国会質問

質問日:2012年 5月 8日 第180国会 本会議

消費税増税と社会保障改悪 ”断固反対”

 消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」の関連法案が8日の衆院本会議で審議入りしました。質問に立った日本共産党の高橋ちづ子議員は「これを皮切りに、さらなる消費税増税と社会保障改悪へ国民を引きずり込もうとするもの」だと指摘し、「断固反対する」と述べました。

※しんぶん赤旗記事はこちらからご覧ください!

 

――― 議事録 ――――

○高橋千鶴子 私は、日本共産党を代表し、年金機能強化法案並びに被用者年金一元化法案に対する質問を行います。(拍手)
 両法案を含む七つの法案が、社会保障と税の一体改革の名のもとに、特別委員会で一括審議されようとしています。しかし、民主党の新しい年金制度はおろか、医療や介護保険制度についても法案はまだ提出されておらず、今は序章にすぎないのです。これを皮切りに、さらなる増税と社会保障改悪へ国民を引きずり込もうというものにほかなりません。
 日本共産党は、一体改革という名の社会保障切り捨てと消費税増税に断固反対です。今やるべきことは、小泉構造改革のもとで福祉も自己責任として壊されてきた社会保障を再構築することだと考えます。
 まず、法案の前提となる社会保障と税の一体改革について、基本的認識を三点伺います。
 第一は、消費税増税が被災地の復興を妨げるという点です。
 帝国データバンクによると、東日本大震災による企業倒産は、二月末で六百三十件となっています。被災三県の沿岸部では、津波被害が特に大きかった地域と原発事故による避難区域などに本社のあった企業のうち、休廃業など営業不能状態が約三割の千五百社に及びます。
 岩手県宮古市で靴屋を営む男性は、サンダル十二足、ポケットの全財産九千円で店を再開しました。消費税が上がったら、あおりをもろに食う、増税なんてとんでもないと訴えています。
 大船渡市の漁師さんは、津波で自宅も養殖棚も流されましたが、自力で作業場をつくり、ワカメ漁を再開しました。作業場に通う女性たちは、踏ん張る土台として自宅を再建したいと口々に訴え、集団移転の候補地もみずから探しました。そんなときに増税なんてと憤っています。
 既に多くのものを失い、また、多くをしょい込んでも再起を目指そうとしている被災者に、増税を負わせるべきではありません。総理の見解を求めます。
 第二に、後世にツケを回さないことを最大の眼目としている点です。
 高齢者を厄介者扱いですか。九九年の厚生白書を見れば、「高齢者は社会を支えていく主体」と書いています。日本の高齢者の労働力人口比率は、男女とも欧米諸国よりも高く、特に六十五歳以上七十五歳未満の前期高齢者の労働力人口比率は男女とも三〇%を超えていると指摘し、「こうした高齢者の労働意欲は、少子高齢社会に対する悲観的な見方を変えていくだけの力があるであろう」と明言しているのです。こうした視点を総理はお持ちですか。
 事実、九九年当時の六十五歳以上の労働力人口は四百七十五万人、二〇一〇年は五百八十五万人にふえています。この労働力人口に着目すると、総理がよく言う騎馬戦から肩車型、これはまやかしにすぎないことがわかります。単純に、二十から六十四歳までを生産年齢人口として高齢者人口で割っているからです。しかし、本来、一人の働き手は、高齢者だけではなく自分と子供なども支えています。労働力人口を総人口で割ると一人が約二人を支えるという構図になり、この割合は今後も大きな変動はないはずです。お答えください。
 後世にツケ回しをしないというなら、支え手をふやすことが最大の鍵です。政府・与党は、労働者派遣法を骨抜き成立させ、さらに、今準備をしている有期雇用についての労働契約法改正案では、期待されていた入り口規制を外しました。これでは、不安定雇用をふやすだけではありませんか。
 また、パート労働者への厚生年金適用は当然です。でも、そのために必要なことは、職場の中で一番ベテランになっても一円も昇給なしなど、パート労働者の実態を直視し、均等待遇を確立すべきです。答弁を求めます。
 第三に、そもそも、社会保障や社会保険とは何でしょうか。一体改革の枠で議論される社会保障は、なぜ、年金、医療、介護、子育ての四経費に限られているのですか。
 社会保険は、単なる民間保険とは違って、憲法二十五条の生存権を国が保障するという社会保障の役割を備えているはずです。だからこそ、保険料や利用料を払えない人に減免制度などがあります。国民年金法が、憲法二十五条第二項に規定する理念に基づきと明記しているのも、そのためです。総理に確認します。
 ところが、二〇一〇年十月の第一回政府・与党社会保障改革本部会合に厚労省が提出した「社会保障の現状と課題」によれば、社会保障制度の基本的考え方は、みずから働いてみずからの生活を支え、みずからの健康はみずから維持するという自助を基本とし、これを補完する共助と公助が位置づけられています。共助のシステムについては、負担の見返りとしての受給権を保障する仕組みとして社会保険が基本とあります。
 つまりは、四経費を一くくりにするのは、払わない人には給付がない、単なる保険制度にしてしまうということではありませんか。
 また、経団連は、消費税を少なくとも一〇%と、早くから消費税増税の旗振りをする一方で、基礎年金は全額税方式を主張し、社会保険料の事業主負担をなくすことを求めています。
 社会保険料の企業負担は諸外国から見ても高いとは言えず、むしろ応分の負担を求めていくべきと思いますが、総理の考えを伺います。
 次に、年金法案について質問します。
 年金の支給要件を現行二十五年から十年間にすることは、私たちもかねてより提案してきました。あわせて、無年金、低年金の解消へ思い切った取り組みが必要です。
 年金給付の特例水準の解消として、三年間で二・五%の引き下げなどはとんでもありません。
 そもそも特例措置は、二〇〇〇年以降、厳しい経済状況や高齢者の生活に配慮してとられてきたものです。物価指数の上昇により解消することが見込まれていましたが、その後も賃金、物価の下落傾向は続いています。これは、正規労働から非正規労働への置きかえが進み賃金が減少するなど、デフレ経済を続けてきたからです。また、介護保険料は今回も平均で千円近く値上げとなりましたが、こうした社会保険料等は物価指数に反映しません。物価が下がっているといっても、年金生活者の生活実感とはかけ離れているのです。
 二・五%引き下げはやめるべきです。また、給付抑制策としてのマクロ経済スライドは廃止すべきではありませんか。答弁を求めます。
 政府は、低年金者対策として六千円を上乗せすると言います。基礎年金満額受給者であれば合計で七万円になり、民主党の最低保障年金制度に近づくという、単なる数合わせです。しかし、基礎年金のみ、旧国民年金受給者数は二〇一〇年度末で八百三十二万人になりますが、その平均受給額は四万九千円にすぎません。七万円満額を受け取れる人がどのくらいいるのですか。
 我が党は、基礎年金の二分の一は国庫負担という現行制度を発展させて、保険料の納付実績にかかわりなく、基礎年金満額の半分を国が保障し、最低保障年金制度を目指していく、このことを提案しています。総理のお考えをお聞かせください。
 終わりに、消費税増税以外に道がないという社会保障の将来に対して、若い世代が希望を託せるはずもありません。安心できる年金制度を初め社会保障の充実を目指しながら、無駄遣いを見直し、大企業や富裕層に応分の負担を求めて新たな財源を確保すること、人間らしく働けるルールづくりを確立していくことこそ急がれることを求めて、質問といたします。(拍手)

