国会質問

質問日:2012年 3月 8日 第180国会 東日本大震災復興特別委員会

福島復興再生特別措置法案

 衆院復興特別委員会で、原発事故で被害を受けた福島県の復興・再生を推進する福島復興再生特別措置法案について質問しました。

 高橋氏は、事故を引き起こした東電の責任を明確にすることの必要性を指摘。修正案を提案した自民党の吉野正芳議員も「東電の責任は当然のことでここ(法案)には書かなかった」と答弁。平野達男復興相は「法案は、国による福島の地方公共団体への支援を規定するもの」と述べるとともに、法律にもとづく措置の費用を東電に求償できる条項があると答えました。

 また高橋氏は、除染について、年間1ミリシーベルト以下の除染に国が責任を持つべきだと要求。細野豪志環境相は「1ミリ以上は除染する。それには国がしっかりとお金を出す」とし、これまで厚労省や文科省が予算措置していた保育所や学校の校庭の除染についても「環境省の仕事としてしっかり引き継ぐ」と答弁しました。

(しんぶん赤旗 2012年3月9日より)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、時間が大変限られておりますので、なるべく端的に質問しますので、答弁もぜひ端的にお願いをしたいと思います。
 初めに、提出者の吉野委員に伺いたいと思います。
 第一条の「目的」に、先ほどの議論もあったわけですけれども、「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任」という語句を入れたこと、大変歓迎をしたいと思います。ここは本当に明確にしなければならないと思っております。
 ただ、同時に、電力事業者の責任についてはあえて触れられていないわけですけれども、この点についてどのように考えたのでありましょうか。

○吉野委員 御指名ありがとうございます。
 国の責任は協議会の場でもいっぱい議論が出たんですけれども、東電の責任については議論はありませんでした。というのは、原賠法で東電の責任は明確に書かれています。そして、東電の責任というのは、やはり賠償、これが一番の責任を果たすことであります。
 この賠償については、多くの国会の議論、予算委員会初め全ての委員会の議論の中で、賠償、東電の責任、そして、賠償が遅いじゃないか、足りないじゃないかという、多くの国会としてのチェック機能を果たしているところでございまして、東電に責任があるというのは当然のことであるということで、ここには書かなかった次第であります。
 以上です。

○高橋(千)委員 今、東電に責任があるのは当然というお答えがございました。それはもちろん提出者の気持ちはそこに込められていると思うんですけれども、しかしそれを、やはりこれは長く、恒久法でありますので、福島の再生を果たすために持ちこたえる法律でなければならないわけですから、やはりそこは思いを形にする必要があるのではないか。
 被災者一人一人の気持ちにすれば、原発がなかったら、本当に原発の事故がなかったら、こういう思いを繰り返しされるわけですよね。さまざまな形で被災者が分断をされております。そういうときにやはり、でも、もともとは自分たちではなくて国と東電に責任があるんだよね、そこでオール福島の声ができてきたのではないか。
 だから、原賠法があるからと言うけれども、その原賠法の限界が、今いろんな意味で弊害が出ているわけですから、それを乗り越えるためにも、ここに一言あってよかったのではないかなと意見を差し上げたいと思います。
 その上で、平野大臣にも同じ質問をしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 この法案は、委員も御承知のように、まず、国による福島の地方公共団体に対する支援措置等を規定するものだということで、全体がその考え方で貫かれております。東京電力による措置や取り組みを定めるものではないというふうに考えております。
 ただし、条文上、東京電力の賠償責任等とは特に明記してはおりませんけれども、政府案ですけれども、第六十三条には、この法律に基づく措置に要する費用について、事業者に求償することを妨げない旨の規定は盛り込んでおるところでございます。

○高橋(千)委員 今の答弁は、次の質問の、私が言うべきところなんですけれども。
 要するに、国が責任を持ってという、それが法律の趣旨なんだというんですけれども、東電に賠償の責任をきちんと果たさせること、それをきちんとやらせることも国の責任ではないのでしょうか。

