国会質問

質問日:2012年 3月 21日 第180国会 厚生労働委員会

児童手当法改定案は子育て支援に逆行

 衆院厚生労働委員会で質問に立ち、子ども手当を「児童手当」に戻して所得制限を課す児童手当法改定案について、多くの子育て世帯の手取りが減ることになり、子育て支援に逆行すると追及しました。

※しんぶん赤旗記事はこちらからご覧ください!

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 私は、平成二十二年二月の本会議で、平成二十二年度における子ども手当法案について質問しました。あれからまだ二年しかたっておりませんが、今回の法案は何と、四本目でございます。
 昨年は、東日本大震災の発生を受け、国会も一定期間審議がストップしたため、平成二十三年度の子ども手当法案は用意されていましたが、急遽、半年間単純延長するという、いわゆるつなぎ法案が成立しました。あのとき、参議院の委員会、本会議で可否同数、委員長決裁という、首の皮一枚の成立でありました。そして、八月の特別措置法で、事実上子ども手当はなくなったと言えるのではないでしょうか。
 日本共産党は、一回目の法案とつなぎ法案には賛成をしました。いろいろ問題点があっても、急がれる子供の貧困対策、国際的にも最低レベルの子育て予算を拡充するという必要があったからであります。東日本大震災で子供を取り巻く環境は悪化したのに、子ども手当はばらまきだから復興財源に回せと不要不急の大型開発と同列に論じることには絶対に承服できませんでした。結局、この二年間は何だったのかなと言いたくなる状況であります。
 そこで、まず大臣に伺いますが、三月十五日、子ども手当見直しの三党合意を受けて前原政調会長は子ども手当の理念は継承すると記者団に語ったと報道されています。その理念とは何でしょうか。そして、修正案の中にその理念がどのように盛り込まれたんでしょうか。

○小宮山国務大臣 今回の合意は、三月中に法案が成立しないと、以前の児童手当に戻りまして、そうなると国民の皆様に非常に大きな影響が出るという中で、各党の意見をぎりぎりのところで調整して、実現可能な着地点に到達をしていただいたものだと思っています。
 今回の合意で、その理念が盛り込まれているという点についてですけれども、手当の名称は児童手当としますけれども、子ども手当制度の支給対象等も参考としつつ、支給対象年齢を中学生まで拡大するとともに手当額を拡充するなど、新たな児童手当制度を構築することとされているわけですね。
 特に、法律の目的の中に、家庭への経済的な支援ということに加えて、子ども手当の理念でございました「児童の健やかな成長に資する」とされていること、これはやはり理念がきちんと盛り込まれているということだと思っていますので、これは子ども手当で政府として出しましたものと同様に、子供の視点にも配慮をしているということだというふうに考えています。

○高橋(千)委員 ぎりぎりのところでの合意なんだということを、結局、毎回言ってきたんですね。ですから、逆に、背伸びをしないで、できるところから出発をして、十分な合意形成を図る努力をするべきだったんじゃないか、あえて指摘をさせていただきたいと思います。児童手当の改正から、きちんと理解できるところから始めていけばよかったんじゃないか、結局そうなったわけですからね。
 対象世帯を参考としつつという表現は、要するに、辛うじて全ての世帯に払うことになっているからということをおっしゃりたいんだと思うんですけれども、しかし、本則では、所得制限以上のところには支給しないということを書いて、そして、当分の間ということで五千円の減額支給というつくりになっていますから、そういう点でも本当に矛盾が出ていて、この理念は継承されたというのは、ちょっと言いわけがましいかなと言わなければならないと思うんです。
 それで、この点で自民党の提出者に伺いたいと思います。
 昨年八月二十三日の本会議討論、特別措置法のときに、自民党の田村議員はこのように述べております。「今回、特別措置法が成立した暁には、民主党の皆さんが後生大事に最後まで死守しようと画策していた子ども手当が、その名称や仕組みともども今年度をもって終えんを迎えるということをこの場で確認いたしたい」と述べていらっしゃいます。ですから、もう既に、昨年のときに、なくなったのだということをおっしゃっているわけであります。
 名前も児童手当法に戻りました。そういう中で、理念は残ったという言い分をどう受けとめているのか、また、自民党はなぜ子ども手当ではだめなのか、伺います。