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党の高橋議員の御質問に順次お答えをしてまいります。
 まず最初に、消費税増税と被災地の復興についてのお尋ねがございました。
 大震災からの復興はこの内閣の最優先課題であり、復興庁が中心となって、復興交付金、復興特区制度の活用などを通じて、被災地の復興を加速してまいります。
 一方で、人口構造の急速な少子高齢化、社会経済状況の変化、欧州の政府債務問題に見られるグローバルな市場の動向を踏まえれば、社会保障と税の一体改革は、国民の皆様に御負担をお願いするものではありますが、先送りのできない課題であると考えております。
 また、今回の一体改革では、消費税収については、現行分の地方消費税を除いて全額を社会保障財源化し、国民に還元するとともに、きめ細かな低所得者対策を実施していくこととしております。
 次に、高齢者の労働意欲と労働力人口の見通しについてのお尋ねがございました。
 少子高齢化の進展による労働力人口の減少が見込まれる中、今後とも、経済社会の活力を維持し、その持続可能性を高めていくためには、高い就業意欲を持つ高齢者が可能な限り社会の支え手として活躍できるよう、年齢にかかわりなく働ける全員参加型社会を実現するための環境整備を進めることが必要であります。
 一方、高齢者は、一般的に、年金の給付対象となり、医療費の負担も高くなる一方で、多くの高齢者が定年を迎え退職することから、社会保障で支える必要がある者として捉えて、その現役世代に対する割合を騎馬戦型から肩車型と表現をしているところであります。
 今後の人口構成が騎馬戦型から肩車型となる見通しがある中で、御指摘のような高齢者雇用対策等の社会の支え手をふやす取り組みの重要性は十分認識しており、引き続き、取り組みを着実に実施してまいります。
 社会保障四経費と社会保険制度についてのお尋ねがございました。
 一体改革大綱では、子ども・子育て、医療、介護、年金など社会保障四経費分野だけでなく、雇用や障害者施策等社会保障全般にわたり、改革の項目や実施時期など改革の全体像を示しており、四経費分野に限った議論をしているわけではありません。
 また、国民の安心や生活の安定を支えていくため、社会保障制度は自助、共助、公助を適切に組み合わせていくことが必要であると考えており、今回の改革でも、年金の低所得者への加算や国民健康保険の保険料軽減の拡充など、社会保険の仕組みの中でも税財源による支援を強化する仕組みを盛り込んでいるところであります。
 したがって、御指摘のような、払わない人には給付がない、単なる保険制度にしてしまうことを考えているわけではありません。
 次に、社会保険料の事業主負担についてのお尋ねがございました。
 我が国では、年金、医療、介護などの社会保障については、共助の考え方を基本に、国民の参加意識、権利意識を確保する観点から、給付に応じた保険料負担を行う社会保険方式を基本としています。このため、事業主に対しても、厚生年金や健康保険などの被用者保険については、雇い主の責任として、一定のルールのもと、被用者の保険料負担をお願いしています。
 なお、現在の事業主の社会保険料負担の国際水準については、対GDP比で見た場合、おおむね、アメリカより高く、英、独、仏よりも低い水準ですが、法人税などの他の企業負担なども含めて判断する必要があると考えます。
 今回の一体改革は、少子高齢化が進展する中で、個人負担、事業主負担、公費を適切に組み合わせることによって社会保障制度の持続可能性を確保しようとするものであり、企業にも、今後の負担も含め理解を得ていきたいと考えております。
 次に、共産党提案の最低保障年金に関する御質問をいただきました。
 御提案のように、所得が高く、保険料負担能力があるにもかかわらず、保険料を納付しなくても税金で基礎年金の半分を保障する仕組みは、税金の公平な配分や保険料納付意欲の観点から問題があると考えます。
 なお、現行においても、所得が低く、国民年金保険料を支払えない方が保険料免除を受ければ、免除期間中については国庫負担分相当分である二分の一相当の基礎年金を受けることができる制度になっております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

