国会質問

質問日:2017年 3月 8日 第193国会 厚生労働委員会

長時間労働是正問題

60時間残業 毎月可能に
高橋議員 「働き方改革」危険を告発

 日本共産党の高橋千鶴子議員は8日の衆院厚生労働委員会で、安倍政権の「働き方改革」で毎月60時間の残業が可能になる危険を告発しました。塩崎恭久厚労相は年間6回の歯止めを守ると明言しませんでした。
 現行では、厚生労働大臣告示によって1カ月の残業時間は原則45時間までとされ、臨時的な場合に限って労使協定によって年6回まで45時間を超えることができます。一方、政府は、残業時間規制の上限を年間720時間(月平均60時間)とする案を「働き方改革実現会議」に示しています。
 高橋氏は「原則45時間といいながら毎月60時間の残業もありになれば大臣告示の意味がなくなる」と強調。塩崎氏は「臨時的な特例の在り方も含め具体的な制度設計について検討を深めていきたい」との答弁にとどまりました。高橋氏は「原則が原則でなくなることに大臣が疑問を持たないのは重大だ」と厳しく批判しました。
 高橋氏はまた、1日当たりの残業時間の上限がないため、連続32時間労働のような事態が起きていることを示し、インターバル規制(連続休憩時間)の導入が不可欠だと要求しました。政府がインターバル規制導入に背を向ける一方で、勤務時間インターバルを設ける企業にコンサルティング料などを助成する制度をつくり、9時間のインターバルにも助成することを示し「政府が9時間あければいいとアナウンスすることになる」と批判しました。
(しんぶん赤旗2017年3月10日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先ほど四人の参考人の方の陳述があり、質疑をさせていただきました。残業時間の上限、繁忙期には百時間という数字が出ていることに対して、耳を疑ったとか、あり得ないという言葉が繰り返し出されました。当然だと思います。ぜひ大臣も体を張ってそれは阻止していただきたいということをお願いしたいと思います。
 きょうは、二十七日の予算委員会締めくくり総括質疑のときに、二月二十四日の働き方改革実現会議に出された政府案について質問をいたしました。
 そこで、ちょっともう一度趣旨を述べて確認をしたい、このように思うんですね。政府案は、大臣告示基準である残業時間月四十五時間、年三百六十時間を法定するものだ、法律に書くのだと大臣は答弁をされました。一方で、臨時的特別な事情がある場合、労使協定を条件として、年七百二十時間、平均月六十時間という上限が示されたわけです。
 しかし、現在の特別条項には、年六回まで、天井はないんですが、特別条項を使えるのは年六回までという枠があります。あくまで臨時的だからです。
 しかし、平均六十時間と書いていますが、六十掛ける十二は七百二十時間という考え方では、毎月六十時間もありなのかとやはり疑問があるわけですね。それだと、臨時的でもないし、大臣告示をせっかく法律に書くと言ったのに意味ないものにされると思うんです。
 先ほど井坂委員も同じ趣旨の質問をしたと思うんですね。どうなるかわからないではなくて、やはりこれはだめだ、毎月六十時間なんということがあってはならないということは言わなきゃいけないと思うんです。大臣の思いで答えていただきたい。
    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 予算委員会の続きで確認ということでございましたけれども、働き方実現会議における事務局案については、もう繰り返すこともないと思いますが、月四十五時間かつ年三百六十時間を法律に明記するということがまずあって、これを上回る時間外労働をさせた場合には、特例の場合を除いて罰則を科すということで、臨時的な特別の事情がある場合で労使が合意して労使協定を結ぶ場合に限って、一年七百二十時間、月平均六十時間とすることとしているというのが事務局案であるわけでございます。
 このように、一カ月当たりの時間外労働時間の限度は原則月四十五時間としておりまして、臨時的な特別の事情がある場合に該当すると労使が合意しなければ、これを上回ることはできないということが基本でございます。
 現在、この事務局案をたたき台として、労使の合意形成に向けて今も御努力をいただいておりまして、臨時的な特別の事情のあり方も含めた具体的な制度設計について、その結果も踏まえて、さらに検討を私どもとしても深めてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 とても残念ですね。同じ答弁でありました。
