国会質問

質問日:2017年 5月 24日 第193国会 厚生労働委員会

医療法等一部改定案(医薬品のネット販売、特定機能病院について)

適正な医療情報提供を
医療法改正案、全会一致で可決

 遺伝子をはじめとする生体検査の精度確保や特定機能病院などのガバナンス強化を盛り込んだ医療法改正案が24日の衆院厚生労働委員会で採決され、全会一致で可決しました。
 採決に先立つ質疑で、日本共産党の高橋千鶴子議員は、医療機関のホームページが過大広告とならないかなど一定の規制をする件について、2014年に医薬品のインターネット販売を解禁した際の教訓を生かすべきだと求めました。
 高橋氏は、厚労省の医薬品のネット販売調査では、専門家による情報提供が義務付けられているにもかかわらず、実際に情報提供されているのは71・4%にとどまっていることなどを指摘。薬についての説明が「理解できない」「あまり理解できない」と答えた人も、店舗購入の3倍あったと指摘。業界団体の調査でも、オンライン上の大型モールから購入し、価格を重視している傾向が明らかになったとして、「消費者が知りたい情報だけでなく、知ってもらう情報の提供が大事ではないか」とただしました。
 厚労省の神田裕二医政局長は、医薬品の副作用なども含め適正な情報が提供される必要があるとして、「ネットパトロール等において、しっかり監視していく」と答弁しました。
(しんぶん赤旗2017年5月25日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まず先に伺いたいのは、二〇一四年の六月施行で、一般用医薬品が全てネット販売が可能になりました。そのカテゴリーについては資料の一枚目に示しております。これによってどれだけの業者が参入し、またその特徴はどのようなものがあるのか、まず伺います。
○武田政府参考人 お答えいたします。
 一般用医薬品をネットで販売を行う際には、例えば、ホームページにおいて、販売を行う薬剤師等の氏名を表示するなど、医薬品医療機器法の基準を遵守する必要がありますけれども、制度改正により新規に参入した事業者ということを特定して集計をするというのは、把握困難ではございますけれども、平成二十八年三月末現在で、販売サイト数は千八百三十五サイトあるものと承知をしております。
 このうち、特徴ということでございますが、薬局と店舗販売業の店舗の所在地が東京都または大阪府である販売サイト数が六百二十六サイトということで全体の約三割を占めておりまして、比較的大都市部に多い特徴があるものと承知をしております。
○高橋(千)委員 もう少し中身のことを触れていただきたかったなと思うんですが、例えば、千八百三十五のサイトですけれども、店舗数は千二百五十六。そうすると、その差は、私がかつて質問したことなんですけれども、店舗を必ず持たなきゃいけないけれども、支店という形で、実体の店舗は一つだけれども支店は幾つもある、そういうことが実際にあるのかなということと、今、都市部に多いという答弁でありましたけれども、海外などもあった、さまざまあるのかなと思いますが、もし補足していただければ。
○武田政府参考人 恐れ入ります。
 私ども、インターネット販売を行う店舗数、サイト数、ともに把握をしているところでございます。
 平成二十六年六月からこの新しい制度は始まっておりまして、その直後の数字は、店舗数で千三十九、サイト数で千三百九十。直近の数字は、先ほど答弁申し上げましたように、サイト数が千八百三十五でありますが、店舗数は千二百五十六でございます。
 この店舗数とサイト数の差につきましては、一つの店舗でありましても複数のサイトに掲載をしている店舗がございますので、そういったことで店舗数とサイト数に差が生じているということでございます。
    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕
○高橋(千)委員 ですから、言ったとおりだと思うんですね。複数のサイトに掲載をしているというのは、支店という表現を使っているわけですよね。実態は、店舗一つなんだけれども、楽天だったりヤフーだったり、さまざまなところに支店を持っている、そういう感じになっているということだったと思います。
 それで、当時議論したのは、きっかけは、省令で一般用医薬品のネット販売を禁止したことで、行政が国会を超えているという最高裁の判決が出て、法による対応が急がれたということだったと思う。あのときの時点で九九・九%の解禁だったにもかかわらず、業界からは規制が強過ぎるという反発がございました。
 それで、資料の2にイメージをつけておきましたけれども、このような「一般用医薬品のネット販売のルールの概要」ということで、まず使用者と専門家のメールのやりとりがあって、どういう目的で買いたいのかということと自分の情報をメールでやって、そしてまた説明をする、そういうふうな流れをつけているわけですけれども、特に一類の医薬品については、店舗でもネットでも、薬剤師が必ず説明することが義務づけられていると思います。