○平野(達)国務大臣 この法律の趣旨からはちょっと外れると思いますが、委員の趣旨には私は全く賛同いたします。

○高橋(千)委員 そこで、今大臣が読み上げた六十三条は、条文的には、これは法律用語で言うとこういう表現しか書けないのかもしれないんですね。要するに、「求償することを妨げるものではない。」と。我々にしてみると、大変消極的に思うわけですよ。賠償できなくはないよという程度の表現に聞こえるわけですね。となると、求償できる範囲というものをどのように考えているのでしょうか。

○平野(達)国務大臣 求償につきましては、避難者の皆さん方が東電に求償するというときには、一定のものは、指針みたいなものは用意されているようでありますけれども、国が使った予算につきまして、これを求償対象経費にするかしないかにつきましては、きちっとした考え方に整理しまして、これは東電に請求すべきもの、これは国が負担すべきものという区分けをした上で、東電にすべきものはきちっと請求をしていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 そこで、少し具体的なことを考えてみたいと思うんですが、きょうはあえて文科大臣なども呼んでおりませんので、指針の具体的な中身については議論するつもりはないんです。
 結局、これまで指針の限界をどう超えるかということが随分議論されてきました。国が必要だと思って行った施策、そのことと今回の事故の原因がやはり関係があるからやっているわけですから、そこを思い切って、求償できる、そういうふうに仕組みをつくればいいと思うんです。
 例えば、この間の指針の中でまだ明確になっていない部分、自治体の過重負担。原発の事故に伴ってさまざまなことをやってきたわけですよね、検査もそうですけれども。そうしたものに対しての求償をどうするのかとか、今回、汚染状況重点調査区域が新たに設定をされたわけですから、そのことに伴う新たな風評被害ということが現実に起きているわけですね。いわゆる風評被害というのが最初は四県であったわけですけれども、そうしたものに対して、もうそれでは全然だめですよということで、東北全体が今声を上げています。観光業組合ですとか、声を上げている実態もございます。あるいは、食品検査の体制が、基準が今度、四月一日からは変わりますよね。そういうことに伴って、厳しい基準に対してどう体制を整えていくか。ですから、今、検査器はまだまだ普及の途上にある。
 そういう中で起きてくるさまざまな課題、あるいは出荷制限ですとか、そうしたことが新たになってくると思うんです。そういうことを全部指針で具体化しなくちゃだめよというふうにはやはりならないんだろうと。そこにもっと、国が政策的に行ったんだから、そこの一部はちゃんと東電に請求しましょう、そういう仕切りにしたらどうかと思うんですね。
 具体的な提案をします。
 例えば、今、山林の除染はまだまだ追いついていません。だけれども、一方で、その恵みを業としている生産者に対しては大変な被害になっているわけですよね。例えば、原木シイタケ。放射能の被害が出て出荷制限を行ってというところで、そのために新たな原木を別の地域から仕入れる場合に、当然値が高くつきます。あるいは、地元で、全く違う関西の方とかでも、そのために全体として値がはね上がってしまう。そういうものに対して林野庁が二分の一補助をする、こういう仕組みが予算に盛られました。
 こういうことに対して、国が、当然影響があって必要以上に経費がかさんだね、補助をしましたというお墨つきがついたわけですから、逆に言うと。では、その半分は東電に賠償を求める、こういう考え方が整理されていくのではないかと。一つの提案でありますが、いかがでしょうか。