○田村(憲)委員 そもそも、なぜ児童手当なのかといいますと、昨年八月の三党合意で、児童手当法を改正して、これを三党で合意した形で決めようという話でございますので、それは、児童手当法を改正するんですから児童手当というのが最も当たり前の話だろうということで、児童手当と我々は主張してきたわけであります。
 あわせまして、前原政調会長が子ども手当の理念は継承すると言っておられるという話でありますが、私ども、詳細はよく理解しておりませんが、それは、子ども手当ということをずっとマニフェストでうたってこられた民主党という政党でございますから、政調会長はそういうふうにおっしゃりたいんだろうなと。お気持ちはわかりますけれども、世の中がどういうふうにこれを評価するかという話でございます。
 特に、まず所得制限、先ほど委員おっしゃられたとおり、所得制限がちゃんと本則に書かれておるというのは、まさに、もともと我々がやってまいりました児童手当そのものでございます。もちろん、特例で給付することはありますけれども、しかし、本則がそうなっておるわけでありますから、そういう意味では、やはり我々の児童手当の理念というものが生きておるなというふうに思います。
 そもそも、子ども手当は、それぞれお子さん方、分け隔てなく一律の給付をする、金額も含めて、こういう話でありましたけれども、例えば、年齢によっても違いますし、子供の数によっても今回給付額が違うわけでありますから、これは我々のやってまいりました児童手当の手法そのものでございますから、基本的には、やはり児童手当というものの理念にのっとって、また、その目的規定を見ましても、もともとの児童手当法の目的理念というもの、今回の場合、こういうものがさらにバージョンアップしたのかなと、我々はそのように思っておりますから、我々は、児童手当というものの理念が今回の児童手当法改正の中においてより色濃く反映をされている、そんな内容であるというふうに考えております。

○高橋(千)委員 私が指摘したいのは、民主党が主張してきた、社会が子供を育てるというこの理念について、私は、これは共有できるものだと思うんです。それに対して、家族の子供に対する責任を免除するみたいな議論がされてきたという、それは違うだろうと、それははっきり言いたいと思うんですね。
 今、田村提出者はバージョンアップしたんだということをおっしゃっていますが、子どもの権利条約ですら、第二十七条で「締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び社会的な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の権利を認める。」こう言って、その上で「父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な生活条件を確保することについての第一義的な責任を有する。」と明記をされています。
 つまり、当たり前のことなんですね。日本が批准している国連の子どもの権利条約でさえも、第一義的な責任があるということは明記している。もう当たり前のことを、なぜあえて書けというのか。書かなければそうならないのだという、理念にかみつく議論には全く賛同できません。
 資料の一にあるように、政府案に、第一条、目的、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、」と前置きが入りました。この前置きは、つまり、今言ったことをあえて書いたわけですよね。修正案ではなくて政府案。政府案に既に入っているわけです。つまり、政府が提出したんですね。
 何でこれは一々前置きをする必要があったんでしょうか。子どもの権利条約の大前提である、一人の人間として子供をちゃんと認めること、権利を認めること、最善の利益を保障する、この立場との関係、大臣に一言伺いたいと思います。

○小宮山国務大臣 委員がおっしゃるとおり、子どもの権利条約でそのようにうたわれているということは、私もよく認識をしております。ただ、今回は、三党で、先ほど申し上げたように、ぎりぎりの調整をした結果、それぞれの党のいろいろな御主張を兼ね合わせて、こういう目的規定にされたものと承知をしています。

○高橋(千)委員 ですから、今言ったのは、資料にちゃんと書いているように、子供のための手当法というのは政府案なんです。修正する前の案に既に書いているじゃないかと。ですから、民主党はこの時点でもう理念を捨てたのかということを言わなければならないということなんです。
 それで、次に行きたいと思うんですが、政府案で言う子どものための手当は、法案化を目指している新システム、まだ提出をされておりませんけれども、この中で、給付として位置づけられております。修正により児童手当になることで、もう新システム、必要なくなるというか関係ないというふうになると思うんですが、どうなるでしょうか。

