国会質問

質問日:2017年 4月 4日 第193国会 本会議

福島復興再生特措法改定案

汚染者負担原則を壊す
福島復興特措法改定案 高橋氏が批判

 東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のなかに「特定復興再生拠点区域」を定め、5年後をめどに帰還できるようにする福島復興再生特別措置法改定案が4日、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の高橋千鶴子議員が質問に立ち、特措法の理念に立った福島支援こそ必要だと求めました。
 同改定案は、東電が全額負担するとしていた福島事故の除染費用のルールを壊し、帰還困難区域の除染に国費を投入するもの。高橋氏は「汚染者負担の原則に反する」と批判するとともに、「周りは手つかずのまま、わずかな拠点地域のみ除染・整備されて、いったいどれだけの住民が戻れるのか」と強調。元の居住エリア全域の除染を明確にするよう迫りました。
 今村雅弘復興相はまともな理由も示さず「汚染者負担原則に反しているとはいえない」と答弁しました。
 高橋氏は、「住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにする」という特措法の基本理念が国の避難者切り捨て政策でないがしろにされている実態を告発。福島事故に対する国の責任を断じた3月の前橋地裁判決が「避難指示が解除されたからといって帰還しないことが不合理とはいえない」としていることにも触れ、「自主避難者への住宅支援の打ち切りが帰還の強制になってはならない。被害の続く限り賠償を継続すべきだ」と迫りました。
(しんぶん赤旗2017年4月5日付より)

 