 私が言いたいのは、原則を書きますと言いました。しかし一方では、特例がありますと。その特例が、毎月でも特例だと言うんですか、毎月四十五時間が六十時間になって、それでも原則と言えますか、労使協定を結んだら毎月でも原則を上回っていいとなったら、それは特例とも言わないでしょう、それについて何とも思わないんですかと聞いています。
○塩崎国務大臣 もともと、これは一億のプランをつくる前に議論をした際に、言ってみれば、三六協定が尻抜けになっているというところがあって、それが年六回、六カ月は青天井になってしまっている、これをどうするのかということで、今回は、先ほど申し上げたように、労使が合意した臨時的な特別の事情であっても合意したラインを超えることはできないということにするわけでありますので、今それについての具体的なあり方について議論を労使でもしていただき、政府部内でもしているということでございます。
○高橋(千)委員 では、大臣はおかしいと思わないということですね。
○塩崎国務大臣 現在の三六協定で、それでも青天井で六カ月いけてしまうということがおかしいと思うからこそ、今回議論が行われており、また、労政審でも結論が出なかったものを、経済界側も今回は法律で規制することについて受け入れたというところで、これをさらに前に進めていこうといって今具体的な中身を詰めているわけでありますので、前進をしているというふうに私どもは考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 毎月原則を上回ることもあり得るということに大臣が疑問を持たない、これは非常に重大なことだと思います。これはやはり、労政審で決まらなかったからとか、そういう問題じゃないですよ。毎月ということをなぜ何とも思わないのか。原則を書いた意味がなくなっちゃうんです。
 これは、言ってみれば、法律に書いたおかげで、労働基準法の、一日八時間、週四十時間という三十二条が、一日十時間、週五十時間になるようなものなんですよ。そういうことなんです。その上に特別条項が出てくる、そういうことになるんです。それを、もっと冷静に考えて、重大な事態だと受けとめていただきたい。大臣告示こそが残業の上限でなければならないということを指摘したいと思います。
 資料の最後に、予算委員会で示した資料をつけてあります。これは、全国の原発でどのような三六協定が結ばれているのか、私の事務所で、情報公開したものをまとめたものです。一月で百時間を優に超えているんですね。百六十、百七十というのがあります。まさかこういうことはもうなくなると思うんですが。
 今回問題にしたのは、一日の残業の上限がない、基準がないという問題なんです。上から見ていって、北海道の泊原発の場合は、一日の残業時間の上限が十六時間になっています。これは八と足すと二十四時間になっちゃうんですよ。翌日とくっついちゃう。そうすると、下手すれば、くっついて三十二時間、それ以上でもいいというふうになっちゃうわけなんですね。
 大臣の率直な思いを聞きたいんです。仕事が終わり、次の仕事までの間にやはりインターバルがないと、これは二十四時間以上でもいいんだなんということになったら絶対だめだ、それは最低やるべきだと思いますが、いかがですか。
○塩崎国務大臣 このインターバルの問題については、もともと私どもも考え方として非常に重要だということを申し上げてまいりました。一日単位の上限を設けるということは、裏返すとインターバル規制の導入ということにもなるわけでありまして、こうした対応は、働く方の生活時間とかあるいは睡眠時間、これをしっかり確保して、健康な生活を送るための重要な考え方ということだろうと私どもも思っています。
 一方で、これはもう何度も申し上げておりますけれども、インターバル措置を導入しているのが企業としては二・二%にとどまっていて、EU指令でも、十一時間といいながら、多くの業種で例外の規定を設けているということで、なかなか労務管理上にも課題、問題があって、これを乗り越えるということがそう簡単ではないというふうに理解をしております。
 厚生労働省としては、勤務間インターバルを導入する中小企業への助成金の創設とか好事例の周知等を通じて、やはり自主的な取り組みを推進して、インターバル規制導入についての環境整備を進めるということを今やりつつあるわけでございます。
