国会質問

質問日:2012年 6月 19日 第180国会 災害対策特別委員会

災害対策基本法改正案可決、さらなる改善求める

 衆院本会議で19日、災害対策基本法改正案が全会一致で可決しました。大規模災害に対する即応力強化や被災者対応の改善などが盛り込まれています。

 日本共産党の高橋ちづ子議員は災害対策特別委員会で、迅速な支援が可能になるとして法案に賛成するとともに、被災者生活再建支援法や災害救助法改正などが見送られたが、東日本大震災で課題は明らかだと指摘。災害救助法にもとづく救助費を、避難先の自治体が避難元自治体に求償しなければならない現行の仕組みは事務負担が大きすぎるとして、国に直接求償できるようにすべきだと主張しました。中川正春防災担当相は「工夫しなければいけない。総合的に改正していきたい」と述べました。

 高橋氏は、防災・災害対応に女性の視点を入れる問題について、都道府県の防災会議に女性委員の参加を促すとしているが、法案では女性などの参加が明記されていないことを指摘。国連の女性の地位委員会が「災害管理のすべてで女性が平等に役割をはたすことができるように」と要請していることにふれ、さらなる見直しを求めました。

 被災者の医療費や介護利用料無料化が9月で打ち切られる問題についても、宮城県市長会が継続を要望していることを示し「被災者を励ますためにも延長するべきだ」と主張しました。なお災害対策特別委員会では、国や都道府県、市町村の防災会議に、女性や障害者等、多様な主体の参画を確保することなどを含む付帯決議を採択しました。

(しんぶん赤旗 2012年6月20日より)

 

――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 法案に入る前に一問、厚労副大臣に伺います。
 仮設住宅暮らしが長期化する中で、医療費や介護の利用料の無料化が九月で終わればどうしたらよいかと不安が広がっております。五月八日には、宮城県市長会として復興庁に要望もしております。そのときは郡政務官が対応してくださったと思います。また、六月四日の一体改革特別委員会の福島市で開かれた地方公聴会においても、南相馬市立総合病院の金澤院長から、無料化の継続が一番効果的、こういう発言がございました。
 もともと私どもは、再建の見通しが見えるまで無料化は継続すべきだと主張してまいりました。少なくとも九月ではない、早過ぎる、延長すべきだと思いますが、西村副大臣、いかがでしょうか。

○西村副大臣 お答えいたします。
 東電福島原子力発電所事故に伴う国の避難指示等が行われた区域の被災者については、平成二十四年度の予算において百四十二億円を確保して、当初、震災発生から一年間の措置でありました医療、介護の保険料や一部負担金の減免に対する財政支援を、さらに一年間延長することといたしております。
 他方、区域外の方々、避難指示等が行われた区域外の被災者の方については、医療保険制度、介護保険制度の仕組みにおいて、当初、震災発生から一年間の措置であった一部負担金等の減免に対する財政支援を、さらに半年延長してこの九月末まで継続することとしております。
 九月末までにしているその理由についてでございますけれども、この夏以降は、所得の反映について、平成二十三年の所得が反映される自己負担額及び保険料水準となることなどを踏まえまして、財政支援をぎりぎりまで継続させるというふうに判断しているところでございます。

○高橋(千)委員 大変申しわけないんですが、副大臣、今の答弁、津波の被災地も含めて話をしているのに、福島は警戒区域は財政措置するけれども、他方の区域外ということで、津波の被災地まで区域外みたいな表現になってしまったので、それは違うでしょうということをまず認識していただきたいと思います。
 岩手県の陸前高田市の市長は、九月で打ち切られたとしても、国がやらないとしても、市として延長するという決断を既に表明しました。その理由は、被災者を励ましたいからと言っているんです。それでなくても、毎日テレビを見ると消費税増税論議が吹き荒れて、本当に心細い思いをしているわけです。そしてもう六月ですから、九月が目前という中で、本当にこの先の見通しが持てないという悲壮感を強めている。ですから、励ますという意味でもやらなければならないんです。
 所得が八月で震災で下がった分が反映するからと言っていますけれども、それは保険料だけです。一部負担金には反映は直接はしませんので、徹底した減免措置をやらなければなりません。ですから、今、まだ六月ですから、やらないということを決めないで、持ち帰るということで一言よろしいですか。