○平野(達)国務大臣 賠償指針というものにどういうふうな書き方がされているかわかりませんので正確なことは申し上げられませんけれども、ほだ木というものを取りかえるという、今回の場合は放射能汚染によってほだ木を早く取りかえなくちゃならないということに関して言いますと、要するに、今のほだ木の現在価値と取りかえるときのコストの差額というのが、多分私は、一般的には求償対象経費になってくるんだろうというふうに思います。
 今の、林野庁の二分の一の補助ということについては、全体事業費の二分の一ですから、いろいろなやり方はあるんでしょうけれども、あるいはその場合は、その一部も場合によっては求償対象経費にもなってもいいのではないかという、これはちょっと、今私、指針を読まないで言っていますのでどこまで正確かはわかりませんが、そういう考え方は、私自身は十分成り立つというふうに思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 やはり、ADRですとか、現場では、本当に客観的な資料を求められるということで大変な思いをされているわけで、賠償がなかなか進まないという議論がされています。でも一方で、こうして政策的に国がきちんとやったものに対しては一番の証明になるんですね。そういう考え方を生かしていけばいいんじゃないかということで、求償の範囲をしっかりと広げていただきたいということで提案をさせていただきました。
 次に、法案の「基本理念」ですが、第二条、私は何度も読みました。やはり、理念は大変いいことが書かれてあると思います。「復旧に長期間を要すること、」や「住民の健康上の不安が生じていること、これらに伴い安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる環境を実現するとともに、社会経済を再生する必要があることその他の福島が直面する緊要な課題について、女性、子ども、障害者等を含めた多様な住民の意見を尊重しつつ解決することにより、地域経済の活性化を促進し、福島の地域社会の絆の維持及び再生を図ることを旨として、行われなければならない。」と、大変よく書かれていると思うんです。
 問題は、それが本当に具体化されていくのか、その理念が施策にちゃんとリンクしていくのかということが一番肝心だと思うんです。
 その上で伺いますが、ここにある多様な住民の意見を尊重する仕組み、これについてどのようにしていくのか。

○平野(達)国務大臣 「基本理念」におきましては、「女性、子ども、障害者等を含めた多様な住民の意見を尊重しつつ解決することにより、」と規定されております。
 特に、私の場合、子供でございますけれども、先般、津波、地震地域の小学校、中学生の方々と意見交換をさせていただきました。大変厳しい、そしてまた勇気づけられる発言がございまして、特にびっくりしたのは、真っ正面に、政府は復興を本気でやる気があるんですかというふうに言われたのは、随分ぐさりときました。先般は、福島の高校生の代表と意見交換をさせていただきました。この意見交換会も、大変有意義な意見交換をさせていただいたというふうに思っています。
 今後、これから、県と市町村との意見交換会、あるいは国も、復興推進委員会等の委員会が開催されます。こういった場に、女性、子供、障害者等の関係者の方々に来ていただいて、おのおのの意見を言っていただくとか、あるいは考え方を述べていただくとか、そういったさまざまな形でこの「基本理念」を実現させていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 これも実は、特区法の議論のときに繰り返し大臣とやりとりをしたわけですね。今も理念を生かしていきたいとおっしゃったわけですけれども、なぜそれを条文には書いてくれないのかなということなんです。要するに、具体的な仕組みの中で規定が欲しかったということを指摘しているんです。理念はいいんだけれども、例えば、計画に反映させるときにということがなぜ書けないのかなと思うんです。
 その点、復興特区法案のときには、大臣が、市町村長の意見を聞くときに、当然、市町村長は住民の意見を聞いてやるんだからということをおっしゃいました。ただ、福島の場合は全然事情が違いますよね。住民はばらばらになっているわけです。まかり間違えば、役場も県外に出ている、そういう状況もあるわけですね。そうした中で住民の意見をどうやって聞いていくのかということがあります。
 仮設住宅の被災者の方からはいろいろな要望が出ますよね。寒さ対策だけではありません。でも、まだ仮設という一つのまとまりがあるので、自治会があって、意見を反映させる仕組みはある。これをうまく活用していくことも考えられるかもしれない。そうすると、みなし仮設の人たち、民間借り上げや雇用促進などに入っている人たちはほとんど情報が入ってこないんだ、そういう声も本当に寄せられるんですね。
 一方で、埼玉県の加須市に行かれた双葉町、この旧高校の校舎に入っている住民の方たちが借り上げ住宅などで少しずつ外に行ったんだけれども、なるべくその高校の近くにみんなが住まいをしているという、まるで円のような図をNHKのニュースで示していたのをテレビで見ました。つまり、少しでも役場のそばにいたい、そういう住民の気持ち、あるいは避難所に行くと、見なれた町民の方たちがいる、そういう気持ちでみんながつながっているんだというのを言っていたんですね。そこを本当に尊重すべきではないか。
 ですから、例えば、具体的なやり方としては、大変困難でもあるし時間もかかることなので、期限の決め方に少し工夫をするですとか、きのうの質問でもやりました、原発避難者特例法の活用で総務省との連携ですとか、そういうことをいろいろ使う必要があるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○平野(達)国務大臣 委員の頭の中に思いがあるのは、多分、県外に出ている被害者のことを強く意識されているのかなというふうにとりましたけれども、特に、県外では、個々ばらばらに生活されていまして、情報が入ってこない、そういう悩みというのが私どもにも入ってきております。
 十八日、新潟県に行って、避難者の方々ともちょっといろいろ意見交換してきたいというふうに思っておりますが、いずれ委員の御指摘のとおり、いろいろな方法を使いながら、避難者の方々が寂しい思いをしない、孤立をしない、こういったことにしっかり心がけていきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 これは県内でもやはり同じです。これを一言言っておきたいと思います。
 次に、細野大臣に伺いたいんですが、また時間の関係で、二問を一つにして伺いたいと思います。
 この法律の中では、除染については、放射性物質汚染対処法が既にできていて、表現は悪いですけれども、それを追認しているのが実態ではないか。ですから、新たな書き込みというのはないわけですね。そうすると、ちょっと不十分かなというのが率直な感想です。
 この対処法では、結局、地域に指定されても、年間五ミリシーベルト以下は国のお金が出ないということがまた言われてきている、これは十月に議論をした話ですよね。私は、一ミリ以下を目指すんじゃなかったですかという質問をしたことがあります。そのときに野田総理は、間違ったメッセージがあったらおわびしますということまでおっしゃいました。これがまたどうなっているんですかということになるわけです。県内にまた差をつけるんでしょうかというのが一つ。
 それから、この法律ができたからということで、それまであった、その十月の質問のときも指摘をしたんですが、例えば、保育所の園庭や校庭など、厚労省や文科省が予算をつけておりました。これはやはり、お母さんたちや先生方のやむにやまれぬ思いで、まず校庭の表土を剥ぐというところから始まったものに両省が予算をつけるということで後追いをしたものですけれども、これが法律ができたから今年度限りで終了すると聞いたわけです。
 そうすると、いよいよもって高いところのものしかお金がつかなくなる。そうすると、何だ、法律ができる前より悪くなっちゃうのかということになって、非常に何か納得いかない思いがするんです。こういう独自の取り組みに対しては、引き続いてやるべきではないでしょうか。