 それで、二〇一五年度の実態把握調査では、厚労省が委託して行った調査では、ネット販売を行っている業者のうち、一類の医薬品を扱っているのは一四・七%にとどまっている。やはりこれは薬剤師が必要だということもあり、いきなりではなかったなというふうにまず思いました。
 それと、資料の3にあるように、滑り出したときは、やはりその説明がちゃんとなかったり、あるいは、理解できましたかと確認するのが少なかったんですが、右側に上がっているように、一定の、九割以上の確認や説明がされているということがわかります。
 同時に、右側の3、4を見ていただきますと、情報提供がされているのはまだ七一・四%にとどまっている。また、情報提供を行った者の割合は、八二%が薬剤師ですけれども、滑り出しのときは九〇・九%だったわけですから、そこから下がっているという状況が見てとれるのかなと。これは余りよろしくないことなのではないかと思います。
 それで、当時、危険ドラッグの議論もありました。その中で、いわゆる健康食品と言われた無承認の医薬品、この扱いが非常に問題となりました。一般用医薬品のネット販売が解禁になった直後の届け出をした事業者の中に、こうした、いわゆる健康食品を広告しているなど紛れ込みもあった、そして、健康食品とうたっているけれども医薬品の成分が発見されたなど、そうしたことがあったと思います。
 そういうことを振り返って、医薬品医療機器法違反がどのような体制でチェックをされているのか、あるいは、違反がどのようになっており、十分な対応ができていると思うのか、伺いたいと思います。
○武田政府参考人 ただいま御指摘もございました、医薬品医療機器法に基づく承認を受けていない医薬品の販売などもございますので、こういったものにつきましては、国民の保健衛生上の危害防止のために必要な取り締まりを行っているところでございます。
 特に近年は、インターネットの普及に伴いまして、インターネット上での無承認、無許可医薬品の販売などにつきましては、やはり増加をしているというふうに認識をしておりますので、監視の必要性は高まっているというふうに考えております。
 私どもといたしましては、このインターネットでの違法サイトの検索、発見に実績のあるサイバー犯罪の専門調査会社に委託をいたしまして、例えば、健康食品と称して医薬品としての成分を含む製品の販売を行っているサイト、こういうものを発見いたしますと、その削除などをプロバイダーに依頼する、こういったインターネットパトロール事業という事業を平成二十六年の四月から実施しているところでございます。
 この成果でございますが、この事業によりまして、事業開始から平成二十九年三月末までの間に、約二千五百のサイトにつきまして削除したところでございます。
 このほか、国以外にも、都道府県におきましても、職員がインターネット上の販売サイトで確認を行って、違反が疑われる事例につきましては製品を買い上げて分析し、業者への指導をする、こういった形での国内の違法サイトの閉鎖、削除を都道府県の方でも行っているところでございます。
 このように、厚生労働省といたしましては、これまで、サイバー犯罪の専門調査会社の活用、それから、薬事監視の第一線を担う都道府県の監視、取り締まりといった多方面から対応を行ってきておりまして、違法な販売の是正ということを行ってきたわけでございますけれども、引き続き、こういった取り締まりに努力してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 二千五百のサイトが削除されたという答弁でありました。やはり、一般用医薬品を扱う業者がルールを仮に守ってやったとしても、こうした紛れ込みがあるという中での今の体制が今指摘をされたと思うんですね。
 それで、私は当時、この一般用医薬品のネット販売について、大型のオンラインモールの中で販売をされる、そうすると、例えば、三日間しか飲めないよという薬が、割引セールでまとめ買いみたいに、必要以上に買うことがないかとか、広告が張りついたり、割引だ、ポイントだということがどうしてもあるし、あるいは、これを買ったユーザーはこちらも買っていますとわざわざ教えてくれるレコメンド機能がついてくるのではと、こういう指摘をしたのに対して、いずれも医薬品については禁止とする、議論の中でそういう答弁があったと思うんですね。
 ただ、実際には、くすりの適正使用協議会による二〇一五年の調査によりますと、インターネットで医薬品を購入した経験がある人五百名に対する調査で、ポイントとして、ポイントというのは、特徴として、副作用や飲み合わせにはほとんど関心がない、圧倒的に価格を重視している、これは割合でいうと六五・六%。購入サイトは、店舗の情報よりも、一応写真もついているわけですけれども、必ず写真も住所もついているんだけれども、やはり属しているオンラインモールの大きさで選択しているということがわかったと思います。やはり楽天やヤフーなど、よく皆さんが知っているモールが六七・四%で、断トツであった。やはりそうかなというふうに思うんです。