○国務大臣(小宮山洋子君) 高橋議員からの改正労働者派遣法と労働契約法改正案についての御質問ですが、労働法の規制緩和については、行き過ぎた規制緩和が非正規雇用の拡大等につながった面があります。このため、派遣労働者の保護と雇用の安定等を目指し、このたび成立した改正労働者派遣法の円滑な施行に万全を期していきたいと考えています。
 また、この国会に提出している労働契約法改正案は、有期労働契約を長期にわたり反復更新した場合の無期労働契約への転換などを盛り込んでいます。これにより、労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を目指していきたいと考えています。
 パートタイム労働者の均等待遇についてですが、パートタイム労働者の均等待遇を目指していくことは重要であると認識しています。現在、労働政策審議会で御議論いただいている今後のパートタイム対策についての取りまとめに基づき、パートタイム労働者の公正な待遇をより一層確保するよう、対策を講じていきたいと考えています。
 特例水準の解消とマクロ経済スライドについてですが、現在支給されている年金額は、過去の物価下落時に特例的に年金額を据え置いたことから、法律上、本来想定している年金額と比べ、二・五%高い水準になっています。
 二月十日に提出した法案には、年金財政を安定させるとともに、現役世代の過重な負担を緩和して世代間の公平を図るため、特例水準の計画的な解消に取り組む措置を盛り込んでいます。具体的には、年金額を一度に引き下げるのでは高齢者の生活に影響が大きいことから、三年かけて徐々に解消することにし、初年度の平成二十四年度については十月分から始めることにしています。
 また、マクロ経済スライドの発動には、特例水準の解消が前提となっています。この仕組みは年金財政の安定と世代間の公平を図るために不可欠であり、社会保障・税一体改革の中では、デフレ経済でもマクロ経済スライドを発動することを検討しています。
 公的年金制度は、老後の生活を支える柱であり、長期的、安定的に運営することが不可欠です。こうした特例水準の解消やマクロ経済スライドの意義を御理解いただきたいと思います。
 低所得者への加算ですが、低年金、無年金問題に対応することは、年金制度上の大きな課題です。各方面からの御提言ももとに、年金の最低保障機能を強化する観点から、低所得者への年金額加算などを提案しています。
 今回の仕組みでは、具体的な低所得者の範囲として、介護保険や後期高齢者医療制度など、ほかの社会保障制度で用いられている低所得者の範囲を基本として対象者を限定しつつ、対象者に対し一律月額六千円の加算と、免除を受けた期間に応じた割り増しの加算を行うことで、真面目に納付している人の保険料の納付意欲にできるだけ悪い影響を与えることのないよう配慮しています。
 なお、加算額の六千円は、老後の基礎的な消費支出を賄う水準と特例水準解消後の老齢基礎年金満額の差額などから設定したものですが、加算によって七万円となる人の数については、現在持っているデータからは把握していません。(拍手)

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