○細野国務大臣 まず第一点目の、五ミリかどうかというところですが、結論から申し上げると、五ミリのところで線は引きません。一ミリシーベルト以上のところについて除染をするということで言っていただければ、それには国がしっかりとお金を出してバックアップをするということでございます。
 若干いろいろな議論があるのが、五ミリより下のところになってくると、膨大に、全部これを剥いで全部廃棄物にするというのが果たして効率的かどうかという議論があるんですね。つまり、優先順位をつけて効率的にやっていただいた方が後の処理も含めていいのではないか、そういう議論があるんです。ですから、そこは、やり方はそれぞれの市町村や国としっかりといろいろな相談をしていただいて効率的にやっていただくということで、一緒にそれはやっていくという姿勢に全く変わりはありません。
 もう一点の、これまで厚生労働省であるとか文部科学省がつけてきた予算というところですが、これは、一月一日から除染の特措法がスタートをして環境省の仕事になっておりますので、しっかりと引き継いでやってまいります。
 一月より前の段階では、除染については、責任の所在が率直に申し上げると明確ではありませんでした。したがいまして、それぞれの部署が優先順位をつけてそれぞれやってきた、そういう状態だったわけです。今度は環境省の責任というふうになりましたので、一ミリシーベルト以上のところについては、それこそ学校や保育園、幼稚園というのは優先順位が極めて高いわけですから、そこは最優先で取り組むという姿勢でやってまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 では、責任が移っただけで、しっかり引き継ぐのだということを確認させていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

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