 一方、厚労省の研究班の調査では、薬についての説明は受けたけれども、理解できない、余り理解できないが、店舗で購入した場合の三倍もあったという結果も出ているわけなんです。
 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、今回の医療法改正案は、医療機関のネット広告においてもチェックをしたり追跡調査を行うとしています。今述べてきたようなインターネットパトロールのような体制になるんじゃないかなと思うんですけれども、先行する医薬品のネット販売チェックの教訓をどう評価して、どのように生かしていこうとしているのか、伺います。
○塩崎国務大臣 インターネットにおける無承認医薬品の販売につきましては、平成二十六年の四月から、インターネットでの違法サイトの検索それから発見に実績のあるサイバー犯罪の専門調査会社に委託をして、違法サイトの削除等をプロバイダーに依頼する、先ほどもお触れをいただきましたインターネットパトロール事業、これを実施してきているところでございます。
 この事業によって、事業開始から本年三月末までに、約二千五百サイトを削除いたしました。引き続いて、都道府県等の関係者とも緊密に連携をして、不正なインターネットサイトの取り締まりを行っていく所存でございます。
 こうした無承認医薬品の取り締まりが一定の成果を上げていることから、医療機関のウエブサイトについては、その取り扱いなどを議論した検討会において、厚生労働省が外部委託によるネットパトロール監視体制を構築いたしまして、都道府県等がネットパトロール事業から得られた情報をもとに医療機関に対して規制の遵守の徹底を求めていく、こんな取り組みを行うべきと提言をされているわけで、これを踏まえて、今年度より、医療機関のウエブサイトに関しても、専門性を持った外部業者に委託をいたしまして、医療機関の不適切なウエブサイト等の情報を収集し、適正化につなげる事業を開始することとしております。本法案によるウエブサイトに対する規制強化とあわせて、監視体制の強化を図っていかなければならないと考えております。
○高橋(千)委員 大臣、時間がないのに、どうして同じ答弁をするんですか。さっき二千五百サイトと局長が答弁したでしょうが。同じことを言わないで、聞いている趣旨がやはり違うと思うんですね。
 やはり、違法サイトの紛れ込みをどうチェックするかということと同時に、正しい情報をどう伝えるかということだと思うんですよね。インターネットそのものが広告である、そういうふうに見たときに、患者さんが欲しい情報が得られなくては困るという議論があって今回の提案をしているわけでしょう。そのことを、いわゆる医薬品のネット販売から教訓としてどう引き出すんですかということを聞いているわけなんです。
 資料の4を見ていただきたいんですけれども、さっき紹介した、くすりの適正使用協議会の調査です。これは、実際にネット販売ができる薬局には店舗があるということを知らない人が、ちょっとこの組み立てがわかりにくいですが、知らない人が八割なんですね。あれだけ議論をして、やはり実体として店舗が必要だという規制をつけたけれども、そのことを知らないということです。
 それから、下の方は、これは二〇〇八年の薬事法改正で、登録販売者という仕組みをつくりました。だけれども、一つ目にあるように、どこのドラッグストアにも薬剤師が常駐していると思っていた人が五〇・四%なんです。しかも、登録販売者という名札をつけていますよね、その人たちが薬剤師の資格を持っていない、このことを理解していた方は三九・八%にすぎなかったわけなんです。
 これはすごく大事なことだと思うんですね。解禁したけれども、あるいはそのために歯どめとして幾つかの規制を残した、それを結局理解していない、よかれと思ってやったことでも、ユーザーに伝わっていなければ安全とは言えないんだ、だから、正しい情報を伝える、知ってもらわなきゃいけない情報をちゃんと伝えるということを教訓として引き出す必要があるのではないかと思いますが、もう一度お願いします。
○神田政府参考人 先生御指摘の趣旨は、適切な情報がきちっと提供されるように、あわせて指導するべきではないかという御趣旨かというふうに思っております。