○小宮山国務大臣 子ども・子育て新システムは、現金、現物双方の給付を包括的、一元的にする制度ということで、内閣府のワーキングチームで議論を重ねてきました。
 その中で、三月二日に少子化社会対策会議で決定されました「子ども・子育て新システムの基本制度について」、ここでは、こども園給付と並んで、個人への現金給付である子どものための手当を子ども・子育て新システムの給付に位置づけていますので、こうした経緯を踏まえてしっかりと対応をしていきたいというふうに考えています。

○高橋(千)委員 ということは、児童手当を、今児童手当法になったんですが、新システムの中に位置づけるという意味ですか。

○小宮山国務大臣 経緯を踏まえて対応するということは、そういうことでございます。

○高橋(千)委員 では、自民党の提出者に同じことを伺います。
 新システムについて、かなり総合的な問題でありますけれども、見解を伺いたいというのと、この中に児童手当を位置づけることについて、どのように考えますか。

○田村(憲)委員 そもそも、子ども・子育て新システムについては、いまだ政府から提出されておりませんので、漏れ伝わるところしか内容はわかっておりません。その漏れ伝わるところを聞いておりましても、その新システムなるもの自体に我々は疑義を持っております、非常に問題点が多うございますから。
 そもそもそのように思っておりますので、この中に児童手当をどう位置づけるかなどというようなことはまだ考えたこともございませんので、何とお答えをしていいのかよくわかりません。

○高橋(千)委員 その新システム自体に問題があるということを、まず確認させていただきます。私も、その点はそう思っているんです。
 保育の市場化ということで議論をしてきました。ただ、考え方としては、理念に基づいて、政策的な、子ども・子育て会議の設置ですとか、フランスに学んだ金庫の設置の問題ですとか、決して丸ごと否定をしているわけではないんです。でも、そういう中で、その最初の一歩であった子ども手当がこのような事態になって、形だけ取り繕うようなやり方はやはりできないだろうということをはっきりと言っておかなければならないと思います。
 所得税の年少扶養控除の廃止が始まってから、子ども手当をもらったけれども、結局確定申告でマイナスだった、そういう声を聞きました。実際にどのくらいの世帯に影響がありましたか。

○高井政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の、所得税の年少扶養控除が廃止された平成二十三年とこれまでの児童手当制度の時代の世帯の手取り額を比べますと、サラリーマンそして専業主婦、子供一人世帯では、子供が三歳未満で、年収八百万前後の世帯で手取り額の減少が生じると考えております。
 この手取り額の変化は、子供の数や年齢等によって異なるものでございますので、手取り額が減少する具体的な世帯数は正確に把握しておりませんけれども、中学生までの対象のうち三歳未満の子供は二割弱、さらに、そのうち年収八百万前後の一部の所得階層であるということから、一割以下になると考えているところでございます。

○高橋(千)委員 今、三歳未満のところで二割弱、そのうち八百万のところでの一割くらいであったということが、推論でしかできないけれども、大体そのくらいだという答弁だったと思うんです。
 それで、資料の二を見ていただければ、それがぐっと広がるのは、当然、想像にかたくないわけですよね。年収四百万から五百万の間のところでマイナスが立つわけです。そして、中学生以前までの子供さんのところは、そのマイナスが立つわけですから、大きく影響が広がるだろうと。
 しかも、ざっくり言って、厚労省の国民生活基礎調査でいいましても、児童のいる世帯というのは、五百万から六百万の年収のところが一三・七%ございます。四百五十万円以上の世帯を足し合わせると七割強になるわけですね。ですから、これほど影響があるんだということを十分な試算もなくて提案するというのが、どういうことになるのかなと思うんです。
 そこで、そういう全体的な影響があるにもかかわらず、所得制限、九百六十万以上のところだけ、しかも一律五千円という支給の仕方、非常につじつまがおかしいなと思うんですが、なぜでしょうか。

○高井政府参考人 昨年八月に成立いたしました特別措置法におきましては、所得制限を受ける者に対する税制上または財政上の措置等について検討を加え、所要の措置を講じるとされております。このため、厚生労働省では、検討を行った結果、所得制限世帯に対して財政上の措置を講じることにしたということであります。
 この所得制限世帯に対する支給額につきましては、所得制限にかからない世帯とそのバランスを考慮いたしまして、五千円を支給する、手取り額の減少等につきましてよく考慮して、五千円を支給する、このようにしたところでございます。