――議事録――

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)
 三十一日と四月一日で、浪江町、飯舘村、富岡町の一部と川俣町山木屋地区の避難が解除されました。残るは、福島第一原発の立地町である双葉、大熊両町と近隣五市町村の帰還困難区域で、避難区域の面積は三分の一、県土の二・七%に縮小されました。最大で十六万人、先月まで約七万九千人が避難生活を続けてきましたが、今回解除された四町村でも、帰還は一割未満にすぎません。
 安倍総理は、政府主催の追悼式典で、原発事故という言葉を一切使いませんでした。内堀雅雄福島県知事が違和感があると指摘したのは当然です。菅官房長官は、避難解除が進んでいることなどに触れていたと弁明しましたが、解除さえすれば復興は進んでいるとお考えですか。菅官房長官に伺います。
 福島法は、地震、津波被害に加え、原発事故という三重苦に見舞われた福島県の復興を図るため、既存の法律や制度の枠を超えた特別の立法が必要であるとして、地元の強い要望も受け、二〇一二年三月に成立しました。
 まず、福島法には、「原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任」と明記されています。原発事故とその後の長い被害について、国と東電の責任が改めて問われています。
 三月十七日、前橋地裁は、国と東電は事故を防ぐことが可能で、国が規制権限を行使しなかったことは著しく合理性を欠き、違法であると断じました。国は控訴しましたが、原発事故に対する責任はないという立場なのですか。
 福島法の基本理念は、「住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにする」とうたっています。実態はどうでしょうか。
 今村復興大臣、三月十二日のNHK討論番組で、ふるさとを捨てるというのは簡単だがと発言されたのは、断じて許されません。
 事故前には、田畑をつくり、山菜をとって、ふるさとの恵みで暮らしてきた、帰っても、田畑には汚染土を詰めた袋が山積みだ、どうやって暮らしていけばよいのか、この声がおわかりですか。私がお会いしてきた多くの避難者の方々の誰もが福島を思い、ふるさとにもう帰らなくてよいという声を聞いたことはありません。たとえ帰らないと決めた人も同じです。発言を撤回し、謝罪すべきです。
 三月末で、災害救助法に基づく応急仮設住宅の無償提供が打ち切られました。いわゆる自主避難者の住宅確保はどのようになっているのか、伺います。
 いじめを受けているのは子供たちだけではありません。大人たちも、避難先を転々とする中で、どれほどの言葉や扱いを受けてきたか。また、子供のためにと決意したお母さんたちも、経済的困難から避難生活を続けられなくなり、しかし、帰っても周囲の目に耐えられず、再び避難先に戻った方もいます。
 子ども・被災者支援法第二条、基本理念には、被災者一人一人が他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択をみずからの意思によって行うことができると定めています。前橋地裁判決が、避難指示が解除されたからといって、帰還しないことが不合理とは言えない、そう述べたことも重要です。
 住宅支援の打ち切りが帰還の強制になってはなりません。答弁を求めます。
 避難指示が解除されると、帰還するしないにかかわらず、一年後に精神的損害に対する賠償が打ち切られます。コミュニティーを含めもとの生活に戻れず、商売が成り立たないなど、帰還しても避難を続けても、新たな困難によって被害は続いており、賠償は継続するべきです。
 また、原子力賠償紛争審査会中間指針には、避難区域の営業損害について、事故前と同等の営業活動を営むことが可能になる日まで賠償を続けることが合理的だとあります。この趣旨を生かして、営業損害の賠償も行うべきと考えますが、お答えください。
 本法案の最大の中心は、帰還困難区域の中に特定復興再生拠点区域を定め、五年後をめどに帰還できるようにするというものです。
 まず、復興拠点整備のための除染などの費用について、国の負担とするとしたのはなぜですか。除染特措法で、東京電力の負担のもとに実施するとした汚染者負担の原則に反するのではありませんか。
 安心して暮らせるためには、除染の徹底が不可欠です。そもそも帰還困難区域とは、年間積算線量が五十ミリシーベルトを超え、将来にわたって居住を制限することを原則とした地域です。これから五年も待って、年二十ミリシーベルトを下回ればよいという考えですか。周りは手つかずのまま、わずかな拠点地域のみが整備されても、一体どれだけの住民が戻れるでしょうか。もとの居住エリア全域の除染を明確にすべきです。
 そもそも、想定していなかった帰還困難区域の除染や公共事業の予算をどのように確保するのですか。復興庁もあと四年で廃止ではなく、責任を果たすべきではありませんか。答弁を求めます。
 法案には、福島・国際研究産業都市、いわゆるイノベーション・コースト構想の推進を位置づけました。県が、廃炉、ロボット、農林水産業などの国際的な共同研究開発を進める区域を重点推進区域として定め、整備された拠点に研究者や観光客の集客を行うとしています。イノベーション・コースト構想の財政規模、国と県の負担は、それぞれどのようになりますか。
 本構想が、住民の暮らしと生業の再生、地元事業者の再建と雇用の創出にどのように寄与するのか伺います。
 最後に、福島県民は、事故収束、廃炉作業にかかわる事故の危険と絶えず隣り合わせの生活を余儀なくされています。まして、福島第二原発の再稼働の可能性を残しながら復興再生などあり得ません。全基廃炉は県議会でも繰り返し決議され、県民の意思は明確です。事業者任せではなく、原子力政策を推進してきた国みずからの責任で決断するべきです。
 以上述べて、私の質問とします。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
○国務大臣(菅義偉君) 避難指示解除と復興についてのお尋ねがございました。
 先月の記者会見で私が申し上げたのは、追悼式典は当然に原発事故の被災者も含めたものであり、総理の式辞でも福島復興に触れていたということであります。解除さえすれば復興が進んでいるという趣旨ではありません。
 むしろ、避難指示の解除は、復興のゴールではなく新たなスタートです。解除後も、政府一丸となって、産業、なりわいの再建や雇用の場の確保などを進め、被災地の復興に取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
○国務大臣(世耕弘成君) 高橋議員にお答えいたします。
 前橋地裁における判決と原発事故に対する責任についてお尋ねがありました。
 先日の前橋地裁における判決については、裁判所の事実認定及び判断に規制権限の行使に関する見解を含め、国の見解と異なる点がありましたので、規制当局を含め政府部内で検討した結果、三月三十日に控訴をしたところであります。
 東電による福島第一原発の事故に係る事故処理や賠償の対応については、事故の当事者である東電が最後まで責任を持って行うという大原則のもと、国も、原子力災害からの復興について前面に立ってその役割を果たしていくとの立場に立って対応しているところであります。