 今回、ウエブサイトに新しく、これまでのテレビCMですとか折り込み広告と同様に、基本的には同じ規制をかけることとしておりますけれども、先ほど先生が御指摘ございましたように、これまで患者さんが、例えば、がんの患者さんとか難病の患者さんが国内で未承認の薬の治療法などを知る、そういう必要な情報が入手できなくなることがないように、一部広告事項の限定列挙を解除する枠組みを設けることにしておりますが、その中では、医療機関側にとって都合のいいことだけではなくて、きちっと、副作用としてどういうものがあるのかとか、値段はどういうものかとか、どれぐらい期間がかかるのかとか、そういった一定の適正な情報とあわせて広告事項の限定を解除したいというふうに思っておりますので、ネットパトロール等におきましては、そういった適正な情報があわせて行われているかどうかということも含めて、しっかりと監視をしていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 残り時間が少なくなってしまいましたので、特定機能病院について一言質問したいと思うんですが、ちょっと通告と違うと思うかもしれませんが、難しいことを聞かないので、大臣にぜひ答えていただきたいと思うんですね。
 特定機能病院のガバナンスの強化について、大臣がとても力を入れているというのは理解できたと思いますし、私も視察に参加させていただいて、東京女子医大のお話を聞いて、また同僚議員の皆さんの討論を聞いていて、非常に学ぶことがありました。
 それで、私が思ったのは、特定機能病院が、今ほとんどが大学病院で、八十五あると思うんですが、この資料の5にもあるように、大変厳しい条件なわけですよね、これは承認取り消しというのが大変なことだという議論を今しているわけですから。それでもやはり名乗るということはステータスになるのかな、病院にとっては必要なことなのかなと考えていたわけなんです。
 そこに、何か足りないものがあるんじゃないかという思いがありました。それは、例えば、第一回大学附属病院等の医療安全確保に対するタスクフォースの会議で、これは二〇一五年ですけれども、顧問として出席をしているNPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏が、この方たちは、二十五年間で五万四千八百件の電話相談に取り組んできた、その経験から、大学病院の問題と検証が必要な点という資料を出しているんですね。
 ここで治療してもらえなかったらほかに行くところがない、そう思っているから、多少威圧的な対応や説明でも我慢している、提示された治療方法も、最先端の治療だから、これを受けるしかないと受けとめがちなんだ、縦割りで、診療科同士の力関係が患者の治療にも影響している、複数での連携がない、そういうふうにおっしゃって、別の科が対応してくれると思っていた、あの科にはうちから口出しできない、本当にあるあるじゃないかなと思うようなことが指摘をされています。
 実際に、病院探検隊として行ったときに、本当に開かれた雰囲気があるところは、院内コミュニケーションが豊かで非常にいいと思うけれども、逆に、監視の目が行き届いているんですけれども、閉鎖しているところというのは、やはり次に生きてこないと。職員の対応のひどさを指摘した際に、驚くことに、管理職が、きょう回られたコースは当院で最悪のスタッフがそろっていた、こう答弁をされたというので、ちょっと本当に驚いたわけですけれども。
 第一回でこういう議論がされていたのが、まとめを見ても余り伝わってこないわけなんですね。ですから、高度な医療と安全対策は重要です。だけれども、一方で、こうした患者目線を取り入れる努力がされているんだろうか。これは一言でいいですので、お答えいただきたい。
○塩崎国務大臣 そもそも、医療の高度の安全の確保というのを、今回、承認要件に入れましたけれども、これ自体がやはり患者目線であるわけでありまして、それが抜けていたということは、この制度自体が十分な要素を兼ね備えていなかったというふうに考えなければいけないと思っています。
 もちろん、公的規制が大事であることはそのとおりで、したがって、今回、法律改正でガバナンスも強化をし、安全性についても承認要件に入れ込むということでありますけれども、しかし、そこから先は、それぞれの病院がどういうふうに、独自の高度かつ先端的な医療と、医療の高度の安全の確保ということを両立させていき、なおかつ、患者本位の視点でもって全て経営を行うということを、病院運営を行うということをやっていただかなければならないということで、それが大学の医学部の論理で動いてしまったり、あるいは、開設者の大学としての、医学部だけではなく、大学の論理で動いたり、そういうことではなく、病院は病院の、患者目線の、そして安全重視で、なおかつ先端的な医療にも挑戦をしっかりとして、患者の期待に応えられるような、そういう運営をどう実現していくかということをやっていただきたいと思うわけでありますので、今御指摘の患者目線でということについては、まさに大事な視点として、これからさらに強化をしていってもらいたいところであると思います。
○高橋(千)委員 残念ながら、時間が来ましたので、終わります。

 

――資料――

2017年5月24日衆院厚生労働委員会配布資料

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