○高橋(千)委員 全然答えになっていないと思うんですね。全体としてマイナスが立つのに、何で所得制限を入れて、そこから上のところだけ、しかも一律なのかということなんです。
 これまでは、小宮山大臣がよくおっしゃっていたように、なぜ全ての子供に所得制限もかけずに支払うのかということに対して、所得の高い人に対してはちゃんと税制改正で応分の負担をしてもらうんだからいいのだと言っていたわけです。だから、そのことから見てもつじつまが合わない。所得制限もやる、しかし支給する。でも、この三枚目を見ていただければわかるように、所得制限の対象というのは、千七百三十万人の子供のうち、百六十万人にすぎないわけですね。もうそこだけ見ている。それ以外のところにマイナスが立っていることに対して何も見ていない。これは全然おかしいじゃないかということを言わなければならない。
 ちょっとどうしても次の質問がしたいので進みますけれども、さらに、四枚目の資料を見ていただくと、地方増収分の取り扱いについてというのがございます。
 これには子ども手当には関係ないものがいろいろ書かれているんですけれども、結局、児童手当になることで地方の負担分は二対一ということになるわけなんですけれども、一方で、地方税の増収などがあって、五千五十億円プラスになる、それを何に使うかというのが全部書かれてあるんですね、これは。それで、難病の超過負担分を、二百六十九億円、これで手当てすればいいじゃないかと。これは全然おかしな話なわけです。
 地方の増収分は、本来、一般財源に回るべきであって、増収すれば、その分、地方交付税が削減されるおそれもあるわけですね。それを、何か一円たりとも、すきなくほかにちゃんと回さなければいけないという、こういう考え方はなぜ出てくるのかということなんです。
 ですから、児童手当に戻ったことで、地方の負担はふえないということをまず一言確認したい。その上で、独自の施策に、子育てのために使える分に回せるのはどのくらいですか。

○高井政府参考人 お答え申し上げます。
 政府といたしましては、この手当の成立の経緯、つまり、年少扶養控除の廃止等に伴う地方増収分につきましては、新たな地方の独自施策のための財源ではなくて、最終的には手当の財源として活用することが、国民に負担増をお願いする趣旨に合致するとこれまで考えてきたところでございます。
 このため、政府案での年少扶養控除の廃止による地方増収分五千五十億につきましては、二十四年度において、手当関係の地方負担増で二千四百四十億円、それから、地方の自由度の拡大にあわせた一般財源化等の措置、それと、特定疾患治療研究事業の地方の超過負担の財源として二千六百十億円を活用する、こういうことで国と地方の負担調整を行うこととしたということでございまして、今回の議員修正案でも、費用負担については、政府案のとおりと、同じと考えておるところでございます。

○高橋(千)委員 結局、地方の増収分は子育て支援に使うと言っていたことからも、全然違うわけなんです。結局、二年間たって、一度も民主党のマニフェストを具体化した法案を出せなかった。何度も、ぎりぎりということを、同じことを繰り返してきました。
 やはり、当面は一致できるところからスタートして、時間をかけて合意形成を目指すべきだったんではないですか。大臣にもう一言伺って、終わります。

○小宮山国務大臣 マニフェストの中では、チルドレンファーストということで、現金、一番皆さんが求められている経済的負担に対して応えたい、それにあわせて、今、新システムでやっているような居場所をつくること、ワーク・ライフ・バランスなど、総合的にやることを考えてお約束をしてまいりましたが、まず第一歩のこの子ども手当で財源の見通しなどがしっかり立たなかったことから、一度もお約束したとおりできなかったことは大変申しわけないと思っています。
 そうした中で、やはり、中学生までふやしたこととか、児童施設の、施設の子供にも拡充したことなど、そして、子供の成長をしっかり支えるということも含めて、幾つか継続的に残したところはございますけれども、最初のお約束どおりいかなかったことは申しわけなかったと思っています。

○高橋(千)委員 終わります。

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