財政的な枠組みをしっかり確保することは極めて重要でございまして、二次補正や三次補正、さらには来年度の予算、さらに二十五年度の債務負担行為を合わせると一兆一千四百億円というかなりまとめた予算をとっておりますので、それで一ミリシーベルトを目指すということで政府として責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 予算の確保については今後もやっていくということだったと思うんですが、大臣、今の、お金の話じゃなくてやり方の問題なんだとおっしゃったんですけれども、そのやり方にも問題があるんですよ。

 つまり、五ミリを超えるところは面的に除染をするけれども、それ以下のところはスポット的に、要するに、たまりやすい側溝ですとか、そういうふうなところをやっていくという説明だと、やはり、そうじゃないんだと。面的に、今もこれほどの期間がたっても、以前よりも高いところが出てきたりする。そういう原因は何かということを考えていったときに、やはり林野の影響などもあるんですから、当然、面的にやらなければならないんだということを含んでおりますので、もう一言よろしいでしょうか。

○細野国務大臣 御趣旨はよく理解をいたしました。しっかりやります。

 私、かなりの除染の現場を見てまいりまして、かなり専門家と話してきたんですけれども、面的と局地的というのは、これはちょっと、なかなか二つに分けられるものではないんですね。ですから、体育館や小学校をやることもある種の面的な要素だし、地域で全体を見ながら濃いところからやるというのも面的な要素があるわけですから、それぞれの地域において全体が下がる仕組みをしっかりと確立してやっていく、そういう方針で臨みます。

○高橋(千)委員 では、引き続いてお願いしたいと思います。

 そこで、最後に、そのための財源ですけれども、当然、頭の中で財源が回っているかもしれないということですけれども、私はきょうその一部を提起したいと思うんですが、本当はそのための財源は、既に国民は積み立ててきたではないかということなんですね。

 一昨日から、東電の経営状況をチェックする第三者委員会の報告が出まして、国民は必要以上に電気料金を払ってきたんだということが指摘をされているわけです。

 ただ、それだけではないだろうということが言いたいわけです。パネルを示しているわけですけれども、もともと電気料金には、太陽光促進付加金ということで、一キロワット当たり三銭取られております。東京電力の平均的な家庭の一月の使用量が三百キロワットで、九円払っているわけであります。

 そうすると、原発付加金というのは、領収書の中には出てこない、見えてこないわけですけれども、これは実は一キロワット当たり七十三銭かかっている、月二百十九円になる。

 まず、この数字が間違いありませんかということを確認したいのと、その上で、原発関係の九電力会社が積み立ててきた付加金、今残高はどのくらいになっているのか。

○枝野国務大臣 ただいまの御指摘の電力料金に含まれているバックエンド費用及び電源開発促進税については、一キロワットアワー当たり七十三銭。平均家庭、標準家庭月間使用量を三百キロワットアワーで試算すると、二百十九円でございます。

 これらを積み立てた、あるいは引き当てた総額でございますが、電力九社が原子力環境整備促進・資金管理センターに積み立てている再処理等積立金の残高は二兆三千五百七十四億円。九社の原子力発電施設解体引当金の残高は一兆五千九百三十一億円です。高レベル放射性廃棄物等の最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構が積み立てている最終処分積立金については、これは電力九社以外の納付した拠出金も含まれておりますが、区分経理されていませんので総額で申し上げますと、八千三百七十五億円でございます。

○高橋(千)委員 我が党の吉井議員もこの問題を繰り返し指摘してきたことですけれども、まず、見えていないということ、これをどう思うかということですよね。六千二百億が随分取りざたされたけれども、それよりも大きいお金が実はあるんだけれども見えていない、国民はちゃんと払ってきたということ。

 大臣は、昨日ですか、会見で、電気料金のあり方全体を見直しをするということをおっしゃっていますけれども、その見直しもあるのか。そして、やはりもう再処理というものは要らないわけですね。これをきっぱりやめるという政策的な決断をすれば十分な財源が出てくる。全部とは言わないけれども、二兆何がしのお金は出てくる。ここはいかがでしょうか。

○枝野国務大臣 まず、電力料金の全体のあり方については、まさに電力の抜本的な制度見直しの中で、ゼロベースで見直してまいります。したがって、先ほどの付加金等についても、その中で見直しをしてまいります。

 それから、積み立てられているさまざまなお金についてですが、今のところ、一応これらは、今ある原子力発電所、その他の原子力発電所含めて、それらを廃炉にしたり何とかするようなためのお金として積まれているので、それらは、今後原子力政策をどうするにしても必要なお金でありますので、軽々に取り崩すわけにはいかないだろうと思っておりますし、例えば再処理のお金についても、もし再処理を今後行わないとしても、さまざまなこれまでにかかっている費用等について十分なお金が引き当てられていないというのが現時点での報告でございます。

 当然、今後の全体の検証の中でそうしたことも検証してまいりますので、その上で使えるお金があれば使っていくということにさせていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 まず、この原発付加金も含めて見直すということが最初の一歩かなと思います。

 ありがとうございました。終わります。

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