○西村副大臣 繰り返しになりますけれども、夏以降は所得の減少を反映した自己負担額及び保険料水準となることなどを踏まえまして、財政支援をぎりぎりまで継続させるという判断をしております。

○高橋(千)委員 繰り返すんだったら答弁をしなくてもいいなと。重ねて指摘をしておきたいと思います。
 本改正案は、東日本大震災から得られた教訓を踏まえたものとされておりますけれども、附則では、防災に関する制度のあり方について全般的な検討を行い、必要な措置をとるとしています。しかし、震災直後から見直しが指摘されてきた災害救助法や被災者生活再建支援法、また災害弔慰金法などの見直しは見送られました。特に生活再建支援法については、昨年が国会が決めた見直しの期限でもありました。
 平野大臣に、改めて、こうした災害法制の中で急がれる課題について認識を伺いたいと思います。

○平野(達)国務大臣 東日本大震災において、被災者支援の観点から、高橋委員からは、委員会の機会あるごとにと言ったら失礼な言い方になりますけれども、災害救助法あるいは被災者生活再建支援法、災害弔慰金法等の見直しの必要性については指摘を受けてまいりました。
 私どもも、例えば、被災者生活再建支援金の支払いを迅速に行えなかった、それから、遠隔地に避難した被災者や在宅での避難を余儀なくされた被災者に対して必ずしも十分な支援ができなかった、これは手続の問題があるというふうにも認識しております、等の課題があったというふうに認識しておりまして、これらの課題につきましては、私も今委員として参加させていただいておる防災対策推進検討会議などの場において積極的に議論しまして、中川大臣とも連携しながら、被災者支援法制全体のあり方の見直しの中で検討してまいりたいと思いますし、必要があれば中川大臣にもお願いをしなければならないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ぜひお願いをしていただきたいと思います。
 全体的な法体制ということではいろいろ議論をしなければならないことがあると思うんです。また、防災ですとか、先ほど来議論されている防災教育ですとか、予知を含めたいろいろな体制がございます。あるいは、危機管理の体制ということもあると思います。
 ただ、私が今三つの法律をあえて代表例として挙げたのは、既にこれは課題が今回の震災の中で明らかになっていたし、法案をつくった時点で課題はもう提起されていたわけなんです。特に三・一一の震災の直後に、民主党政権は、被災者生活再建支援法の最大三百万円の支給を五百万円にしたいということをおっしゃいました。それがどんなに被災者を勇気づけたか、先ほどの話の続きになってしまうかもしれませんが、そういうことだったんですね。
 ですから、課題はかなりのところわかっていた。わかっていたけれども、財政的な事情その他で見送られてきたということが現実にあったんだ。だから、ここは先送りしないでほしいということを、要望にとどめたいと思います。
 そこで、大震災でネックとなったのは、かつてなく全国的に避難が広がった中で、災害救助法による救助費を避難元に求償しなければならなかったことであります。混乱している被災地に大変大きな負担となります。三月に出された中央防災会議の防災対策推進検討会議の中間報告でも指摘をされております。
 今回、せっかく県や国に調整機能を付与するというのであれば、避難先が国を通してワンスルーで求償できる、お金をもらえる、そういうふうにするべきだと思いますが、これは厚労副大臣と、そしてそれを後押ししていただきたい防災大臣に、それぞれ伺います。

○西村副大臣 災害救助法におきましては、被災県がみずからの県民の災害救助に責任を持つということと被災県民との関係を維持するという観点から、被災県の要請を受けて避難者を受け入れた県が支出した費用は、被災県に対して全額求償する仕組みとなっております。
 東日本大震災では、こうした制度の趣旨を踏まえつつ、被災県の事務処理負担を軽減するために、本来被災県が行う事務を厚生労働省が支援しております。避難者を受け入れた県が国に救助費用を直接求償することについては、厚生労働大臣を含む関係閣僚がメンバーとなっている、先ほど御指摘あった防災対策推進検討会議において検討が行われるところでありますので、ことしの夏ごろをめどに最終報告を行う予定となっております。