○高橋(千)委員 十一時間を設けているEUでも例外があるとお話をしていましたけれども、そもそも総労働時間が全然違うわけですから、そこと比較してはならない。やはり、そこに向かっていかなければならないわけですからね。
 それで、今お話があったように、勤務間インターバル助成制度を創設したということであります。資料の一枚目につけてあります。これは、九時間以上の場合と十一時間以上と二つのタイプがあって、補助率が四分の三、上限それぞれ最大四十万、五十万というふうにあるんですね。
 これは本当は来年度予算ですからまだ通ってはいませんが、補正予算で事項要求をしておりましたので、もう既に募集をしております。
 そこで、単純な質問です。局長に伺います。
 もともとインターバルという取り決めはなかったけれども、終業時間と始業時間の間は自然に九時間以上とれているよ、そういう事業所がそれを正式に取り決めした場合、対象になりますか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 職場意識改善助成金のうち、勤務間インターバル導入についての助成でございますけれども、この制度は二月から開始をしております。
 この助成でございますけれども、就業規則などで勤務間インターバルを労働者に確保する旨を定めて、確実にインターバルの時間を確保できるようにした場合に助成をするものでございますので、既に就業規則でそういったインターバル時間を定めている場合はこの助成の対象にならないわけでございますけれども、新たに就業規則等を定める場合には対象になるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 要するに、今定めなくても、九時間以上、なっているよというところが改めて定めたら対象になるんですよ。これはおかしいじゃないですか。こういうことにお金を使うんですかということなんです。
 資料の二枚目に要綱をつけておきました。ちょっとアンダーラインを引いているところを見ていただきたいんですね。
 研修の講師謝礼は、一時間当たり十万円までとして、原則として一回まで、一回当たり三時間までとする。コンサルティングの開催回数は、原則として一回まで、一回当たり三十万円までとする。就業規則の作成、変更に係る経費は、就業規則本則二十万円、その他一規程につき十万円までとする。
 これは、本当は法律できちんと決めれば必要ないことなんですよ。コンサルを呼んできて三十万も謝礼を払う、本当に必要なことですか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 職場意識改善助成金でございますけれども、勤務間インターバルを導入するためにさまざまな労働時間の制度をコンサルを受けて見直したりとか、業務改善とか業務の割りつけなどを検討する、そういったコンサルを受けるための助成をすることとしておりまして、インターバルを導入するためにこういったコンサルを受けることは必要な場合があると思いますので、制度化したものでございます。
○高橋(千)委員 全く無駄遣いとしか思えません。
 それでいて、厚労省が九時間以上と事業要綱をつくってしまったために、たった今インターバル規制を設ける必要があるんじゃないかという議論をしていました、でも九時間設ければよいというアナウンスにならないでしょうか。それどころか、基準をわざわざ法律に書かなくても、こういう制度があるんだから、それぞれでやればよいとなっちゃいませんか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 この助成金の支給要件でございますけれども、基本となる時間は九時間以上としているわけでございますけれども、同時に、十一時間以上の場合には上限額を引き上げているところでございますので、御指摘の点は当たらないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 何で当たらないんですか。九時間だって助成金をもらえるんでしょう。十一時間設けているから当たらないというのは、どういう意味ですか。
 要綱ができる前は、労働局に私は聞きましたよ、八時間でもいいのかと言ったら、そうですと言いました。最初はそういう考えだったんですよ。それで本気でやるつもりになるんですか。
 これは大臣に通告していましたので、もう一回答えてください。
○塩崎国務大臣 助成金の支給要件として九時間以上のインターバル導入を求めていることについての御指摘をいただいているわけであります。