 賠償についてお尋ねがありました。
 避難に伴う精神損害の賠償については、避難指示解除の時期にかかわらず、一定の金額を支払うこととしております。また、コミュニティーやなりわいの再建に向けて、政策支援もしっかりと行ってまいります。
 商工業等の営業損害賠償について、損害がある限り賠償するという方針に変わりはありません。やむを得ない特段の事情により損害の継続を余儀なくされ、事故との相当因果関係が認められる損害が一括賠償額を超過した場合には、個別の事情を確認の上、適切に対応することとしております。
 今後とも、東京電力に対して、被害者の方々の個別の状況を丁寧に把握して、公平かつ適切な賠償を行うよう、しっかりと指導してまいります。
 福島イノベーション・コースト構想についてお尋ねがありました。
 福島県浜通り地域に新たな産業の柱を創出する福島イノベーション・コースト構想の予算については、ロボットテストフィールドや産学官共同利用施設等の拠点整備、浜通り地域において内外の企業が連携して実施する研究開発支援など、平成二十九年度復興特会予算で合計約百億円を計上しているところです。これらの予算については全額国が措置をしており、今後とも、この構想を着実に推進してまいります。
 今後、復興庁等関係省庁と緊密に連携しつつ、拠点の整備のみならず、拠点を核とした産業集積の実現や周辺の環境整備、浜通り地域に進出してきた企業と地元企業とのマッチングにより、地元事業者の再建などを含め、浜通り地域における新たな産業基盤の構築を進めてまいります。
 福島第二原発の扱いについてお尋ねがありました。
 福島第二原発については、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しいと認識をしております。
 その上で、まずは東京電力が、地元の皆様の声に真摯に向き合った上で判断を行うべきものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣今村雅弘君登壇〕
○国務大臣(今村雅弘君) 先日の討論番組における私の発言についてお尋ねがありました。
 人が減り、住まなくなっていけば、ふるさとは簡単に廃れてしまいます。そうならないよう、ふるさとを復興再生するために、ぜひとも頑張っていこうではありませんかということを述べたものであります。
 そのために、個々の事情等があることはよく承知していますが、住民の方々には可能な限りふるさとに戻っていただきたいと考えており、このことは、避難指示の対象となった各自治体の首長さんたちも皆同じ思いであると認識をしております。
 政府といたしましても、そのための生活環境等の整備について、地元自治体と連携しながら、引き続き全力で進めてまいります。
 福島の自主避難者への住宅確保についてのお尋ねがありました。
 このたびの応急仮設住宅の供与の取り扱いについては、福島県が復興公営住宅の整備や住居の確保の市町村ごとの状況を踏まえて判断し、災害救助法に基づいて内閣府に協議がなされ、決定されたものであります。
 県においては、自主避難者に対する民間賃貸住宅の家賃補助、公営住宅の確保等に取り組むとともに、避難者向けの相談拠点を設置するなど、避難者に対する支援事業を実施してきております。
 復興庁としましても、住宅確保に関して、雇用促進住宅での受け入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることとなったほか、国土交通省とも連携しながら、公営住宅への入居円滑化の支援を行ってきたところであります。
 県の意向調査の結果によりますと、大部分の避難者の方々は、県の支援措置等を踏まえて、四月以降の住まいの確保がなされていると承知をしております。
 応急仮設住宅の終了についてのお尋ねがありました。
 福島県においては、応急仮設住宅の供与終了後に避難を継続される方に対しても、先ほど御答弁いたしました民間賃貸住宅の家賃補助や避難者向けの相談拠点の設置などの支援事業を実施してきております。
 また、住まいの確保が未確定の方に対しては、県において引き続き個別訪問を行い、被災者一人一人の事情を伺いながら、丁寧に生活再建に向け支援を行っていくと伺っております。
 復興庁としましても、引き続き、いずれの地域であれ、避難者がそれぞれの御事情に応じて安心して自立した生活ができるよう、県が全国に設置している相談拠点への支援を行うなど、福島県と連携しつつ、必要な支援を行ってまいります。
 特定復興再生拠点の除染費用についてのお尋ねがありました。
 帰還困難区域は、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域として設定されており、こうした政府方針を前提に東京電力は賠償の支払いを実施しております。
 今回、帰還困難区域においては、こうした従来の方針から前に踏み出して、新たに住民の居住を目指す復興拠点を整備することといたしました。この整備は、復興のステージに応じた新たなまちづくりとして実施するものであるため、国の負担のもとで行うこととしております。
 また、復興拠点整備の一環として行う除染事業は、新たなまちづくりを進める事業の一部であることから、除染特措法ではなく、本法案に基づいて、国の負担のもとで実施すると整理しております。よって、汚染者負担の原則に矛盾するものではないと承知しております。
 特定復興拠点区域における放射線量についてのお尋ねがありました。
 改正法案では、特定復興再生拠点については、除染により避難指示解除が可能となる程度に放射線量が低下すること、これに加えて、住民の帰還や事業活動によって土地が利活用がされる見通しがあること、計画的かつ効率的な整備が可能な規模であること等を鑑み、区域を設定することといたしております。
 なお、避難指示解除を行うに当たりましては、従来どおり、地元との十分な協議を行う考えでおります。
 帰還困難区域全域の除染についてのお尋ねがありました。
 本法案は、可能なところから着実かつ段階的に帰還困難区域の復興に取り組むものとして、まずは特定復興再生拠点区域を定めて、除染やインフラ整備等を集中的に進め、避難指示解除を行い、復興再生を推進するということを具体化しているものであります。
 他方、特定復興再生拠点外を含めた帰還困難区域全体の取り扱いについては、放射線量を初め多くの課題があり、帰還困難区域を有する市町村の置かれている状況もさまざまであることから、今後の検討課題であると認識をいたしております。
 帰還困難区域の復興拠点に係る予算の確保などについてお尋ねがありました。
 復興期間の後期五年である復興・創生期間においては、被災三県の試算をもとに、今後生じ得る課題に要する費用等も考慮した上で、事業費を六・五兆円と見込み、その財源を確保したところです。
 帰還困難区域の復興拠点整備に当たっては、毎年度の予算編成において、この財源を活用して適切に計上していきたいと考えております。
 また、復興庁の設置期間は平成三十二年度末とされておりますが、福島の原子力災害被災地域の復興再生には中長期的対応が必要であり、復興・創生期間後も継続して国が前面に立って取り組む必要があると考えております。(拍手)

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