○中川国務大臣 先ほど御報告があったように、今、とりあえず運用という形で国が県にかわって事務をやっているということであります。
 これは、制度として基本的にもっと工夫をしていかなきゃいけないところだというふうに思っておりまして、総合的に改正をしていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 お願いをしたいと思います。
 やはり財政がついてこないと、いろいろ体制を整えようとしても足踏みをしてしまうということがございますので、もっと工夫ということを大臣がおっしゃっていただきましたので、ここが本当に取っ払うことができるように強く要請をしたい、そのように思います。
 さて、次の質問なんですけれども、ことしニューヨークで開催されました第五十六回国連婦人の地位委員会において、日本提案の決議、自然災害とジェンダーが採択をされました。その趣旨についてと、本改正案にその趣旨がどのように盛り込まれたかについて、男女共同参画大臣も兼任をされている中川防災大臣に伺いたいと思います。

○中川国務大臣 この決議は、東日本大震災の経験を共有して、災害に対するよりよい制度、対応に向けた国際社会の取り組みを促すという考え方に基づきまして、国連婦人の地位委員会において日本から提案をして採択がされたということであります。
 避難所運営等において、高齢者や障害者、女性などの視点に立った対応が必ずしも十分でなかったということの御指摘があるところでありまして、女性、高齢者、障害者等の団体の代表者等も都道府県防災会議の委員として追加するということ、これを可能にいたしました。
 防災に関する意思決定過程への女性の参画、これが大事だというふうに思っておりまして、女性や子育て家庭等の視点やニーズへの配慮というものにこれからもしっかり取り組んでいけるという体制にしていきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 女性の視点という問題については、実は大分前から国連のさまざまな会議で指摘をされてきました。例えば二〇〇五年の第四十九回国連女性の地位委員会決議でも、〇四年十二月二十六日のインド洋の大津波の災害などを引きながら、女性と女児が、最近の津波災害を含む自然災害とその結果によって悪い影響を受ける人々の大多数を占めているとか、災害状況において生存者のケアや家族と地域の維持を含め女性が多面的で多様な役割を持っているとか、女性と女児が性的虐待やその他の形態の性暴力を含め暴力を受けやすい、そうした指摘をする上で、災害管理の全ての段階で女性が積極的かつ平等に役割を果たすことができるようにすることを強く要請しています。
 また、政府の中央防災会議の専門調査会でも、昨年の三月一日、ですから震災の十日前ですけれども、仙台市のイコールネット仙台、NPO法人の方ですが、宗片恵美子さんが、内陸地震や北部連続地震を受けて、今後の災害における女性たちのニーズ調査、このプレゼンがあったところなんですね。トイレを我慢して膀胱炎になったりストレスで生理不順になるなど、婦人科疾患に悩む人もいた、ストレスのために母乳もとまった、ミルクもおむつも十分でなくて、授乳室やおむつがえのスペースもなかったという体験者の声も紹介しながら、性別に配慮した避難所運営の提案などをしていたことは大変教訓的であり、そして、その議論が本当に生かされたのか、あるいは生かすべきではないかということが今問われていると思うんです。
 ところが、今大臣は防災会議の委員として参加ができますという答弁をしたんですけれども、法案は、自主防災組織を構成する者または学識経験のある者という表現ぶりだけで、とても女性がふえそうな気がいたしません。多様な主体の参加といいながら、障害者や当事者が参加できるふうにも読めません。これでは国連に日本が決議を提案しましたなどと胸を張れる状態ではないと思いますが、もっと踏み込むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中川国務大臣 そこの部分、先ほども御指摘がありました。
 でき得る限り、施行していく、いわゆる運用の中で、施行基準でそれぞれの地方自治体にきめ細かにその意図するところというのをしっかり伝えていきたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 運用では大変弱いので、さらに見直しをしていくように、また現場でどうなっているかというのをちゃんとフォローしていただくように強く要望したいと思います。
 阪神・淡路の大震災でも、女性の死亡者が男性の死亡者より一千名多かったという統計がございます。今ちょっと紹介したインド洋の大津波の話もそうなんですけれども、ずっと国際的な災害の様子を見ていても、やはり女性の犠牲が多いという事態がございます。そのことがなぜそうなのかということをちゃんと分析することで、防災対策にもつながるわけですよね。
 先ほど紹介した宗片氏のプレゼンというのは、「なぜ防災・災害復興に女性の視点が必要か」というタイトルです。女性が災害があったときに困るなということをアンケートで答えているんですが、子供に障害があるとか、介護を抱えているとか、あるいは母子家庭で、いざというときにも仕事を休めないとか。ですから、社会的困難ということがあるわけですね。
 逆に言うと、そういう方たちが防災対策の場に出ていくことによって、未然に把握をして社会的に対策をとっていくということにつながることで、結果として防災につながるんだということも見る必要があると思いますので、ここはぜひ取り入れていただきたいと思います。
 そこで、最後にもう一点聞きたいんですけれども、大規模広域災害に備えてということで、国や都道府県の調整機能規定というのが設けられたわけです。国の調整権限は大変強まったと思います。さらに強めよという意見もきょうかなり出ていたのかなと思うんですけれども、ただ、基礎自治体である市町村の裁量を高めるという点ではどうでしょうか。
 中間報告の中で実は指摘をされているんですが、中央防災会議が必要に応じて地方から意見を聞く、こういう仕組みはあるんだけれども、地方から防災会議に意見を提出する仕組みというものはない。これをやるべきではないかという指摘がされています。私は当然ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○中川国務大臣 実際、それは本当に大事なことだというふうに思うんですね。
 それで、具体的にこの法案の中で規定されているのは、地方公共団体間の調整をまず原則として、特に広域ということを前提にしていくと当該調整がうまくいかない場合や緊急を要する場合に国が調整に乗り出すということ、これが基本原則でありまして、地方公共団体の役割を補完するという趣旨でこうした規定が置かれたということ、これを御理解いただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、しっかり中央防災会議が地方の意見を吸収していくということ、これが大事だと思いまして、具体的には、首都直下であるとか、あるいは南海トラフの対応をこれからしていかなきゃいけないわけですが、その中で、協議会をつくりまして、地方公共団体はもちろんですが、民間ということ、あるいはその他関連の防災に対する主体を一堂に協議会という場でもって協議ができる形をつくっていきたいということで、これをスタートさせました。
 その中で、もう具体的にさまざまに今問題点も上がってきておりまして、それをこれからの法改正あるいは制度を構築していく中で生かしていきたいということで制度をつくったということであります。