 まず第一に、二・二%の企業しか導入していない中にあって、導入を促進するということがまず一つあったということで、今回はこういう定めをしているわけであります。
 同時に、今局長から申し上げたとおり、EU指令と同水準の十一時間以上のインターバルを設定する場合には助成金の上限額を引き上げるということで、そこにまた政策インプリケーションを込めているわけでございまして、インターバル時間数ができるだけ多く確保されるように私どもとしても促すということで、導入をするならばやはりそういう形にしてもらいたいということをこの制度の中で仕組んでいるというふうに理解をしております。
○高橋(千)委員 百歩譲って十一時間以上のみにするとか、もっと考えればいいじゃないですか。ここにやはり政府の姿勢が、最初の一歩だと言っているかもしれないけれども、ああ、この程度でよいんだなというアナウンスになるんです。このことを重ねて指摘したいと思います。
 もう一つ、きょう指摘したいことがあります。
 政府案は、過労死認定基準である百時間、また連続した場合は平均八十時間、この遵守を大前提にとあります。この過労死認定基準というのは、時間外労働全てでありますので休日労働も含んでおります。しかし、月四十五時間といった場合の大臣告示基準には休日労働は含まれていないんですね。そうすると、月四十五時間は守ったんだけれども、毎週日曜日も半日出勤しているとか月二回は八時間ずっと働いているとか、そうなっちゃうと、実は四十五時間じゃないんです、プラス十六時間。そういうふうに隠れちゃったらだめなんですよね。
 やはりこれは、この際、休日労働も全て含んで時間外労働は幾らというふうな考え方に統一するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 時間外労働の上限規制につきましては、もうこれは何度も申し上げ、また今、高橋先生の方からもお話がありました、脳・心臓疾患の労災認定基準というのがあって、それをクリアするといった健康確保を図ることが大前提ということを申し上げてまいりました。その上で、実態を見据え、かつ、実効性の上がる結論というものを私たちは得て、実行計画の中に三月末までに書き込んでいきたい、こう考えているわけでございます。
 こういう前提のもとで、今、労使で合意形成に向けた努力を、最終段階に近いところまで来ているんだろうと思いますが、いただいておるわけでございます。その結果を踏まえて、さらに検討を深めようということに私どもはしたいと思っておりますけれども、その際に、労使も当然、今先生から御指摘をいただいたような問題も含めて御議論いただけるんだろうというふうに思っているところでございます。
○高橋(千)委員 やはりそういうことは、所管している厚労省がしっかり発言しなければ、とても今の実現会議でそこまで議論にはならないんじゃないか。やはり三六協定の届け出を受ける立場の厚労省が発信してほしいと思うんですね。
 改めて、先ほどの原発の三六協定を見てもらいたいと思うんです。私がこの問題に気づいたのはそこなんですよ。つまり、特別、延長できるのは六カ月だ。残りは四十五時間の大臣告示基準の六カ月だ。そうすると、四十五掛ける六で二百七十なんですね。それと足していくと、例えば泊なんかは七百二十時間でいいはずなのに千二百時間、そういうふうに多いんですよ。なぜ多いのかなと思ったときに、実は休日労働というのがあった。
 三六協定をここに持ってきておりますけれども、よくよく読むと、所定内労働、つまり、普通にカウントされている土曜日のほかに、月二回、法定休日、日曜日も出勤しているとか、その時間が何と二十二時間であるとか、そういう三六協定を結んでいるんですよ。それがトータルしてこんな千時間を超えるような実態になっている。そうすると、そこを分けちゃって、数えなければ、見た目は守っているけれども、そうじゃないということになる。そういう意味なんです。
 休日労働の問題はきょう初めて質問しましたので、これはぜひ大臣に宿題にしたいと思いますので、絶対これは明らかにして、数えるようにしていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

 

――資料――

インターバル導入助成金(案内)

インターバル導入助成金(支給要領)

原子力発電所が三六協定で結んでいる残業時間の上限

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