○高橋(千)委員 通告しておりませんが、平野大臣にも一言、同じ質問でいかがですか。
 地方から防災会議にちゃんと意見を提出できるように。

○平野(達)国務大臣 女性の参画ということにつきましては、先ほど高橋委員が御指摘されましたように、避難所における生活においても、これからの復興計画の策定においても大事だというふうに思っております。実は、けさ、市町村レベルの復興計画の策定の中に、まだまだ女性の参画が少ないということがありまして、私の方から、もっと女性の参画をふやすようにという通達を出させていただいたところであります。
 まだ地域の方も、まず復興計画の策定に今忙殺されておりまして、そこまで気が回らなかったというところもあるかと思いますけれども、いずれ、これまでの応急対策等々においても、行政レベルは別として、地域レベルでは、女性が先頭に立って避難所の運営をされてきたというようなところもたくさんございますので、そういった観点からも、女性の参画をということにつきましては、引き続き私の方もしっかり後押しをしていきたい、また、そうしなければならないというふうに考えております。

○高橋(千)委員 時間が来ましたので、今の女性の参画を後押しするという約束を果たしていただくことと、やはり基礎自治体は市町村であり、市町村が一番真っ先に駆けつけて支援をするわけですから、そこに本当に裁量を持たせていくということも大きな課題であるということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。

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